勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

モネ・ゲーム / Gambit

2013年05月18日 | 洋画(アメリカ系)
ジョエル・コーエン、イーサン・コーエンのコーエン兄弟による脚本。1966年の『泥棒貴族』と言う映画のリメイク。って言うか、『泥棒貴族』なんて知らなかった・・・。シャーリー・マクレーンとマイケル・ケインが出ているらしいけど。

英国王のスピーチ』で第83回アカデミー賞主演男優賞を受賞したコリン・ファースのコメディ。中々見せますね。真面目に見せて笑わせると言うイギリス人で有ることの特徴を活かした演技もなかなか良いです。

そしてキャメロン・ディアス。ラブコメの女王健在。まぁ、今回は、ラブコメでは無いですけどね。それでも、小悪魔的なテキサス娘を上手く演じています。コリン・ファースの堅物のイギリス人と、キャメロン・ディアスの自由奔放なテキサス娘の掛け合いは面白いです。

作中で出てきた『積みわら-夜明け-』『積みわら-夕暮れ-』は、実は両方共に実在しない映画オリジナルの作品。“積みわら”と呼ばれる一連の作品は有るので、それを下にして創りだしたそうです。そういやぁ「見たこと有るな」と思ったのも、仕方ないかもしれませんね。

それにしてもなぁ、日本人が未だにあんな描き方をされるのか。ちょっとなぁ。あの手のエコノミックアニマルは、現代社会においては、別の国にお任せしたいですね。そこだけが気に入りませんでした。

物語終盤、ハリーがあっさりと計画を諦めたように見えたので、最後の最後のどんでん返しは良かったです。その前のハリーの怪しい動きは、その為の動きだったんですね。でもなんで、前は付いていた監視カメラが、その時は無かったのか?と突っ込みたくなりますが。

基本、笑えます。90分と比較的短い映画ですが、ちょうど良かったですね。

タイトル モネ・ゲーム / 原題 Gambit
日本公開年 2013年
製作年/製作国 2012年/アメリカ
監督 マイケル・ホフマン
出演 コリン・ファース(ハリー・ディーン)、キャメロン・ディアス(PJ・プズナウスキー)、アラン・リックマン(ライオネル・シャバンダー)、トム・コートネイ(ネルソン少佐)、スタンリー・トゥッチ(マーティン・ザイデンベイバー)

[2013/05/18]鑑賞・投稿

探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点

2013年05月12日 | 邦画
2011年に公開の映画『探偵はBARにいる』の第二弾。

前作では原作の「ススキノ探偵シリーズ」の2作目「バーにかかってきた電話」がベースになっていたが、今回は同じシリーズの5作目「探偵はひとりぼっち」がベースになっている。とは言っても、小説に対して、だいぶ内容を修正している。マサコの死に橡脇孝一郎が絡んでいる所、あと、結末もだいたい原作を活かしているが、それ以外の所は映画オリジナル。それはそれで、映画としては成立しているけどね。

原作者の東直己がカメオ出演。少なくとも、2つのシーンで発見しました。最初のTOM BOYS PARTYのシーンと、最後の方で“俺“が入院しているシーン。特に、後半のシーンでは、東直己も入院している設定のようですが、フラスコに入ったお酒を飲んでいるように見えました。原作者がカメオ出演しているくらいなので、原作小説と映画の違いは、問題ないということなんでしょう。

ところで、佐藤かよ、こう言うの良いんだ。本人がカミングアウトしているから問題はないんだろうけど、モデルとしてのイメージに影響はないのかな?って言うか、佐藤かよの場合は、ニューハーフとかではなくて、性同一性障害みたいなんだけどね。彼女(彼?)の場合、普通のニューハーフ役よりも、元自衛隊員で武道の達人のアンジェラ役だったら面白かったのに。

尾野真千子は、今回、バイオリニストの役と言う事で、指使いが嘘だとバレるのが嫌でバイオリンを練習したらしいんですが、時間に限りがある(あまり練習できなかった=指使いがバレる)ということなんでしょうね。演奏シーンは殆ど無かったですね。でも彼女、その美貌と関西弁の喋りのギャップが何とも・・・。それが良いのかもしれませんね。

