足立直義の丹沢・大山山麓だより

生き物との出会いを楽しみに今日も山麓を歩いています

No. 1569 ~ (続)宮が瀬の4月 ~

2018年04月30日 | 野鳥

観察月日  2018.4.12.晴 25℃

観察場所  清川村 宮が瀬

 ダムに落ちる崖から立ち上がった高木の中「チョ チョ チョ・

ビィー」の囀りが聞こえた。南国から渡って来たばかりのセ

ンダイムシクイだ。

 若い頃、この囀りを「鶴千代君・・」(ツルチヨギミー)と聞き

なす事を、先輩から教えられた。それ以来センダイムシクイ

の囀りを聞くと、「鶴千代君・・・」と頭の中を流れる。

 今日では「焼酎一杯・グィー」と聞きなすとか、時代と言う

か、経済社会の流れであろうか。

 すぐ頭上の枝から囀りが聞こえるが新緑の季節、若葉が

邪魔して姿が見えない。囀りを耳で追う事しばらく、柔らか

な葉の抜け穴に、姿を現した。

 ウグイスの仲間だけあって、嘴を大きく開き、大声で囀る

のが見える。一声出しては休んだり、姿勢を変えたり、羽ず

くろいをしたり、忙しい。その割に、見上げている我々を気

にしない。

 林道を飾るニガイチゴの白い小さな花に、ツマキチョウが

吸蜜にやって来る。♂は前羽の尖った先に付けた、黄色の

紅が美しい。

 一歩先を行くRさんが、背を向けたまま「チョウが・・・!」と

小声で叫んで立ち止まった。覗き込むと、真新しい羽化した

ばかりのアオバセセリが、Rさんのシャツの袖口に止まり、触

角を下げ口吻を伸ばし小刻みに動いている。

今日は気温が高かった。Rさんは「汗は掻いていない」と言う

が、反応しているのだろう。長いレンズを抱えた熟年の男性が、

けげんな顔をしながら脇を通った。アオバセセリは即反応して

離れ、男性を追って飛び去って行った。

高木の茂みの中から 囀りが。

新緑の抜け穴に 姿が。

嘴を大きく開いて。

ニガイチゴ。

ツマキチョウ♂。

アオバセセリ。

食草のアワブキの新しい葉が開いていたので、アオバセセリ羽化の予感がした。

ヤマガラの囀りを頭上に聞きながら 帰途に就いた。

 


No. 1568 ~ 宮が瀬の4月 ~

2018年04月26日 | 植物

観察月日  2018.4.12.晴 25℃

観察場所  清川村 宮が瀬

今年の春は、桜の開花が全国的に早かった。宮が瀬も既

に桜は終わっていた。それが、ミィーヤ館を過ぎると、サク

ラの甘い香りが流れて来た。香りの方向を探ると、意外に

も、広げた枝一杯に花を付けた満開のサクラがあった。

 それは、ダム周辺財団の上階へと続くプロムナードの横

で、サクラの木の中層を見るのに絶好の高さだ。甘い匂い

に引かれてか、ミツバチやクマバチの羽音で賑やかだ。

 強い芳香のある種には“スルガダイニオイ”があり、特徴

は似るが薄い紅がさす花色が気になった。

 今日は林道歩きが目的だ。林道に入ると、毎年7月に黄

色の穂状の花を付けるメタカラコウがあり、今は三角状心

形の葉を広げていた。

 新緑の草の中から、小粒の白い花が立ち上がっていた。

ルーペで覗くと、白に薄紅色が塗されている。着物の鹿の

子染めを連想させる美しい花だ。ツルカノコソウだ。

 湿度の高い腐葉土の中から、10㎝程に茎と花茎で立ち

上がった先に、1㎝にも満たないうつむき加減のクリーム色

の花が目に止まった。 写真に撮るには、こちらが腹這いに

ならないと撮れない。花茎の先から花弁になっているので、

つくりから見ると蕚が転じたもので、花弁は花中の黄色い部

分がそれで、キンポウゲ科の特徴だ。和名のトウゴクサバノ

オのサバノオは何処から来たのだろう。

サクラは終わっているのに、 甘い香りが。 

ミツバチやクマバチが羽音を立てて。

メタカラコウは。

美しい ツルカノコソウ。

ミヤマハコベ。

花の高さに 向き合って カメラを向ける。

トウゴクサバノオの花は 1cmに満たない。

周囲を探したら 若い実を見つけた。 魚の尾に似ている。

 

 


