勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

ダイ・ハード4.0(2007年)

2007年06月30日 | 洋画(アメリカ系)
あの男が12年ぶりに帰ってきた。悪いときに、悪いところにいる、とことん不運な男。その男は、ジョン・マクレーン。一回目はビル占拠、二回目は空港占拠、三回目はマンハッタン占拠。そして四回目の今回は、全米が占拠されます。ちょっとネタバレがありますので、ご注意ください。

コンピュータシステムへのサイバーテロによって、アメリカが麻痺してしまうと言う今回のシチュエーションですが、日本アメリカで、コンピュータトラブルによる飛行停止があったりして、結構シャレにならないですよね。もっと言えば、エストニアがサイバーテロに遭遇していますしね。国全体が、サイバーテロで麻痺してしまうと言うのは、”今そこにある危機”です。

三回目のマンハッタンでの戦いは、ちょっと話を広げすぎたし、すこし笑いも取ろうとしていて、イマイチな感じもありましたが、今回は、”まじめ”にテロと戦っています。でも、これまでどちらかと言うと対立しがちだったFBIと協力して事態にあたっていると言うのは、マクレーン刑事も成長したのでしょうか(笑)。それと、これまでのテロは、犯人からの要求があって、それに対処していくと言う要素があったのですが、今回は、その要素は余りありません。って言うか、最終的に犯人は判明するのですが、それは犯人から何らかの要求があって判明すると言うより、頑張って暴き出したと言うのが正しいシチュエーションでしょうね。でもやっぱり、世の中金なんですね。テロリストの最終的目的はいつも金です。

ちょっと興味深いのが、見た目が中東系に見えないことも無いクリフ・カーティスがFBIの捜査官を演じていること。これは、テロリストと言うと中東系というステレオタイプのイメージを払拭するためのキャスティングなのでしょうか? 彼は『コラテラル・ダメージ』でテロリストの親玉の役をやっていたので、ちょっと面白く感じました。

衝撃的な初回、二回に匹敵する、スケールの大きな作品だと思います。12年待った甲斐がありました。それにしても劇中、やたらと”アルマゲドン”と言うセリフが出てきたのは、どう言う事なんでしょうね。

タイトル ダイ・ハード4.0
原題 Live Free or Die Hard
日本公開年 2007年
製作年/製作国 2007年/アメリカ
監督 レン・ワイズマン
出演 ブルース・ウィリス、ジャスティン・ロング、マギー・Q、ティモシー・オリファント、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、クリフ・カーティス

[2007/06/30]鑑賞・投稿

ゾディアック(2007年)

2007年06月16日 | 洋画(アメリカ系)
1960年代末期から、1970年代初にアメリカ・カリフォルニア州で起きた、未解決連続殺人事件を元に、事件に関係した男たちの人生を描いた映画。サンフランシスコ市警察による捜査は公式に終了しているが、その他のナパ警察・ヴァレーホ警察等による捜査はまだ続いています。このゾディアックは、映画『ダーティハリー』の連続殺人犯スコルピオのモデルにもなっています。

非常に解釈に困る映画ですね。映画の前半と後半で、雰囲気がかなり違った印象を受けました。前半は、連続して殺人が発生し、それの告白文が新聞社に送られてきたために、物語がどんどん動いている印象を受けましたが、後半に入り、犯行がなくなってくると、物語がほとんど動かなくなってしまいます。そのため、一気に何年も時間が飛んだりしています。また、結局犯人はわからないままなので、そう言う点でもちょっと消化不良を起こします。もっとも、映画の最後のあたりになると、ほとんど最近のことになってしまうようなので、そう言う意味では、時間が最近に近づくにつれて映画として描きにくくなってしまったのかもしれません。

劇中では15年以上の時間が経過しているにもかかわらず、ロバート・グレイスミス(ジェイク・ギレンホール)の容貌にほとんど変化がありません。そう言う点が、ちょっと頂けませんねぇ。そう言うところも、この映画の印象がイマイチぱっとしない原因かもしれません。

ジェイク・ギレンホールの事件への入れ込み振りが中々良いです。もっとも、警察による捜査が壁にぶち当たってから彼の彼の活躍は始まるので、時系列的には、遅れてやってきたヒーローと言った感は避けられない雰囲気ですが。

実際にSF近郊のベイエリアで撮影されています。既に30年近い時を経ていて、街は変貌していますが、1960年代~70年代のサンフランシスコは十分に再現できていたとおもいます。

タイトル ゾディアック
原題 Zodiac
日本公開年 2007年
製作年/製作国 2007年/アメリカ
監督 デビッド・フィンチャー
出演 ジェイク・ギレンホール、マーク・ラファロ、ロバート・ダウニー・Jr、アンソニー・エドワーズ、ブライアン・コックス

[2007/06/16]鑑賞・投稿

プレステージ(2006年)

