足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No. 1697 ~ シカ ダムを泳ぐ ~

2020年02月27日 | 野生動物

観察月日  2020.2.9.5℃

観察場所  山北町 玄倉

 月例観察会の日程を終え、私が先頭に立って帰途に着

いたその時だった。「湖面をシカが、泳いでいますよ!」誰

かの叫び声が後方で聞えた。

 その時、私の頭の中は走馬灯のように以前の景色が回

り始めた。     玄倉とのご縁は、県立丹沢湖ビジター

センターが出来、初代の所長さんが知り合いの方であっ

た事から、毎月の玄倉通いが始まり30年余りになる。

 その頃の2月のある日、湖面を眺めていると、激しいイ

ヌの鳴き声がしたと同時に水音がして、1匹のシカが泳

ぎ始めた。シカは猟犬に追われ逃げ場を失いダムに跳

び込んだのだ。やがて向こう岸に辿り着き、林の中へ

と消えた。「そうか!今日は猟期の最終日なんだ」何と

も言えない思いが過ったのを憶えている。

 2度目は10何年前の事、ダムの一番幅の広い水面

を泳いでいるのに出会った。途中釣りをしていた舟

の横を泳ぎ抜け、対岸に辿りついた。その時は、長い

距離を泳いだので、後でカメラに記録された時間から

泳ぐ速度を出して見た記憶がある。その日も、2月で

あった。

 皆の見ている橋へ戻り水面を見ると、シカは頭を高

く出し、背も水面上に、そして尾鏡の白い毛が透けて

見える気がした。猟犬も水面で吠えながらシカを追っ

ている。やがて、猟犬は追うのを止めた。シカは対

岸を登り、枯れたススキの茂みに隠れた。まだ幼い

シカだったようで、猟は止めたようだ。

 今日も2月、間もなく猟期は終了する時だ。

「シカが泳いでいる!」誰かが叫んだ。

小形の猟犬 発信器を付け。

対岸近くに来た。

対岸に 猟師が待っている。 あぶない!

対岸の スロープにたどり着いた。

スロープを登る。

ススキの茂みに 隠れた。 

 

 


No. 1696 ~ オオバンの食餌行動 ~

2020年02月24日 | 野鳥

観察月日  2020.2.4.晴 12℃

観察場所  大和市 丸山 境川遊水地公園

 木で作られた渡戸橋を渡り、川の流れに沿って藤沢

大和自転車道を歩く。やがて、大和側の境川遊水地

公園に差し掛かった。

 アシの茂みから離れた広い水面では、20羽程のオ

オバンの群れが、あるは泳ぎ、あるは頭を水中に突っ

込み水藻を啄んでいる。今年に限らないが水のある

所、何処へ行ってもオオバンは多い。

 水面にカモの仲間が泳いでいる風景はのどかで私

は好きだ。今日もフェンスにもたれ掛けながらオオバ

ンの群れを、何を考える事もなく眺める。フェンスの

足元から、池に向かってなだらかな斜面になっていて、

土の面が多く春を待つ草の芽が、ロゼット等がシート

状に埋め、優しい工堤だ。

 ふと気が付くと、今まで長閑に暮している様に見え

た、オオバンの群れに、不思議な緊張が流れた。群

のなかの1、2羽が羽ばたき、水面を歩く様にして私

の立っている方向に向かい、池を飛び出し斜面に登

り出すと、他のオオバンそれに続いたのである。そし

て、斜面にある草を食べ始めた。

 以前大和市泉の森で大雨の日、オオバンの群れが

池から広場へ上がり、イネ科の草を食べているのに

会い、驚いたことはあった。

 今日もオオバンの食べる様子をカメラで追う。地面

には冬を越すヨモギの幼い芽、柔らかな葉を広げた

スイバ、僅かに伸びたイネ科の草。オオバンは細かく

細かく、突いて歩く。15分も経ったか、何故か1羽が

飛び立つと、群はそれに続いた。それは、誰かが合

図をした様に。何?なんだ。不思議だ。

大和市側の境川遊水地公園

オオバンがのどかに泳ぐ。

群れに不思議な緊張が走る。

一斉に斜面を登り 草を食べ始める。

ヨモギか スイバか?

イネ科の若い芽。

そして、よく啄ばむのは!

 

 


