勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

007 スペクター / Spectre

2015年11月29日 | 洋画(イギリス系)
公開日は12月4日なのですが、急遽、先行上映が決まったということなので、他の映画を見に行く予定にしていたのですが、早速変更してこちらに行ってきました。

007がダニエル・クレイグに変わってから思うんですが、ハードボイルドで良いですね。一番好きな007です。誰とは敢えて上げませんが、ニヤけた感じの077がひとり、ふたり・・・。そう言うのはイマイチ。ダニエル・クレイグが、今回をもって007を辞めるという噂もありますが、辞めないで欲しいなぁ。もっと彼で行って欲しいです。

とは言え、一部に「これは、007シリーズなのか?あるいは、ボーン・シリーズなのか?」と言われるほど、激しいアクションシーンが満載です。007シリーズは、もちろんアクションはありますが、それは売りというと言うことでは(いままでは)無いので、そこは賛否有るのかもしれません。

今回は、007の永遠の敵スペクターが描かれています。そういう意味では、冷戦終結後、こう言うエスピオナージ作品は敵を誰にするのかが難しくなり、どの作品も苦労していますね。でも、テロ集団とか色々あるんじゃないですかね?スペクターもテロ集団ですが、もっとねぇ、『あれ』なテロ集団がね。ところで今回、スペクターを描くに際して、スペクターに関する著作権を購入して映画化したそうです。007シリーズは、残念ですが権利が複雑に絡み合っていますからねぇ、致し方無いところでしょうか。

今回のボンドガールは、モニカ・ベルッチ(ボンド“レディ”と本人は言っています)とレア・セドゥ。でもモニカ・ベルッチの方は、そんなにたくさん出てきません。もっぱら、レア・セドゥですね。今回のレア・セドゥのキャスティングに際しては、監督のサム・メンデスは「ただ若いということではなく人の悲哀を出せる女優(意訳)」を求めていたらしく、そういう意味ではレア・セドゥはピッタリ。劇中の切ない表情、007を睨む表情、何れもなんとも素晴らしいです。でもねぇ、007が愛する女性は不幸なことになることが多いので・・・。ダニエル・クレイグでの続編があるのかはわかりませんが・・・。

直接ボンドガールの話とは関係しませんが、モニカ・ベルッチもレア・セドゥも、英語を母語とする人達ではありませんが、立派に英語での演技をこなしています。やっぱり、大女優というのは、英語での演技をこなさないと、ダメなんですね。

いやぁ、良かったです。って言うか、ダニエル・クレイグの007は繋がっているので、以前の作品から見直したくなりました。

タイトル 007 スペクター / 原題 Spectre

日本公開年 2015年
製作年/製作国 2015年/イギリス・アメリカ
監督 サム・メンデス
出演 ダニエル・クレイグ(ジェームズ・ボンド)、クリストフ・ヴァルツ(フランツ・オーベルハウザー)、レア・セドゥー(マドレーヌ・スワン)、モニカ・ベルッチ(ルチア・スキアラ)、レイフ・ファインズ(M)、ベン・ウィショー(Q)、ナオミ・ハリス(イヴ・マネーペニー)、アンドリュー・スコット(C(マックス・デンビー))、デビッド・バウティスタ(ヒンクス)、ロリー・キニア(ビル・タナー)、イェスパー・クリステンセン(ミスター・ホワイト)、ステファニー・シグマン(エストレラ)

ローマに消えた男 / Viva la liberta

2015年11月23日 | 洋画(イタリア系)
イタリア統一選挙が差し迫る中、支持率が低迷している野党の書記長が失踪。窮地に陥った書記長の腹心は、書記長の双子の兄弟を担ぎだして、難局を乗り越えようとする・・・。

そう言うあらすじだと、もう少し、ドタバタして喜劇的に描かれても良いと思うのですが、意外や意外ドタバタ喜劇的ではありません。意外に、深いテーマが、非常に上手く描かれています。

何と言っても、一人二役のトニ・セルビッロですかねぇ。エンリコは現在の問題にひとりで深く悩む感じであったのに対し、ジョバンニはエンリコと違い、ウィットに富んだコメントを多発するちょっと“危険な“キャラ。全く違うキャラを、非常に上手く演じきっています。いやぁ、見事。彼の見事な演技があるんで、この作品が成り立つんですよね。

それと中々意味深だったのが、ラスト。あれは一体・・・と言う感じで終わります。いやぁ、観客に考えさせるという演出ですが、まんまと考えさせられますねぇ(笑)。あんまり書くと、ネタバレになってしまうのでかけませんが、元に戻ったとする解釈と、実は・・・と言う解釈の二通りの解釈が可能です。

って言うか、どちらかと言うと、後者?

