7/12の日経によれば、景気回復で米国の財政赤字は急速に縮小しているようだ。高い法人税率、富裕層への増税、モデレートな歳出削減の成果である。こうした「成功」があると、それは「正しい」政策とされていく。対照的に、日本が試みる、法人減税と過激な緊縮財政という一つ前のモデルの失敗が反面教師ともなって、実に説得的になるだろう。
戦前の日本は、植民地の争奪に遅れて乗り出し、これに取り憑かれて損得を見失い、国家存亡の淵に立たされた。足元では、国・地方とも、税収が大きく上ブレする結果となったが、こうなるのは、消費増税を決める前から分かっていた。勘定に従っての修正ができず、主義に殉じがちな体質は、今も脈々たるものである。
………
2013年度の国の税収は、補正予算から1.6兆円上ブレした。復興法人税の上ブレも加えると1.7兆円になる。地方の税収は、7/11に公表された「地方税収入決算見込額」を分析すると、0.9兆円の上ブレである(地方税+法人譲与税の地財計画からの差)。つまり、合わせて消費税1%相当の上ブレがあったということだ。きちんと見積もっておけば、消費増税を2%に圧縮していても、財政赤字は変わらなかったことになる。裏返せば、消費増税1%分の「予定外」のデフレ圧力が財政から経済にかかっているわけである。
2013年度の地方税の上ブレについては、本コラムでは12/29に0.85兆円としていたから、予想通りの結果である。ただし、詳細を言うと、個人関係が予想を上回り、法人関係が下回るという中身だった。2014年度の地方税の上ブレについては、同様の手法を用いて再計算したところ、地財計画を1.1兆円上回り、38.3兆円になるという予想となった。
再計算の概略は、2013年度決算見込みをベースに、個人関係を6.7%伸ばし、法人関係を7.5%伸ばしたものである。後者の伸びは、2013年度の法人税のそれを使ったが、個人関係は所得税の伸びをそのまま使わず、特殊要因を除くよう調整した数字とした。12/29の予想より0.6兆円少ないのは、法人税の伸びが7.5%にとどまったことが主因である。
なお、7/12の日経は「14年度は37.3兆円を見込む」とあるが、これは総務省の今回の公表内容に含まれないもので、予算編成時の地財計画そのままの数字である。いわば、ベースが上がっている情報の中に、古いベースの情報を混ぜる形で報じていて、誤解してしまう。こういう書き方は、デスクでよくチェックして直してほしいところだ。
どうも日経は、税収増をもって、法人事業税を下げたいようだが、地方税収が増すと、地方税の不足を補っている国の負担が減らされることになるので、地方財政が必ずしも潤沢になるわけではなく、法人事業税を軽くできることに直結しない。地方税収の増加は、国の「歳出削減」につながるものだと捉える方が適当だ。すなわち、自然体でいるだけで、米国のような形になるわけである。
………
さて、今週は、各種指標が相次いだので、備忘のつもりで、日々、コメントをつけておいた。いずれも、先行きを不安にさせるような内容である。内閣府の「消費税率引上げ後の消費動向等について」の7月第1週の結果は、飲食料品、家電とも、5月より悪かった6月の平均さえ下回るありさまだ。天気が悪いせいであり、消費増税は関係がないのかもしれないが、いつから、日本経済はお天気次第になったのかと思う。
(昨日の日経)
米携帯4位買収。2013年度の地方税収は1.2兆円増、2014年度は更に0.6兆円多い37.3兆円を見込む。中国家電にブレーキ、テレビ減、住宅低迷で飽和感、人件費高騰。
(今日の日経)
子どもNISA創設。
戦前の日本は、植民地の争奪に遅れて乗り出し、これに取り憑かれて損得を見失い、国家存亡の淵に立たされた。足元では、国・地方とも、税収が大きく上ブレする結果となったが、こうなるのは、消費増税を決める前から分かっていた。勘定に従っての修正ができず、主義に殉じがちな体質は、今も脈々たるものである。
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2013年度の国の税収は、補正予算から1.6兆円上ブレした。復興法人税の上ブレも加えると1.7兆円になる。地方の税収は、7/11に公表された「地方税収入決算見込額」を分析すると、0.9兆円の上ブレである(地方税+法人譲与税の地財計画からの差)。つまり、合わせて消費税1%相当の上ブレがあったということだ。きちんと見積もっておけば、消費増税を2%に圧縮していても、財政赤字は変わらなかったことになる。裏返せば、消費増税1%分の「予定外」のデフレ圧力が財政から経済にかかっているわけである。
2013年度の地方税の上ブレについては、本コラムでは12/29に0.85兆円としていたから、予想通りの結果である。ただし、詳細を言うと、個人関係が予想を上回り、法人関係が下回るという中身だった。2014年度の地方税の上ブレについては、同様の手法を用いて再計算したところ、地財計画を1.1兆円上回り、38.3兆円になるという予想となった。
再計算の概略は、2013年度決算見込みをベースに、個人関係を6.7%伸ばし、法人関係を7.5%伸ばしたものである。後者の伸びは、2013年度の法人税のそれを使ったが、個人関係は所得税の伸びをそのまま使わず、特殊要因を除くよう調整した数字とした。12/29の予想より0.6兆円少ないのは、法人税の伸びが7.5%にとどまったことが主因である。
なお、7/12の日経は「14年度は37.3兆円を見込む」とあるが、これは総務省の今回の公表内容に含まれないもので、予算編成時の地財計画そのままの数字である。いわば、ベースが上がっている情報の中に、古いベースの情報を混ぜる形で報じていて、誤解してしまう。こういう書き方は、デスクでよくチェックして直してほしいところだ。
どうも日経は、税収増をもって、法人事業税を下げたいようだが、地方税収が増すと、地方税の不足を補っている国の負担が減らされることになるので、地方財政が必ずしも潤沢になるわけではなく、法人事業税を軽くできることに直結しない。地方税収の増加は、国の「歳出削減」につながるものだと捉える方が適当だ。すなわち、自然体でいるだけで、米国のような形になるわけである。
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さて、今週は、各種指標が相次いだので、備忘のつもりで、日々、コメントをつけておいた。いずれも、先行きを不安にさせるような内容である。内閣府の「消費税率引上げ後の消費動向等について」の7月第1週の結果は、飲食料品、家電とも、5月より悪かった6月の平均さえ下回るありさまだ。天気が悪いせいであり、消費増税は関係がないのかもしれないが、いつから、日本経済はお天気次第になったのかと思う。
(昨日の日経)
米携帯4位買収。2013年度の地方税収は1.2兆円増、2014年度は更に0.6兆円多い37.3兆円を見込む。中国家電にブレーキ、テレビ減、住宅低迷で飽和感、人件費高騰。
(今日の日経)
子どもNISA創設。
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