勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

アイアン・スカイ / Iron Sky

2012年09月30日 | 洋画(その他)
制作のための予算確保に苦労していた所、ファンからの寄付が1億円も集まったと言う曰くつきの作品。

ナチの残党が、第二次大戦終了時に南米に逃げたという設定の映画に『ブラジルから来た少年』と言う作品がありますが、これは南米どころか、月の裏側までナチの残党は逃げてしまっています。そこで、独自に科学開発が行われているんですが、やっぱり、スティーブ・ジョブズの居ない月面では、iPhoneやiPadは実現していないんですね(笑)。でも、作中、月面ナチたちがスマホを指しながら、自分たちの作ったコンピュータよりも遥かに高性能だというのは、ある意味本当の話。アポロの頃のコンピュータよりも今のケータイ・スマホの方が遥かに計算能力が高いですからね。

ナチの残党という事だけでも充分パロディですが、アメリカ合衆国の大統領がサラ・ペイリンを思わせる容姿と言動で有ることも、パロディと言う作品設定に深みを(?)もたせています。いやぁ、そこは本当に映画(しかもB級映画)の中だけにして欲しいです。時代設定が、2018年と意外に近いのが怖いです。

その他、国連もパロディにされています。ただ、その際フィンランドだけ、宇宙条約を順守している設定だったんですが、製作国だからだったんですね。自国を悪くは言わないか。あと、宇宙空間での戦闘で、日本船が特攻攻撃するのはお約束なんでしょうかね?某国の事に触れるのは止めておきます。でも、諸国からはそう思われているのかもしれませんね。

製作国にドイツが入っているんですが、良く許可されたと思いました。ドイツにおいて、ナチは一律忌避では無いと言うことなんでしょうね。内容がナチ礼賛ではないので、大丈夫だったという事なんでしょうね。

設定は荒唐無稽で、ある意味、いや、そのままストレートにB級映画ではあるものの、見てみると、1億円を集めたと言うこともわかります。なんか、バカバカしい話が好きそうな人たちを惹きつける魅力を感じました。後編あるいは前日譚の作成も決定しているらしいです。

タイトル アイアン・スカイ / 原題 Iron Sky
日本公開年 2012年
製作年/製作国 2012年/フィンランド・ドイツ・オーストラリア
監督 ティモ・ヴオレンソラ
出演 ユリア・ディーツェ(レナーテ・リヒター)、ゲッツ・オットー(クラウス・アドラー)、ウド・キア(ウォルフガング・コーツフライシュ/総統)、ティロ・プリュックナー(リヒター博士)、ペーター・サージェント(ヴィヴィアン・ワグナー)、ステファニー・ポール(アメリカ合衆国大統領)

[2012/09/30]鑑賞・投稿

ボーン・レガシー / The Bourne Legacy

2012年09月29日 | 洋画(アメリカ系)
『ボーン・アイデンティティー』『ボーン・スプレマシー』『ボーン・アルティメイタム』に繋がる、CIAの極秘プログラムを描いた映画。本来の原作に、同じ『ボーン・レガシー』と言うタイトルの作品もありますが、この作品はその原作をベースにしておらず、全く別の物語となっています。

Wikipediaなどによれば、元々は原作の『ボーン・レガシー』を下にした作品化が進められていたものの、監督のポール・グリーングラスの降板などにより、原作の映画化は断念。タイトルは『ボーン・レガシー』と変わらないものの、ジェイソン・ボーンが出てこない作品となったようです。

時間軸で言うと、『ボーン・アルティメイタム』の頃の話になっています。裏側(表側?)では、ジェイソン・ボーンをパメラ・ランディーやノア・ヴォーゼンがNYで追いかける作戦が進んでいる反対側で、全くの異なる作戦が進行しているという事になっています。いやぁ、二正面作戦とはCIAのも大変だ(苦笑)。

ジェレミー・レナーを初めて見たのは『ハート・ロッカー』だったりします。この作品では、作品にリアリティを出すために、まだあまり有名ではない俳優を使ったという話もあり、確かに、この頃はまだジェレミー・レナーの事はあまり知りませんでしが、その後『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』に出たりと、どんどん売れて行っていますねぇ。どれも、マッチョと言うか、戦闘要員的な役どころ。彼は、そう言う役が得意と言うことなんでしょうか。

