観 察 月 日 2014.1.17.晴 14℃
観 察 場 所 三浦市 三崎町 城ヶ島
竹を伐り払い柵を設けた展望台から、ウミウ、ヒメウの群生地を見
降ろした。切り立った岸壁には、数多くの岩棚が出来、ウの排泄物
で白く染まっている。Rさんが「250羽までは数えられた」と呟く。
昭和33年7月8日(火)の読売新聞の夕刊がある。そこには20代
の自分と桃井重之さんが、有隣堂ギャラリーで“四季の生物”と題し
た写真展の準備をしている写真と記事が載っていた。桃井さんは、
横浜の名跡三渓園の敷地に住んでいて、そこを中心に自然の生態
写真を長年写し続けていた人で、私の友人であり、良きライバルでも
あった。
桃井さんが用意した展示用の写真の中に、城ヶ島のウミウ、ヒメウ
の群生している素晴らしい写真があり私は驚いた。群生地までは距
離があり、とても写真には成らないからだ。聞くと、アサヒペンタックス
の超望遠レンズ“タクマー500mmを買い、それで撮影したのだと語
った。
今、私の手元にある当時の旭光学のカタログを見ると、65000円と
ある。当時の物価の一つ、小学校教員の初任給を見ると8000円とあ
った。若い者にとって、買うには8か月の給料に値するとても買えない
レンズである。
私も城ヶ島に渡ったが、当時、橋は無く渡し舟で、客は私一人であった。
まだウの群生地は、県の天然記念物の指定は無く、道沿いの竹の隙間
から覗き、ウの休む範囲も今より狭かった様に思えるがどうだろうか。
その後、桃井さんは500mmレンズを担ぎ精力的に活動されていたが、
惜しくも若くして他界され、私の落胆は表す事の出来ない程大きかった
のである。
ウミウ、ヒメウの群生地を観察
生息地を全望 鳥の排泄物の白が目立つ
波打ち際にまで集まっている
切り立った岸壁に小さな数多くの棚利用している
桃井さんの写真を思い出す
ウの生息地を遠望する