勝手に映画評

私の見た映画を、勝手に評論します。
基本的に、すべて自腹です。

インセプション / INCEPTION

2010年07月24日 | 洋画(アメリカ系)
ダークナイト』のクリストファー・ノーラン最新作。ディカプリオと渡辺謙が共演したことでも話題の作品。

話題はそこだけではありません。映画の冒頭のシーンは、新幹線車内。この作品は、東京で撮影が開始されたんですよねぇ。こう言うハリウッド映画でも、もっと東京や日本での撮影が増えると良いと思います。ですが・・・、老いたサイトーが、コブと対峙するシーン。ああいうのが、いまだにアメリカ人の日本感なんですかねぇ。日本人から見ると、どう見ても中国風で、滑稽でしか無いんですが・・・。こう言う様な、誤ったアメリカ人の日本感を払拭する意味でも、日本での撮影を増やしていって欲しいと思います。それでも、近代的な日本の風景は、CGだと思われたりして(苦笑)。

やはり、(日本人にとって)この作品での重要なポイントは、渡辺謙ですよね。今回は、コブに仕事を依頼する役というところで、物語的に重要な位置を占めていて存在感十分。今や、“世界の”と言う冠詞を付けて Ken Watanabe と言う表記でも良いかもしれません。いやぁ、素晴らしいです。彼には、もっと活躍して欲しいですね。

一方、主演のディカプリオ。彼は、『シャッター アイランド』もそうでしたが、この所、心に問題を持つ人物の役が多いですね。そう言えば、『シャッター アイランド』も、妻との関係に問題がある役どころでした。悩んだような、額に皺を寄せる表情の演技が、だんだんとはまり役になってきている気がします(苦笑)。

コブの妻モル役のマリオン・コティヤール。『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』以降、最近の彼女は大活躍ですね。過去の彼女の出演作品を調べてみたら、TAXiのリリー役で有ったことを発見! って言うか、最近彼女は、コケティッシュな雰囲気の役どころが多い気がしますが、TAXiでのリリーは、それとは全く違うので、私は全然気が付いていませんでした。そして今回も、やはりコケティッシュな女性。コブの心の闇と言っても良いかもしれません。そんなポジションを上手く演じています。

意外な存在感を示していたのが、アドリアネを演じたエレン・ペイジ。若いながらも、コブの心の奥に潜む闇を知り、理解するという役割を見事に演じています。相手に共感するという意味では、そう言う役はやはり女性で有るのが良いと思うので、そういう意味でも良かったと思います。。ところで彼女は、カナダ・ハリファクスの出身だそうなんですが、だからパリ在住の学生と言う設定だったんですかね? 気になるところです。

パリの街がロールアップされたり、海岸直ぐ近くにある崩れ落ちるビルがあったり、あるいは、同じような形状の超高層ビルが林立していたりと、夢の世界の不思議な映像が繰り返されます。もちろんCGですが、上手いですねぇ。

全般的には、いい作品ですが、ツッコミどころもあります。ツッコミどころの際たるところは、クライマックスで出てきます。この物語では、夢のなかで死んだら夢から覚めると言う設定です。しかし、クライマックスになると、強力な鎮静剤を使っているので、夢の中で死んだら、深い潜在意識の底に落ちていくと言う設定になってしまいます。まぁ、そこまでは良いです。でも、夢のなかで死んでも、更に一段下の夢の世界に行って戻ってくれば大丈夫という話が突然出てくるというのは、究極の後出しジャンケンじゃないかなぁ。推理小説だったら、徹底的に非難される描き方です。あんまりこの辺りの事をセリフで描くと、説明的になりすぎるという話もありますが、この描き方はちょっと気になりました。

さて、映画の結末ですが、この手の話には有りがちな結末・・・と言ったら、怒られるでしょうか。そう言えば、また例に引いてしまいますが、『シャッター アイランド』も、まぁ、同じ様な感じの結末でした。うーん、ああ言う結末がいいんですかね、やっぱり。でも、と言う事は、サイトーは・・・。

ところ所ツッコミどころはありますが、映像的にも、話的にも面白い作品です。そして、渡辺謙の活躍も見所です。

タイトル インセプション / 原題 Inception
日本公開年 2010年
製作年/製作国 2010年/アメリカ
監督 クリストファー・ノーラン
出演 レオナルド・ディカプリオ(ドム・コブ)、渡辺謙(サイトー)、エレン・ペイジ(アリアドネ)、マリアン・コティアール(モル・コブ)、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット(アーサー)、トム・ハーディ(イームス)、ディリープ・ラオ(ユスフ)、キリアン・マーフィー(ロバート・フィッシャー)、トム・ベレンジャー(ピーター・ブロウニング)、マイケル・ケイン(マイルス教授)

[2010/07/24]鑑賞・投稿 / [2010/07/25]追記

踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!

2010年07月04日 | 邦画
ネタバレあり。

前作『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』から7年。青島が帰ってきました。しかも、昇進して警部補になって。湾岸署引越し迄3日前。引っ越しに忙しい湾岸署に8つの事件が発生します。そして挙句の果てに、新湾岸署まで犯人にロックアウトされてしまうことに・・・。

青島は警部補に昇進しているんですが、すみれさんは巡査部長のままです。でも、階級の違いはあるんですが、お互いの呼び方は「青島くん」「すみれさん」のまま。まぁ、長年の呼び方は、急には変えられないですよね。もっとも、「係長」と言う呼び方は可能なんですが、まぁそう言う呼び方は、仕事上の公式の呼び方なんでしょうね。もっともこの二人に“公式の場”なんで有るのかどうか知りませんが(苦笑)

