足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No. 1665 ~ ラミーカミキリの季節 ~

2019年08月29日 | 昆虫

観察月日  2019 8.22.曇 27℃

観察場所  清川村 宮が瀬

 夏を唄っていたメタカラコウも、実の充実にエネルギーをそそぐ、

秋へとシフトを始めた。

 8月も半ばを過ぎた頃の林道を歩くと、カラムシの葉上に体長

15mm程、体色は青白色の地に黒色模様のラミーカミキリを見

掛ける様になる。ラミーと共に我が国に渡来したと思われるが、

ラミーの栽培を止めると、カラムシに移った様だ。カラムシは林

道に多いので、ラミーカミキリは棲息範囲を広げている。

 林道沿いの木立の葉に目をやると、クサキリが休んでいた。体

が細く、体色が秋色なので、辺りに融け込んでしまう。キリギリス

の仲間だが、「ジーーー」と弱々しく長く鳴くので、目立たない。

 林道から競り上がった山上の森から、ミンミンゼミの鳴き声が

聞こえて来る。「夏もそろそろ終わりか」と呟いたその時、すぐ近

くで「ジィー」とミンミンゼミの声がしたので驚いた。

「私の足元です」とRさん。見ると左の前羽がない。野鳥の攻撃

を受けたのだろうか。

 林道の場所によって、土砂や樹木の破片が積もり、雨水の流れ

た跡も付いている。転がっている岩石は、丹沢の基盤を成してい

る“緑色凝灰岩”で、中でも粒の荒い“粗粒凝灰岩”だ。恐竜の卵の

化石状に見えるのは、“たまねぎ状構造”で、風化現象で出来たも

のだ。

メタカラコウは花の時期は過ぎて。

ラミーカミキリの出番だ。

キリギリスの仲間のクサキリ。

野鳥に襲われたのか ミンミンゼミ。

土砂や木片等 水の力で流す。

山から流れ出た,道を覆う。

こちらは 岩石。 恐竜の卵の化石 だったらいいんだけれど?


No. 1664 ~ 大きな ヤマカガシ ~

2019年08月28日 | 野生動物

観察月日  2019 8.18.晴 30.3℃

観察場所  厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)

 昨年カヤネズミの巣が見つかった広場は、ススキの原に成長した。

 中央に付けられた道を歩くと、メマツヨイグサ、オトギリソウが花を

付け、バッタの仲間が足元から飛び立った。

 ススキの原を出た所で職員の二人に出会い、「今朝、ヤマカガシの

轢死体が、道路にありましたよ」と坂本さんから声を掛けられた。

 その時とっさに、私の頭に浮かんだものがあった。

 「それは、2004年10月17日同じく“ミニ観の日”、センターの敷地を

二分している今回と同じ道路、ほぼ同じ位置に、大型のヤマカガシの

轢死体があった。そして、それを教えてくれたのは、今日と同じ“坂本

さん”であった。メジャーで計ると、体長150cm、胴周りは13cmであ

った。」

 さて、轢死体のあったその場所へ行くと、既に、道路際の草叢に片付

けられていたが、見るからに大きなヤマカガシであった。体を整え計

測すると、体長は134cmであった。

 戦後、日本にやって来た“ヘビの神父”で有名なリチャード・ゴリス氏に

よれば、ヤマカガシの平均体長70~80cm位で、手にした最長は134.

3cmで、飼育しているヘビは20~30年生きると言う。

 以前と比べ「生き物の姿が、少なくなった」と言われたりするセンター

だが、ヤマカガシにとって棲息環境がよいのか、この谷戸で何年位過

したのだろうか。交通事故の連続で、不運な結末であった。

すっかり、 ススキの原に広がった。

前回のヤマカガシ。 丹沢大山山麓便り(続)よりコピー。

今回のヤマカガシは、既に片づけてあった

体を 整えてから 計測した。

頭の部分。

先端に近い 胴の一部。

谷戸は こんな環境。

 ★ ミニ観の 1コマ。 みんな楽しそう!

 


 No. 1663 ~ 玄倉だより 8月 ~

2019年08月26日 | 植物

観察月日  2019 8.11.曇のち晴 28℃

観察場所  山北町 玄倉

 6月、7月の観察会は2カ月続いて雨であった。今月は久し振りの

青空、西丹沢の山の上には夏空らしい白い雲が盛り上がり、クマタ

カが円を描いた。 

 まだ、穂には早いススキの茂みを覗くと、黒い艶の甲に白ゴマを振

った“ゴマダラカミキリ”が長いアンテナを動かし、体が赤味を増して

きたミヤマアカネが、小虫を狙っている。

 昆虫も夏の種類に変わって来た中で、こればかりは「ごかんべんを」

と言いたいのは“ウシアブ”の仲間だ。花に来る“アブ”はベチタリアン

だが、“ウシアブ”の仲間は吸血性の昆虫だ。

 山間の温泉宿に行くと、“アブに注意を”の張り紙を見掛ける。

 Oさんがリックの中から取り出したのは、先月この林道で観察したマ

タタビをホワイトリカに漬けこんだものだ。手の平に2~3滴落として、

味わってみた。

「すっきりとした味わい」「マタタビの香りがステキ」「また、旅に出られそ

う・・」味わった人が、それぞれ呟いたとか?

