勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

NEXT-ネクスト-(2007年)

2008年04月26日 | 洋画(アメリカ系)
未来を見通せる男。しかし、それはたった二分だけの未来。そんな男が、核テロを防ぐことが出来るのか?

最近のハリウッド映画は、こう言う感じの、テロとか、核とか言うテーマが多いですね。しかも、9.11の影響のためか、アメリカの国土が直接攻撃されるという形態のテロ。冷戦時代と異なり、敵が判然としない今、この様な形態になるのは仕方ないでしょう。

ニコラス・ケイジ演じるクリス・ジョンソンが、未来を予測して今の行動に生かすという感じで物語が進んでいきます。クリスが予知できる未来は、一応、2分と言うことになっているのですが、何故か、ジェシカ・ビール演じるリズが関連すると、そう言う制限は無いと言う設定です。ご都合主義といえばご都合主義ですが、元々、そう言う物語ともいえます。

刑事コロンボでお馴染みの、ピーター・フォークが出演しています。彼の役どころの意味が良く分かりませんが、久しぶりにその姿をみました。1927年生まれなので、もう、80歳を超えています。まだ、元気でした。フェリス捜査官のジュリアン・ムーアも、重要な役どころです。クリスを捉えようとする役目なのですが、クリスの理解者の立場でもあるようです。

95分の映画です。比較的短めの映画ですが見応えはありました。でも、核テロを防ぐと言う話のはずですが、そう言うシーンより、彼女(リズ)を救うと言うか、むしろ、どうやってFBIに協力しないで済むかと言うことがメインみたいで、核テロを防ぐというテーマはちょっとボケた感じです。その上、最後の最後に大どんでん返しと言うか、究極のご都合主義的設定が。「そこまで話が進んでおいて、そうするかい!」とちょっとビックリしました。でも、その方が、”未来を予知できる男”と言うテーマの物語なので、テーマにぴったりで良かったのかもしれません。"ご都合主義”とかの言葉で、ネガティブな印象を与えてしまいますが、決してつまらない映画と言うわけではありません。娯楽映画として、普通に楽しめます。

最後のエンドロールが、普通の映画では下から上に流れますが、この作品では上から下に流れます。時間を遡ると言うことを表現しているのでしょうか?

タイトル NEXT-ネクスト-
原題 NEXT
日本公開年 2008年
製作年/製作国 2007年/アメリカ
監督 リー・タマホリ
出演 ニコラス・ケイジ(クリス・ジョンソン)、ジュリアン・ムーア(カリー・フェリス)、ジェシカ・ビール(エリザベス(リズ)・クーパー)、トーマス・クレッチマン(スミス)、トリー・キトルズ(キャバノー)、ピーター・フォーク(アーヴ)

[2008/04/26]鑑賞・投稿

大いなる陰謀(2007年)

2008年04月19日 | 洋画(アメリカ系)
9.11以降、アメリカの映画と言えば”テロとの戦い”がテーマになっていますが、これもその一つ。しかも、最近のアメリカの風潮を反映して、「テロ戦争とは何か?」と言うテロとの戦いへの疑問を明示する内容となっています。

「事件は会議室で起きているんじゃない! 現場で起きているんだ!」と言ったのは、『踊る大捜査線』での青島俊作ですが、会議室で戦争を指揮しようとしているのが、トム・クルーズ演じるアーヴィング上院議員。劇中、「ウェストポイントを主席で卒業した」と言うセリフがあることから、一応の軍勤務経験はあるようですが、同じように「歩兵の経験は?」と聞かれているのでは、会議室での戦争しか経験が無いようです。かなり若い上院議員という設定ですが、そのくらいの歳の上院議員は、本当普通にいるわけですから、アメリカの若さがうらやましいです。

メリル・ストリープ演じるロスは、TV局のベテラン記者。アーヴィング上院議員に呼ばれて、今回の作戦の背景などを個別に説明され、「マスコミも、開戦には喝采した。終戦にも協力すべきだ。」と言う趣旨の事を言われるわけですが、そもそも、自分に個別に説明した胡散臭さを感じ、ある意味”戦争の片棒を担ぐ”ことに疑問を感じ、報道を躊躇します。

