勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

2009年上期振り返り

2009年06月30日 | 振り返り
2009年も半年が過ぎましたので、
2009年上半期の映画を勝手に振り返って見たいと思います。

まず、見た本数ですが、1月4本、2月4本、3月4本、4月5本、
5月4本、6月4本と良く見ましたねぇ。
うち、邦画が7本と、結構あります。

で、この期間一番印象に残ったのは、中々選び難いのですが、
『グラン・トリノ』や『スラムドッグ$ミリオネア』も捨て難いんですが、
敢えて『スター・トレック』ですかねぇ。
『グラン・トリノ』と『スラムドッグ$ミリオネア』は、
いろんな賞を貰っていますから(笑)。

『スター・トレック』の評価のポイントは、
作品の世界観が確定している作品に果敢に挑戦して、
これまでの熱狂的ファンのみならず、これまで見たことの無い層にも
新しいSF作品として上手く浸透できたのは素晴らしいと思います。

あと『7つの贈り物』も、違う意味で印象に残りました。
この作品、ちょっと後味が悪いです・・・。
もっと、心地よい終わり方にして欲しかった。

邦画も、この期間には傑作が多かったのですが、
『ハゲタカ』との僅差で『真夏のオリオン』にします。
「生きる」と言うことをテーマにした、良い作品だと思います。
『ハゲタカ』は、TVの方が良かったなぁ。

下半期は、果たして何本見る事になるのか?

トランスフォーマー/リベンジ

2009年06月20日 | 洋画(アメリカ系)
2007年の映画『トランスフォーマー』の続編。

前作で、オートボットとディセプティコンの違いが判りにくかったと言う声を生かし、その両者の区別が付きやすいような改良が為されたそうですが、まぁ、そうなのかな? オートボットはカラフルなのに対し、ディセプティコンはグレー基調で目が赤い設定となっています。

サム役のシャイア・ラブーフですが、前作の時は、かなりイマイチの若者だと思いましたが、この作品では、一応演技の出来る役者になっています。スピルバーグの秘蔵っ子の面目躍如と言うところでしょうか。

一般的にシリーズモノの場合、一作目より二作目の方がイマイチと言う事が多いのですが、この作品の場合は、シャイア・ラブーフの成長のためなのか、画像の改良(オートボットとディセプティコンの区別)のためなのか、前作より良く感じました。

USSステニスとか、USSルーズベルトとか、あるいは大統領の写真とか、現実のもの盛りだくさん。米軍も大協力?しているようです。ところで、『トランスフォーマー』は全部で3部作と言われているんですが、オートボットはGMの車なので、この度のGM経営破たんは、三作目には影響あるんでしょうかね?

冷静に考えると、突っ込みどころは満載です。NESTって、アメリカエネルギー省の核緊急支援隊(Nuclear Emergency Support Team)の名称なんだけど、ディセプティコン対処部隊の良いんですかね? こちらのNESTは、英米混合の軍事部隊で、“Networked Elements: Supporters and Transformers”らしいですが。

タイトル トランスフォーマー/リベンジ
原題 TRANSFORMERS: REVENGE OF THE FALLEN
日本公開年 2009年
製作年/製作国 2009年/アメリカ
監督 マイケル・ベイ
製作総指揮 スティーブン・スピルバーグ
出演 シャイア・ラブーフ(サム・ウィトウィッキー)、ミーガン・フォックス(ミカエラ・ベインズ)、ジョン・タートゥーロ(シーモア・シモンズ)、ラモン・ロドリゲス(レオ・スピッツ)、ケヴィン・ダン(ロン・ウィトウィッキー)、ジュディ・ホワイト(ジュディ・ウィトウィッキー)、ジョシュ・デュアメル(ウィリアム・レノックス)、タイリース・ギブソン(ロバート・エップス)、ジョン・ベンジャミン・ヒッキー(セオドア・ギャロウェイ/国家安全顧問)

