足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No. 1641 ~ 玄倉だより5月 ~

2019年05月29日 | 植物

観察月日  2019.5.12.曇 12℃

観察場所  山北町 玄倉

 山の緑の中に桜色が目立ち、「こんなに多いものか」と予

想外に驚いたのは、4月であった。

 それが今月は、サクラは何処へ行ったものかと探してみて

も、山の緑に吸収されて見付ける事は出来ず、逆に藤色に

カットされた布を、緑の山腹にパッチワークされた景色が目

に飛び込んで来た。5月はフジの花の季節なのだ。

 藤色は平安の昔より日本の伝統色、「枕草子」にも「紀貫之」

にも、同じ美学の歌を残していると言われる。今の時代はフジ

と言われれば、藤棚を連想するが、昔は自然の中のそれを

愛でていたのだろうか。

 林道の端にある大木の幹はコケに覆われ、そこには毎年5月

にはカヤランが花を付け、その出会いをみな楽しみにしている。

今年はけな気な一輪、私達を見降ろしていた。

以前はもっと株は大きかったのだが。

クロアゲハとモンキアゲハが飛んだ。その行く先にはミツバウツ

ギが花を開いて待っていた。昆虫にとってエネルギー・スタンド

開店なのだ。

残念ながらウツギはまだ蕾、開店前で客は0。と思ったら、“幼

虫の食餌がその蕾”というトラフシジミが産卵にやって来た。

 自然は柔軟に出来ているものだ!

フジの花の パッチ・ワークだ。

カヤランが けなげに一輪。

2015年は こんな株だった。 自然のものは 自然の中で!

クロアゲハの 行く先は。 ミツバウツギ。

サカハチチョウも 飛んで来た。

トラフシジミは ウツギの蕾に!

今日も 元気に 自然を探求!

 

 


No.1640 ~ ツツジに思う ~

2019年05月27日 | 植物

観察月日  2019.5.8.晴 23℃

観察場所  渋川市 赤城町 (赤城自然園)

 

 入口の大半を占める風景を埋めるサツキの大株に、私は

圧倒された。 

 宮が瀬ダムが作られる以前そこは渓谷で、よく昆虫採集に

訪れた。岩場には野生のサツキが点々と見られ、小さな株

であった事を思い出す。

 「この前来た時は、アカヤシオがそれは見事でしたよ。今日

はそれがシロヤシオで、又違った感じでしょう」とRさん。園に

入って右に曲がると、突然シロヤシオの白が視界をはみ出す

様に広がっていた。アカヤシオの華やかさとは違い、シロヤシ

オは総ての色を反射し、紺碧の晴空をキャンパスにして埋め

尽くしていた。

 シロヤシオと言えば丹沢の尾根を思い出すが、或る日大山

山頂から日向薬師へ下った折、新緑に染められた木々の中

にひらりと光った白い花、それは予期せぬシロヤシオであった。

 次に躑躅色の花が、目に飛び込んで来た。トウゴクミツバツ

ツジだ。雄蕊の数が10本はトウゴク・・・と先輩から教わったの

が、頭を横切った。

 次はサラサドウダンだ。壺形の花に赤い線模様が何とも言え

ない。鍋割小屋にあった大木はハナバチの羽音で溢れていた。

サツキの大株が 迎えてくれた。

シロヤシオ だ。

トウゴクミツバツツジ だ。

サラサドウダン

ベニサラサドウダン


 No.1639 ~ ジャコウアゲハが飛んだ ~

2019年05月14日 | 昆虫

観察月日  2019.4.28.

観察場所  厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)

 

 目の前を、ふらふら揺れながら、ジャコウアゲハが飛び、伸び

始めたアシ原の中へ入って行った。寒かった中を蛹で越して来

たジャコウアゲハ、羽化したばかりなのだろう。飛んだ先を見る

と、若緑の茎と葉に、細い足でぶら下がっていた。前羽は白く光

を通し、後羽は光を吸収して黒く、紅い斑紋が並んでいる。

 昆虫少年であった頃、近くの裏山でこのチョウの産卵に出会い

、一枚の葉の上に乗った小さな小さな赤い飴玉に見えた一粒の

卵に引かれ、持ち帰って平たいクリームの空き瓶にいれた。

 一週間後、小さな幼虫が卵の殻をかじる様にして出て来た。「そ

うだ! 餌は一枚だけでは足りない」と気付き、取りに行った。蔓

草であった事は憶えていたが、当たりは蔓草ばかりで、どの草が

それか見当が付かなかった。

 今は当然のことながら、食草のオオバウマノススズクサは解るし

、我が家の庭の片隅にもある。

 あの頃は、オニドコロも、ヤマノイモも、アオツズラフジも、ガガイ

モモも、シオデも・・・・・・、蔓草はみな同じに見え、ウマノスズクサ

を見分ける事は、出来なかったのである。

ジャコウアゲハが飛んだ。

羽化したばかりなのだろう。飛んではすぐに木道で休み・・

そこで ストレッチ を?

