足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No. 1671 ~ ススキの原は 小宇宙 ~

2019年09月30日 | クモ

観察月日  2019 9 15 晴 30℃

観察場所  厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)

 「ススキの原には、随分多くの生き物がいるものですね」ベテラン

のY氏が話し掛けて来た。

 今日はミニ観察会で、ススキの原を歩いている。 「その実感だ」。

昨年もススキの原はあった。その前の年もあった筈だ。だがミニ観

察会では、歩かなかった。 何故だろう。

 ススキの原には、一本の観察路を融けてもらったが、植物達は成

長を繰り返し、路幅が太くなったり、細くなったり、くねりが出たり、そ

の変化が新鮮だ。

 一歩入ると、バッタの女王、ショウリョウバッタの♀が、ゆっくり跳び

出した。子供の頃長い足を指先ではさみ、お辞儀をさせて遊んだ

記憶がよみがえった。

 「お彼岸の間は、虫採りをしない方がいいよ。ご先祖様が乗って

やって来るのだから」隣のお婆さんから言われた事も、思い出した。

私は今、その年になっている。

 スマートな体形、長いアンテナをしたショウリョウバッタモドキが、

ススキの葉の表から裏へと“かくれんぼ”をしている。

 涙目の顔をしたツチイナゴの子供を見付けたり、カマキリに見

つからないかと心配したり、ススキの藪影で、隠れ帯びに乗って

餌の来るのを待っているナガコガネグモの子グモが目に止まった。

 そして、みんなが見付けたかった“ススキの葉を巻いて造った

カヤネズミの巣”。ススキの原は、生き物にとっての原点、小宇

宙の様だ。

 来月もススキの原へ、みんなで来よう。どんな発見が、どんな

思いが待っているか楽しみだ。

ススキの原へ

ショウリョウバッタがゆっくりと飛び出した。

ショウリョウバッタモドキが かくれんぼ!

涙目の顔つき、ツチイナゴの幼虫。

カマキリ。

隠れ帯上に ナガコガネグモ

やっと見つけた カヤネズミの巣。

 

 


No. 1670 ~ 玄倉だより 9月 ~

2019年09月26日 | 昆虫

観察月日  2019 9.08.晴 29℃

観察場所  山北町 玄倉

 秋は抜ける様な青空に、繋がりながらスイスイ飛ぶアカトンボ

が良く似合う。

 246号線を走っている車からは、富士が視界からは見出る程

に見えたが、玄倉では雲に覆われ隠れてしまった。元センターの

前庭では穂を出したススキの葉に、アカトンボが休んでいた。

 「このアカトンボは・・・・・」と、私の顔を見るなり声を掛けて来た。

「このアカトンボは・・・」とは、“どんな暮らしを?”、“人との関わりは

?”等々を、指しているのだろうか。殆ど全部は“何アカトンボ?”で、

名前が解ればそれで満足、一件落着である。「これでいいのか」私

の頭を横切る。

 明治に入り、我が国にも西洋の文化が押し寄せた。近代国家を

目指す日本は、西洋に追い付け、追い越せと進んで来た。その余

韻が私達の脳裏に残っているのかもしれない。

 ところで、そのアカトンボ名が知りたい。現在は、いい図鑑がある、

スマホがある。ページをめくれば、指先で流せば、アカトンボの種

類がズラー…と並んでいる。北から南に棲息している種類が並ぶ。

だが見方を学ばないと特定できない。

 私が子供の頃の図鑑は、簡単でアカトンボは数種で、突き合わせ

た。ハイ・アマチュア対称には、天然色印刷の立派な図鑑もあった。

第一、ネットで採集して、ゆっくりと調べたものだ。

 ところで、そのアカトンボ、正面に回って顔を見たら、おでこに眉が

2個、マユタテアカネの雄であった。

 現在は、お金だ、経済成長だ、の掛け声が高い。でも、環境が破壊

されたら元に戻れない。

 アカトンボを見たら、名まえもいいが、何を見、何を考えるべきだろう。

元センターの 前庭に、アカトンボが飛んでいた。

前に廻って見たら ”アラ ラララララ”

毎月第2日曜日 10時 玄倉バス停に集まる。 待ってます!


No. 1669 ~ ベニシュスラン 種の不思議 ~

2019年09月25日 | 植物

観察月日  2019 9.08.晴 29℃

観察場所  山北町 玄倉

 林道沿いの暗い林床で、ベニシュスランを見付けたのは、7月

14日雨の日であった。

 その場所は、ビジターセンター開館以来、毎月第2日曜日に歩

いていた林道で、今まで沢山の目に付かなかった筈はなく、初

開花の日だったのだろう。

 植物生育の始めが“種”だとすれば、このランは何処からやっ

て来たのだろうか。

 その後、8月11日には花は終わり若い実に、9月8日には約

1㎝のラクビーボール型の実が2個、外皮には縦に切れ込みが

入り、中には膨大な数の種が用意されていると思われた。仲間

に断りを入れ、借りたミルビンに入れて持ち帰った。

 家でミルビンの底を見ると薄茶の埃で塗されていた。超マクロ

レンズを用意、ステージ上でランの実を軽く振ると、微細な粉が

落ちた。カメラを覗きピントを合わせると同時に、私は「エッツ」と

疑問を交えた声を出した。

 そこには、微細な埃の様な粒ではなく、細長い翼を持った形の

タネが現われた。アバウトなスケールで計ると翼の長さ約1.6mm、

翼の中心にタネらしい膨らみがあり、0.2か3㎜程で計れなかっ

た。種子は微小で軽い程大量に生産出来、風に託して遠く広く

散布可能なのに、翼までの用意には意外であった。

 少々調べてみると、中央の膨らみ、タネの中味は超未熟で、

子葉も胚乳もなく、未熟な細胞の塊だという。ランの進化は、

土壌のラン菌が無ければ、発芽も成育もない所まできている。

限りある地球号上の人間世界も、何処まで来ているのか、

頭をよぎった。                                        (ナンバンギセルの種子)    