[2009/06/20]鑑賞・投稿

ターミネーター4

2009年06月14日 | 洋画(アメリカ系)
ターミネーター・シリーズで、やっと、時代が現代から未来に。『ターミネーター3』で“審判の日”が来てしまい、未来がなくなったかと思ったのですが、間違いでした。ジョン・コナーが生きている限り、人類に希望はあるんですね。

ジョン・コナー役は、クリスチャン・ベイル。『ターミネーター3』の時の線の細い青年から成長して、すっかりタフガイになっています。これまでの3作のターミネーター・シリーズは、(『ターミネーター2』以降は)有る意味ターミネーターが主役で有ったりするわけですが、この作品は全く違います。成長し、たくましくなったジョン・コナーが主役です。

物語上非常に重要な役回りなのが、サム・ワーシントンが演じているマーカス・ライト。“彼”は、敵なのか味方なのか。この頃の主要なターミネーターはT-600の様で、マーカスはその後のモデルT-800のプロトタイプとも言えなくも無いと思うのですが、彼の作られた目的は少し語られるのですが、T-800との関係性の辺りのことはあまり詳しくは語られません。そもそも、ターミネーターと“動力源”が違うとも言うんですが。

最初の『ターミネーター』に出てきたカイル・リースの若かりし頃を演じるのは、アントン・イェルチン。最初の『ターミネーター』でカイル・リースを演じたのはマイケル・ビーンなんですが、アントン・イェルチンは何となくマイケル・ビーンに似ているような感じもしますね。まぁ、雰囲気がうまく作れていると言うことですかね。

『3』までのターミネーターでは、あまりメッセージ性は感じなかったのですが、この『4』で初めて、物語にメッセージ性の有るテーマが設定されたような気がします。「機械と人間の違い」と言うか、もっと言うと「人間とは」と言うことでしょうか。マーカスの存在が、そのメッセージに重要な関係が有ります。全身のその殆どが機械であったとしても、マーカス・ライトには「人間の心」が有ると言って良いのではないでしょうか。って言うか、“彼”は機械ではなく、“人間”であると言うことなんでしょうね。そう言うメッセージが明らかであるという意味では、ターミネーター・シリーズではかなり異色だと思います。

ターミネーター・シリーズでは、『ターミネーター』と『2』はジェームス・キャメロンが監督ですが、『3』はジョナサン・モストウ、そして今回の『4』はマックGと、監督が替わっているので、物語の一貫性を保持するのが困難なのではないかと思うのですが、比較的良く保たれている方なのではないでしょうか。

物語の後半に、T-800のシュワちゃんが出ているのは見もの。って言うか、どうやって合成したのか? あ、それと、ターミネーター・シリーズでお約束のセリフ「I'll be Back.」は、本作品でもジョン・コナーの言葉として受け継がれています。

ドンドン・パチパチばっかりだったこれまでのターミネーター・シリーズとは一線を画します。きちんと物語になっている作品です。少し重いかもしれませんが。

タイトル ターミネーター4
原題 TERMINATOR SALVATION
日本公開年 2009年
製作年/製作国 2009年/アメリカ
監督 マックG
脚本・原案 ジョン・ブランカトー&マイケル・フェリス
出演 クリスチャン・ベイル(ジョン・コナー)、サム・ワーシントン(マーカス・ライト)、アントン・イェルチン(カイル・リース)、ムーン・ブラッドグッド(ブレア・ウィリアムズ)、コモン(バーンズ)、ブライス・ダラス・ハワード(ケイト・コナー)、ジェイダ・グレース(スター)、ヘレン・ボナム・カーター(セレーナ・コーガン博士)

[2009/06/14]鑑賞・投稿

真夏のオリオン

2009年06月13日 | 邦画
池上司原作の『雷撃震度一九・五』を元に、終戦間近の日本潜水艦対米駆逐艦の死闘を描いた作品。これまではあまり見ないプロットで描かれた戦争映画になっています。

