のすたる爺や

文明の果てなる地からのメッセージ

La bohème

2023年08月19日 | 日記・エッセイ・コラム

 ひところ、ホリエモンの「想定の範囲外」なんて言葉が流行したことがありました。つまり、思ってもいなかったってことで、あの人何年か塀の中に入ってきたんでしょ。

 想定の範囲。実はこれって案外危険で、防災などではなまじ想定しておくと、まだ安心と、想定の範囲外にならないと回避行動とらなくなって逃げ遅れるんですね。昔神奈川で中州でバーベキューしていた連中が川の増水で川流れにあった事件なんかも、当人たちは意地もあったろうが「まだ想定の範囲内」だったんでしょうね。

 屋内で仕事していたから雨は関係なかったんだけど。昼過ぎ、雷雨になるのは想定の範囲内だった。涼しい風が吹いてきて雨の匂いがしてきた。霧が山から下りてくる。こりゃほどなく一発来るぞ。と想定してました。雨が降り出す前にシート掛けておこうと、外に出たら、想定通りに降ってきた。いきなりバケツをぶち撒いたような土砂降りが突然。まだシート掛け終わっていないのに。

 時間にすれば1分足らずの間にずぶぬれになってしまいました。

 このところカレーなる日々が続いていて、加齢臭漂わせながら各種レトルトカレーを食べ歩いてます。朝と昼がカレーだったので、夕方はご飯炊くの面倒になって焼きそば食べに行きました。しょうゆ味の中華焼きそば。

 このあたりでは昔からの焼きそばがこのスタイルで、ソース焼きそばってインスタントから認知されてきた感があります。ラーメン作るにはスープが作れないけれど、うどんやそば作っている店から中華麺を買ってくれば焼きそばは作れる。ソースはなかなか手に入らなかったけど、しょうゆは自宅で作っている。そんな時代でした。

 私の隣のテーブルで同じ焼きそば食べているおばさんが、ちらちらと私の方を見るので気になっていましたが、ふと目が合った瞬間思い出しました。高校2年の冬休みに、女子高の美術部と合同展があって、会場の案内受付担当だった美術部員が都合が悪くなって行けないから、代わりに一日行ってくれないかと頼まれたことがありました。美術とはかかわりない柔道部でしたが、女子高と合同となれば「快く引き受けましょう!」その時の当番の女子高の美術部の部長さんで3年生だった人。し・か・も、「自画像」と称してヌード画を描いてきたぶっ飛んだお姉さん。こりゃ、男子高生にはできねぇぞ。

 もしかして?と話しかけたらやはりそうで、女子美大出てから高校の美術教師していたのだとか。どちらかと言うと武蔵野美大系のこってりした色遣いだったような気がしてましたが、絵画の先生が武蔵野美大だったようです。女子美大は色遣いが原色ギンギンで派手な人が多い気がするけど、どんな絵を描くのだろう?

 「あの時も焼きそば食べましたよね。」と言われ、近くの中華料理屋さんから出前とったのだけど、ラーメンではのびるので焼きそばにしたのでした。で、ヌード画のことを聴いてみたんです。「あ、あれね。兄貴が隠し持っていたエロ本のグラビアベースに、私の顔をコラージュさせたの。」このくらいぶっ飛ばないと、美術の世界に入れないと思っていたんだそうです。私は彼女の制服の下がこうなっているのか!と何度も絵画と実物見比べてましたわ。

 ”Nous ne mangions qu'un jour sur deux”僕たちは一日おきにしかまともな食事ができなかった。と、アズナブールはラボエームの中で画家の卵たちを謡っておりましたが、「幸い、教職につけたのでこうして時々焼きそば食べることができますが、ロクな作品は残せなかった。」と言ってました。モンマルトルで焼きそば食いながらウーロン茶飲む画家の卵ってのもカルチェラタンとシャンタン風味でいいかもなぁ。

 久々の焼きそばで、邂逅がありました。

 追記

 La bohème、まじまじ聴いてみるとフランス版神田川ですね。赤い手ぬぐい首に巻いて銭湯に行ったり、雨が降ると仕事しないでキャベツばかり食べて、金が入ると時折おでん屋に行く。フランス版神田川はこうした貧乏くささを感じないのはなぜだろう?

 外国語だからか!

コメント (2)
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