観 察 月 日 2014.5.29 晴 28℃
観 察 場 所 伊勢原市 仁ヶ久保林道
林道傍の草地は ノアザミの最盛期だ。
アゲハの種類が次々にやって来る。
ジャコウアゲハの♀が吸蜜に。
2週間前には見なかった、カラスアゲハの♂がやって来た。 私はそれらをカメラで追う。
オナガアゲハ♀が吸蜜にやって来た。カメラを覗いたその時私は「アッ!」と声を上げた。
鳥の嘴にでも挟まれたのか、翅の傷みがひどすぎる。それでも懸命に蜜を吸う。
左の後翅は根元から千切られている。
「航空機だったら 墜落だ!」私は真面目に呟いた。
どういして こんな事が可能なんだ。
ノアザミの花にアゲハの種類が次々と吸蜜にやって来る。
その光景は二週間前と似ているが、ジャコウアゲハもオナガ
アゲハも♂から♀へと移行している。その♀を見ると、翅が切
れたり鱗粉が剝げたり傷みの激しい個体が目立つ。前回(14日)
来た時には♀は1匹も見なかったので、その後に羽化誕生し
1週間程は過ぎた個体なのだろう。
アゲハの種類の寿命(羽化してから死ぬまで)は1週間から
10日位だ。その間に相手を見つけ(見つけられ)、交尾をし、
産卵し、遺伝子を次の代へと繋いで行かなければならない。
それには自分のストローに合った花を見付け吸蜜し、活動の
エネルギーを得なくてはならない。
ノアザミの花に来ているオナガアゲハの♀をレンズで捕え、
ピントを合わせて私は驚いた。右前羽は大きく破れ、左前羽も
傷み、それどころか左後羽は完全に欠損しているのだ。それな
のに左程空気に押される事もなく、飛翔をコントロールしている。
もしも航空機であったならどうであろうか。かっての日航機の金
属疲労ではないが、大変な事故に繋がる。航空機は多くの部品
で作られ、一つのパーツは対応する機能を持ち、故障時には交
換しなければ飛行は出来ない。ところがアゲハを作り上げている
のは、生命という部品で、一つのパーツが一つの機能を持つので
はなく、互いに協調し、補完し合って、共同作業をしているのだ。
オナガアゲハ♀の飛翔から、生命のすばらしさを感じる事が
出来た。