観察月日 2007.6.9.晴 20℃
観察場所 岩手県 安比高原
9日。東方向の山並みから朝日が昇る。ホテルの窓から
見詰めながら、「今日は、スミレサイシンに出会いたい」そ
の時の行程を描いて見た。
昨日歩いたキクザキイチゲの雑木林を抜け、その奥に
ブナの美しい2次林があると聞いたので、そこへ向かって
見る事にした。
人影の全くないゲレンデを遠目に見ながら進むと、開け
た斜面に出た。ここも、つい1週間程前には雪があり、賑
わいだ所だろうに、今は大柄のフキノトウで埋められてい
る。アキタブキの群落だ。
そこを過ぎると、再び雑木林に入り、今度はエンレイソウ
の群落だ。それも昨日か今朝か、落葉の下からラッパ状
に丸めた葉に包まれ、現われた花が初々しい。
二次林への道は積雪で、仕方なく引き返した。
気を取り直し、林床に敷き詰められた落葉に目をやると、
力強くそれを持ち上げたスミレサイシンに出会う事が出来た。
ついこの前まで雪に覆われていた所、昨日歩いた時には、
落葉を持ち上げた花や葉が、私の視野に入らなかったのだ
ろう。
この話は、よく見ているナガバノスミレサイシンに対して、私
が見ていない日本海要素の植物スミレサイシンに会いたい
から始まった。この2種のスミレの祖先は同一であったと言
われる。それが、太平洋側の厳しい冬の乾燥を選んだ“ナガ
バ・・”と雪に包まれ湿度と温度に恵まれた日本海側を選んだ“
スミレ・・”との長い時間がある。その祖先は、いつ、どこで生
まれたのだろう。考えて見ると“すごい”事だ。
東の山から、日が昇る。
キクザキイチゲの群落を抜けると。
アキタブキで一ぱい。
エンレイソウが。
積雪で引き返す。
ミツガシワが 力ず良く。
スミレサイシンに出会った。
葉が開いていない。
場所によっては。
アリが蜜に 集まっていた。