現代に伝えられたメッセージ(遺品)から過去を振り返ると言う手法は、やはり福井晴敏が係った『ローレライ』(=原作者)と同じプロットです。彼は、こう言う手法が得意、って言うか、こう言うパターンしか彼には無いのでしょうか? あ、決して辛口のつもりではありません。現代に対してメッセージを伝えようという事を考えた場合、やっぱり、こう言うプロットの方がわかり易いですよね。

日本の潜水艦イ-77の艦長倉本孝行を演じるのは、玉木宏。減量して役作りに励んだそうです。戦闘中にも「よし、飯にしよう」と言うセリフが、倉本艦長の何事にも動じない人柄を表しているのですが、元来優しい感じの人物に見える玉木自身の雰囲気に、減量の成果として精悍さが加わり、画面から感じられる倉本艦長の人柄と玉木の役作りがマッチして良かったと思います。劇中に倉本艦長の「俺も昔、指揮者を目指していたんだ。」と言う冗談があるんですが、演じているのが玉木と言う事なので、これは狙いですか(笑)?

イ-77の僚艦イ-81の艦長で、倉本の親友でもあり、志津子の兄でもある有沢義彦を演じるのは、CHEMISTRYの堂珍嘉邦。下手でもなく、かと言って物凄く上手いわけでもないのですが、無難に役柄をこなしていたと思います。でも、もう少し有沢艦長の活躍の場があっても良かったのではないかと思います。それなりに、活躍はしているんですけどね。

意外に(?)重要な役割を演じているのが、烹炊長秋山吾朗役のドランクドラゴン鈴木拓。“重要”と言うのは、先にも記しましたが、戦闘中などの緊迫したシーンでも倉本艦長の「飯にしよう」と言うセリフが幾度かあり、艦内の緊張感をほぐしているから。まぁ、「腹が減っては戦が出来ぬ」と昔から言いますからね。良いのではないでしょうか。

通常、当時の潜水艦の艦長は、大尉(通常艦)とか少佐(大型艦)です。倉本も有沢も少佐な訳ですが、と言う事は、イ-77もイ-81も、回天の母船だから当然なのかもしれませんが、比較的大きい艦と言うことになると思います。玉木も堂珍も、実年齢的には所謂アラサーな訳ですが、海軍兵学校を出た優秀な士官だと、実際にアラサーくらいで(少佐には少し早いかもしれませんが)大尉とかになる人は居たはずなので、あの位の年齢で潜水艦の艦長と言うのは、有り得ない設定ではありません。

イ型潜水艦の浮上航行シーンは模型感満々でちゃちいのですが、駆逐艦の航行シーンは、実際に第二次大戦にもアメリカ海軍籍で参戦した現メキシコ海軍の「ARM.MANUEL AZVETA D-111」を使用したり、駆逐艦の艦上のシーンは、現在はNY州オールバニーで保存されている駆逐艦「SLATER DE766」を用いたりして、結構リアルです。また、潜水艦の内部に関しては、セットで作りこんだので、コレも結構リアル。それだけに、潜水艦の浮上航行シーンが残念でなりません。

倉本の、「(回天搭乗員に対しての、死ぬなんて)もったいない」や、「我々は死ぬために戦っているわけではない。生きるために戦っているんだ。」と言う言葉が、この映画の考え方のベースとなっています。なので、戦争映画と言うと、どんどん人が死んでいったりするんですが、この作品ではそう言う事はありません。クライマックスも・・・。私は結構好きです。