No. 1695 ~ ゆめが丘駅あたり ~

2020年02月18日 | 植物

観察月日  2020.2.4.晴 12℃

観察場所  横浜市 泉区 下飯田

 高架駅のホームに立って見ると、東側は住宅が立ち並び、

西側は広大な宅地造成中で、トラックが走り、建設重機が

動き、砂漠状態だ。

 その後方に深緑の林が南北に続く。シラカシやスダジイ等

の常緑広葉樹だろう。その林の向こうには境川が流れ、川が

削った東側の段丘の外れだ。私はその樹林に向かい、土埃

の立つ宅地造成地の真っただ中を歩く。やっと昔、農家の牛

車が通る幅の道を見付け林に着くと、道は下り坂になり河岸

丘陵を境川に向かっているのを感じた。

 ウメ畑があり、今は作物の無い畑の向こうに、神社らしい社

が見えた。地図を見ると、”サバ神社“らしい。カメラのファイン

ダーを覗くと、今は無いひと昔前の長閑な風景が写っていた。

鎮守の森はケヤキの老木に囲まれ、社殿は飾り気の無い長

方形、前の扉は赤錆び色に塗られている。見上げると〝左馬

神社”の額が掛けられていた。何気なく目を落とすと、大豆が

幾粒か落ちていた。「そうだ、今日は立春。昨日は節分だった

のだ」私は家で“豆まき”をした。だが、近所からは、声が聞こ

えなかった。ここの神社も、落ちていた豆の数からして、豆ま

きに来たのは一人だったのだろう。昔は賑やかだったろうに。

 社殿を離れ振りかえると、ヤブツバキの落花が境内を飾り、

凝灰岩で掘った不動明王像が神域を守っていた。厚木から

伊勢原に掛けて石切り場があり、石工がいる事から、造った

物だろうか。

 道を下り境川に出た。川砂の溜まりに、コガモの群れが休

んでいた。

うめが丘駅は高架駅で、眺望がいい。

大規模宅地造成の先に見える林は、境川の河岸段丘上の林。

私は林に向かって、宅地造成地の中を行く。

畑の向うに、神社らしい社が見えて来た。

神社の正面に行き見上げる、「左馬神社」の額が。

目を落とすと、大豆が幾つぶかが。 昨日は節分だったのだ。

振り返るとヤブツバキの落花が。

不動明王 境内を守る。

境川を渡る。

砂地に眠る コガモ。

 

 

 

 

 

 


No. 1694 ~ 春を思わせる日 ~

2020年02月07日 | 自然現象

観察月日  2020.1.30.快晴 16℃~20℃

観察場所  清川村 宮が瀬

 28日天気予報では、横浜は1日降雪とあったが冷たい

雨が降り続いた。

 今日は春の様な暖かないい天気だ。いつもの林道なら、

落葉の上に霜が降り薄っすらと白くなり、林道の水は硬く

氷付いていた。それが、路上一面水が流れ、「コトコト」と

春を唄い、周りの景色を写している。

 丹沢の山々に降った雪が解け、谷を下り、崖から浸み

出し、林道を春の小川にしているのだ。私は嬉しくなって

水の流れの真ん中を、音を立てて歩く。

 頭上の枝に鳥の気配がして見上げると、明るい色をし

たジョウビタキの♂であった。

 林道が左へ曲がると日陰に入り、日向に慣れた目には、

事実以上に暗く感じる。その時崖の崩れを止めるコンクリ

ートブロックをカバーする様に覆ったコケが、有機物が放

つ光を出している様に感じた。指を広げた掌を押し当てて

見ると、水が絞れた。水を含んだコケの組織が、空の光を

反射しているのだろうか。

 「頭上のフサザクラの枝に小鳥が」Rさんが指さした。空が

明るく鳥がシルエットで、色が全く見えない。尾羽の先が

割れているのでカワラヒワだろう。

 「隣のフサザクラにも鳥がいるが、ウソだと思う」とRさん。

今度も鳥は真っ黒のシルエット、前より最悪だ。ほおの赤

い色が辛うじて見えた。

 谷川の淵を渡る橋の下からヤマアカガエルの鳴き声が

聞えた。覗くと♂が5匹、抱接している雌雄1.今夜、産卵

する事だろう。

宮が瀬は 雪は無かったが、丹沢の山々には雪が見える。

林道は 春の小川だ。

 

日陰に入ると コケの壁が光って見える。

ジョウビタキの雄が歌う。

やっと、背景にスギの林を持ってきた。

空に向かっての撮影は カメラマンにとっては 最悪の条件。

谷川の淵で ヤマアカガエルの鳴き声が。

オスだけかと思っていたら 抱接も。 今夜は産卵だ。

 


No.1693 ~ ミニ観察会 1月 ~

2020年02月03日 | 野鳥

観察月日  2020.1.19.晴 12℃

観察場所  厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)

 ミニ観察会の前段で、生き物写真パズルをやっている。だが

この頃、“早くフィールドに出て、歩きたい”という雰囲気が何と

なく私に感じられることがある。ミニ観の中でやらなければな

らない事ではないので、どうしたものかと、考えている。野外を

散策していて、動植物に出会った時、ただ名前だけでなく、ど

の様に見て、どの様に考えたら、自然の事をより解り合う事が

出来るのか、だから〝自然は大事なのだ“。”パズルを肴に皆

さんで話し合いたい”それが“ねらい”なのだが。

 今回は先日、「宮が瀬」で撮影した”メジロ“の写真をパズルに

した。多くの人が良く見、知っているつもりの餌、既知とは違う場

面を不思議に感じはしなかっただろうか。だが他に予期せぬ“疑

問”を出された人がいた。それは、「メジロの目は、紅いのですか」

写真を見ると確かに″赤い“。造った時、私も疑問を持ち、家にあ

る9冊の鳥の図鑑を見たが良く解らなかった。ところが浜口さん

著者の図鑑”とり“は図が手書きでやや大きく、メジロの目の色は、

写真の色と似ていた。

「本当は何色」皆が何時も見ているメジロだが、目の色は記憶に

ない、とはどう言う事なのか。次回まで、意識して見て来る事にし

たのだが、はたして?

 フィールドに出た。先月と,先々月、ススキの根元で蛹になってい

たクロコノマチョウ、羽化した跡の殻を見付ける事が出来なかった。

Rさんが根気よく探してくれたお陰で発見出来、皆納得した。

 今年は暖冬、北国は積雪もなく、大丈夫なのか。チョウジザクラの

小さな花芽を拡大して見たら、既に花が2個に別れていた。

メジロの 写真パズルを みんなで考える。

今年の正月3日に写した写真を肴に 皆で・・・・

クロコノマチョウの羽化跡。

チョウジザクラの花芽 拡大。

今日のミニ観。