足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No. 1683 ~ 蛹の鮮やかな緑に! ~

2019年11月27日 | 昆虫

観察月日  2019 11.17.晴 15℃

観察場所  厚木市 七沢 (県自然環境保全センター)

 ミニ観日誌を捲ったら、先週の日曜日のページに「谷戸のススキ

の株でクロコノマチョウの蛹を見付けた」との書き込みがあり気に

なった。

 午前の下見でそれが確認出来たので、今日のミニ観の目玉は

“蛹 捜索作戦”とした。

 午後になり、今日のミニ観は(私達も入れて)19名、谷戸へ下り

自然観察をしながら、蛹のいるススキの株に付いた。

 今日の参加者は、クロコノマチョウの蛹を見るのは初めての人達

だ。解らないまま自分の目で探し、見付け、触れた時、どう感じた

か、自分の言葉で語り、書くことが、自然観察だから出来る、大事

な経験になる。

 「このススキの株に、クロコノマチヨウの蛹がいると言う事なので、

探してみましょう」

と言う事で一斉に観察を始めた。

 ススキは私達の背の高さ、先ずは自然の成り行きとして、自分の

目の高さから始まった。

暫く時間が経過したが見つからない。そこで「ススキの下の方です

」とヒントを出した。あきらめ顔が、このヒントで顔付きが変わった。

そして、蛹は4個も見つかった。

 ミニ観が終了し、感想を書いて貰った中に、 「クロコノマチョウの

大人は地味な色なのに、蛹は鮮やかで意外だった」「クロコノマチョ

ウの蛹の鮮やかな緑、引きたって見えた」

「チョウの緑の蛹教えて頂き・・・」の様に、みどりが参加者皆さんの

心を射ぬき、形や、美しさに魅了し、驚き、不思議さに引きつけられ

たに違いない。

 私達自然の案内人は、素晴らしい場面を前に、参加者皆さんへ語

り掛け・・・は、良かったのかどうか、考えてみたいと思いませんか。

私がいつも自慢する センターのススキの原。

今日は 谷戸のススキの株へ。

ククキの株で クロコノマチョウの蛹探し。

ススキの寝際をよく見る。

寝際にいた。  

緑が鮮やかだ。

こんな蛹も。

私たち自然の案内人は、よかったか。


No.1682 ~ クロナガアリが運ぶもの(玄倉)~

2019年11月25日 | 昆虫

観察月日  2019 11.10.晴 18℃

観察場所  山北町 玄倉

 「大きな種を、アリが運んでいるわ」Rさんの声がして、一緒に歩

いていた仲間が立ち止まり、しゃがみ込み、私も首を伸ばして覗

き込んだ。

 「細長い大きな種ね」「アリって力持ち!」見つめた人達が、それ

ぞれ口走った。

 ここは秦野林道、舗装された道路だ。種子は羽状の背に硬い筋

が通り、アリが大顎で捉えている辺りはやや膨らみ、子房なのだろう。

ここまで観察すると、ユリノキとも思えるが、この地域にある筈がなく、

とすればカエデの仲間の翼果なのだろう。

 「アリは夏の頃には働いていたけど、この頃は・・・」「アリは種を餌

にするの?」

 アリの暮らしを思う時、つい子供の頃読んだイソップ物語「アリとキ

リギリス」が頭にちらつく。しかし、秋になると巣穴から出て、イネの

仲間の種を、冬に掛けて集めるアリもいる。そのアリの大きさはクロ

ヤマアリ程で、体形は細く、肢は長めだ。とすれば、目の前にいる

アリは、クロナガアリにぴったりと合う。

 種子を加える大顎を見ると、3本の鋸歯があり、容易に離れる事は

ない。だが、路面の凹凸や、歩き形によって、種の翼は立ち上がった

り、傾いたり、まるでウインド・サーフィンを楽しんでいる様に見える。

が、クロナガアリは持つ力と、感覚を注ぎこんで、巣穴に向かってい

る途中なのだ。

 ことわっておくが、アリにだって間違う事もあれば、その時の都合も

あるだろう。

 今、懸命に運んでいるが、カエデの種子で良かったのか、どうかは、

巣穴に到着した時、巣で待っているアリ達の歓迎の行動で、判明す

る事だろう。

「大きなたねを アリがはこんでいるっは」 秦野の林道。

大きなたねを運ぶ。

大顎で確りつかむ。

まるで ウインド・サ~フィンだ!