2007年06月09日 | 洋画(アメリカ系)
舞台は19世紀のロンドン。ガス灯から電気灯へ移り変わりつつある時代。二人の手品師「グレート・ダントン」ことロバート・アンジャー(ヒュー・ジャックマン)と「プロフェッサー」ことアルフレッド・ボーデン(クリスチャン・ベール)が、互いをライバルとして研鑽しあっていた。しかし、ボーデンが原因と思われるある事故でアンジャーの妻が死亡してから、アンジャーはボーデンへの復讐を誓い、二人は激しく争っていく・・・。そして、ある時、ボーデンがアンジャーの死を目撃したことで、ボーデンはアンジャー殺しの容疑を掛けられてしまう。

これが、物語のあらまし。電気が珍しい時代で、科学と奇術の境目が曖昧な時代。そう言う時代背景が、随所に見受けられます。その時代背景を受け、ニコラ・テスラという実在の人物がこの物語に登場し、物語に重要な役割を果たしています。アンジャーの死ぬシーンから始まり、アンジャーとボーデンの日記を振り返るような感じで物語が進むので、一瞬時間感覚に混乱が生じますが、時計を遡っているということを理解すれば、問題ありません。

サイドストーリー(と言うほどの分量はありませんが)として、テスラとエジソンの交流・直流論争が描かれています。テスラとエジソンの交流・直流論争を少し解説すると、交流と直流のどちらの電気が安全かという論争で、交流派はテスラ、直流派はエジソンで、相手に対して実際に物理的な攻撃に出るほど、激しい争いになったそうです。結果としては、今の電気が交流であることでわかるとおり、交流のほうが直流より安全で、経済的に効率的であるということがわかって今に至っています。

最初の最初に、監督の「結末は語ってはいけません」という旨の表示がされるので、多くは語れませんが、「う~ん、そう言う結末?!」と言うのが率直な感想。ちょっとやり過ぎじゃないですかね。途中までは、逆転に次ぐ逆転の展開で、ドキドキワクワクだったのですが、最後の最後で外されました。ちょっとなぁ・・・。本当に、途中までは最高だったんですけどねぇ・・・。

スッキリする結末かと言えば、私はちょっとダメでした。でも、話としては、見れない話ではないと思います。デヴィッド・カッパーフィールドが、手品を監修したと言うのも話題です。

タイトル プレステージ
原題 The Prestige
日本公開年 2007年
製作年/製作国 2006年/アメリカ
監督 クリストファー・ノーラン
出演 ヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、スカーレット・ヨハンソン、パイパー・ペラーボ、デヴィッド・ボウイ、アンディ・サーキス

[2007/06/09]鑑賞・投稿

ザ・シューター/極大射程(2007年)

2007年06月02日 | 洋画(アメリカ系)
2000年「このミステリーがすごい!」海外作品部門第一位となった、スティーブン・ハンターの小説が原作。とってもアメリカっぽいアクション映画です。

原作との違いは、まず主人公の設定。ちょっと前なら、この手の元海兵隊員といえばベトナム帰りで、原作小説もその通りの設定なのですが、21世紀にもなると、流石にいつまでもベトナムを引っ張っているわけには行かないようで、映画での設定は、アフリカの秘密作戦帰りと言うことになっています。それともう一つが、主人公ボブ・リー・スワガー(マーク・ウォルバーグ)が陰謀に巻き込まれていくその過程ですが、原作ではある特殊加工の施された新開発ライフルの試射という事になっていますが、映画のほうでは、大統領暗殺阻止のためという事になっています。あと、ラストシーンですかね。原作では法廷のシーンになっていますが、映画では大きく違っています。この辺が、原作と映画の主な違いですかね。。

単なるアクション映画には留まっていません。アクションサスペンスと言うジャンルですが、確かにサスペンス。大きな組織の陰謀に巻き込まれているので、誰も見方が居らず、スワガーはしばし、一人での戦いを強いられます。しかしそのスワガーも、ランボー張りの荒唐無稽の超人と言うことではなく、高度な訓練を受けた非常に有能な元兵士と言う描かれ方なので、それほど「それは無いよ!」と言う感じは受けません。むしろ、次はどうなるのかと、ドキドキハラハラさせられます。その意味では、「このミステリーがすごい!」第一位と言うのも納得です。

ダニー・グローバーの役柄にかなり意外感があります。彼は、警官役などが多いですが、こう言う悪役は少ないんじゃないかな。その為か、低い声で、若干聞き取りにくいしゃべり方でした。

かなり頻繁に人が死んでいくシーンがあります。狙撃がほとんどなので、あっけない死に方ですけどね。それでも、私はそれほど嫌な感じはしませんでした。それと、何故だか判りませんが、ほぼ現代の設定のはずなのですが、そうは感じませんでした。それは、この物語の重さなのか、それとも、シリアスな映画のためなのか・・・。スワガーの家のシーンで、机の上に ”9/11” と書かれた本があったので、それ以降という設定だと思うんですけどね。アクションですが、脳みそ筋肉と言うばかりではなく、きちんとサスペンスの要素もあり、見応えのある映画だと思います。

タイトル ザ・シューター/極大射程
原題 Shooter
日本公開年 2007年
製作年/製作国 2007年/アメリカ
監督 アントワーン・フークア
原作 スティーヴン・ハンター
出演 マーク・ウォルバーグ、マイケル・ペーニャ、ダニー・グローバー、ケイト・マーラ、イライアス・コティーズ

[2007/06/02]鑑賞・投稿