勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

THE GUILTY ギルティ / Den skyldige

2019年02月24日 | 洋画(その他)
警察の緊急通報受付にかかってきた一本の電話。その電話の音声だけで、誘拐事件の解決を図ろうとする、究極の舞台を映像化した作品。

たった一つのシチュエーションを描いた作品と言えば、最近では、SNSの画面だけを使って映像化した『search サーチ』がありました。また、同じく電話だけを舞台にした作品としては、古くは『セルラー』があり、それよりも最近だと『ザ・コール 緊急通報指令室』もありますね。どちらの作品も、誘拐あるいは行方不明と言った事柄を描いているのは、偶然じゃ無いんでしょうね?

緊急通報受付を受けた人物が主人公と言う話的には、『ザ・コール 緊急通報指令室』に似ているのかもしれません。ただ、違っているのは、こちらの作品の場合、二重三重に、音声しか使えないことによる思い込みによる、不幸な思い違いがある事。主人公のアスガーももちろんですが、見ているこちらも「え!マヂで!」と思わずにはいられませんでした。

邦題の『ギルティ』は、アスガーの事を言っているんですかね?まぁ、それはそれで、思ったほど悪くはありません。でも、原題の『Den skyldige』は、デンマーク語で“犯人”と言う意味。やっぱりそっちの方が、この映画のタイトルとしては、適切なような気がします。

タイトル THE GUILTY ギルティ / 原題 Den skyldige

日本公開年 2019年
製作年/製作国 2018年/デンマーク
監督 グスタフ・モーラー
出演 ヤコブ・セーダーグレン(アスガー・ホルム)、イェシカ・ディナウエ(イーベン/声)、ヨハン・オルセン(ミカエル/声)、オマール・シャガウィー(ラシッド/声)

ナチス第三の男 / The Man with the Iron Heart

2019年02月17日 | 洋画(フランス系)
ナチスの“殺人部隊”であるアインザッツグルッペンの創設者でアリ、“ユダヤ人問題の最終的解決”の実質的実施責任者でもあるラインハルト・ハイドリヒと、彼の暗殺計画のエンスラポイド作戦を描いた作品。

ラインハルト・ハイドリヒの事は多少知っていましたが、はじめのうちは、彼の妻の方がナチス信奉者であり、ラインハルト自身は妻に付いて行ったと言う感じであることは知りませんでした。ちょっと意外。でも、まぁ、彼は元々、前途洋々たる海軍軍人だった訳ですから、軍人時代はナチスとは距離を置いていたのかもしれませんね。ナチ党員になって以降の彼は、その有能さに拍車をかけて、どんどん出世していくわけですが、その過程で、妻との力関係も逆転していましたが。

ジェイソン・クラークが、ラインハルト・ハイドリヒを演じていますが、ちょっとごつ過ぎ(笑)。実際のハイドリヒは、もうちょっとシュッとした、クールな見た目です。

タイトル ナチス第三の男 / 原題 The Man with the Iron Heart

日本公開年 2019年
製作年/製作国 2017年/フランス・イギリス・ベルギー
監督 セドリック・ヒメネス
原作 ローラン・ビネ/高橋啓訳『HHhH プラハ、1942年』原題:THE MAN WITH THE IRON HEART
出演 ジェイソン・クラーク(ラインハルト・ハイドリヒ/ナチス国家保安本部(RSHA)長官)、ロザムンド・パイク(リナ・ハイドリヒ/ラインハルトの妻)、ジャック・オコンネル(ヤン・クビシュ/暗殺計画実行者)、ジャック・レイナー(ヨゼフ・ガブチーク/暗殺計画実行者)、ミア・ワシコウスカ(アンナ・ノヴァーク/ヤンとヨゼフの協力者)、スティーブン・グレアム(ハインリヒ・ヒムラー/ハイドリヒの上官)

ファースト・マン / First Man

2019年02月11日 | 洋画(アメリカ系)
アポロ11号で、人類で初めて月面に降り立ったニール・アームストロングの半生を描いた作品。

『アポロ13』では、ジム・ラベルと言う宇宙飛行士にも焦点を当てつつ、アポロ13号そのものを描いた作品だったわけですが、この作品は、ニール・アームストロングその人を描いています。そういう意味では、宇宙開発計画については、ジェミニ計画からアポロ計画に至る過程が描かれていますが、あくまでもアームストロング中心。それら計画に従事していた時、アームストロングが何を考えていて、何を感じていたのかと言う事が描かれています。