毎月第2日曜日 玄倉に10時集合 林道を歩いている。 

見つけたのは 7月14日雨の日であった。

8月11日は 若い実であった。

9月8日 今日は1cm程のラクビーボール型。

ベニシュスランのタネ。

拡大して見ると タネのふくらみが解りますか。

シランの タネ 長さ約2.2mm ふくらみの部分約0.4mm (厚木市 七沢) ベニシュスランと同拡大率

 

 


No. 1668 ~ 人間の頭の構造は? ~

2019年09月22日 | 昆虫

観察月日  2019 9.02.晴 29℃

観察場所  清川村 宮が瀬

 メタカラコウも9月に入ると花は終わり、残った花茎は只の棒に見え、

その花の盛りを偲べない形だ。

 メタカラコウからバトンを受けるのは、アズマヤマアザミだろう。伸び

あがった茎に、アザミ形の葉を付けただけの様に見えるが、葉腋には

玉の様な蕾を付けている。次に来る時には、赤紫の花を開き、昆虫達

を引きつけている事だろう。

 クサギの花は、既に盛りを過ぎているが、次々と開く花に、今日も口

吻の長いアゲハチョウの仲間が、羽の傷みを感じさせない勢いで、吸

蜜に訪れている。

 私はボデイに長いレンズを付け、チョウ達の行動をSDカードにメモ

リーしようと、懸命にシャッターを切った。

 もしも、チョウの世界に年間ごよみがあったとしたら、今クサギに飛来

しているチョウ達が、今年最後の産卵の大役を受け持っている者たちで、

孵化した幼虫は成長しても休眠蛹となり、冬を越す事になるのであろう。

 と、頭を回転していると、何か背に感じるものがあり振り向くと、濡れた

地上すれすれに飛び回る、ミヤマカラスアゲハが目に入った。吸水行動

かとカメラで追うと、予期せぬタヌキの糞と思われる上に降りた。そこには

ウラギンシジミが何匹か先客で、その後キタキチョウが乱舞した。

 今までに、夏の暑い日ミヤマカラスアゲハが集団での吸水行動や、他の

チョウ達が動物の糞等を好む事は見ていたが、今日のカメラの映像のギャ

ップ+暑さに、目まいを憶えた。人間の頭の構造は弱いものだ!

メタカラコウは花は終わり 花茎だけ。

アズマヤマアザミには 可愛い蕾。

クサギは盛は過ぎたが。

羽に傷みのあるチョウが!

振り返ると

タヌキの糞上に降りる、

カメラの映像の違いに、めまいがした。

林道に別れを告げた。

 

 


No. 1667 ~ イベントに波がある ~

2019年09月11日 | 日記

観察月日  2019 9.02.晴 29℃

観察場所  清川村 宮が瀬

 目当てのクサギの樹木に着いたのは午前10時、待つ事も無く、

ミヤマカラスアゲハ、カラスアゲハ、クロアゲハと、口吻の長いア

ゲハチョウが次々とやって来ていた。

 花は昆虫を呼ぶため、朝の時間に蜜を出すと言われる。昆虫も

花の時間に合わせて、花から花へと活発に訪れる。私もそれに

期待して早目に来たのが良かった様だ。

 早速、用意した長めの望遠レンズを、花に向けチョウにむけ、シャタ

ー切った。“切った“と言うよりは、追い掛けた。何分か過ぎ気が付くと

、チョウの姿はなくなり、急に静けさがよみがえった。

顔から汗が流れ落ちる。今まで日向に立っていたのだ。急いで木立

の陰に入り、リックを下ろし、水を取り出して飲む。その間も目と神径

はクサギを見つめているのだが、チョウの姿はない。が何分後、1匹

のチョウが訪れた。と思うと、雪崩の如く2~3匹のチョウが飛び込ん

で来て、祭りの様になった。

 “先日川崎駅ビルで、県の水源地域と都市との交流イベントがあり、

我ら自然関心人間も参加し、無料の自然ブローチ作りの店を開いた。

 始めは地下街を行く人の流れは誰も寄ってくれない。一人寄ってく

れたのを契機に、2人、3人、4人・・とブローチ作りを始め、急に賑や

かになった。”

 林縁のクサギは8mにもなり、赤紫の花は目立ち空間を飛ぶチョウ

には目に止まる筈だが、流れにむらを感じた。チョウも人も生き物とし

て見た時、重なるものがあるのかどうか、心を引かれた日であった。

クサギは、花盛り 。

口吻の長いアゲハチョウで賑やかだ。

レンズでチョウを追う。

自然関心人間は、”地球を長持ちさせたい” 自然のボランテイアでもある。

お客さんも、私たちも 一生県命だ!

チョウも 一生県命に生きる。