監督が変わったこともあり、何となく、これまでのボーンシリーズとは違った雰囲気に仕上がっています。サスペンス感は、ポール・グリーングラス作品の方が、上かなぁ。まぁ、これはこれで、アクション映画としては面白いと思いますけどね。

結末が付いていません。ジェレミー・レナーによる、ボーンシリーズも、もう数作作られる模様です。

タイトル ボーン・レガシー / 原題 The Bourne Legacy
日本公開年 2012年
製作年/製作国 2012年/アメリカ
監督 トニー・ギルロイ
出演 ジェレミー・レナー(アーロン・クロス)、レイチェル・ワイズ(マルタ・シェアリング)、エドワード・ノートン(リック・バイヤー)、デヴィッド・ストラザーン(ノア・ヴォーゼン)、ジョアン・アレン(パメラ・ランディ)、アルバート・フィニー(アルバート・ハーシュ)、スコット・グレン(エズラ・クレイマー)、ジェリコ・イヴァネク(ドナルド・フォイト)、ステイシー・キーチ(マーク・ターソ)、コリー・ストール(ゼヴ・ヴェンデル)、ルイ・オザワ(LARX-03)

[2012/09/29]鑑賞・投稿

鍵泥棒のメソッド

2012年09月17日 | 邦画
何らかの事故で、人が入れ替わってしまうと言うテーマの映画・物語・テレビドラマは数多あります。また、人の人生を奪い取ってしまうというテーマの映画・物語・テレビドラマも数多あります。この作品は、その両方の要素を組み入れたラブコメと言えば良いのでしょうか?いきなり小難しい事を書いてしまいましたが、要するに、記憶を失った男とその記憶を失った男のフリをする男。そこに、婚活中の(ちょっとピンぼけな?)女性が現れた事から始まる、ラブコメです。

テレビインタビューで「見所は?」と聞かれた香川照之が、「(自分の)フルヌードです(笑)。」と言っていますが、そのフルヌードのジャンピングシーンは見事。プロダクション・ノートによれば、まずは裸で香川のジャンピングシーンを撮り、それに風呂場のシーンを合成して作った画像だそうですが、香川はヌードのためにワイヤーで吊ることも出来ず、あのジャンプは香川の演技だそうです。凄い。って言うか、香川照之は、やっぱ芸達者ですね。

広末涼子の、ちょっとピントのズレている婚活女性は面白いです。って言うか、現実にあんな女性がいたら、そりゃぁ、婚活大変だろうなと思います(失礼)。広末涼子って、ラブコメ行けるんですね。結構いい味出していました。

堺雅人と言えば、『ゴールデンスランバー』での巻き込まれ系ヒーロー?が結構いい味出していましたが、こちらの作品は、巻き込まれ系と言うより、自分で創りだした状況のヤバイ系ですが、結局かわいそうな状況に陥ってしまうのは、結構似合っています。なんか、線が細そうな感じがいいんですかね。でも、ラストの堺雅人演じる桜井が、ある女性の胸をキュンキュン言わせている件は、ちょっとなぁ。あの女性とは、それまでの間の絡みが少なすぎると思います。無理やり胸キュンを演出したかったからですかね。

いやぁ、面白かったです。楽しい映画で、良いと思います。

タイトル 鍵泥棒のメソッド
日本公開年 2012年
製作年/製作国 2012年/日本
監督 内田けんじ
出演 堺雅人(桜井武史)、香川照之(コンドウ・山崎信一郎)、広末涼子(水嶋香苗)、荒川良々(工藤純一)、森口瑤子(井上綾子)

[2012/09/17]鑑賞・投稿

天地明察

2012年09月16日 | 邦画
第7回本屋大賞を受賞した『天地明察』が原作。

確かに『天地明察』を原作にしているものの、内容はだいぶ違うかな。原作本が、安井算哲が数学・天文学に打ち込み、改暦を成すまでの鬼気迫る様子を描いているのに対し、映画では、確かに安井算哲が数学・天文学に打ち込んだ結果、改暦を成し遂げるという大筋では原作通りではあるものの、必要以上にコミカルに描いている様な印象。もう少し、真面目だったと思うんですけどねぇ。

松本幸四郎、中井貴一、市川猿之助、市川染五郎と言う錚々たる俳優陣の中、岡田准一、横山裕の二人は辛いなぁ。演技に深みが無いです。横山は、それ程出演シーンもなく、動きの少ない役どころだったのでまだいいかもしれませんが、岡田准一は主役ですからねぇ。松本幸四郎や中井貴一と一緒のシーンが多かっただけに、その演技力の差が如実にスクリーンに出てしまい、ちょっと残念。