タイトル ローマに消えた男 / 原題 Viva la liberta

日本公開年 2015年
製作年/製作国 2013年/イタリア
監督 ロベルト・アンド
出演 トニ・セルビッロ(エンリコ・オリベーリ、ジョバンニ・エルナーニ)、バレリオ・マスタンドレア(アンドレア・ボッティーニ)、バレリア・ブルーニ・テデスキ(ダニエル/エンリコの友人)、ミケーラ・チェスコン(アンナ・オリベーリ/エンリコの妻)、アンナ・ボナイウート(イブリーナ・ピレッジ)、エリック・グエン(ムング/ダニエルの夫)

Re:LIFE リライフ / The Rewrite

2015年11月22日 | 洋画(アメリカ系)
昔ヒットを飛ばしたことのある今は落ちぶれた脚本家が、大学の講師になり脚本を教えることから、自らの事も見つめなおすという物語。

ヒュー・グラントの本領発揮ですね~。何となく頼りにならない、ダメ男というか、イケメンを演じています。って言うか、そのダメ男を支えるホリーが良いのかな。あの位置に彼女が居ないと、物語は成立しなかったと思います。

でもJ・K・シモンズって、芸達者ですね。『セッション(Whiplash)』で見せた、狂気をも感じさせる演技とは違う、家庭を重んじる良い夫を演じています。直ぐ泣くってねぇ(笑)

全般としては、安心してみることが出来る、典型的(?)ラブコメです。安心して見ることが出来て良いです。これは無駄にひねるよりも、こう言う風にストレートに進んでいった方が良いんでしょうね。

タイトル Re:LIFE リライフ / 原題 The Rewrite

日本公開年 2015年
製作年/製作国 2014年/アメリカ
監督 マーク・ローレンス
出演 ヒュー・グラント(キース・マイケルズ)、マリサ・トメイ(ホリー・カーペンター)、ベラ・ヒースコート(カレン・ギャブニー)、J・K・シモンズ(ハロルド・ラーナー/学科長)、クリス・エリオット(ジム・ハーパー/教授、キースの隣人)、アリソン・ジャネイ(メアリー・ウェルドン/教授、倫理委員会委員長)

FOUJITA

2015年11月22日 | 邦画
日本生まれの画家・彫刻家、藤田嗣治(フランス名:レオナール・フジタ)の生涯を描いた作品。

正直・・・、微妙?明示的にはなっていませんが、暗示的には藤田嗣治のパリでの生活編と、日本での生活編と言う構成です。でもねぇ、いきなり何の前触れもなく、パリから日本に来ていたし、そもそも、パリでの生活においても、前後のシーンの関係性や、登場人物への関係性が全く語られていません。日本編で、その一部は明らかにされますが・・・。私はたまたま、見に行く前に藤田嗣治の事をWikipediaで検索して勉強していたので、何となくは、登場人物がわかりましたが、事前の知識がなければ、チンプンカンプンでは無いかと思います。

もっと脚本を練ってくれていて、もっと前後関係がきちんと描かれていれば、もっと内容が分かりやすかったと思うんですが、シーン・シーンの断片が、羅列的に出てきてはなんとも・・・。「いま何をやっているの?」とかが全くわかりません。シーン自体は、けっこう良い画が取れていると思うんですが、そのシーンの意味がわからない。それと、その後の話とは無関係な画とかでてきてもねぇ。「その後の伏線?」と思っても違うみたいだし。

そういう意味では、日本編になって、中谷美紀が出てきて、やっとシーンの前後関係が判るようになって、少しは物語らしくなったと思ったら、最後は何???イキナリのファンタジー???

