勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち / Smetto quando voglio: Masterclass

2018年05月27日 | 洋画(イタリア系)
社会からはじき出された学者が、スマートドラッグ製造で一発逆転の人生を狙った映画『いつだってやめられる 7人の危ない教授たち』の続編。

合法成分から合成されるスマートドラッグ蔓延に手を焼いていた警察が『蛇の道は蛇』『毒を以て毒を制す』と思ったのか、スマートドラッグ製造の咎で収監されていたピエトロ達に、条件を達成したら釈放・犯罪歴抹消と言う条件で、スマートドラッグ摘発をを行わせることから、この回は始まります。話の始まりとなる前作はまだ見ていませんが、中々面白い話。

たしかにな、科学者の知恵を使えば、ドラッグ製造は簡単に出来るでしょうね。この映画の科学者ギャング団は、優秀だけと定職には付けないと言う、いわばポスドクと言う設定の様です。日本でも、非正規科学者の問題が出てきていて、それによる研究不正と言う事件も起きていますが、それを面白おかしく、描いたと言う事になるのでしょうか。

ちょっと気になるのが、パオロ警部の設定。あの若さで、しかも女性であるのに警部って、優秀なんですね。優秀であるが故の自信家でもあるようですが。やっぱりこの辺りも、一作目を見ることが必要なようです。

どの位の人が気が付いたかわかりませんが、どうやらこの映画、次の作品があるようです。エンドロールで、次作の宣伝がされていました。そうだよなぁ。この終わり方だと、話に決着がついていないもんなぁ。次作も、日本で公開されることを期待です。

タイトル いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち / 原題 Smetto quando voglio: Masterclass

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2017年/イタリア
監督 シドニー・シビリア
出演 エドアルド・レオ(ピエトロ・ズィンニ/神経生物学者)、グレタ・スカラーノ(パオロ・コレッティ/警部)、バレリア・ソラリーノ(ジュリア/ピエトロの婚約者)、バレリオ・アプレア(マッティア・アルジェリ/解釈論的記号学者)、パオロ・カラブレージ(アルトゥーロ・フランティーニ/古典考古学者)、リベロ・デ・リエンゾ(バルトロメオ・ボネッリ/動学マクロ経済学者)、ステファノ・フレージ(アルベルト・ペトレッリ/計算化学者)、ロレンツォ・ラビア(ジョルジョ・シローニ/ラテン碑銘学者)、ピエトロ・セルモンティ(アンドレア・デ・サンクティス/文化人類学者)、マルコ・ボニーニ(ジュリオ・ボッレ/理論解剖学者)、ロザリオ・リスマ(ヴィットリオ/教会法学者)、ジャンパオロ・モレッリ(ルーチョ・ナポリ/メカトロニクスエンジニア)、ルイジ・ロ・カーショ(ヴァルテル・メルクリオ/工業化学者)

ゲティ家の身代金 / All the Money in the World

2018年05月26日 | 洋画(アメリカ系)
実話を下にした作品。

いやぁ、お金持ちはケチと言う話はありますが、実際そうなんですね。って言うか、ケチと言うか、あらゆる事で常人の理解を超えています。ジャン・ポール・ゲティの名前は、本当に名前だけ知っていましたが、当時世界最大の大金持ちで、しかも、ものすごいケチだったんですね。

そして、金持ちの息子はドラ息子を地で行くかの様な息子。誘拐されたのは、その息子の子で、ジャン・ポール・ゲティから見ると孫になります。この孫も、なんかドラ孫(って言う言葉あるのか?)ですけどね。

映画は、事実に脚色しているので、これがそのまま事実だとは思いませんが、中々ミステリアスな進行をします。うーん、こんな事があるんですねぇ。

この映画で避ける事が出来ないのが、セクハラ騒動とのかかわり。当初、ジャン・ポール・ゲティは、ケビン・スペイシーが演じていたんですが、例の“#MeToo”運動により、降番が決定。アメリカ公開が約1か月後に迫っていたのですが、クリストファー・プラマーがジャン・ポール・ゲティを演じ、9日間で再撮影して公開にたどり着いたと言う。いやぁ、作品の出来栄えを見ると、とても急な代役で、しかもたった9日間の再撮影とは思えない出来栄えですね。

そう言えば、この1970年当時、世界最大の石油会社でもあったゲティ石油ですが、いまは全く名前を聞きません。1985年に、テキサコに買収されていたのでした。

タイトル ゲティ家の身代金 / 原題 All the Money in the World

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2017年/アメリカ
監督 リドリー・スコット
出演 ミシェル・ウィリアムズ(アビゲイル(ゲイル)・ハリス)、クリストファー・プラマー(ジャン・ポール・ゲティ)、マーク・ウォールバーグ(フレッチャー・チェイス/ジャン・ポール・ゲティの部下、交渉人)、ロマン・デュリス(チンクアンタ)、ティモシー・ハットン(オズワルド・ヒンジ)、チャーリー・プラマー(ジャン・ポール・ゲティ3世)、アンドリュー・バカン(ジャン・ポール・ゲティ2世/アビゲイルの元夫)

ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた / Stronger

2018年05月13日 | 洋画(アメリカ系)
実話に基づいた物語。

2013年4月15日のボストンマラソン爆弾テロ事件。この事件の解決に際し、爆発の影響で両足を失いながらも目撃者として犯人の特定に貢献し、テロリストに屈しない“ボストン ストロング”精神を象徴する存在として一人の男性を描いた作品。

順風満帆と言う訳でも無いですよねぇ。元々“ダメ男”的なジェフだったようですが、“ボストン ストロング”と言われ、戸惑いながらも、人々の期待に応えようと頑張っています。でもね、やっぱり破綻しますね。PTSDもあるでしょうし、能天気な家族もいるし・・・。「だれも自分を理解してくれない」と思うとき、唯一理解してくれたのが、『元カノ』のエリンな訳ですが・・・。

実際のジェフ・ボーマンは事件当時27歳なのですが、それを37歳のジェイク・ギレンホールが演じています。さすがに歳の違いを感じずにはいられませんが、それは、ジェフの実年齢を知っていたからで、そうでなければ、ジェイク・ギレンホールの演じる“ダメ男”ぶりを違和感なく受け入れていたと思います。

ボストンマラソンのシーン、アイスホッケーのシーン、メジャーでの始球式のシーン、すべてボストン市民のボランティアの協力があったそう。そうじゃないと、あんなシーン描けないですよね。

一人の男が、大人になるまでを描いた作品とも言えるかな。

タイトル ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた / 原題 Stronger

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2017年/アメリカ
監督 デビッド・ゴードン・グリーン
出演 ジェイク・ギレンホール(ジェフ・ボーマン)、タチアナ・マズラニー(エリン・ハーリー/ジェフの元恋人)、ミランダ・リチャードソン(パティ・ボーマン/ジェフの母)、リチャード・レイン・Jr.(サリー)、ネイサン・リッチマン(ビッグD)、レニー・クラーク(ボブおじさん)、パティ・オニール(ジェンおばさん)、クランシー・ブラウン(ビッグ・ジェフ)、キャサリン・フィッツジェラルド(カレンおばさん)、ダニー・マッカーシー(ケヴィン)、フランキー・ショウ(ゲール・ハーリー)、カルロス・サンズ(カルロス/ジェフの命の恩人)、ミシェル・フォルツィエリ(ジル・ハーリー)、ショーン・マクガーク(ビル・ハーリー)、カレン・スカリア(ロリ・ハーリー)、ジュディス・マッキンタイア(ミシェル・カー)

ホース・ソルジャー / 12 Strong

2018年05月06日 | 洋画(アメリカ系)
事実に基づいた作品。9.11直後に行われた、アメリカ陸軍の特殊部隊グリーンベレーの知られざる活躍を描いている。

いやぁ、9.11直後に、こんな知られざる戦いが行われていたとは知りませんでした。既に16年以上過ぎているので、この当時、色々なミスが重なり、捉えられていたテロの予兆を見逃していたという事が明らかになっていますが、テロ直後は「なんでそんなに直ぐに、テロ首謀者が判明したんだろ?そんなに直ぐにわかるなら、警戒していればいいのに」と思ったものです。この作品の様に、直後に反撃に迎える情報があると言う事は、そもそもある程度情報を把握していたと言う事なんですよねぇ。

この作品で描かれている特殊部隊は、グリーンベレーですが、ベレー帽は被っていませんね(笑)。元々グリーンベレーは、この作品で描かれているように現地実力者との協力関係を構築する、現地の攻撃地の目標を設定すると言う事がと言うと言われている部隊。なので、この様な作戦に駆り出されたんでしょう。ただ、中東地域の担当班であったという割には、現地の言語を習得していないというのはミスでしたね。なんとかなったようですが。

12人と言う、特殊部隊にしては比較的大人数の分隊ですね。しかも、それがすべて生還していると言うのは、中々無い業績だと思います。素晴らしいです。12人対5万人の戦いと言うのは、ミスリードですけどね。彼らの功績を称えて、ワールドトレードセンターがあった所には、乗馬した兵士像が設置されているそうです。

