勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

パール・ハーバー(2001年)

2001年08月11日 | 洋画(アメリカ系)
タイトル パール・ハーバー

---感想---
こちらも、(良いも、悪いも)今年話題の映画の一つ。168億円の制作費と言われているが、私に言わせれば近代まれに見る駄作である。単なる男女の三角関係を描いている映画の舞台がパール・ハーバーである必然性は全く無い。描きたいことが何であるのか全くわからない。単なる痴話げんかを真珠湾攻撃と言う歴史的な事実に無理やり絡めさせようとするところに、無理があるのではないだろうか。

もう一つの疑問が、軍隊の描き方。日本軍を描いたシーンは、押しなべて疑問符の付く描き方である。一体どこの軍隊が野外で評議を行うのであろうか? アメリカ人(あるいは、日本で莫大な利益を上げているディズニープロダクションと言うべきか?)の日本人観が、昔からのステレオタイプな描き方をさせているのだろうか。非常に不愉快である。その一方、アメリカ軍の描き方も非常に不十分である。アメリカ軍も真剣に戦争の可能性を探っていたはずであるのだが、ああいう描き方では子供のけんかと言うか、全くの茶番である。一体何を考えているのだろうか? この様な日米両軍の描きかたの不十分さ加減は、この映画全般に暗い影を落としている。

また、もう一つの問題が、内容にアメリカ国内版/国際版/日本版と複数のバージョンがあること。複数のバージョンがあること自体は否定しないが、この映画の場合、日本版は「日本人の感情を害さないために、日本公開ではせりふの一部を変更・削除」されているところに問題がある。もし本当に良い作品であれば、日本人であっても真実を見つめることが出来ると思うのだが、それをせず、小手先のセリフの変更で交わそうとしたことは、ディズニーがこの作品に自信を持っていないということではないのだろうか? とは言え、いかなる理由があろうとも、日本以外の世界中で「卑劣なジャップ」と言われているのだから、これは大変重大な問題である。むしろ、日本版で「卑劣なジャップ」を削るよりも、アメリカ国内版/国際版で削ったほうが日本に対する友好的なメッセージではなかったのだろうか?

それから、ケイト・ベッキンセール達の演じる看護婦。思わず娼婦かと思ったが、看護婦らしい。一体どこの看護婦が娼婦まがいの真っ赤な口紅をして、医療行為を行うのに不適切なくらいのファンデーションを厚く塗りたくっているのだろうか? 全く持って、わからないことだらけである。・・・と言うより、ここまで書いたように、呆れることばかりなので、もはやこれ以上何も言えなくなって来るのである。

否定的なことばかり書いていても仕方ないので、少しだけ肯定的なところを。CGは凄い。40数分にも及ぶ爆撃シーンは、一見に値する。ただ、このシーンは、だらだらと痴話ばなしを1時間45分も見せられてからようやく始まるので、忍耐が必要である。ここからこの映画は始まると言っても良い。この後は、ドゥーリトル爆撃隊など、まぁまぁ見られる話になってくる。もっとも、ドゥーリトル爆撃隊は、真珠湾攻撃の半年くらい後の事なのだが、あたかも翌日であるかのような描き方はいただけない。

あまりにも暇であるとか、とりあえず流行りモノは試しておきたいとか、映画はどうしても映画館で見たいとか言うこだわりのある人が見に行くことは止めないが、どうしても見に行くべきと言う作品ではない。全般的に、脚本の練り方が不十分なのではないだろうか。ちゃんと推敲を繰り返したのかと疑いたくなる。どうしても見てみたいと言うときは、レンタルビデオで十分である。

英語版HP:Pearl Harbor from Yahoo!

公開年 2001年
監督 マイケル・ベイ
出演 ベン・アフレック、ジョシュ・ハートネット、ケイト・ベッキンセール

[2001/08/11]鑑賞
[2006/01/08]投稿

PLANET OF THE APES/猿の惑星(2001年)

2001年08月04日 | 洋画(アメリカ系)
タイトル PLANET OF THE APES/猿の惑星

---感想---
今年話題の映画の一つ。1968年の同じタイトルの映画のリメイクだが、実際にはタイトルが同じで、モチーフも同じであるが、全く異なる映画と言っていい。見ていない方のために、敢えて多くは記さないが、はっきり言ってかなり面白い。今回の映画化は、製作サイドでは再創造〈リ・イマジネーション〉と言っているらしいが、本当にそのとおりである。なぜ猿の惑星が出来たか?と言うところやラストシーンは、非常に衝撃的である。

なんと言っても秀逸なのは、セード将軍を演じるティム・ロスだろう。チンパンジーの将軍であるが、何故あんな動きが出来るのだろうか?と言うくらいチンパンジーの動きを研究し尽くしている。注目である。このあたりは、監督のティム・バートンが、猿役ほど、名優を起用したと言うが、本当にそのとおりだと思った。ティム・ロスのほかにも、ヘレナ・ボナム=カーターやマイケル・クラーク・ダンカンなど、顔が見えないだけに演技力が必要とされるが、十分、仕事は果たしたのではないだろうか。見ても損はしない、いや、必見の作品だろう。

英語版HP:Planet of the Apes from Yahoo!
オリジナル作品英語版HP:Planet of the Apes from Yahoo!

公開年 2001年
監督 ティム・バートン
出演 マーク・ウォルバーグ、ティム・ロス、ヘレナ・ボナム=カーター、マイケル・クラーク・ダンカン

[2001/08/04]鑑賞
[2006/01/08]投稿