ところで、小説で読む「ススキノ探偵シリーズ」は、文字通りハードボイルド小説なんですが、映画になると、どうもコミカル。ハードボイルドの欠片・・・くらいは有るかもしれませんが、基本的にはコミカルな調子です。この落差は何処からくるものなのか。あんまりハードボイルド過ぎると、硬くなるからと言うことなんですかね。ちょっとその辺りが釈然とはしません。

タイトル 探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点
日本公開年 2013年
製作年/製作国 2013年/日本
原作 東直己
監督 橋本一
出演 大泉洋(俺=探偵)、松田龍平(高田)、尾野真千子(河島弓子)、渡部篤郎(橡脇孝一郎)、ゴリ(マサコちゃん)、田口トモロヲ(松尾)、篠井英介(フローラ)、波岡一喜(佐山)、近藤公園(学生)、筒井真理子(新堂艶子)、矢島健一(野球男)、松重豊(相田)、マギー(源ちゃん)、佐藤かよ(ヒロミ)、冨田佳輔(トオル)、片桐竜次(桐原)

[2013/05/12]鑑賞・投稿

県庁おもてなし課

2013年05月11日 | 邦画
有川浩の同名小説の映画化。

有川作品って、映画化されるときには、現在公開中の『図書館戦争』しかり、『阪急電車』しかり、結構原作に忠実に描かれるんですが、この作品は若干それらとは一線を画している気がします。何と言っても、途中のアニメ。あれって、どう?私的には、NGでした。パラグライダーのシーン自体は良いんですけどねぇ。

あと結末ですかね。まぁ、これは原作でも、まだ進行中的な事もあるので、ハッキリとした結末にはなってなかったとおもいますが、だからと言ってアレですか。折角知事が見ていたという設定なんだからさぁ。まぁ、それだと普通すぎるかもしれないけど、あれじゃぁ、知事も見ていたという設定が無意味じゃない?有川作品の映画化なので、結構期待していたんですが、ちょっと外されてしまいました・・・orz。

あと、確かにこの作品は、掛水と明神、佐和と吉門の二つの恋が同時進行するんですが、それにしても、ちょっと、恋バナに寄り過ぎでは?特に、掛水と明神の方。確かにそう言う雰囲気はあったと思いますが、あれほど露骨だっけ?もう少し、軽めに描いたほうが良かったと思います。

などと、苦言を呈してしまいましたが、錦戸亮が演じた掛水って、錦戸そのもの?と言うのも、撮影の間、共演の堀北真希の事をず~~~っと、「堀北さん」と呼んでいたということがプロモーションの時に明らかになっていますが、それって、掛水の明神に対する態度と同じ(笑)。どちらもシャイなんですね。

有川作品って、どれも良いんですが、これは好き嫌いが結構あるかもしれません。悪い作品じゃないですが、残念ですが、絶賛でもないです。

タイトル 県庁おもてなし課
日本公開年 2013年
製作年/製作国 2013年/日本
原作 有川浩
監督 三宅喜重
出演 錦戸亮(掛水史貴)、堀北真希(明神多紀)、関めぐみ(清遠佐和)、甲本雅裕(下元邦宏/おもてなし課課長)、松尾諭(近森圭介)、高良健吾(吉門喬介)、船越英一郎(清遠和政)

[2013/05/11]鑑賞・投稿

L.A. ギャング ストーリー / Gangster Squad

2013年05月04日 | 洋画(アメリカ系)
実話に基づいている映画。1950年代にロスアンゼルスであった、ロス市警とマフィアの戦いが舞台になっています。

どっちがギャングかわからないですね(苦笑)。1900年代~1950年代のアメリカは、ギャングの時代と言っても過言ではないわけで、有名なアル・カポネとも、“バグジー”ことベンジャミン・シーゲルなどとも時代が重なっています。

物語の舞台が第二次大戦後と言うのは重要な設定で、“日本との戦争が終わったのに、今度は、ギャングとの戦争が始まる”的な厭戦気分が若干見られます。朝鮮戦争は1950年からですから、ちょうど戦争がない時期だったので、それも仕方ないかも。しかし逆に、戦争で様々な戦いをしてきた男たちが警察官をしていた訳で、そう意味では、戦うべくして、戦いになったとも言えるかもしれません。

