2014-2015シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちらから
2014-2015シーズン
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2014年10月9日(木)7:00pm サントリー
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ブルックナー 交響曲第0番 15′、13′+7′、11′
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ベートーヴェン 交響曲第7番 15′+8′+9′+11′
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スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ 指揮
読売日本交響楽団
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ミスターSのブルゼロは同オケとの同じ組み合わせで聴いたことがある。
2008.9.22
あの日も今日もメインディッシュを2個並べたようなヘヴィーなプログラムビルディングではある。
だいたいいつもこの時期の来日、10月3日が誕生日だから日本で誕生日を迎えることが多そうだ。誕生日とか軽く言っているが、なんと1923年生まれ!91歳!
今回はこのプログラムを4回公演、4回目は下呂温泉で演奏!
ミスターSはこの年齢でも指揮台に立ったまま棒を振る。譜面台はあるが譜面は無い。台は不測の事態の支えみたいなものだろう。足は少し悪そうだが痩せているのでそこそこ軽快に、step to the podium!
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前回のときとはプログラムの順番が異なり、ブルックナーは前半に置いた。いずれにしてもこのギコギコした曲、よっぽど好きなんだろうなぁと思いますね。でないとあれだけ共感の棒にはならないでしょう。
前回聴いたときはまるでわからない曲だったが、今回は多少なりとも光がみえた。
第1楽章のかすかな3主題構成、だいたい最初の2分で三つとも出尽くす感がある。たぶんそんな気がする。ですので展開部が長めになると思います。ただ再現部とあるかないかよくわからないコーダとの境目がこれまたわからない。でもなんとなく全体輪郭はつかめたような気がしました。
第2,3楽章は前回同様連続演奏です。いつもこうやって振っているのでしょう。
それから第4楽章のあたまは序奏のような気がしました。
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ということで、彼がブルックナーを演奏するとジャングルジムになる。しっかりした構造でありながら骨組みの先の向こうまでよく見通せる。これがなんとも痛快。どうしてこのような演奏が可能なのか、こちらが構造に力点を置きながら聴いているからなのか、そう思わせようとする指揮者のたくらみなのか。
この曲の骨は少し細いが、でもそれを隠そうとしないSの表現は潔いし作曲家の一貫した構造スタイルと成長の根っこのあたりをちらつかせてくれて興味深い。
スキッとした演奏で曲も光りました。
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よく、指揮者がそこにいるだけでまるで違う演奏になるというまことしやかな話はありますが、ミスターSは変わらず的確な棒で快速ベト7(第1楽章提示部リピートあり)を作り上げたのでした。インテンポの迫力は以前と何も変わらず強靭そのもの、オーケストラの集中力が凄くて、弦の束がビシッと隙間なく迫ってくる。ものすごい統率的うなり。あまりに整然としたベト7にベートーヴェンも驚いたのではないか。こんな演奏を望んでいたのだよという声が聞こえてきます。
バレンボイムなんかもやるようにこの日のSも4楽章間髪入れずの連続演奏。緊張感張りつめた、余計なものは一切ない、見事な純器楽の響きを堪能することが出来ました。ありがとうございます。
おわり