ここからは、辛口に行きます。サブタイトルの“ヤツら”は、青島が過去に検挙した9人の犯人たち。確かに、過去の犯罪者を再び引っ張り出してくるというプロットの仕方はありますが、何故なのか?と言う説明がかなり曖昧でいい加減。恐らく、過去の犯罪者を引っ張り出すというアイディアに酔ってしまい、理由を語る設定が曖昧になったのではないかと想像します。

あと、8つの事件ですが、①銀行への侵入、②バスジャック、③拳銃盗難、④第一の殺人、⑤第二の殺人、⑥新湾岸署ロックアウトは判るんですが、残りの二つは何? 明示的に個別の事件として判る事例は無い様な気が・・・。青島の爆弾解除や鳥飼の負傷は、捜査中の出来事ではないかと思うんだけど・・・。

7年も経ったので、アイディアが色々と溜まっていたのかもしれませんが、逆にそれがマイナス要因と思いました。詰め込みすぎです。昔スペシャルで出た女青島こと篠原夏美を出したり、和久の名前を消さないようにと和久さんの甥っ子を出したり、あるいは、交渉の場にもなっていないのに小池が出てきたり、あるいは交渉課から退いている筈の真下が出てきたり、木島・眉田・草壁とフルキャスト。そういう事ならいっその事、柏木雪乃や新城賢太郎、そして沖田仁美、灰島秀樹も出せばよいのに。まぁそうしたら、ますます収集が付かなくなることは必定ですが。

ストーリー的にも雑。本庁と所轄の対立という、この踊るシリーズで描かれてきた一つのテーマがありますが、闇雲に一倉に「所轄は邪魔だ」と言わせるなど、無理やり詰め込みすぎです。こう言う描き方は酷いなぁ。

と辛口コメントはこのくらいまで。新湾岸署ですが、本当の東京湾岸署で撮影するわけには行かないので、何となく外観が似ている違うビルで撮影されています。もっとも、エンドロールとかでは、背景に本当の東京湾岸署が映っています。それと、本当に念のためですが、湾岸署と東京湾岸署は無関係ですと言うクレジットが最後に出ています。

それにしてもなぁ。繰り返しになってしまいますが、7年の思いが込められているのは判りますが、内容詰め込み過ぎです。もう少し話の要素を減らして、プロットをスッキリさせた方が良かったと思います。興行収入100億超を狙うそうですが・・・。

最後まで辛口でゴメンなさい。

タイトル 踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!
日本公開年 2010年
製作年/製作国 2010年/日本
監督 本広克行
脚本 君塚良一
出演 織田裕二(青島俊作)、深津絵里(恩田すみれ)、ユースケ・サンタマリア(真下正義)、伊藤淳史(和久伸次郎)、内田有紀(篠原夏美)、小泉孝太郎(小池茂)、北村総一朗(神田総一朗)、小野武彦(袴田健吾)、斉藤暁(秋山春海)、佐戸井けん太(魚住二郎)、小林すすむ(中西修)、甲本雅裕(緒方薫)、遠山俊也(森下孝治)、小木茂光(一倉正和)、寺島進(木島丈一郎)、松重豊(眉田克重)、高杉亘(草壁中)、津嘉山正種(池神)、小栗旬(鳥飼誠一)、柳葉敏郎(室井慎次)、小泉今日子(日向真奈美)

[2010/07/04]鑑賞・投稿

レポゼッション・メン / Repo Men

2010年07月03日 | 洋画(アメリカ系)
ネタバレあり。

人工臓器が実現化され、一般に販売されている近未来が舞台。ジュード・ロウが演じる主人公レミーは、その人工臓器購入のための非常に高額なローンの支払いが滞った購入者から人工臓器を回収するという人工臓器回収人であるが、回収作業中の事故で、自らも人工臓器を体に埋め込まれるはめに陥る・・・。

いやぁ、ローン回収の考え方が、非常にアメリカ的ですね。アメリカの住宅ローンの場合、支払いが滞った場合は、警察官が住宅回収の執行にあたったりするわけですが、この話も、その延長線。しかし、人工臓器の回収の仕方が、非常に強引。生きたまま解剖されると言っても過言ではありませんね。

物語の作り的には、レミーの回顧録?的な雰囲気ありますが、はっきりしません。その辺りの文体、って言うか、客観的に描いたり、自分目線の台詞になったり、描き方が定まっていない気がします。この辺りは統一したほうが良いのではないかと思いました。

ストーリー的には、追われる立場になったレミーが、乾坤一擲、古巣の会社に対して戦いを挑み・・・と、基本予想通りの展開になるわけですが、実は実は、最後の最後にドンデン返し。そう言えば、劇中、それと無く伏線が語られていましたね。でもなぁ。あれだと、ちょっと救いが無い・・・。あ、そう言えば、その辺りのシーンは、無駄に血が流れます。セキュリティが戦うのは判るんだけど、普通のユニオン社の社員が戦うのは意味不明です。

劇中映る小物に、結構漢字がある事に注目です。これはやはり、これからの世界での中国の存在感を示す暗示なんですかね?

R15指定の作品です。人工臓器を回収するシーンなどは結構グロいので、R15指定も仕方ないかもしれませんね。

タイトル レポゼッション・メン / 原題 Repo Men
日本公開年 2010年
製作年/製作国 2010年/アメリカ
監督 ミゲル・サポチニク
原作・脚本 エリック・ガルシア
脚本 ガレット・ガーナー
出演 ジュード・ロウ(レミー)、フォレスト・ウィテカー(ジェイク)、リーヴ・シュレイバー(フランク)、アリシー・ブラガ(ベス)、カリス・ファン・ハウテン(キャロル)、チャンドラー・カンタベリー(ピーター)

[2010/07/03]鑑賞・投稿