観察月日 2021.8.8.台風。34℃
観察場所 Yokohama
退職後、丹沢山麓を歩き始めた頃には、ウツボグサは普通
に見られ、特別引きつけられる野の草ではなかった。
そんなある日、グリンインストラクターの人達と歩いていた時、
畑の片隅にあったウツボグサを見つめ、懐かしそうに話し始
めた人がいた。
“学校の勉強が終わり、家に帰る畑道に、ウツボグサを見付け
ると、その花穂を覗き込み「これ、歯抜けばあさんよ!」「これ、
歯抜けじいさんだ!」と大はしゃぎをしたものです。“と、話してく
れたのは鍛代さんであった。彼女は、大山に近い郷に、今も住
んで居られる。 当時の子どもには図鑑等無い。教えてくれる
大人も、いない。だから、四角い花穂から"抜け、抜けに花が出
る様子から「歯抜け爺さん・歯抜け婆さん」と呼んでいたに違い
ない。試みに”日本植物方言集成”を開き全国の方言名を調べ
てみた。身近の草なので、“1017の方言名が載っている。中で
も"花穂の形から”と思われる“✕✕枕”“こむそう”、“吸い花、蜜
吸い・・、ちちぐさ、うばちち、・・”等身近なもの等いろいろだが
、その中で人間を、育てているに違いないのだ。
これを切っ掛けに、身近な自然を庭の中に取り戻そうと少々
あがいている。
今更ながら、“歯抜け爺さん”になる訳を、見つめてみよう。
こんな景色に 出会った時の事であった。
庭のウツボグサの開花 花が1輪だけ咲いた。
次の花は 花穂の中から 蕾の頭が覗いている。
蕾が 顔を出した。
こうして、1輪、1輪と ばらばらに咲いていく。 だから、歯抜けを重ねていく。