ロバート・レッドフォード演じるマレー教授は、直接この二人との絡みは無いのですが、アーヴィング上院議員が企画した作戦に従事する兵士の恩師であると言う設定です。そして、勉学からドロップアウトしそうな優秀な学生との対話を通じ、戦争とは何かということを浮き彫りにしていきます。

基本は、この3人の登場人物で物語りは進みます。この他、アーヴィング上院議員の企画した作戦に従事している兵士(マレー教授の教え子)も、重要な脇役ではあります。

考えさせられる内容です。映画の最後も、何か解決すると言う終わり方ではなく、むしろ、何かを考えさせられる終わり方です。いやぁ、考えさせられました。

タイトル 大いなる陰謀
原題 Lions for Lambs
日本公開年 2008年
製作年/製作国 2007年/アメリカ
監督 ロバート・レッドフォード
出演 トム・クルーズ(ジャスパー・アーヴィング上院議員)、メリル・ストリープ(ジャーニン・ロス))、ロバート・レッドフォード(スティーブン・マレー教授)

[2008/04/19]鑑賞・投稿

フィクサー(2007年)

2008年04月13日 | 洋画(アメリカ系)
弁護士事務所の”もみ消し屋”マイケル・クライトン。永年所属する事務所がかかわる農薬会社の薬害集団訴訟。製薬会社側有利の条件で和解しようとしたとき、その全てを覆す暴露が行われようとしていた。もみ消し屋のマイケルにもみ消し依頼が来るが、それにより彼自身も大きな陰謀の渦に巻き込まれていった・・・。

ジョージ・クルーニー製作総指揮の作品。ジョージ・クルーニーは、このところ、出演&製作総指揮というのが多いですね。これもその一つです。ジョージ・クルーニーが製作に関わる作品は社会派の作品が多いんですが、これも社会派・硬派の内容です。でも、彼がそう言うように関わった作品って、結構難解だったり、一癖あったりするんですよねぇ。これはその中でも判り易い方です。

薬害集団訴訟は、時折、日本でも発生して問題になっていますね。大企業相手の集団訴訟は、原告側の苦労がいろいろと語られることもありますが、この映画のような”汚い”手も使われるのは、想像に難くありませんね。この映画で、”フィクサー”と言う言葉が、アメリカの法曹界での ”もみ消し屋” の隠語だと初めて知りました。

とってもアメリカ的な印象の映画です。勝てば官軍と言うことなんでしょうね。勝つためには何でもアリ。一応、最後にケリは付くんですが、スッキリしたケリではありません。何か、むなしい感じの結末です。あえてそう言う雰囲気の結末なんだと思いますが。

原題は ”Michael Clayton”です。作家のマイケル・クライトンと日本語での発音は同じですが、作家の方のスペルは ”Michael Crichton” です。

タイトル フィクサー
原題 Michael Clayton
日本公開年 2008年
製作年/製作国 2007年/アメリカ
製作総指揮 スティーブン・ソダーバーグ
監督・脚本 トニー・ギルロイ
出演 ジョージ・クルーニー(マイケル・クライトン役&製作総指揮)、トム・ウィルキンソン(アーサー・イーデンス)、ティルダ・スウィントン(カレン・クラウダー)、シドニー・ポラック(マーティ・バック役&製作)、マイケル・オキーフ(バリー・グリッソン)

[2008/04/13]鑑賞・投稿

ブラックサイト(2008年)

2008年04月12日 | 洋画(アメリカ系)
インターネット上に突如、猫の虐待を中継するサイトが開設された。その名も”killwithme.com”。インターネットを介して衆人が監視する中、猫は衰弱死した。しかし、事件は猫だけでは済まなかった。次に現れたのは、流血する男性。しかも、サイトへのアクセス数が増えると、男性の死が早まると言う非常に冷酷・残酷な仕組みで・・・。

時折、日本でも残酷映像のニュースが出るので、あながち、荒唐無稽の話ではないと思えるところが物凄く怖い。しかも、その殺す方法が、ジワジワと殺すと言う非常に残酷な方法。結構グロいです。R15指定も納得です。

