なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

脳梗塞ではなく脳出血

2018年03月31日 | Weblog

 木曜日の午前中は救急当番だったが、午後の当番は午前中に救急搬入された食道癌の患者さんを担当してくれた外科医だった。

 意識障害(見当識障害)のある78歳男性が救急搬入された。胸部X線・胸腹部CT・血液検査が行われて、左肺に軽度の肺炎像があり、炎症反応の上昇もあった。そこで別の内科の先生が呼ばれた。

 この患者さんは地元の町にある小規模の病院に、高血圧症・糖尿病・脳梗塞後遺症で通院していた。6日前から繰り返し嘔吐するようになり、2日前とその日の午前中にその病院を受診している(病院にCTあり)。血液検査とX線検査(たぶん嘔吐なので腹部)で異常なしと言われた。

 午後になって意識がおかしいと家族が救急要請した。その病院と地域の基幹病院が受け入れできず、当院に搬入された。(当院では最近「どこどこの病院で断られて当院に救急搬入」と、搬入の経緯を記載する傾向がある)

 内科の先生は脳梗塞の既往と軽度の意識障害があることから、脳梗塞再発を疑って頭部MRIをオーダーした。結果は脳梗塞ではなくて、脳出血というか脳室内出血があった。順序が逆になるが、改めて頭部CTを行うと、間違いなく出血だった。幸いに脳外科のある基幹病院で引き受けてくれて、救急搬送できた。

 繰り返す嘔吐で、腹部に所見ががなければ、腹部以外の病気を考えるという例になるのだろう。頭重感くらいなのと意識障害もあり、患者さんが頭痛を訴えていない。頭痛・嘔吐なら必ず頭部CTを行うはずだ。

 個人的には、脳梗塞疑いで頭部MRIを行う予定の患者さんでも頭部CTから始めることにしている。亜急性の経過の脳出血だと。間違うことがあるから。当院ではCTでもMRIでもすぐに検査できるという恵まれた環境にある。

 脳外科の処置は脳室ドレナージ?、保存的にみてからドレナージを考慮?。

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食道癌

2018年03月30日 | Weblog

 木曜日の救急当番の時に、81歳男性の救急搬入依頼があった。大学病院で食道癌の放射線治療を受けて、食事摂取できない状態で自宅退院したという。退院後も嘔吐して食事摂取ができなかった。これまで当院はかかわっていないので、詳しい経緯はわからない。救急隊で大学病因の担当科に連絡してくれて、診療情報提供書が送られてきた。

 まず内科クリニックから消化器病センターのある病院に紹介された。そこで食道癌と診断されて、大学病院の食道外科に紹介された。食道カンファランスなるもので検討されて、治療は放射線療法となった。放射線治療科で計30回の放射線治療を受けたが、その間食事摂取できず点滴を受けていた。7日前に患者さんの強い希望で自宅退院になったという経緯だった。

 放射線科では、治療は終了しているので、今後は当地域の病院に紹介することになった。放射線科の先生が、当地域の基幹病院にバイトで行っているので、そちらに宛てに診療情報提供書が出されたが、まだ受診はしていなかった。今日救急隊で搬入依頼したが、救急で受け入れはできないと断られた。救急病院でベット事情が厳しいのでやむを得ない(ベットがないと、当院からの救急転送もできない)。これは当院向きの患者さんだ。

 奥さんに話を聞くと、1)放射線治療はするが治癒するとは言われていない、2)手術・癌化学療法は無理と言われている、とのこと。当院に入院して治療するとしても、対症療法を行うだけなので病気自体は進行していくとお話した。

 手術適応ではないが、外科の食道癌が専門の先生に相談すると、外科で診てくれるという。CTで見ると、下部食道が全周性に肥厚している。水は飲めるが、固形物は吐いてしまうそうで、内視鏡で確認しないと内腔の様子は正確にはわからない。明らかな転移は指摘できないので、栄養を改善できれば、結構頑張れるのかもしれない。外科の先生はNSTの長なので、ちょうどよかった。ステントかなあ、とも言っていた。