彼は、比較的おとなしい人物であったため、最初に月面に降り立つ人間に選ばれたとも言われています。その辺りは、上手く描かれているのですが、その人物像は、彼がエンジニア体質であったと言う事もあるのかもしれません。

それと、この作品で初めて知ったのは、彼が第二子を亡くしていたと言う事。それも、彼が一層大人しくなり、いろいろと考えてしまう人物であることに拍車をかけたのかもしれません。

一つ興味深かったのは、「NASA(アメリカ)は、宇宙開発に際して死者が出ることに十分対処できるノウハウと、体制を持っている」と言う話を聞いたことがあります。アームストロングたちが、月面着陸に失敗し、地球に帰還できなくなることを想定した追悼文も準備されていたというのは有名な話です。ですが、興味深かったのは、そっちの話ではなく、エド他のアポロ1号のメンバーが事故で殉職してしまった事に関連するエピソード。エドの妻パットが呆然としているシーンをみると、全然、死者が出ることに対するノウハウも体制も、実は無かったんだなと思わざるを得ません。まぁ、その後、整えられていったと言う事なのかもしれませんが。

素人でも名前を知っている様な宇宙飛行士が、いっぱい出てきます。そう言う意味でも面白いです。ですが、宇宙開発計画を描いた作品で、ここまで一人の人物に焦点を当てた作品は、少ないと思います。なかなか深い映画でした。

タイトル ファースト・マン / 原題 First Man

日本公開年 2019年
製作年/製作国 2018年/アメリカ
監督 デイミアン・チャゼル
出演 ライアン・ゴズリング(ニール・アームストロング)、クレア・フォイ(ジャネット・アームストロング/ニールの妻)、ジェイソン・クラーク(エド・ホワイト/アポロ1号宇宙飛行士)、カイル・チャンドラー(ディーク・スレイトン/マーキュリー・セブンの一人)、コリー・ストール(バズ・オルドリン/アポロ11号月着陸船パイロット)、キアラン・ハインズ(ボブ・ギルルース/NASA管理職)、パトリック・フュジット(エリオット・シー)、ルーカス・ハース(マイク・コリンズ/アポロ11号司令船パイロット)、イーサン・エンブリー(ピート・コンラッド)、シェー・ウィガム(ガス・グリソム/アポロ1号宇宙飛行士)、パブロ・シュレイバー(ジム・ラベル)、クリストファー・アボット(デビッド・スコット)、スカイラー・バイブル(リチャード・F・ゴードン・Jr.)、コリー・マイケル・スミス(ロジャー・チャフィー/アポロ1号宇宙飛行士)、オリビア・ハミルトン(パット・ホワイト/エドの妻)、クリス・スワンバーグ(マリリン・シー/エリオットの妻)

ちいさな独裁者 / Der Hauptmann

2019年02月09日 | 洋画(ドイツ系)
第二次大戦末期、実際に起きた出来事。

脱走兵が、偶然、ナチス将校の制服を手に入れたことから、その将校になりすます。命令する事が快感になり、ついに、彼は暴走し始める・・・。

いやぁ、こんな事があるんですね。大尉にしては若すぎるとか、思わなかったのかな?当時のドイツは、かなりの形式主義でもあるのですが、逆に言うと、形式が整っていれば、疑う事は無いと言う事か。それに、絶対的権力者が居たので、ある意味その絶対的権力者の威光も借りていたので、発覚しなかったと言う事なのでしょうね。

それにしても、徐々に権力の魔力に取りつかれ、暴走し始めるのは怖いですね。でも、アイヒマン実験、あるいは、スタンフォード監獄実験(この実験は、最近、やらせが疑われていますが)でも見られるように、人は権威・権力のある(ありそうな)人物には、どんな命令でも従ってしまう様ですから、戦時下、しかも負け戦と言う異常な状態では、簡単にこう言う状態に陥ってしまうかもしれませんね。