飛んでは 一休み!

ツツジにやって来たのは 元気一杯だ。

階段をかざる。


No. 1638 ~ ハルユキノシタを訪ねる ~

2019年05月07日 | 植物

観察月日  2019.4.20.晴 17℃

観察場所  厚木市 不動尻

今日は、かながわトラストみどり財団主催の観察会で、不動尻の

ハルユキノシタを訪ねて歩いた。広沢寺入口でバスを降り、先ず

は広沢寺駐車場まで歩いた。

そこで、今日の日程、注意事項、観察出来る動植物等の話をして

出発。

サクラはすっかり葉桜となり、山は緑一色、天気快晴、絶好の観

察日和だ。

林道は総て舗装されているが、行きは登り一方、植林地の中を

ペースを整えて歩く。途中“石切り場”を過ぎ、道端にはミミガタテン

ナンショウが次々とあり、雌株を覗いては、キノコバエが入っている

のを見たり、トウゴクサバノオの花をルーペで見て、美しさに感激し

たり、やがて山の神隧道に着き、小休止。「アナグマが顔を出した」

との声もあり、自然の豊かさを感じた。

隧道を抜けると、渓谷は遥か下を流れ、山深く来たのを実感する。

山側は切り立った崖となり、細い滝が落ちている当たりからハルユキ

ノシタは現われ、崖の崩壊防止の金網が設置されたそこの岩場にな

ると急に増え始めた。

やがて、ハルユキノシタの白いヘラ状のはなびらが崖を埋め、谷を

渡る涼しげなそよ風に花弁を揺らし、参加者はカメラを向け、満足

した様子であった。

煤が谷への分岐、旧駐車場で昼食。

午後は、近くを散策いた後、私が撮影した“不動尻の花々”の写真

を使い、緑溢れる不動尻の自然の中で、ミニ写真展を開いた。

石切り跡

林道を行く。

トウゴクサバノオ。

ハルユキノシタが見えてきた。

ハルユキノシタの群落だ。

花弁が 揺れる。

自然の中で

ミニ写真展を開く。

★ すばらしい 一日だった!

 

 

 


No. 1637 ~ 玄倉だより4月 ~

2019年05月06日 | 植物

観察月日  2019.4.14.晴後曇 14℃

観察場所  山北町 玄倉

秦野林道を小菅沢橋まで登ると視界が開け、笠らしき雲を被った

富士山が西の空を埋めていた。丹沢湖を囲む山々は新緑の季節

なのに、赤紫色のベールに覆われて見えるのは、木々の芽が紫

外線をガードしている為だろうか。それとも、山には予測を越える

程にサクラの木が多く、満開の花弁が山を染めているのだろうか。

林道を歩くと、木の芽、蕾が目に飛び込んでくる。昨年確かめた

キハダは、総苞のステージの上で蕾と葉が踊り上がっている様

に見える。又、裸木の枝先を、淡い黄色の花束で飾るのはエンコ

ウカエデだ。

小菅沢橋の欄干に、川岸から伸び上って来たオニイタヤは、花が

開いたばかりで、既にハエの仲間が来ている。ポリネーター

の役目をしているのだろうか。

橋の手前の林道脇で、猛毒植物として有名なドクウツギを以前見

付けたが、刈り取られたのかその後、見当たらなかった。だが、そ

こを通る度に気にはしていた。

「ドクウツギ 見つかりましたよ」と知らせてくれたのはRさん。以前

の所へ行ってみる。雑木が絡み合っている中に、素性良く1.5m程

に真すぐ伸びた茎、幾つも連ねてある越冬芽より、湧きでる様に、

溢れ出た、穂状の蕾があった。

“毒草を食べてみた”の書名の本があり、著者はドクウツギの実を、

食べた時の事を書いている。知人に頼んで手に入れた若い実を

Ⅰ粒口に放り込んで見た。果肉は硬くてシャリシャリし、青い酸味

があった。種子をかじると白い核に当たった。それは吐き出し、そ

うこうしている間に眠くなり、横になるといつの間にか眠りに落ち、

やがて目が覚め頭を持ち上げると、ふら付き、又眠りに落ちた。

・・・・・。神径に作用する毒の主成分の致死量は、体重1kg当たり、

僅か0.5mg。

さて!今年の玄倉のサクラは満開で、集合写真は何年振りにサ

クラをバックにした。そして、恒例のお団子をみんなで食べて、幸

せを満喫した。

 追記 著者が猛烈な毒性を知ったのはある中毒事件で、ケイレンと意識不明

の繰り返し、のたうちまわる悪夢の症状であったと書かれている。

山にサクラが多い。

キハダ の 芽立ち。

エンコウカエデ。

オニイタヤ。

ドクウツギ。

仲間たち。

花とお団子で幸せ。