う~ん、なんと言うか、評価に困る作品です。一つ言えることは、脚本をもっと作りこんだほうが良かったんじゃないかな。

タイトル FOUJITA

日本公開年 2015年
製作年/製作国 2015年/日本・フランス
監督 小栗康平
出演 オダギリジョー(藤田嗣治)、中谷美紀(君代/嗣治五番目の妻)、アナ・ジラルド(ユキ・デスノス=フジタ、本名:リュシー・バドゥ/嗣治三番目の妻)、アンジェル・ユモー(キキ(モンパルナスのキキ)、本名:アリス・プラン)、マリー・クレメール(フェルナンド・バレエ/嗣治二番目の妻)、加瀬亮(寛治郎)、りりィ(おばあ)、岸部一徳(清六)

コードネーム U.N.C.L.E. / The Man from U.N.C.L.E.

2015年11月15日 | 洋画(アメリカ系)
1960年代にヒットした「0011ナポレオン・ソロ」を時代設定はそのままに、映画化した作品。9月にはキングスマンがあったし、12月には007もあるし、今年はスパイ映画が盛りだくさんです。

いやぁ、この時代に1960年台を再現するのは大変だったんじゃないですかね?車も懐かしのトラバントなんか準備しているし。それより何より、ベルリンの壁ですかね、ポイントは。セットだと思うんですが、流石にあまり大規模には出来ないと見えて、再現されていたのはごく一部でした。

それと、人々の風俗(服装、髪型、化粧)も見事に1960年台に見えました。特に、女性の化粧に時代を感じますね。いまも居るといえばいますが、あんなにバサバサと風を起こしそうなつけまつげ・・・(笑)。

U.N.C.L.E.とは“United Network Command for Law and Enforcement”の事。アメリカが絡んでいるからアンクルじゃ無いんだな。司令官は、イギリス人だし。冷静に考えてみると、スパイ映画にイギリスって避けられないですね。キングスマンはイギリス、007もイギリス、そして、このU.N.C.L.E.も現場の人間はアメリカとソ連だけど、司令官はイギリス・・・。イギリス凄いな。

「ナポレオン・ソロがスーパーマンに見えるなぁ」と思っていたら、ソロを演じているヘンリー・カビルって『マン・オブ・スティール』でスーパーマンを演じていたんですね。それともう一人のスパイ、イリヤ・クリヤキンの名前を言葉を聞くと、どうしても、NCISのダッキー・マラード=デヴィッド・マッカラムを思い出してしまいます。元祖は彼ですからね。

冷戦終結から20年以上経ってしまった今、不謹慎かもしれませんが、敵が判っていて、相互にそれなりにルールを守っていた冷戦って、平和だったんだなぁと思わずにいられません。昨日(2015/11/14)のルール無用のパリの同時多発テロを見ると、どうしてもそう思ってしまいます。

ちょっとまじめになってしまいましたが、映画作品としては面白かったです。続編を作ろうと思えば、いくらでも作ることが出来る終わり方でした。

タイトル コードネーム U.N.C.L.E. / 原題 The Man from U.N.C.L.E.
日本公開年 2015年
製作年/製作国 2015年/アメリカ
監督 ガイ・リッチー
出演 ヘンリー・カビル(ナポレオン・ソロ)、アーミー・ハマー(イリヤ・クリヤキン)、アリシア・ビカンダー(ギャビー(ガブリエラ)・テラー)、エリザベス・デビッキ(ヴィクトリア・ヴィンチグエラ)、ヒュー・グラント(アレキサンダー・ウェーバリー)、ジャレッド・ハリス(サンダース)、ルカ・カルバーニ(アレグザンダー)、シルベスター・グロート(ルディ)、クリスチャン・ベルケル(ウドー)、ミシャ・クズネツォフ(オレグ)

ミケランジェロ・プロジェクト / The Monuments Men

2015年11月08日 | 洋画(アメリカ系)
事実に基づいた作品。

事実に基づいてはいますが、映画化に際して登場人物は架空の人物にされ、物語も脚色されています。なので、戦争映画のシリアスな感じは無く、完全に娯楽寄り。全体のトーンとして“娯楽活劇”と言う言葉がぴったりな感じです。でも、事実に基づいた内容なので、完全に弾けることが出来るわけでもなく、ちょっとどっちつかずだったかも。なので、事実をベースにしたものの、登場人物が架空の人物になったり、話も色々と盛られたりしているので、評論家の評判がイマイチみたいですね。若干“娯楽活劇”と言う古い空気を感じるものの、私は嫌いじゃないです。