逆に、岡田准一演じる安井算哲の妻えんを演じた宮崎あおいは、やっぱり凄い。まだまだ若いのに、あんなに凛とした武家の女が似合う人は、そう居ないと思います。宮崎あおいの演技力と、岡田准一の演技力のバランスが全然取れていないと言うことかな。でも、周囲の俳優陣の演技がすごいので、二人くらい演技がイマイチのが居ても、大丈夫だったのかもしれません。

先にも記しましたが、基本的には原作本『天地明察』に準じたストーリーですが、期待した感じとはだいぶ違います。そう言う意見が続出することを見越したのか、エンドロールに「天地明察を原作とするが、映画化に際して創作した部分もある」と言う意味合いの掲示が出ていました。それを言っちゃぁお終いなんだけどな。

原作を知ってると「えっ?!」と思うかもしれませんが、この作品を単体で見ると、映画としてはそれなりに楽しめます。まぁ、突っ込みどころは多いんですけどね。

タイトル 天地明察
日本公開年 2012年
製作年/製作国 2012年/日本
原作 冲方丁『天地明察』
監督 滝田洋二郎
出演 岡田准一(安井算哲/後の渋川春海)、宮崎あおい(村瀬えん/後に、算哲の妻)、中井貴一(徳川(水戸)光圀)、松本幸四郎(保科正之)、佐藤隆太(村瀬義益)、市川猿之助(関孝和)、笹野高史(建部伝内)、岸部一徳(伊藤重孝)、渡辺大(安藤有益)、白井晃(山崎闇斎)、横山裕(本因坊道策)、市川染五郎(宮栖川友麿)、きたろう(安井算知)、尾藤イサオ(本因坊道悦)、染谷将太(徳川家綱)、笠原秀幸(土御門泰福)、真田広之(ナレーション)

[2012/09/16]鑑賞・投稿

踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望

2012年09月14日 | 邦画
ネタバレ有り。

TVシリーズ開始から15年。ついに完結です。

ハッキリ言って前作『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』は、岡村隆史が出たり、小泉今日子が出たり、まさにオールスターキャストだった割には、実際には同窓会の域を出ずにイマイチだったわけですが、本作では、その反省もあったのか、ほぼオールスターキャストではあるものの、ちゃんと物語を作りこんでおり、見られる内容になっています。

それにしても、なるほどねぇ。小泉孝太郎は、登場当初は確か技官だったような気もするし、正直端役だったはずなんですが、今作品では意外に重要なポジションを得ています。加えて、真下の良き後輩だったと思っていたんですがねぇ・・・。

小栗旬の鳥飼誠一が・・・。小栗旬自身も、インタビューで言っていますが、鳥飼は踊る大捜査線のダークサイドなんだそうです。なるほど!『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』で初登場の時も、良い人を演じようとしている割に、ダークな雰囲気も感じていたので、今作品での鳥飼の立ち位置は納得がいきました。まさか、そこまで考えて前回登場した?

ぶっちゃけ、“警察行政人事院”なる荒唐無稽な設定もあり、突っ込みどころは多々あるんですが、前作があまりにもあまりにもだったので、FINALバイアスがあったととは否定しませんが、今作は見れました。

一言言っておきたいのが、フジテレビのTVCMは酷い!あのシーンを、ああ言う様に編集してTVCMに使うのか。酷すぎる。

「これで最後かぁ。」と感慨深い所もあります。しかし、出演者全員が、設定上昇格し、しかも、過去の登場人物の甥を出すようになってしまっては、これ以上物語を続けるのは難しいなと言うのが正直な所。そういう意味で、今回でFINALと言うのは本音でしょうね。

タイトル 踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望
日本公開年 2012年
製作年/製作国 2012年/日本
監督 本広克行
出演 織田裕二(青島俊作)、深津絵里(恩田すみれ)、ユースケ・サンタマリア(真下正義)、柳葉敏郎(室井慎次)、小栗旬(鳥飼誠一)、小泉孝太郎(小池茂)、香取慎吾(久瀬智則)、大杉漣(横山邦一)、津嘉山正種(池神静夫)、大和田伸也(安住武史)、内田有紀(篠原夏美)、伊藤淳史(和久伸次郎)、甲本雅裕(緒方薫)、川野直輝(栗山孝治)、滝藤賢一(王明才)、遠山俊也(森下孝治)、佐戸井けん太(魚住二郎)、小林すすむ(中西修)、北村総一朗(神田総一朗)、斉藤暁(秋山春海)、小野武彦(袴田健吾)、ムロツヨシ(倉橋大輔)、小松彩夏(女性警察官)、水野美紀(真下雪乃)、筧利夫(新城賢太郎)、真矢みき(沖田仁美)

