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経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

遅延型9月入学は天下の愚策

2020年05月13日 | 経済
 この国では、政治主導が強まったせいか、思いつきの愚策が横行するようになった。4月入学の問題点は、卒業と入学が米国より半年遅いために、半年の空白を過ごした上で、1学年下の学生と共に入学しなければならないことだ。いわば、留学は1浪を余儀なくさせられるのと同じだから、「国際化の障害」と言えなくもない。

 それで、コロナ禍を機に、更に卒業と入学を半年遅らせて9月にしたら、どうなるか。半年の空白がなくなるだけで、何の問題の解決にもならない。改革に多くの労力を使い、若者の巣立ちが米国より1年遅くなるという大変な社会的犠牲を払って、代償として得られるのは、外国人が日本に来やすくなることくらいである。

 外国人にしかメリットのない改革がグローバル化の正体かと皮肉りたくもなる。本当に必要なのは、繰上型9月卒業であり、日本の高校や大学を半年早く卒業して、米国の同学年と9月に入学できるようにすることだ。できる子にそうした道を作ってやるだけなら、大した労力は必要ない。

 早大の田中愛治先生は、日経で、こうコメント(5/11)している。「米国の小学校は6歳の9月には入学するので現時点でも日本より半年早く教育を受け始め、21歳半で大学を卒業する。入学時期を半年遅れて設定すると、日本は米国よりも1年遅く大学を卒業することになり、今後は永遠に大卒の労働力が1年間分、少ないままに国際競争を強いられ(る)」

 新型コロナの感染者数は、下図のように収束が見えてきた。下らない議論はやめて、今は、休校による学習の遅れをどう取り戻すか、真剣に取り組まなければならない。夏休みや土曜休みの返上で足りなければ、ITを使った家庭学習の底上げなど、コロナ禍の後も身になるような改革に取り組むべきである。

(図)



(今日までの日経)
 「9月入学」課題多く 現場の声聞き、戦略緻密に 早稲田大学総長 田中愛治 目的と大義区別/国際化には他の施策も。9月入学、知事の6割賛成 グローバル化期待。G20、4月入学は日印のみ。2次補正、今国会で 中小の家賃支援/学生救済/雇調金拡充。


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