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アルコール性肝硬変

2018年03月29日 | Weblog

 月曜日にアルコール性肝硬変の46歳男性が入院した(担当は別の内科医)。最近食事摂取できないくなったが、アルコールは続けていた。胸水・腹水・浮腫があり、ラシックス・ソルダクトン注とサムスカ内服で治療が開始されて、少しずつ水は引けている。どうですかと訊くと、入院した時よりは良くなったと、げっそりとした顔の患者さんが答えた。

 CTで見ると、肝臓全体が脂肪肝の様相を呈していて、内部エコーがごちゃごちゃしている。腹部エコーで見た方がわかるかもしれない(放射線科の読影レポートは造影を推奨)。AST/ALT比が3以上で、γ-GTPが765、総ビリルビンが18.2mg/dl(胆道系の拡張はない)。意識障害はないが、血清アンモニアは正常域を越えている。

 かなりひどい状態だが、アルコール性はウイルス性と違って入院すると原因がなくなるため、案外軽快する。ベット上安静だから、動かしてみないとわからないが、アルコール性の方は運動失調を呈する。

 まだまだ退院を考えるまで時間がかかるが、軽快退院した後どうするのだろうか。妻子はいらっしゃるが。

 

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胃潰瘍穿孔による腹膜炎

2018年03月28日 | Weblog

 昨日は外科の先生が当直だった。路上生活の62歳男性が意識障害で救急搬入されていた。時々様子をみていた方が、連絡がないので見に行って倒れているのに気付いたという経緯だった。

 呼ばれた救急隊も死亡しているのだろうと思って向かったそうだ。昏睡状態だが呼吸があったので逆に驚いて搬送したという。全身汚れていて、靴下を脱がせると虫が出てきた。

 搬入後の検査で血糖14mg/dlと低血糖があり、グルコースを静注すると意識は戻った。意識が戻ると腹痛を訴えて、板状硬だった。腹部CTで腹腔内に大量の遊離ガスがあって、消化管穿孔による腹膜炎と診断された。深夜の緊急手術になった。

 胃角部小彎の胃潰瘍穿孔と診断された。術後に肺炎もあって、人工呼吸管理になっている。両側肺に気腫性変化があり、肺炎併発だと厳しいが、年齢的には頑張れるのだろう。

 昼休みにその外科医が医局のラウンジに戻ってきた。血糖が低いのは何でしょう、と訊かれた。もちろん薬は何も飲んでいない。インスリノーマじゃないでしょうね、と言われたが、HbA1c5.6%と正常域で取り立てて低くはない。時々レトルト食品を食べるだけという食生活だった。今回の病気の影響もあるかもしれないが、基本的には飢餓状態を反映していると思います、と答えた。

 外科医は、家族がいないので生活保護の対象にならなければ費用は病院の持ち出しになる、とも言っていた。まず当直明けの半日休暇はとれそうもない。お疲れ様です。

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リンパ節結核でした

2018年03月27日 | Weblog

 発熱が続き、頸部リンパ節腫脹を呈した34歳男性。CTで見ると、右頸部リンパ節の著明な腫脹があり、気管を圧迫していた。縦隔リンパ節(気管周囲)の腫脹もあった。対応した内科の先生に相談されて、リンパ腫疑いとして、がんセンターの頭頸部外科(耳鼻咽喉科)に紹介していた。

 生検が行われて、その時の膿汁から抗酸菌が検出されて、PCRで結核菌が陽性だったそうだ。組織もリンパ節結核と診断された。同院の呼吸器内科で抗結核薬4剤が開始されて、当院の呼吸器外来(大学病院から)に紹介された。担当医は抗酸菌が専門なのでちょうどよかった。

 肺病変はなく、リンパ節も自壊していないので、排菌していないと判断されて、外来治療継続になっている。ただ、家族歴が気になる。同居の父親と弟に結核の既往がある。これは父親が昔罹った結核が再燃して、家族内で感染しているわけではないのか?。保健所の介入はどうなっているのだろう。

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器質化肺炎?