 No. 1567 ~ 玄倉の4月 ~

2018年04月18日 | 植物

観察月日  2018.4.8.晴 16℃

観察場所  山北町 玄倉

 玄倉も、今年のサクラは早かった。

 ここに通い始めた頃は、下界でお花見をして、4月の第2日曜

日に、玄倉へ上がって来ると、2度目のお花見が出来、得した

気分になった。

 今日は、ソメイヨシノもオオシマザクラも街路樹に植えてある

オオヤマザクラも、花は終わっていた。が、広場に植えてある、

エドヒガン系のイトザクラ、ヤエベニシダレは見頃で、人々を喜

ばせた。

 閉館したビジターの裏には、Y氏がオオムラサキの展示の為、

鉢植えしたエノキが2本残されている。ところが今年もアカボシ

ゴマダラの幼虫が越冬していて、先月は4匹の幼虫を確認した。

それが、今日は越冬していた場所に1匹もいない。

 「さては、鳥に見つかってしまったか」と、皆の顔が暗くなった。

が、クヌギの枝先を見ると、先月とは違い1cm程に若芽が伸びて

いる。始めは見えなかったものが、新緑の芽の上に乗っているも

の、枝に貼り付き休んでいるもの等が見つかり、多数の人の目の

すごさを実感した。

 春探しに歩く。ジロボウエンゴサク、タチツボスミレは花を付けて

いるが、フデリンドウは蕾だが青い花弁を覗かせていた。246号

線で満開のフサザクラを見たが、ここではまだ蕾だ。タゴガエル

を訪ねた後、サクラの下で恒例のお団子を食べ解散した。

イトザクラとヤエベニシダレは見頃だ。

アカボシゴマダラの幼虫が いない。  

エノキの芽の上に 乗っていた。

フデリンドウ 青い花弁が覗いて。

フサザクラは まだ つぼみ。

石の下に 潜っていた タゴガエル 2匹。

山の上のサクラは 満開・・・

サクラの下で 花よりだんご!

★ 今年も いいこと ありそうだ!


No. 1566 ~ 早春の頭高山 ~

2018年04月14日 | 昆虫

観察月日  2018. 3.30.晴 20℃

観察場所  秦野市 頭高山

 

 隧道の上にあがると、秦野市街が山裾まで広がり、大山、

丹沢の山並みが一望出来るビュースポットなのだが、今日

は違った。

 天井は青空に抜けているが、大山丹沢の山並みが黄土色

に汚れ、薄れて見える。「すごい!花粉の雲だ」思わず口か

ら出た言葉。今日の一日は思いやられる。

 山道に入ると、鮮やかなヤマブキの黄色が目に入り、ほっ

とする。ヤマアジサイの夏の花がそのまま残っていて、「私、

ドライフラワー大好き」とRさん。「ハナイカダの小さな雌花が、

葉の上に乗っているよ!」と喜んだりしているうちに、花粉の

事は薄らいできた。

 「アリが忙しそうですよ!」と呼ばれて速足で行くと、石積み

した直角の崖を、クロヤマアリが点々と歩いている。どのアリ

も小さなガの幼虫だったり、ヨコバイの仲間だったり等を持ち

運び、忙しそうだ。クロヤマアリの活動を見ていると、林の中

は昆虫達で賑やかな事が想像できる。

 「春はまだゴンボッパねえさけ、モチグサ入れるけど、ゴン

ボ餅の方が、しっこら、しっこらして、ずっとうんまい」若い頃、

八海山の麓を歩いた時、聞かせてくれた人の顔が、ハバヤ

マボクチの若葉の向こうに見えた気がした。

 歩く度にミヤマセセリが飛び立つ。そろって蛹から羽化した

のだ。見上げると、食草のコナラ・クヌギの芽が光っていた。

 「すごい花粉だ」思わず声が出た!

ヤマブキ

「アリさん 大忙し」

頭高山への道 

ハバヤマボクチ 

フデリンドウ

ミヤマセセリ ♂

ミヤマセセリ ♀

だから ミヤマセセリ が そろって羽化したのだ!


 No. 1565 ~ 早春の 不動尻 ~

2018年04月03日 | 昆虫

観察月日  2018. 3.26.晴 20℃

観察場所  厚木市 不動尻

不動尻の早春の頃は、長年通い詰めている所なので、この

季節になると急に行ってみたくなる。

 広沢寺の集落では、コツバメ(蝶)に出会い、ヤマガラの一

群が出迎えてくれた。

 山の神隧道を抜け谷太郎川沿いに進むと、山側の崩れ

を防止する金網の中に、ハルユキノシタが岸壁を覆い、2

~3花を開き始めていた。この花の盛りの頃来てみたいと

思いながら、今まで来ていない。

 今日は成虫で冬を越したチョウの飛翔が目立つ。一番多

いのはテングチョウだ。厳しい冬を越すチョウは、体内の水

分が凍結したら死につながる。そこで体内のグリコウゲンを

グリセリンに変え、不凍化するのだと言う。目覚めたチョウの

体は水分を要求するのか、水場でテングチョウが吸水してい

た。緋色の羽を持つヒオドシチョウも私の靴の隣に降り、吸

水を始めた。

 テングチョウに次いで多いのが、ルリタテハだ。見通しの良

い所に止り、同種の蝶が飛ぶと追い駆けて飛び、組みつ解れ

つを繰り返す。キタテハも地面に止まっていた。

 キチョウは前種のタテハチョウに比べ弱々しいが、成虫で越

冬したチョウだ。

 最近の不動尻は、ミツマタの花で有名になったらしく、尋ねる

人がいる様だ。花を見たらビロウドツリアブが吸蜜に来ていた。

ヤマガラが出迎えてくれた。

金網の中は・・・・。

ハルユキノシタの花が2~3輪。

吸水中のテングチョウ。

ヒオドシチョウも 吸水中。

仲間を待つ ルリタテハ。

休む キタテハ。

止まる キタキチョウ。

谷川で待つ アズマヒキガエル

ミツマタで 名を広めた?

ビロウドツリアブ。