足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No. 1611 ~ 私のミニ観だより ~

2018年12月30日 | 野生動物

観察月日  2018.12.16.雨後晴 5℃

観察場所  厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)

 「“あふち”とは、この木の事だったのですか」

センダンの木を仰いで、“疑問がやっと解決出来た”と

言う顔をされた人がいた。

 妹が見しあふちの花は散りぬべし

       わが泣く涙いまだ干なくに

万葉集の中で、山内憶良が大伴旅人の夫人の死を悼んで、

“あふち”の花に託して詠んだといわれる。

 きのふけふ あふちに曇る 山路かな

時代は下り、芭蕉が詠んだものである。

 近くは、唱歌“夏は来ぬ”に おうち が出てくる。

 昔は、初夏に咲く淡い藤色のあふちの花を好んで観賞の対象にしたが、

近代では、ウメやサクラの様に、センダンの花を取り上げる事は見

られなくなった。

 センターのツバキ園の外れにあるセンダンの木は大木で、樹形

は自然そのもの、枝を広げその先は地面にまで下がり、花の季

節も、実の季節も、尋ねた人の顔の高さで見る事が出来、ミニ観

推奨木だ。

 冬の季節の今は、黄金の実を木全体に付け、ヒヨドリの大食堂。

太い幹の割れ目は、ヨコズナサシガメの越冬場所。雨を避ける北

側にはジョロウグモが糸と樹皮の破片を塗した卵嚢。根際1m程

の樹皮を斜めに見ると、シカやイノシシの毛が挟まっているのが

解り、夜間になると体を擦りに来ている景色が目に浮かぶ。 

 のびのびと成長した、大きな(センダン)木は、私達人間の心を

ゆすり、多くの生き物を支えている。

 それを実感するのが、ミニ観 なのだろう。

素直な樹形のセンダンの木がある。

枝は地面近くまで垂れ。

ヒヨドリの食堂

ミニ観の人々。

樹皮の割れ目はヨコズナサシガメ。

ジョロウグモの卵のう。

毛が!

みんな一生懸命

 

 


No. 1610 ~ 続・玄倉だより12月 ~

2018年12月18日 | 植物

観察月日  2018.12.9. 曇 4℃

観察場所  山北町 玄倉

 「トビが何羽も旋回しているわ!」の声に、一斉に灰色の空

を見上げると、トビの群れがループ階段を上がる様に、上へ

上へと昇って行く。以前青空の中に同じ様な景色を目にした

事があったが、冷たい空気が淀んでいる空間の中にも、上昇

気流が起こるものだろうか。

 「トビは44羽かな」双眼鏡で追っていたYさん!「どこへ旅立

つのだろうか」とは誰かが。トビの姿は小さくなって行く。

 イタヤカエデの枯葉が積もる坂道を行くと、急におびただし

い程の細い小枝の重なりに変わった。

 私が一本手にしていると、「それ、ウワミズザクラの花序を

付けていた小枝ですよね」とRさんの声。毎年4~5月の頃試

験管洗いのブラシな様に、小さな桜の花をぎっしり付けるの

だが、毎月第3週日曜日がガイドウオークの日で、皮肉にも

私達が集まった日には、蕾であったり、花が咲き終わった後

であったりして、此処では綺麗な晴姿を見ていない。

 サクランボの時期は過ぎ、その後は実を付けていた果梗

は枝と別れ、落下し林道上を埋めているのだ。

 フサザクラの枝には、コボタンズルの羽を付けた実が冬の

花を飾り、春にオタマジャクシが泳いだ水溜りには、イノシ

シの脛毛がスタンプされ、マユミの紅葉を見ながら戻った。

Kさんのケーキを頂きながら、年の瀬の丹沢の山々を見渡した。

灰色の空を トビが廻る、トビが昇る。

小枝が落ちて 積もって。

ウワミズザクラ 花の頃。

コボタンズルが 冬の花を。

水溜りに イノシシの毛 スタンプ。

マユミの紅葉。

Kさん手作りのケーキを頂きながら 仲間はいいね 丹沢はいいね。・・・・・・

 

 


No.1609 ~ 玄倉だより12月 ~ 

2018年12月12日 | クモ

観察月日  2018.12.9. 曇 3℃

観察場所  山北町 玄倉

 車窓から見える景色の中に、木立一面に赤紫色の花を付

けたサザンカが目に映る。

 車を降りると、元ビジターセンターの垣根に植えられたサザ

ンカの根元に、赤紫の絨毯が敷き詰められていた。 

 庭に入ると、小形の葉に二重鋸歯のイロハモミジが赤く染ま

り、葉は前種より大きく、鋸歯は単純なオオモミジは、黄色に

染まっている。

 空気は冷たく、鉛色の雲は厚く、急に冬が来た感じだ。先ず

は建物をバックに記録撮影。この寒さでは、生き物の姿は無

いだろうが、人気のなくなった建物の壁面から冬を探す。

 「ハラビロカマキリがガラス窓の枠に、しがみついています

よ」と誰かの声!