タイトル ホース・ソルジャー / 原題 12 Strong

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2018年/アメリカ
監督 ニコライ・フルシー
出演 クリス・ヘムズワース(ミッチ・ネルソン大尉)、マイケル・シャノン(ハル・スペンサー准尉)、マイケル・ペーニャ(サム・ディラー)、ナビド・ネガーバン(ドスタム将軍)、トレバンテ・ローズ(ベン・マイロ)、ジェフ・スタルツ(ショーン・コファーズ)、サッド・ラッキンビル(バーン・マイケルズ)、ロブ・リグル(バワーズ中佐)、ウィリアム・フィクトナー(マルホランド大佐)、エルザ・パタキー(ジーン・ネルソン/ミッチの妻)

アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル / I, Tonya

2018年05月05日 | 洋画(アメリカ系)
トーニャ・ハーディングによるナンシー・ケリガンの襲撃と言う衝撃的な事件の映画化。主演で、プロデューサーも兼ねたマーゴット・ロビーは猛練習を行い、トーニャ・ハーディングのスケートシーンも演じています。

“関係者へのインタビュー映像”を模した再現映像を挟みながら、ナンシー・ケリガン襲撃事件について迫っていきます。見ていて思ったのが、「アメリカの社会って、昔から分断されていたんだな」と言う事。この映画を見るまで知らなかったのですが、トーニャ・ハーディングって、労働者階級の出身なんですね。子供にスケートを習わせるのにお金がかかるのは、古今東西変わらないと思うのですが、ああ言う生活でスケートを続けるのは、中々大変だったのではないでしょうか?だからと言って、事件が許されるわけでは無いんですが。

本当にあんな“自分は諜報機関の工作員だ”と主張する人がいて、それを何とも思わずにいる人たちがいると言う事に驚きです。エンドロールで、実際の画像が流れていましたが、本当に映画の中で主張している様な荒唐無稽な主張をしていましたからね。ビックリです。

それと思ったのは、個人攻撃のつもりは無いんですが、起きている事は全て他責のトーニャ・ハーディング(の再現)を見ていて、もし仮に、こういう事件を起こしていなかったとしても、いつの日かの将来に、何らかの問題や事件を起こしていただろうなぁと言う事。まぁ、成功した起業家やトップのアスリートは、常人には理解できない何かがあるとは思いますが、なんかマイナスな方の“何か”でしたけどね。ナンシー・ケリガンには気の毒でしたが、起きるべくして起きた出来事でしたね。

タイトル アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル / 原題 I, Tonya

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2017年/アメリカ
監督 クレイグ・ギレスピー
出演 マーゴット・ロビー(トーニャ・ハーディング)、セバスチャン・スタン(ジェフ・ギルーリー/トーニャの元夫)、アリソン・ジャネイ(ラヴォナ・ハーディング/トーニャの母)、ジュリアンヌ・ニコルソン(ダイアン・ローリンソン/トーニャのコーチ)、ポール・ウォルター・ハウザー(ショーン・エッカート/自称工作員のナンシー襲撃事件首謀者)、マッケンナ・グレイス(トーニャ・ハーディング(8~12歳))、ボビー・カナベイル(マーティン・マドックス)、ケイトリン・カーバー(ナンシー・ケリガン)、ボヤナ・ノバコビッチ(ドディ・ティーチマン/トーニャのコーチ)、アンソニー・レイノルズ(デリック・スミス/ナンシー襲撃犯)

ザ・スクエア 思いやりの聖域 / The Square

2018年05月01日 | 洋画(その他)
フレンチアルプスで起きたこと」のリューベン・オストルンド監督が、2017年第70回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した作品。151分と比較的長い作品でもある。

こう来ましたか。タイトルと、宣伝内容から、“スクエア”が物事の焦点になるかと思いきや、必ずしもそうでも無かった気が?騒動のきっかけでもなく、結末でもなく。

リューベン・オストルンド監督の他の作品で「フレンチアルプスで起きたこと」がありますが、そちらが不条理劇であったのと同様、こちらも不条理劇ですね。時々映画館の中では笑いが出ていましたが、それは素直な笑いと言うよりは、皮肉な笑いという感じでした。

良く分からなかったのが、物語終盤の晩餐会の場面。この場面は、何を描きたかったんですかね??猿に扮した人物が、乱暴狼藉を働いただけですよね?“オチ”がわかりませんでした。展覧会の炎上PR動画で、“表現の自由”の問題について焦点が当てられようとしていましたが、これも、“表現の自由”なのですかね?

うーん、これがパルムドールか。カンヌの観客、目が肥えてるな。

タイトル ザ・スクエア 思いやりの聖域 / 原題 The Square

日本公開年 2018年
製作年/製作国 2017年/スウェーデン・ドイツ・フランス・デンマーク
監督 リューベン・オストルンド
出演 クレス・バング(クリスティアン)、エリザベス・モス(アン)、ドミニク・ウェスト(ジュリアン)、テリー・ノタリー(オレグ)