ちょっとわからない所が、判事と共に、市警本部長もミッキー・コーエンから饗応を受けているシーンが有るんですが、ミッキー・コーエンを倒せと言う命令をだしたのも市警本部長で有るわけで、実は、見ている間ずっと市警本部長に裏切られるのではないかと思っていたんですが、そんな事はありませんでした。一体どうして市警本部長は、ミッキー・コーエンを倒そうと思ったんですかね? 警察官としての良心?

インターネット上の百科事典サイトに拠れば、ミッキー・コーエンは殺人罪ではなくて、マフィア逮捕の常套手段の脱税で摘発されたみたいですね。この辺りは、物語を盛り上げる上での脚色・・・と言うか、一応、実話には基づいていますが、映画そのものはフィクションなので・・・と言うことなんでしょう。

ところで、ストーリーに関係はないんですが、ロバート・パトリックって、あの『ターミネーター2』のターミネーターT-1000を演じていたんですね。ビックリ。

キャストのことを言えば、この映画では、ショーン・ペンでしょうね。主演はジョシュ・ブローリンだし、ライアン・ゴズリングなんでしょうけど、存在感というと、ショーン・ペンです。彼の、冷酷で残虐なマフィアの首領の演技は圧倒的に素晴らしいです。だってねぇ。殺し方がえげつない・・・。

ここからネタバレ。

しかしながら、オマラ達とコーエンの戦いは、徐々に激化して盛り上がって行くんですが、キーラーが殺されたり、オマラの自宅が銃撃されたりしてオマラ班は追い詰められた上に解散の危機が迫るんですが、そんな危機的状況での起死回生の逮捕の決め手がグレイスが証言って・・・。あのまま強硬な捜査方針で行って、自分たちで逮捕の決め手を見つけるんじゃないんかい!そこはちょっと納得がいきませんでした。

全般的には、まぁまぁかな。

タイトル L.A. ギャング ストーリー / 原題 Gangster Squad
日本公開年 2013年
製作年/製作国 2013年/アメリカ
監督 ルーベン・フライシャー
出演 ジョシュ・ブローリン(ジョン・オマラ/巡査部長)、ライアン・ゴズリング(ジェリー・ウーターズ/巡査部長)、ショーン・ペン(ミッキー・コーエン)、ニック・ノルティ(パーカー/市警本部長)、エマ・ストーン(グレイス・ファラデー)、アンソニー・マッキー(コールマン・ハリス/巡査)、ジョバンニ・リビシ(コンウェル・キーラー/巡査)、マイケル・ペーニャ(ナビダ・ラミレス/巡査)、ロバート・パトリック(マックス・ケナード/巡査)、ミレイユ・イーノス(コニー・オマラ/ジョンの妻)、サリバン・ステイプルトン(ジャック・ウェイレン)、ホルト・マッキャラニー(カール・ロックウッド)

[2013/05/04]鑑賞・投稿

藁の楯 わらのたて

2013年05月02日 | 邦画
「この男を殺してください、御礼として10億円お支払いします。」

何とも、すごい話です。犯罪者を護送すると言うシチュエーションを描いた映画といえば、『S.W.A.T.』や『16ブロック』などが思い付きます。その中でも特に『S.W.A.T.』に類似している印象です。『S.W.A.T.』の場合は、護送される犯人が「自分を逃してくれたら賞金をやる」と宣言したため、それを聞いた全市民が護送チームの敵になり、加えて、護送チームの中からも裏切り者が出てくるという設定になっています。今回の『藁の楯 わらのたて』は、護送対象の犯人を殺す依頼であり、逃すと殺すで違いはしますが、全国民が敵になったり、味方の中にも裏切り者が居るというところなどは、だいぶ似ているなぁと思いました。

