many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

ドキュメント電王戦

2017-07-02 18:08:16 | 読んだ本
副題は「その時、人は何を考えたのか」 2013年 徳間書店
もうひとつあった、コンピュータ将棋もの。
たしか『われ敗れたり』と一緒に中古で買ったんだったか。
最近また読み返してみた。
著者名が、多いよ。巻末には登場するページ順だと思うけど、ずらっと並べられてる。
夢枕獏/勝又清和/羽生善治/川上量生/阿部光瑠/竹内章/宮内悠介/阿久津主税/佐藤慎一/柴田ヨクサル/山本一成/野月浩貴/瀧澤武信/山崎バニラ/船江恒平/貴志祐介/一丸貴則/鈴木大介/塚田泰明/大崎善生/伊藤英紀/木村一基/佐藤大輔/三浦弘行/海堂尊/金子知適/屋敷伸之
で、協力がドワンゴ。
なんでこうなっているかというと、本書は2013年に行われた人間対コンピュータソフトの5対5の団体戦の記録で、当事者である棋士とソフト開発者と解説した棋士といった面々に対談やインタビューで登場してもらって振り返る形式だからってことになる。
私は当時の中継動画は観てないんだけど、まあなんかイベントとしては盛り上がったらしい。
本格的な対抗戦としては初めてなので、ルールなんかも試行錯誤みたいなとこあって、そのへんも総合格闘技の草創期と似てないこともないのかもしれない。
ちなみに前回とりあげた「ponanza」の開発者である山本一成氏は、相手へのソフトの貸し出しについては「勝ちたいので、嫌です」と断ったと扉の紹介文でバラされてますが。
山本氏はコンピュータ将棋をはじめた切っ掛けを訊かれて、
>大学に行く前は、東大に行ったらすごいやつがいるんじゃないかと思っていたんです。ところがいざ入学してみたら自分が想像したほどでもなくて、つまらなくて。(略)(p.101)
と言ってます、言ってみたいですね、そういうこと。
棋士の言葉がおもしろいのは前からわかってたつもりだけど、コンピュータソフト開発者の言うこともけっこう興味深い。
「ボンクラーズ」改め「Puella α」の開発者の伊藤英紀氏は、この先の進む方向を問われて、
>コンピュータ将棋の実力はもう名人のクラスも超えていて、今後、まだまだ強くなっていくと思います。ただ僕自身のことで言うと、「人間に観測できないものは存在しない」と思ってるに近いとこがあるので、そろそろコンピュータ将棋も人間にはわからないところにまできていて、個人的にはミッションコンプリートかな、と。(p.213)
と答えている。うーむ。たしかに意味わかる範囲の強さでないと感想も持てないしなあという気がする。
あと、開発者ぢゃなくて主催者ってことになるけど、ドワンゴの川上会長は、世の中が人間ぢゃなくて機械中心になっていくことについて、
>これはしょうがないことかなと思っていて。たぶんこれは歴史のなかで、人間が直面する運命なんですよね。(p.238)
と言ってますが、人工知能の知性が人類すべての知性の総量を上回ってしまう日、来るんだよなあ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 人工知能はどのようにして「... | トップ | 山の音 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

読んだ本」カテゴリの最新記事