タイトル 真夏のオリオン
日本公開年 2009年
製作年/製作国 2009年/日本
監督 篠原哲雄
監修・脚色 福井晴敏
原作 池上司
出演 玉木宏(倉本孝行:イ-77艦長)、北川景子(有沢志津子/倉本いずみ:二役)、堂珍嘉邦(有沢義彦:イ-81艦長、志津子の兄)、平岡祐太(坪田誠:軍医長)、吉田栄作(桑田伸作:機関長)、鈴木瑞穂(鈴木勝海:現代)、吹越満(中津弘:航海長)、益岡徹(田村敏雄:水雷長)、デイビット・ウイニング(マイク・スチュワード:米駆逐艦艦長)、鈴木拓(ドランクドラゴン)(秋山吾朗:烹炊長)、太賀(鈴木勝海:水雷員、当時)、奥村知史(小島晋吉:水測員)、黄川田将也(遠山肇:回天搭乗員)、三浦悠(久保憲明:回天搭乗員)

[2009/06/13]鑑賞・投稿

ハゲタカ

2009年06月06日 | 邦画
NHKの人気テレビドラマ「ハゲタカ」の映画化。TVシリーズの4年後と言う設定。2008年9月のリーマン・ショックの要素もストーリーに取り入れるため、当初予定の2009年5月公開よりも遅れての公開となった。アカマ自動車はホンダ、スタンリー・ブラザースはリーマン・ブラザースと言う設定と思われます。

今回の映画化に辺り、TVシリーズ時のレギュラー陣が再結集しましたが、うーん、どうなんでしょうか。TVシリーズの時は、物凄くシリアスでリアリティに富んでいましたが、今回は、映画と言う事もある為か、すこしドラマ要素を盛り込み過ぎでは無いかと思います。この「ハゲタカ」の良い所は、シリアスなリアリティなんですけどねぇ。

まず、大森南朋が演じる鷲津。鷲津は、TVシリーズの時は、過去の苦悩を裏に秘めながらも、利益の追求に徹する冷徹なファンドマネージャーですが、今回の映画では冷徹に利益のみを追求する部分は影を潜め、実は熱い人間だと言う事が見え隠れしています。TVシリーズ終盤でその伏線はありましたし、これは、玉山鉄二が演じた劉一華との対比上仕方ないキャラ付けなのかもしれませんが・・・。あんまり冷徹すぎるのも、どうかと言う話もあると思うので、こう言うキャラ付けは仕方ないのかもしれませんね。って言うか、劉一華も、実は熱い人間だと言うオチまで付いていたりしたりします。

それと、「ハゲタカ」のもう一人の主人公である、柴田恭兵が演じる芝野。彼が今回、あまり生きないんですよねぇ。元祖ハゲタカと赤いハゲタカの対決と言う物語の構図上、芝野の役割が脇役的位置になるのは仕方ないのかもしれませんが、この「ハゲタカ」の本来のバックボーンを損ねた気がしてなりません。この作品とは直接関係ないですが、柴田恭兵が「あぶ刑事」で、あの軽~いキャラを演じていたのかと思うと、何とも不思議な気がしました。

TVシリーズのレギュラー陣再結集と言うことなので、松田龍平も今回出演しているんですが、今回の彼の役回りは、ちょっと残念ですねぇ。って言うか、必然性が無いですよね? 全然、彼が生きていませんでした。

と、基本的にかなり辛口基調の映画評となってしまいましたが、TVシリーズの印象が強かっただけに、仕方ないですかねぇ。リーマン・ショックとか、派遣切りとか、今の時代をリアルに反映していただけに、深堀が無くて残念です。

タイトル ハゲタカ
日本公開年 2009年
製作年/製作国 2009年/日本
監督 大友啓史
原作 真山仁
出演 大森南朋(鷲津政彦)、玉山鉄二(劉一華)、栗山千明(三島由香)、高良健吾(守山翔)、遠藤憲一(古谷隆史)、志賀廣太郎(中延五郎)、嶋田久作(村田丈志)、松田龍平(西野治)、中尾彬(飯島亮介)、柴田恭兵(芝野健夫)

[2009/06/06]鑑賞・投稿