足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No. 1708 ~ 続・続スミレサイシンに思い出す ~

2020年07月09日 | 植物

観察月日  2007.6.9.晴 20℃

観察場所  岩手県 安比高原

 9日。東方向の山並みから朝日が昇る。ホテルの窓から

見詰めながら、「今日は、スミレサイシンに出会いたい」そ

の時の行程を描いて見た。

 昨日歩いたキクザキイチゲの雑木林を抜け、その奥に

ブナの美しい2次林があると聞いたので、そこへ向かって

見る事にした。

 人影の全くないゲレンデを遠目に見ながら進むと、開け

た斜面に出た。ここも、つい1週間程前には雪があり、賑

わいだ所だろうに、今は大柄のフキノトウで埋められてい

る。アキタブキの群落だ。

 そこを過ぎると、再び雑木林に入り、今度はエンレイソウ

の群落だ。それも昨日か今朝か、落葉の下からラッパ状

に丸めた葉に包まれ、現われた花が初々しい。

 二次林への道は積雪で、仕方なく引き返した。

 気を取り直し、林床に敷き詰められた落葉に目をやると、

力強くそれを持ち上げたスミレサイシンに出会う事が出来た。

ついこの前まで雪に覆われていた所、昨日歩いた時には、

落葉を持ち上げた花や葉が、私の視野に入らなかったのだ

ろう。

 この話は、よく見ているナガバノスミレサイシンに対して、私

が見ていない日本海要素の植物スミレサイシンに会いたい

から始まった。この2種のスミレの祖先は同一であったと言

われる。それが、太平洋側の厳しい冬の乾燥を選んだ“ナガ

バ・・”と雪に包まれ湿度と温度に恵まれた日本海側を選んだ“

スミレ・・”との長い時間がある。その祖先は、いつ、どこで生

まれたのだろう。考えて見ると“すごい”事だ。

東の山から、日が昇る。

キクザキイチゲの群落を抜けると。

アキタブキで一ぱい。

エンレイソウが。

積雪で引き返す。

ミツガシワが 力ず良く。

スミレサイシンに出会った。

葉が開いていない。

場所によっては。

アリが蜜に 集まっていた。

 

 

 

 

 


No. 1707 ~ 玄倉だより6月 ~

2020年07月03日 | 昆虫

 観察月日  2007.6.14.雨 18℃

 観察場所  山北町 玄倉

 私は、2月9日以来玄倉の仲間と会っていない。新型

コロナウイルスの為、殆ど家の敷地からも出ていない。

3ヶ月振りに丹沢湖畔にやって来て、仲間の方々の元

気な笑顔に会え嬉しさがこみ上げた。

 西丹沢の山々もやり切れない気持ちなのか、雨雲に

包まれていた。閉じてしまったビジターセンターの前庭

の木には、突き毬大のモリアオガエルの卵塊が2個

産み付けられていた。主がいなくても、毎年やって来

るとは切ないものだ。

 湖畔に出る。オオヤマザクラの幹には蘚苔類が、ウメ

ノキゴケ、マツゲゴケの類が付き、環境の良さを物語っている。

 秦野峠林道を行くと、ガードレールの曲線面を利用して、今

年もキボシアシナガバチの女王が単独で巣を作り始めていた。

毎年雨の続くこの時期に見られる“風物詩”でもある。

 3月の始め花を開いたミミガタテンナンショウも、私達が目に

しない間に若い実に成長していた。

 視線を路面に落とすと、そこには、小さな花の風車が一

面に落ちていた。避けて歩きながら見上げると、テイカカズラ

の緞帳で、雨の季節が楽しくなる。和名は何処から来た物か

と、ページを捲って見たら、「能の“定家”」から来たものの様だ。

 Rさんに言われてカメラで覗くと、黒地に黄色と朱の紋をあし

らう美しい芋虫が、アオツズラフジを食べていた。ヒメエグリバ

の幼虫、私は初対面。

低い雲が流れて。

モリアオガエルの卵塊。

湖畔のサクラの幹に。

今年もキボシアシナガバチが巣作りを。

ミミガタテンナンショウが若い実に。

テイカカズラの緞帳が。

ヒメエグリバの幼虫。

雨の中の観察会も また楽し。