 最後に、先月ベニシュスランの発見があり、その後の経過を探す事に

なった。いざ探して見るとあった場所が中々特定出来ない。あきらめ掛け

たその時、「ありました!」と、私達とは少しずれた所を細かく探していた

Rさんの声。既に種子になっていた。

今日も、自然の素晴らしさを満喫した。

西丹沢の山々に 夏の雲が。

ミヤマアカネ が。

ゴマダラカミキリ ダンディーね。

吸血性の昆虫 ウシアブ(アカウシアブ)の仲間。 太い口器。 刺されたら痛そう!

Oさんが、採り出したのは・・・・・・・。

マタタビの虫こぶ。 薬効があるとか。

足元にあった ベニシュスラン種子

地上を這う

8月の 仲間


 No.1662 出会ったよ!エサキさんに!

2019年08月25日 | 昆虫

観察月日  2019 8.6.晴 32℃

観察場所  清川村 宮が瀬

 宮が瀬には秋を思わせる巻積雲、〝鰯雲“が空に流れて

いるが、地上はそれどころか真夏の最中だ。

 林道では、毎年7月末から8月上旬にかけて咲く“メタカラコウ”

は今年も元気よく夏を一人占め。

 夏を花で飾る樹木のクサギは、天侯不順の影響でかまだ蕾

の状態、コボタンズルやセンニンソウも花を開いていない。

 昆虫も、シオヤアブは日陰にあるオニドコロの葉陰で休み、

時折、ダイミョウセセリやコミスジが静かに飛ぶが、葉陰に入

っては休む。

 暑さにたじろいでいるのは、私だけでなく生き物たちも同じ

なのだろう。

 林道脇のミズキの実は、黄緑色から茶へと色付き始めて

いるが、葉は暑さをしのぐように、垂直に垂れ下がっている。

その内の一枚の葉に小粒な陰があり、動くのに私は引き付

けられた。

 近寄って見ると、2匹は背に❤印を付けた、エサキモンキツ

ノカメムシで、他は歌舞伎のちょっきり役の顔を思わせる、5令

幼虫であった。

 5~6月頃雌成虫に哺育され育った幼虫が、ミズキの実を吸

汁し5令幼虫に育ち、成虫へと羽化している場面のようだ。

 時間と共に日差しが変化すると、それに合わせて日陰へと移

動する。

空は”鰯雲”だが、地上は。

メタカラコウは 夏の暑さを

クサギは まだつぼみ

シオヤアブも日陰で休む

コミスジも日陰で。

ミズキの葉に ひかれて。

エサキさんの 成虫と5令幼虫が。

太陽が動くと エサキさんも動く。

 

 

 


No.1661 ~ メタカラコウ群落 ~

2019年08月09日 | 植物

観察月日  2019.8. 6.晴 32℃

観察場所  清川村 宮ケ瀬

 今年の夏は気温が異常に高い。熱中症に注意と、TVが連日報じている。そこで私も

 “丹沢大山山麓歩き”を止めていた。が、そろそろいいかな?“宮ケ瀬の林道”なら、平

だし、日陰はあるし、と、ブラリと出かけてみた。

 9時、早戸川林道へ入るが風がなく、蒸れるような暑さだ。温度計を見ると 32℃。

 暑さの為か、鳥も、昆虫の姿も少ない。この暑さに自然を親しみに来る人などいない

だろう。

 林道を曲がると強い太陽が一杯の道になり、遠くから見たような青年が長いレンズを

抱えてくる。相手は「あれ?」、私も「あれ?」、と互いに接近、よく観察会で会う

( I )さんで驚いた。「午後から仕事なので、自然を感じようと林道へ来たのだ」という。

 「林道入り口に咲く黄色い花は、何ですか?」と(Ⅰ)さん。聞かれた私は「それはね

・・・」と話を続けた。

 メタカラコウで、林道が出来た頃は小さな株であったが年々成長し、最近では林道沿い

に西の方向に広め、立派な群落に定着している。神奈川植物誌によれば、主としてブナ帯、

ときにシイ・カシ林下に見られ、県内では清川村と隣接の津久井のみらしい。

 私はここに立つと、同属のオタカラコウを思い出す。以前信州の白馬尻で白馬大雪渓、

を背景に、舌状花は多く、イカリモンガと多数のヒラタアブが吸蜜に来ていた光景を!

(県内では、箱根の林内に小株のみとか)

 「暑いから、体に気を付けて下さい」と言われて別れた。

林道沿いのフサザクラは茂って、みどりのトンネル。

山側に メタカラコウの群落が続く。

上から見ると 葉の形がよく解かる。

舌状花が 1枚~ と少ない。

同じ属のオタカラコウを思い出す。

白馬尻から大雪渓を眺める。

メタカラコウと比べると、大きく、舌状花も多く、見事だ。