ビル・マーレイが演じたリチャード・キャンベルのモデルとなったロバート・ケリー・ポージーとジョン・グッドマンが演じたウォルター・ガーフィールドのモデルとなったウォーカー・カークランド・ハンコックが居なければ、フェルメールの《天文学者》は、この世に無かったかもしれないのか。《天文学者》は見たことがあるので、ロバート・ケリー・ポージーとウォーカー・カークランド・ハンコックの二人に大感謝です。

ところで、この作品は、本来2014年の秋ごろに公開予定だったんですが、理由不明のままに2014年の公開は中止に・・・。そのまま日本公開はお蔵入りかと思っていたんですが、配給元と20世紀FOXからプレディシオに変えて、公開にこぎつけました。アメリカ本国でも、公開予定日が後ろにずれたみたいですね。何があったのか・・・?

「事実と違うじゃないか!」とか目くじらを立てることはなく、史実にインスパイアされた“娯楽活劇”と言う事で、良いと思います。

タイトル ミケランジェロ・プロジェクト / 原題 The Monuments Men
日本公開年 2015年
製作年/製作国 2014年/アメリカ
監督 ジョージ・クルーニー
原作 ロバート・M・エドゼル 『ミケランジェロ・プロジェクト』
出演 ジョージ・クルーニー(フランク・ストークス/ハーバード大学付属美術館館長:モデル=ジョージ・スタウト)、マット・デイモン(ジェームズ・グレンジャー/メトロポリタン美術館主任学芸員:モデル=ジェームズ・J・ローリマー)、ケイト・ブランシェット(クレール・シモーヌ/ジュ・ド・ポーム国立美術館学芸員:モデル=ローズ・ヴァラン)、ビル・マーレイ(リチャード・キャンベル/シカゴの建築家:モデル=ロバート・ケリー・ポージー)、ジョン・グッドマン(ウォルター・ガーフィールド/彫刻家:モデル=ウォーカー・カークランド・ハンコック)、ジャン・デュジャルダン(ジャン=クロード・クレルモン/フランス人美術商)、ボブ・バラバン(プレストン・ザヴィッツ/美術史学者、舞台興行主:モデル=リンカーン・カースティン)、ヒュー・ボネビル(ドナルド・ジェフリーズ/イギリス人歴史家:モデル=ロナルド・エドマンド・バルフォア)、ディミトリー・レオニダス(サム・エプスタイン/ドイツ系アメリカ人兵士。通訳兼運転手:モデル=ハリー・エトリンガー)

エベレスト 3D / Everest

2015年11月07日 | 洋画(アメリカ系)
1996年に発生した『エベレスト大量遭難事故』を描いた作品。

3Dでの作品です。この作品を3Dにする意味はちょっと良くわかりませんが、臨場感を増すということなんですかね。3Dで無くても、あの映像は十分に迫力はありました。

この事故の時、日本人が遭難していたと言うことは知りませんでした。しかも女性で、日本人として田部井淳子さんに次いで2人目の七大陸最高峰登頂者だったとはね。田部井淳子さんや今井通子さんは有名ですが、難波さんの事は寡聞にして知りませんでした。普通の会社員をしながら、登山費用は自分の給料で賄っていた方ということで、努力家であったんですね。

ところで、今回その難波靖子さんを演じた森尚子って、トーチウッドに出ていた人ですよね。久しぶりに活躍している姿を見ました。ほとんどセリフはありませんでしたが(苦笑)。

既に指摘されている事でもありますが、商業登山の難しさを垣間見ました。劇中、クレバスに架かる橋で渋滞した時のクラカワーのセリフに「65000ドルも払っているんだから、渋滞させるな」と言う趣旨のものが有るんですが、そう言われちゃったらねぇ。登山というものはそういう物ではないと思うんですが、“お金を払う者、お金を貰う者”と言う存在があると、そうなっちゃいますよね。それと、遭難の原因の一つとも考えられる、ダグ・ハンセンに対して、登頂断念を強制できなかったということ。これも、お金を貰っているという事があるんで、強くは出られなかったと言う事もありそうな気がします。それに、隊員たちの技量もバラバラに感じましたね。公募隊ではなく、山岳会などの登山パーティであっても遭難は避けられなかったかもしれませんが、少なくとも技量は平準化されるでしょうし、隊長の指揮権ももう少し強かったのではないかと思います。