2018年03月26日 | Weblog

 午前中に内科再来を診ていると、地域の基幹病院の呼吸器内科から連絡が入った。「いつものお願い」と始まると、病状が落ち着いたもののすぐには自宅退院できない(廃用症候群や自宅介護困難)患者さんの転院依頼だ。

 今日は、最近増えてきた呼吸器内科外来からの直接の入院依頼だった。施設に週末からショートステイ入所していた86歳女性が、発熱・呼吸苦で受診した。両側肺野に多発性に浸潤影を認めて入院治療が必要だが、満床で入院ベットがないという。引き受けることにした。

 両側肺野の浸潤影は奇妙な分布をしていて、家族は「変な肺炎」と言われたそうだ。診療情報提供書には器質化肺炎が疑われるとあった。抗菌薬を投与して、ダメならば(効果がなければ)、ステロイドの投与や抗菌薬の変更で対応しては、とあった。

 介助で車いすがやっとの患者さんで認知症があるので、気管支鏡検査の適応はありませんと記載されている。自科のベットはなくても、救急科用のベットは少しあるはずだが、患者さんのふだんの状態から、そこまでして入院で診る気は起きないということかもしれない(深読みし過ぎ?)。

 白血球数は14000と上昇しているが、CRP0.7というのは、すでにこれだけの陰影のある細菌性肺炎としては合わない気がする。好酸球増加はなかった。器質化肺炎だろうか。対応は、1)まず抗菌薬で経過をみて、反応しない時にステロイドを投与するか、2)抗菌薬投与とステロイド投与を同時に開始するか迷うところだ。軽度だが糖尿病がある。

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老衰への対応

2018年03月25日 | Weblog

 今月初めに、99歳女性が誤嚥性肺炎で入院した。最近は経口摂取が難しくなってきていた。抗菌薬投与で肺炎自体は軽快したが、ST介入で嚥下訓練を行ったが、経口摂取は無理だった。まず覚醒状態を維持できない。といって、他の疾患のためでもない。

 入院した時から家族に、肺炎は良くなっても食べられない可能性が高い。とお話していたが、見込み通りで(誰でもそう判断するだろうが)、これは老衰のようだ。

 ここからの対応をどうするかで意見は分かれる。胃瘻造設はしないと思うが、古典的なNGチューブ挿入による経管栄養はありうるだろう。高カロリー輸液にして、あとは療養型病床にお願いするというのもありうる。私の選択は末梢からの最低限の点滴で経過をみて、静かにお看取りするというものだ。家族に対応について説明して、選んでもらうことになる。家族が迷って特に意見がない時はこちらから提案する。

 今回は末梢の最小限の点滴でいくことになっていた。地域包括ケア病棟に転棟して、約1か月(2か月近くになることもある)くらいのつもりだったが、今回は家族の希望があった。息子さんが地元の町立病院の院長先生の外来に通院しているらしく、直接お願いして転院してもいいといわれたという。何しろ自宅はその病院の目の前にあるそうだ。診療情報提供書を地域医療連憩室からFAXしてもらうと、すぐに転院可能の連絡が来た。明日の月曜に転院する。

 昔は100歳まで生きる人は少なかったので、市や町からお祝い金が出ていた。99歳10か月の女性が胆嚢癌で入院していたが、家族から何とか100歳まで持たせてほしいと希望された。高カロリー輸液を継続して、めでたく100歳を迎えた。町立病院だったので、町役場の職員が病室まで来て、お祝い金の贈呈式が行われた。お祝い金100万円。

 今回の99歳は99歳6か月で半年後までは何をしても難しい。もう100歳まで生きる人が増えて、100万円はもらえない。

 

 

 

 

 

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硬膜下血腫

2018年03月24日 | Weblog

 施設に入所している83歳女性が、前日からの意識障害で救急搬入された。内科医院からの紹介状には瞳孔不同の記載もあった。頭部CTで硬膜下血腫~水腫が左右にあり、左側には新鮮な出血もある。慢性硬膜下血種に新たに出血が加わったのか。血腫のたまり方が変だが。

 脳外科のある地域の基幹病院に救急搬送された。緊急手術になると思うが、処置が終わってもそのまま施設に戻れないので、当院に転院してくる見込みだ。末梢点滴のままとか、NGチューブからの経管栄養が開始されて、当院の方で胃瘻造設を検討することが多い。

 

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肺癌?