映像のスケールが凄いですね。日本映画もここまで来たかと言う感じです。冒頭の護送車列は完成直後の実際の高速道路を使用して撮影。いやぁ、アレだけのパトカーなどの緊急車両の車列はこれまで見たことがありません。それと何と言っても、新幹線シーンですね。これは日本の新幹線では撮影できなかったので、台湾新幹線の実車や実際の駅での撮影です。外装が日本の新幹線とは異なるので、外を映すと台湾新幹線であることを否定しきれませんが、内装は日本の新幹線と同じ。そこだけ見るとビックリです。(まぁ、中だけだったら、セットで撮影するという手法もありますけどね)

出演陣も豪華。大沢たかお良いよ。特にクライマックスの銘苅が清丸に銃を向けるシーンは、鬼気迫った演技で凄みを感じます。理性と衝動の葛藤を物凄く感じました。

ただちょっと、白岩を演じた松嶋菜々子が、ね。スレンダーなスタイルは、女性SPそのものの感じですが、彼女のアクションは若干微妙。冒頭の射撃訓練のシーンとかね、あれじゃぁ手首を痛めそうな気がします。アクション女優といえば、水野裕子じゃ無いんですかねぇ~。ただ、水野裕子だとシングルマザーという設定が少し苦しくなるか?小さい子供ならアリだと思うんだが・・・。ただそうすると、「おばさん」と言う設定が出来ないか。

それはそうと、清丸のクズぶりは凄い。凄すぎる。本当にあんな犯罪者がいたら、精神鑑定必至。下手したら、責任能力が否定されるかも。

所々、突っ込みたくなる所はありますが、それを超えて満足です。第66回カンヌ国際映画祭のコンペティション公式選出も納得ですね。

タイトル 藁の楯 わらのたて
日本公開年 2013年
製作年/製作国 2013年/日本
原作 木内一裕
監督 三池崇史
出演 大沢たかお(銘苅一基/警視庁警備部警護課SP)、松嶋菜々子(白岩篤子/警視庁警備部警護課SP)、藤原竜也(清丸国秀/連続殺人犯)、山崎努(蜷川隆興/清丸の殺害を依頼・経団連元会長)、岸谷五朗(奥村武/警視庁捜査一課)、伊武雅刀(関谷賢示/福岡県警捜査一課)、永山絢斗(神箸正貴/警視庁捜査一課)、本田博太郎(大木係長/警視庁警備部警護課)、余貴美子(由里千賀子/タクシー運転手)

[2013/05/02]鑑賞・投稿

ブルーノのしあわせガイド / Scialla!

2013年05月01日 | 洋画(イタリア系)
初イタリア映画のような気がします。

元教師で、現在はゴーストライターと家庭教師と言う経歴のブルーノ。ある生徒の母親から、自分の留守中息子ルカを預かって欲しいと言われる。そして、そのルカは、15年前にブルーノとの間に出来た子供だと言われる。

そんな感じで、ルカとブルーノの共同生活は始まるんですが、ルカは、遅刻は当たり前で、授業は途中で抜けだすと言う典型的な落ちこぼれ生徒。他方、ブルーノはブルーノで、これまたあまり見本になるような生活を行なっている訳ではないんですね。これが、中年イタリア男の現実なんでしょうか?

不良少年のルカは、不良少年に有りがちなトラブルに巻き込まれてしまうのですが、ここで威力を発揮したのは、ブルーノの経歴。そう言う状況になった時、何となく、そう言う落ちになりそうな気がしたんですが、予想通りの落ち。やっぱりね、先生は、いつまで経っても先生なんですよね(笑)。

原題の“Scialla”は、イタリアの若者のスラングで、“何とかなる”、“落ち着け”、“リラックス”、英語で言うと“take it easy”に近い意味らしいです。確かに、そう言う感じですね。特に映画の終盤、そう言う雰囲気を感じました。

中々、良かったと思います。

タイトル ブルーノのしあわせガイド / 原題 Scialla!
日本公開年 2013年
製作年/製作国 2011年/イタリア
監督 ランチェスコ・ブルーニ
出演 ファブリッツィオ・ベンティボリオ(ブルーノ)、バルボラ・ボブローバ(ティナ)、ビニーチョ・マルキオーニ(“詩人”)、フィリッポ・シッキターノ(ルカ)

[2013/05/01]鑑賞・投稿