基本的には、事実を描いているので、ドラマティックな出来事はありません。って言うか、不謹慎かもしれませんが、この遭難事故自体がドラマティックであると言えると思います。それにしても、終わりはちょっと唐突。カットアウトされた感じです。あれはもう少し、何とかならなかったですかね。

そういえばエベレストって、2014年には大雪崩、2015年にも地震に伴う雪崩で、大遭難が起きているんですよねぇ。こればかりは、時代が進んでいったからといって、安全になるものでは無いですね。自然は偉大で、怖い。

タイトル エベレスト 3D / 原題 Everest
日本公開年 2015年
製作年/製作国 2015年/アメリカ・イギリス
監督 バルタザール・コルマウクル
出演 ジェイソン・クラーク(ロブ・ホール/アドベンチャー・コンサルタンツ隊(以下AC隊)隊長)、ジョシュ・ブローリン(ベック・ウェザーズ/AC隊)、ジョン・ホークス(ダグ・ハンセン/AC隊)、森尚子(難波康子/AC隊)、マイケル・ケリー(ジョン・クラカワー/AC隊)、ティム・ダンティ(ジョン・タースケ/AC隊)、マーク・ダーウィン(ルー・カンシケ/AC隊)、ディミトリ・ゴリトサス(スチュアート・ハッチスン/AC隊)、アン・フーラ・シェルパ(アン・ドルジェ/AC隊シェルパ)、キーラ・ナイトレイ(ジャン・ホール/ロブの妻)、ロビン・ライト(ピーチ・ウェザーズ/ベックの妻)、マーティン・ヘンダーソン(ハロルド・ハリス/AC隊ガイド)、サム・ワーシントン(ガイ・コター/AC隊ガイド)、トーマス・M・ライト(マイク・グルーム/AC隊ガイド)、エミリー・ワトソン(ヘレン・ウィルソン/AC隊チームマネージャー)、エリザベス・デビッキ(キャロライン・マッケンジー/AC隊チームドクター)、ジェイク・ギレンホール(スコット・フィッシャー/マウンテン・マッドネス隊(以下MM隊)隊長)、イングバール・E・シーグルズソン(アナトリ・グフレーエフ/MM隊ガイド)、トム・ゴールドマン=ヒル(ニール・ベイルドマン/MM隊ガイド)、ペンバ・シェルパ(ロプサン・ジャンブ/MM隊シェルパ)、バネッサ・カービー(サンディ・ヒル・ピットマン/MM隊)、マイカー・A・ハウプトマン(デイビッド・ブルーシャーズ/IMAX隊)、クライブ・スタンデン(エド・ビエスチャーズ/IMAX隊)

エール! / La famille Bélier

2015年11月03日 | 洋画(フランス系)
ネタバレあり。

フランス映画祭2015(日本)観客賞<最高賞>、2015年セザール賞最優秀新人女優賞(ルアンヌ・エメラ)、2015年リュミエール賞最優秀新人女優賞(ルアンヌ・エメラ)・最優秀主演女優賞(カリン・ビアール)をそれぞれ受賞。

父も母も弟も耳が聞こえない家族でひとりだけ健聴者の少女が、歌声に類まれなる才能を見出され、パリの音楽学校への進学を勧められる・・・。

良いです!
フランス映画祭2015(日本)で観客賞<最高賞>を受賞したのも納得です。って言うか、ポーラを演じたルアンヌ・エメラが、セザール賞・リュミエール賞で受賞したのが【新人】女優賞で、ポーラの母を演じたカリン・ビアールがリュミエール賞で【主演】女優賞なんですが、この作品って、ルアンヌ・エメラが主演じゃないの?どう見ても、どう考えてもカリン・ビアールは主演じゃないと思うんですが・・・。新人女優賞と主演女優賞のダブル受賞は敢えて避けたんですかね?ルアンヌ・エメラは、主演女優賞にも匹敵しますよ。