 予想外れに驚いた皆が駆け寄る。“腹部が膨れているので、

産卵前なのだろう”“寒さで、これから産卵出来るのだろうか

”皆それぞれが呟く。

 次に、西面から北面への建物の角に、ジョロウグモ♀が、

頑張っていた。「早く産卵すればいいのに」と呟く人がいた。

 北側に回る。軒下の壁面に、ヒラタグモの円盤状の巣が並ん

でいる。クモの糸で作られたスリーピングバックの中で冬を越

すのだろう。

 建物の外壁には、何匹ものエサキモンキツノカメムシが見ら

れた。越冬場所を探しているのだ。

 探せばまだまだ見つかりそうだ。多くの生き物が利用してい

るのだ。

サザンカの花弁で 敷き詰められていた。

イロハモミジ

オオモミジ

バックは 元ビジターセンターの建物。

ハラビロカマキリ♀ 産卵できるのだろうか? みんな心配顔!

ジョロウグモ♀ 「早く産卵すればいいのに」 心配 心配!

巣から顔を出した。ヒラタグモ。

通称 ”エサキ さん”

越冬場所を 探している。

★ まだまだ 見つかりそうだ!


No. 1608 ~ 私のミニ観察 ~ 

2018年12月05日 | 植物

観察月日  2018.11.18.曇 16℃

観察場所  厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)

 

 ミニ観察会では野外に出掛ける前、写真パズルをやっている。今回は

、秋と言えば紅葉と言う事で、イロハモミジの葉一枚を、A3の写真用

紙9枚に拡大したものをばらばらに置き、それを組み合わせてみるも

ので、そこから自然の見方や考え方を学ぼうと言う願いもある。

 カエデの仲間を見る時、(三出複葉のもの)葉に切れ込みのないもの、

葉に切れ込みのあるもの、鋸歯がないもの等、大まかに分けてみると、

センター内や付近のカエデをグループに出来そうだ。そして、赤や黄色

に色付く仕組みは説明出来ても、その理由は生物学者にも解らない

と言う自然現象の不思議さにも触れられたらと。

 フィールドへ出ると、日当たりのよい雑木林の下では、シロヨメナの

花が盛りで、一寸意外に思ったのは、(勘違い、物忘れ)キッコウハ

グマが白い小さな花の盛りで、クチナガガガンボの一種が吸蜜に来

ていた事だ。

 リンドウが、たたら沢を挟んだ向こう岸の北斜面で、草に塗れて咲

いていた。先月は気付かず、咲いていなかったのだろうか。

 近頃気に成るのは、春から初夏の頃ハルジオンの花が咲き、終わ

るとバトンを受ける様にヒメジョオンが咲き、季節の移り行く様を感じ

ていた。が、この頃(秋)大きく成長したヒメジョオンが見事な花を盛ん

に咲かせている事だ。当然の事かも知れないが?

幼児のお子さんがゲーム参加 お父さんが・・・。ほほえましい風景、大歓迎です!

ゲームの写真は これを9分割したもの。

陽だまりに シロヨメナが咲いていた。

キッコウハグマの花が盛り クチナガガガンボが吸蜜に!

リンドウも 盛んに花を!

この頃気になる ヒメジョオン!

ミニ観11月に来てくれた 沢山の仲間の人達!!

 


Mo. 1607 ~ 公園のあり方を知る ~ 

2018年12月01日 | 植物

観察月日  2018.11.29.晴 15℃

観察場所  八王子市 大谷町 (都立小宮公園)

 半ば程葉を落とした雑木林の中を巡る木道、その感触の心

地良さ感じながら、私は立っていた。

 今日は、伊勢原の人が集う“みどりのかぜ”の仲間と、JR八

王子駅よりバス10分の“都立小宮公園”に来ている。

 「フユシャクが引っ切り無しに飛びますね!」と私と並んで歩

いていたRさんが話し掛けて来た。開長2~3cmの小さな蛾

が、地表2~3mの所を、桜の花弁が風に押される様に乱舞

している。

 フユシャクの仲間は、緑の夏は幼虫として育ち、冬の12月

~2月頃に掛けて成虫になって飛びだす。今、目の前に飛ん

でいるのは総て雄の蛾で、雌の蛾には羽は無く、フェロモン

を出して雄を待ち、やがて交尾に至る。これは、長~い時間

の中で自然が選んだ方法なのだろう。

冬の山道では良く見掛けるが、こんなに出会うのは中々無い。

ここの公園が、フユシャクだけでなく、多くの生き物にとって

観世界が良いと言う事だ。都の職員や都民の考え方の表

れだろう。  

弁天池にはアオサギが降り、ウバユリの種子を飛ばした殻の

中ではカメムシが冬越しのリハーサルを、気温の低さには勝

てぬリンドウもまだまだ頑張り、オトコヨウゾメの紅葉はRさん

の足を止めた。赤い落葉を敷き詰めた“この大木は”と見上げ

ると、果柄を残したウワミズザクラ。広い草地に枝を広げるコブ

シの大木は、小宮公園のランドマークだ。花の頃必ず来よう。

きれいな 雑木林だ。 木道を歩く。

イチモンジナミフユシャク 木道近くに止まってくれたので”パチリ”

弁天池に アオサギが。

ウバユリの殻に カメムシが!

リンドウの花。

オトコヨウゾメの紅葉。

ウワミズザクラの木が。

果柄が 残っていた。

枝を大きく広げた コブシの大木。花の時期に来てみよう!