足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No.1210 ~ ウ群生地の思い出 ~

2014年01月27日 | 野鳥

観 察 月 日  2014.1.17.晴 14℃

観 察 場 所  三浦市 三崎町 城ヶ島

 竹を伐り払い柵を設けた展望台から、ウミウ、ヒメウの群生地を見

降ろした。切り立った岸壁には、数多くの岩棚が出来、ウの排泄物

で白く染まっている。Rさんが「250羽までは数えられた」と呟く。

 昭和33年7月8日(火)の読売新聞の夕刊がある。そこには20代

の自分と桃井重之さんが、有隣堂ギャラリーで“四季の生物”と題し

た写真展の準備をしている写真と記事が載っていた。桃井さんは、

横浜の名跡三渓園の敷地に住んでいて、そこを中心に自然の生態

写真を長年写し続けていた人で、私の友人であり、良きライバルでも

あった。

 桃井さんが用意した展示用の写真の中に、城ヶ島のウミウ、ヒメウ

の群生している素晴らしい写真があり私は驚いた。群生地までは距

離があり、とても写真には成らないからだ。聞くと、アサヒペンタックス

の超望遠レンズ“タクマー500mmを買い、それで撮影したのだと語

った。

 今、私の手元にある当時の旭光学のカタログを見ると、65000円と

ある。当時の物価の一つ、小学校教員の初任給を見ると8000円とあ

った。若い者にとって、買うには8か月の給料に値するとても買えない

レンズである。

 私も城ヶ島に渡ったが、当時、橋は無く渡し舟で、客は私一人であった。

まだウの群生地は、県の天然記念物の指定は無く、道沿いの竹の隙間

から覗き、ウの休む範囲も今より狭かった様に思えるがどうだろうか。

 その後、桃井さんは500mmレンズを担ぎ精力的に活動されていたが、

惜しくも若くして他界され、私の落胆は表す事の出来ない程大きかった

のである。

ウミウ、ヒメウの群生地を観察

生息地を全望 鳥の排泄物の白が目立つ

波打ち際にまで集まっている

切り立った岸壁に小さな数多くの棚利用している

桃井さんの写真を思い出す

ウの生息地を遠望する

 

 


No.1209 ~ イソヒヨドリ 雑感 ~

2014年01月25日 | 野鳥

観 察 月 日  2014.1.17.晴 14℃

観 察 場 所  三浦市 三崎町 城ヶ島

丹沢湖ダムサイトのワイヤーにイソヒヨドリが

マルバシャリンバイのみをつまんでは・・・・

・・・・を繰り返す

食べ損ねたのか実が落ちていた。果肉が多いようだ。

狩川に架かる大雄山橋 橋脚に止まっている。

テリトリーなのか 飛び回る

小昆虫を加えている。

こちらは、城ケ島。マルバシャリンバイの茂み。

黒紫色の実を加えて出てきた。

落とさないように少し奥へ

飲み込むのが大変だった

満腹、満足そうなイソヒヨドリ♀

 「宮が瀬湖畔の道を走っていたら、イソヒヨドリの♂が、ヌルデの実を

啄んでいた。海岸で良く見る鳥が何故ここに・・・」要訳するとこの様な

記事をある会報でみた。

 2003年1月12日晴8℃ 山北町丹沢湖のダムサイトを歩いていた私

は、イソヒヨドリ♂が前方の立入禁止の柵に止まり、マルバシャリンバイ

の植え込みの間を行き来し、食べていたのに出会い、その時は意外に

思った。

 2013年3月7日晴18℃ 狩川に掛かる大雄山橋の橋桁をテリトリーに

していたイソヒヨドリ♂は、その後訪れた時も見られ、セグロセキレイ等を

追い回し、飛び回っていた。ここでは、カゲロウ類等小昆虫を捕食していた。

 城ヶ島を訪れた日には、外海に面する岩場には、何羽かのイソヒヨドリを

見掛けた。

 磯の岩場には葉を紅葉させたマルバシャリンバイの株が彼方此方に見ら

れ、枝の中心には黒紫色の実を付けていた。

Ⅰ羽のイソヒヨドリ♀を目で追うと、その株に出入りしていた。出てきた所を

見ると

ピンセットを扱う様に嘴で実を摘まみ、岩場へと飛び移る。次に実を落とさ

ぬ様に嘴を開き奥へと移動させる。だが、マルバシャリンバイの実は、直

径1㎝もありイソヒヨドリの口の大きさにしては過大のようにも見えた。最後

に口を思い切り開け喉へ無理に押し込む様にして呑み込んだ。

 イソヒヨドリが内陸に見られる様になったのは、おそらく1970~80年頃

だろう。初めはひと飛びする距離であったが、丹沢で考えれば酒匂川など

大きな川を遡り、現在の如く散見される様になったのであろう。

 

 

 

 

 

 

 