圧巻なのが、最後のオーディションシーン。「良い選曲でした」と言う審査員のセリフもありましたが、正にそうですよね。ポーラが心をこめて、家族に向けて歌うシーンは、ジーンと来て、泣きそうになってしまいましたよ。ありゃ泣くよ、ホント。

そうそう。これは、障害者の自立を描いた話と言う側面もあるかなと思います。ポーラがパリに行ってしまうと、残された家族は(みんな耳が聴こえないので)日常生活が中々やりにくくなると思うんですが、最後は渋っていた家族もポーラのパリでの活躍を願って最終的には送りだしています。ポーラの自立とともに、家族も自立するという所が、この物語のいいところなんじゃ無いかなと思いました。

ポーラ以外の家族は父母弟全員が耳が聴こえないと言う事で、それが故に人とのコミュニケーションがもどかしく感じるところもあるんですが、それを逆手に取ったコミカルな演出もあります。実際、笑いが起きるシーンが所々ありました。ああ言う、ちょっと皮肉っぽい所が、フランスのエスプリなんでしょうか。

大事なことなので二回書きます。良いです!

タイトル エール! / 原題 La famille Bélier
日本公開年 2015年
製作年/製作国 2014年/フランス
監督 エリック・ラルティゴ
出演 ルアンヌ・エメラ(ポーラ・ベリエ)、カリン・ビアール(ジジ・ベリエ/母)、フランソワ・ダミアン(ロドルフ・ベリエ/父)、ルカ・ジェルベール(カンタン・ベリエ/弟)、エリック・エルモスニーノ(ファビアン・トマソン/音楽教師)、ロクサーヌ・デュラン(マチルダ/ポーラの友人)、イリアン・ベルガラ(ガルリエル・シュヴィニヨン/コーラスコースの生徒)

1001グラム ハカリしれない愛のこと / 1001 Grams

2015年11月01日 | 洋画(その他)
第27回東京国際映画祭コンペティション部門出品。アカデミー賞外国語映画部門ノルウェー代表に選出。

ノルウェー国立計量研究所に勤務する計測のプロが、自分の人生は思い通りに“計測”出来ず思い悩み、人生を見つめなおす物語。

劇中「人の魂の重さ」に言及するシーンが有るんですが、実際に、人の死亡前後などの重量を測定してみると、死んだ時に抜けるガスや液体など、様々な現象を考慮しても、どうしても説明できない誤差があるらしく、それが『魂の重さ』と言われていたりします。この作品では、遺灰を測定するときにその重さを感じさせる様な演出がなされていますが、それはちょっと違うよねぇ。だって、遺灰にするときに全て抜けてるじゃん。まぁ、そんなツッコミは良いとして、厳密に計量することを旨とするノルウェー国立計量研究所に関わる話としては非常に興味深い話だと思いました。

それともう一つ。時間(秒)や長さの定義は、地球を基準とするとゆらぎや誤差の影響を免れないので、現代では物理現象を基準とするようになっているのですが、重さだけはまだキログラム原器に依っているんですよねぇ。だからこの物語のように、キログラム原器の破損(!)の様な出来事が描けるわけです、ただこれも、劇中で描かれているように、より確からしい物理定数による定義に変えようとはしているようで、それが実現されれば、この物語のようなことはなくなってしまいます。

どちらも実在する「ノルウェー国立計量研究所」と「国際度量衡局」での撮影されています。「国際度量衡局」って、あんな瀟洒な建物なんですね。いやぁ、国際的な研究機関とは思えないです。逆に、「ノルウェー国立計量研究所」はスタイリッシュ。それでいて機能美を感じさせる建物でした。

「計測」と言う事を描いた物語だからなのか、あるいは、ノルウェーと言うお国柄なのか、非常に淡々と物語が進みます。それだけに、主人公の人生の思い悩みを感じるような気がしました。

タイトル 1001グラム ハカリしれない愛のこと / 原題 1001 Grams
日本公開年 2015年
製作年/製作国 2014年/ノルウェー・ドイツ・フランス
監督 ベント・ハーメル
出演 アーネ・ダール・トルプ(マリエ・アーンスト)、ローラン・ストーケル(パイ)、スタイン・ビンゲ(アーンスト・アーンスト/マリエの父)