最後のエンドロールが見もの。実際の街中で、この作品の衣装を着て、街の人たちを取り調べるシーンがあるんですが、意外に、食って掛かる人はいないんですよねぇ。一種のユニフォーム効果なのかなぁ。

タイトル ちいさな独裁者 / 原題 Der Hauptmann

日本公開年 2019年
製作年/製作国 2017年/ドイツ・フランス・ポーランド
監督 ロベルト・シュベンケ
出演 マックス・フーバッヒャー(ヴィリー・ヘロルト)、ミラン・ペシェル(フライターク)、フレデリック・ラウ(キピンスキー)、ベルント・ヘルシャー(シュッテ/アシェンドルフ収容所突撃隊指揮官)、ワルデマー・コブス(ハンゼン)、アレクサンダー・フェーリング(ユンカー)、ブリッタ・ハンメルシュタイン(ゲルダ・シュッテ/アシェンドルフ収容所突撃隊指揮官の妻)、サッシャ・アレクサンダー・ゲアサク(シクナー)、ザムエル・フィンツィ(ロジャー)、ボルフラム・コッホ(シュナイダー)

フロントランナー / The Front Runner

2019年02月03日 | 洋画(アメリカ系)
Based on a ture story.

1988年アメリカ合衆国大統領選挙の民主党の最有力候補であった、ゲイリー・ハート上院議員が、女性スキャンダルが元で撤退を余儀なくされる過程を描いた作品。

この頃からでしょうかね?色んな人のスキャンダルが暴かれるようになってきたのは。これより前の、JFKの頃なんかは、まだここまでひどい状況では無かったと言われていますが。もっとも、彼よりも後の、ビル・クリントンは、大統領になった後、やはり女性スキャンダルで断崖寸前まで行きましたが、首の皮一枚繋がりました。

それと、この当時であれば、ああいう強気の対応もあったんでしょうね。いま、ああいう強気の対応を見せれば、逆に燃料投下となりかねないと思いますが。

女性スキャンダルはさておき、このゲイリー・ハートと言う政治家は、中々なビジョンを持った人であったようで、彼がこの時に大統領になっていれば、その後の世界は変ったのではないかと言う話を聞いたことがあります。「なんで今、30年も前の、途中撤退した大統領候補の事を描いた映画なんだ?」と言う疑問に対しては、それが答えなのかもしれません。

それにしても、たった3週間ですよ。1週目、2週目は、順調に支持を伸ばしていたのに、3週目に入って女性スキャンダルが明らかになって、あっという間に転落。でも、他にもスキャンダルを抱えていた様なので、この1件で持ちこたえたとしても、他の件が暴かれるでしょうから、あれで限界だったのかもしれませんね。

タイトル フロントランナー / 原題 The Front Runner

日本公開年 2019年
製作年/製作国 2018年/アメリカ
監督 ジェイソン・ライトマン
出演 ヒュー・ジャックマン(ゲイリー・ハート)、ベラ・ファーミガ(リー・ハート/ゲイリーの妻)、J・K・シモンズ(ビル・ディクソン/ゲイリーの選挙対策本部幹部)、アルフレッド・モリーナ(ベン・ブラッドリー/ワシントン・ポスト)、ケイトリン・デバー(アンドレア・ハート/ゲイリーの娘)、モリー・イフラム(アイリーン・ケリー/ゲイリーの選挙スタッフ)、クリス・コイ(ケヴィン・スィーニー)、アレックス・カルポフスキ(マイク・ストラット)、ジョシュ・ブレナー(ダグ・ウィルソン)、トミー・デューイ(ジョン・エマーソン)、マムドゥ・アチー(A・J・パーカー)、アリ・グレイナー(アン・デヴロイ)、スティーブ・コールター(ボブ・カイザー)、スペンサー・ギャレット(ボブ・ウッドワード/ワシントン・ポスト)、スティーブ・ジシス(トム・フィドラー)、ビル・バー(ピート・マーフィー)、ケビン・ポラック(ボブ・マーティンデール)、マイク・ジャッジ(ジム・ダン)、サラ・パクストン(ドナ・ライス/ゲイリーの不倫相手)、トビー・ハス(ビリー・ブロードハースト)