2018年03月23日 | Weblog

 1月に内科クリニックに通院している91歳男性が高血糖で入院した。高血糖高浸透圧症候群に準じて治療した。インスリン強化療法にしたが、元検査技師のお嫁さんがきちんとインスリン注射と血糖測定をしてくれるので助かった。

 入院時に胸部X線で右上葉腫瘍を認めて、軟部組織~肩甲骨にの腫瘤も認めたが、年齢的に精査・治療はできないので経過観察にした。まあ超高齢なので進行はゆっくりだろうと判断した。入院中に発熱・右季肋部痛・肝障害が発症して、胆嚢結石を認めた。急性胆嚢炎として治療して軽快したので、これも経過観察とした。

 今月になって発熱・右季肋部痛で再入院した。肝機能障害は軽度だったが、炎症反応高値だった。胆石性急性胆嚢炎として治療を開始して、ある程度は軽快したが、前回のように完治はしなかった。外科医と相談すると、手術は無理だが、希望すれば経皮的胆嚢ドレナージ(PTGBD)はやってもいいけど、という返事だった。

 抗菌薬投与で粘ってみることになったが、そのうちに右肩が膨隆してきた。胸部CTで確認すると、1月に指摘された肺の腫瘤が明らかに増大していて、近傍の筋肉内~肩甲骨(溶骨性)にある腫瘤も増大していた。腫瘍の進行が予想よりも速いのだった。胸水は癌性胸膜炎としていいのか。胆嚢炎もくすぶってスッキリしないが、こちらは確実に進行している。

 肺の方は無理としても肩の腫瘤は生検できそうだが、家族は希望しなかった。治療はないので、診断の興味だけにはなる。肺と肩の腫瘤はつながっているような、つながっていないようなというところだ。これは肺癌が転移あるいは浸潤したものと判断していいのだろうか。

 病状悪化時はDNRの方針で、できるだけ苦痛のないように対応することになった。

 

 

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肺嚢胞と感染

2018年03月22日 | Weblog

 地域医療連携室から、地域の基幹病院に紹介になった患者さんのことで相談を受けた。先週の土曜日に救急外来を受診した50歳男性のことだった。

 前々日からの発熱・寒気・倦怠感を訴えて受診していた。日直だった先生(大学病院からのバイト)が検査をして、熱源不明・肺悪性腫瘍の疑いと記載していて、紹介状を書いたのだった。まずは肺の感染症でいいと思うが。

 既往歴として、6年前に一過性の右半身麻痺で受診したことがある。1~2分で症状は消失して一過性脳虚血発作と診断されていた。当時44歳。その時に胸部X線・心電図も検査されていて、その時から左肺尖部に巨大肺嚢胞がある。

 今回のCTで気腫性変化も軽度にあり、喫煙者であり、全体的にはCOPDだった。嚢胞内に液体貯留があり、肺門部から浸潤影がつながっている。放射線科の読影レポートには肺膿瘍疑いとあった。ただもともと嚢胞はあるわけで、肺炎がそこに及んだとすれば、嚢胞内容物は浸出液なのか膿瘍なのかわからない。まあ、あまり見ない形ではあり、肺門部に腫瘤がないとはいえないので、呼吸器内科で診ていただいて悪くはないと思う。

 連携室で言うには、受診時に嘔気と心窩部痛も訴えたそうで、紹介状に「消化器疾患も合わせてご精査下さい」と記載されている。向こうの呼吸器内科の先生が、「肺は診るけど消化器までは診ない」と言ってきたので、どうしましょうということだった。

 何だか肺感染症の随伴症状のような気もするが、普通は必要があれば院内で他科の先生にも回すんじゃないですが、と答えた。どうもそうはできないらしく、消化器内科宛てにも紹介状(宛名だけ替えて)を送りましょう、と言われた。う~ん、そういうものかな。

 

 

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