今日の 仲間です。

 


No. 1681 ~ 洋種アサガオにカメノコハムシ ~

2019年11月24日 | 昆虫

観察月日  2019 11.6.晴 20℃

観察場所  秦野市 渋沢 

 駅を出て渋沢丘陵に向かう集落を行くと、垣根に洋種のアサガオ

を隙間なく絡ませた、植え込みがあった。花付きが良く、青紫色の

花が通る私達に囁き掛ける気がして、つい立ち止まった。

 だが足を止めたそのは訳は、まるい大きな葉に、小さな丸い穴が

開いていたからだ。「さては、ジンガサハムシが」と頭を霞めた瞬間、

穴の隣にヨツボシカメノコハムシの成虫が、葉にピタリと張り付いて

いるのが目に止まった。

 スギの植林地を登ると、丘陵に付き当たり、目の前にヤマハッカの

群落が現われた。赤紫の花弁は今が盛りと咲き誇り、土手の草の中

から抜き出て咲くそれとは違い、ラベンダーの花壇かと一瞬戸惑った。

 丘陵を行く道の右側は雑木林が続き、抜け出す様に真紅の実目立

った。ガマズミで、数粒口に入れつぶすと、甘酸っぱい汁が広がった。

今年はガマズミの当たり年なのか、真紅の実を良く見掛ける。

 道の左側は一段低く、耕したばかりの畑が広がり、そこは、野の動

物達が描く絶好のキャンパスになっている。タヌキかキツネか歩いた

足跡が、十字に交わっている。時間差はあろうが、夜獲物を探して歩

いたのだろうか。以前はその足跡の中に、特徴あるノウサギの足跡が

交差していたものだが、今日はそれが無く寂しい感じがした。

 ここの所歩きが悪かった為か、ウラナミシジミを見たのは、今日が

初めてだ。

洋種アサガオの咲く 垣根を行く。

葉にヨツボシカメノコハムシが 張り付いていた。

ヤマハッカ花の 群落。

ガマズミは 生り年か。

動物達のキャンパスだ。

ウラナミシジミ。


No. 1680 ~ サルの糞を食べる昆虫 ~

2019年11月09日 | 野生動物

観察月日  2019 11.1.快晴 18℃

観察場所  清川村 宮が瀬 

 

 雪虫の飛ぶ先を追いながら歩いていた私に、「すぐ先にサル

がいますよ!」の声が聞えた。

 目線を前に向けると、中堅クラスのニホンザルが、私の方を

向きながら歩いて来る。離れた後ろから、可愛い子ザルが現わ

れ、アンテナを付けたサルを含んだ集団が現われた。

 サルの為にも、私達の為にも、サルの集団の過ぎ去るのを、

30分程待った。後、汁垂れ橋へ向かって歩く途中、サルが落

とした新鮮な糞が転がっていた。

 「サルの糞を目掛けて、センチコガネが次々と飛んで来るわ」

Rさんの思わず呟く声が聞えて来た。急いでその様子を見ると、

センチコガネは糞の脇に着地したり、糞の上に乗ったりして糞を

小さく切り始めている。私はとっさに、糞の散らばる所に腰を屈め、

葡蔔の姿勢を採りマクロレンズを向けた。だが、赤銅色に光るセ

ンチコガネではなく、その脇に居た小さく黒いエンマコガネにで

ある。

それは、子供の頃に読んだ“ファーブル昆虫記”の中にある“スカ

ラベ”の事が頭に浮かんだからだ。日本にはいないと言われてい

るが、“スカラベを思わせる行動の一部が観察出来るかも知れな

い”と言う期待が湧き出たのだ。

 エンマコガネは切った糞の上に乗ったり、潜ったり、その後糞の横

に来たかと思うと逆立ちし、糞の塊りを押し始めたのである。しかし、

サルは雑食動物で糞の玉には成らず、意思通り動く訳はない。

やがて行動は消えうせた。

 スカラベは、年を重ねた今でも、私に、“夢を抱かせてくれて”

嬉しいものだ。

「すぐ先にサルがいますよ」の声に、目線を移すと!

後方にニホンザルの集団が。

過ぎ去った跡には・・・・落し物が!

「センチコガネが 次々と飛んでくるわ」

エンマコガネに目を引かれて!

逆立ちして 押しは始めた。