実は、ダイアン・レインの出る映画って、あんまり見たことが無いんです。こんな大女優なのに、何でだろう? ダイアン・レインも良いですが、それよりボックス刑事役のビリー・バークが結構いい味出しています。得てして、こう言うときって、劇中で主役の女性キャラと助演の男性キャラが良い仲になってしまったりもするんですが、この作品ではそう言うことはありません。その意味では、好感です。

捜査の途中で大事な仲間が死んだり、マーシュ捜査官自身が最後に狙われたりと、その意味では基本にとっても忠実なプロットです。ピンチの脱し方は、ちょっと気に入りませんが。しかし、内容が内容だけに、万人受けする映画ではありません。デート向けでもないです。英語の原題は”Untraceable”。こっちの方が映画の内容を適切に表しているような気もします。

タイトル ブラックサイト
原題 Untraceable
日本公開年 2008年
製作年/製作国 2008年/アメリカ
監督 グレゴリー・ホブリット
出演 ダイアン・レイン(ジェニファー・マーシュFBI捜査官)、ビリー・バーク(エリック・ボックス刑事)、コリン・ハンクス(グリフィン・ダウドFBI捜査官)

[2008/04/12]鑑賞・投稿

クローバーフィールド/HAKAISHA(2008年)

2008年04月05日 | 洋画(アメリカ系)
『嘗て「セントラルパーク」と呼ばれていた場所、U-447地区で回収されたアメリカ国防総省デジタル記録#USGX-8810-B467』と言う設定の映画。という事は、アメリカは、まだ、どこかに存続していると言うことですね、多分。それとも、破壊されたのはニューヨークだけ?

観客は、その国防総省の記録映像を見ている関係者と言う設定(?)と理解することが出来ます。なので、後述の通り、映像を見てもナゾは解決しません。(∵これは、記録映像だから)しかもその映像は、素人のハンディカメラ映像に似せた撮影法をとっており、画面が物凄く揺れます・ぶれます。その為「気分が悪くなる人がいる」などの警告が為されている映画です。私は途中時々、思わず目を瞑って、具合が悪くならないように警戒しなければなりませんでした。その為、途中重要な映像の見落としがあるんじゃないかと、心配(?)です。

85分と言う非常に短い映画ですが、警告の通り、かなり画面が揺れるので、あれ以上は不可能でしたね。ほぼ適切な時間です。最後のクロージングの音楽は、ゴジラを髣髴させる低音を生かした音楽。多分、ゴジラを意識したんでしょうね。

はっきり言って、映画を見終わっても、ナゾは全く解決しません。むしろ、ナゾは増したという方が正しいでしょう。実際、終わりのときに、周囲から「え? アレで終わり?」と言う声がしていたほど。うーん、ナゾが謎を呼び、全然スッキリしませんね。

突っ込みどころは、当然あります。まず、撮影に使ったのはデジタルビデオカメラと言う設定ですが、あれだけ長時間、よくバッテリーが持ちますね。途中、ライトを付けたりもしているのにね。7時間くらい、バッテリーが持ったことになっています。他には、重装備の(多分)州兵部隊の市街地への展開が、異常に速かったこと。9.11の時の立ち上がりの遅さが指摘されている米軍ですが、事件が発生して、ものの数十分で到着した感じなんですけど? 9.11で即応性が強化されたと言う設定なのでしょうか?

さて、最後の結末が、かなり”アレ”な訳ですが、これは、製作のJ.J.エイブラムスの考えている5本ある企画のうちの第一弾らしいので、今後、謎は明かされているのでしょうか?

タイトル クローバーフィールド/HAKAISHA
原題 Cloverfield
日本公開年 2008年
製作年/製作国 2008年/アメリカ
監督 マット・リーヴス
製作 J.J.エイブラムス
出演 マイク・ヴォーゲル(ジェイソン)、リジー・キャプラン(マリアナ)、マイケル・スタール=デヴィッド(ロブ・ホーキンス)、オデット・ユーストマン(ベス・マッキンタイア)

[2008/04/05]鑑賞・投稿