経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

円安株高でも法人減税なのか

2013年05月18日 | 経済
 今日の日経は「法人減税など大胆改革見送り」とあって、相変わらずだね。異次元の金融緩和によって、円安で企業収益が伸び、株価は急上昇している中で、もし、法人減税をしたら、バブルへのブレーキを外すことになる。高収益の下で納税を減らしたければ、設備投資をするのが一番だが、法人減税は、そうしたインセンティブを殺いでしまう。主張すべきは、法人減税でなく投資減税だろう。

 また、お得意の財政再建論はどうなったのか。景気回復に伴い、長期金利が上昇すれば、国債の支払金利は増すが、他方で利子課税と法人税によって税収増となり、相殺される構造となっている。ここで法人減税で穴を開ければ、財政赤字拡大のリスクを生み、金利上昇の悪循環が起こりかねない。スウェーデンでは法人税は低いが、利子課税は25%と高い。良いとこ取りはできないのだ。

 「設備投資を年70兆円に」という目標に対する分析がないのも気になる。2012年度の民間企業設備投資は66.4兆円であり、リーマン前の2007年度には77.0兆円だったことを思えば、3年で達成する目標としては低過ぎないか。2003年から2007年の景気回復期には、設備投資が年に4%程度は伸びている。当時は旺盛な輸出で伸びたから、それを見込まないから低くなるという理解なのだろうか。

 法人減税について、「いかなる時も正しい」という常識に囚われていて、どう経済に結びついているのか分析が甘くなっているように思う。プラトンにちなむ「アカデメイア」での首相の演説なのだから、俗世の「魂の牢獄」から出でて、イデアを感じさせる論説を読みたいものである。

(今日の日経)
 成長戦略第二弾、設備投資は年70兆円めざす、法人減税など大胆改革見送り。社説・本丸に踏み込まない成長戦略では困る。日本郵政の全社外取締役が退任。若者雇用が世界で深刻、景気改善でも厳しく。債券市場、乱高下収まらず。

※新規の労働力が逼迫すると物価上昇が始まるから、欧州のようにインフレに厳しいと若年雇用は広がらないだろうね。

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