No.1208 ~ 城ケ島 の クロサギ ~

2014年01月24日 | 野鳥

観 察 月 日  2014.1.17.晴 14℃

観 察 場 所  三浦市 三崎町 城ヶ島

 私が子供の頃(横浜)、近所の大人も子供も水辺にいるサギは見

ていた。そして、サギは白色以外頭に無かったのだろう。だから、サギ

は全部「シラサギ」と呼んでいた。詳しい事の必要ない一般の大人や

子供には、解りやすい方法であった。

 日本野鳥の会 横浜支部と言われていた頃、親しくしていたS氏、K氏

と探鳥会で真鶴岬を歩き、体色の黒いクロサギを教えてもらい意外に

感じたのを憶えている。

 今でも不思議に思うのは、同じ種でありながら、黒と白とはっきり2型

があるのは何故なのだろうか。

 白色型は南西諸島以南に見られ、南に行くに従ってその比率は増す

と言う。サンゴ礁の発達した浜は、白いサンゴの砂できらきら輝くのは

知られているが、白色型の出現は関連があると読んだ事があるがどう

なのだろうか。

 しばらく振りに城ヶ島に来て、外海に面する岩礁でⅠ羽のクロサギに

出会った。良く見つけているコサギとは体長は同じ様だが、色は別とし

て体から受ける感じは随分違う。鋭い目で海藻の生える磯を睨み、太

めの嘴を突き出して、ゆっくりと餌を探し歩いていたが、この時は見つけ

る事が出来ず飛び立ていった。

 後日、とある観察会で、城ヶ島のクロサギの写真を提示したら、「ハイ

イロサギですか」と返って来た。私の頭の中は“黒いサギ”をつい描いて

いたが、初めて見る普通の人は、そう感じるのだろう。

 確かにクロサギの体色は、淡墨色なのだ。

ダイサギとコサギが小魚を待っている

こちらも、コサギとダイサギだ。

私が子供の頃は、大人も子供もサギはまとめてシラサギと呼んでいた。

城ケ島の磯でクロサギを見つける。

体長はコサギに似るが、体色はもちろん嘴・足・・・受ける感じがだいぶ違う。

あちこち餌を探して歩いた。

体色は淡墨色だ。南西諸島以南には、白色型が表れるとは不思議だ。

 

 


No.1207 ~ 西丹沢 の クマタカ ~ 

2014年01月22日 | 野鳥

観 察 月 日  2014.1.12.晴 4℃

観 察 場 所  山北町 玄倉

 西丹沢の玄倉集落は、先日の雪と今朝の霜で銀世界だ。その

中に“どんど焼き”の準備が出来上っていた。

 タケで骨組みの上を、ヒノキの葉を葺いて小屋を作り、空に伸び

たタケの先には弓に番えた矢が、西空高く指していた。

 ビジターセンターの生垣のサツキは紅葉し氷粒状の霜が付く。

チガヤ・タイアザミの葉にも、ミツマタの蕾にも霜が付き、太陽の

光を分解して七色に輝く。

 玄倉川の水面に浮かぶカイツブリを横目に林道を歩く。対岸の

山頂近くに休むオオタカや、水面近くの木の枝に止まるアオサギ

を見るが、今年の冬の寒さのためか鳥が少なそうだ。

 「今11時○○分。そろそろクマタカが表われそうですよ」

Yさんの奥さんが、私に話しかけてきた。しばらく歩くと、向かいの

山の頂上付近を見上げ 「ほら!やっぱり表われたわ!」 と。私

も見上げると、2羽のクマタカが山頂を上下しながら旋回を始めた。

 Yさんの御主人は、丹沢でタカ類の観察を長年続けている。Yさん

がまとめた“2013年 丹沢での観察記録より”によると、丹沢湖で

のクマタカの出現の時間帯は12時が最も多く、13時がそれに次

いでいる。均すと11時○○分になるのだろうか。

 それにしても、クマタカに連絡したかのような正確さにはびっくりした。

ドンドン焼きの小屋 霜と雪で辺りは銀世界

サツキの葉にも霜が

タイアザミにも霜が

ミツマタの蕾にも霜が

フフユシャクが止まっていた

玄倉川に沿っている林道をゆく

「そろそろクマタカが、出る時刻」 と Yさんの奥さんが・・・・

旋回するクマタカ 広げた羽の長さは、140~165㎝と大きい

羽の傷み方が違う

 

 

 

 


No.1206 ~ 小川を泳ぐ シマアメンボ ~

2014年01月16日 | 昆虫

観 察 月 日  2014.1.1~2.晴 5℃

観 察 場 所  瀬谷区 瀬谷市民の森

 正月市民の森を水源とする小川を覗くと、水面を活発に泳いでいたの

はシマアメンボであった。

 子供の頃のアメンボの記憶は、季節は夏で突然の俄か雨が上がり、そ

の後に出来た水溜りを覗くと、何匹かのアメンボが水面を泳いでいた。ど

こから表われたのか不思議でならなかった。今になって思えば、背中に

羽を畳んでいる訳で、近郊にある池からでも飛んで来たのであろう。

 夏の日の思い出のアメンボは、水溜りであった訳で、止水域であったが、

正月の市民の森のアメンボは小川だから流れがあり流水域に棲むアメン

ボで、種も違うが性質が全く違う事になる。

 小川のアメンボの背中を注目すると、夏に見たアメンボと違い翅が無い。

そして、胸の表面に左右対称の幾何学模様が描かれている。これを拡大

して見ると、ミンミンゼミの胸部を見ている様だ。これと似た模様はセミに限

らず、種類としては離れているハンミョウの仲間、ゲンゴロウの仲間、等にも

見られ、昆虫の中でどのように採用され、どのように描かれてきたのか不思

議いっぱいだ。余談であるが、人間の世界を見ても、歌舞伎における特殊な

化粧法の隈取りも頭に浮かぶが、考え過ぎだろうか。

 今年は何事にも、“どうして”“何故”・・・と疑問を持ち、良く考える年にしよう。

冬の市民の森は静かだ。散歩の人も見えない。昆虫も、花も、枯葉色だ。

小川を覗くと、すいすい水面を泳いでいるのはシマアメンボだ。

アメンボの思い出は、夏の水溜り。

シマアメンボの背中に翅が?

胸の表面の模様を見ると小さなセミ? 不思議いっぱいの模様!

市民の森から出た所で、ムラサキシジミが おめでとう!