[2012/09/14]鑑賞・投稿

デンジャラス・ラン / Safe House

2012年09月08日 | 洋画(アメリカ系)
36カ国の指名手配犯トビン・フロスト=デンゼル・ワシントン。“悪役”のデンゼル・ワシントンが見られます。

舞台は南アフリカのケープタウン。南アフリカと言う事で思い出すのが『インビクタス/負けざる者たち』や『第9地区』。『インビクタス/負けざる者たち』『第9地区』はヨハネスブルグが舞台ですが、こちらの『デンジャラス・ラン』の方は、ケープタウンが舞台。違いはありますが、共通している部分もあります。それは、貧困地区。この作品でも貧困地区は描かれていて、さながら『第9地区』。実際の黒人居住区に隣接してセットを作って撮影したそうです。

それにしてもねぇ。悪のデンゼル・ワシントン、中々凄いです。演技もそうですが、その仕草や、表情。特に、終盤見せる、ポスターにもなっている見返りながらの表情は、ゾッとする様な凶悪な表情です。そう言うのが見せられるのが、一流の証拠なんでしょうね。この作品、当然いろんな俳優・女優が出ていますが、デンゼル・ワシントンにすべてが集約されるんでしょうね。それほどデンゼルが良いです。それと、先に記したデンゼル・ワシントンの枕詞の『悪役』を“ ”で囲ったのには、理由が有るんですが、それは、人によって取り方が違うかもしれないかな。私は敢えて“ ”で『悪役』を囲う意味があると思いました。

内容的には、カーチェイス、銃撃戦、肉弾戦と、アクション満載。激しい&リアル。見応えがあります。もしかしたら、撮影の自由度で南アフリカが舞台になったんでしょうかね?

デンゼルが良いですが、冷静にストーリーを考えてみると、結構有りがちなストーリー。それを補って余りあるのが、デンゼルの演技と、派手なアクション何でしょうね。

タイトル デンジャラス・ラン / 原題 Safe House
日本公開年 2012年
製作年/製作国 2012年/アメリカ・南アフリカ
監督 ダニエル・エスピノーサ
製作総指揮 デンゼル・ワシントン
出演 デンゼル・ワシントン(トビン・フロスト)、ライアン・レイノルズ(マット・ウェストン)、ヴェラ・ファーミガ(キャサリン・リンクレーター)、ブレンダン・グリーソン(デヴィッド・バーロー)、サム・シェパード(ハーラン・ウィットフォード)、ノラ・アルネゼデール(アナ・モロー)

[2012/09/08]鑑賞・投稿

最強のふたり / Intouchables (Untouchable)

2012年09月01日 | 洋画(フランス系)
ネタバレ有り。

実話を下にした作品。2011年11月公開されたにもかかわらず、フランスでのその年の年間興収第1位となった作品。フランス国民の3人に1人が見たことになるという大ヒット作品。

笑いあり、涙は・・・無し。でも、ひと一人を描いたこの作品は、奥深いです。なんでゴロツキのドリスを雇ったのかと問われたフィリップの「彼だけは、私を対等に扱う」と言う言葉が、何か重いです。健常者って、障がい者に対して、何かしら同情すると言うか、憐れむというか、そういう気持ちを持って接してしまうところがありますが、出来ないことは出来ないと互いに認めながら、できる事は対等に扱うということが重要なんですね。

後半、ドリスが辞めてしまって以降のところで、冒頭のシーンに繋がります。なるほどね。また、その件がドリスの成長を感じさせました。

ドンパチだけが映画じゃないんですよ。やっぱりこう言う、人間を描いたものが映画なんですよ。なんてな。

タイトル 最強のふたり / 原題 Intouchables (Untouchable)
日本公開年 2012年
製作年/製作国 2011年/フランス
監督 エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ
出演 フランソワ・クリュゼ(フィリップ)、オマール・シー(ドリス)、オドレイ・フルーロ(マガリ)、アンヌ・ル・ニ(イヴォンヌ)

[2012/09/01]鑑賞・投稿