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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

ユリイカ臨時増刊 総特集大友克洋

2011-01-31 14:12:42 | 読んだ本
1988年8月 青土社
きのうのつづき。マンガ論のようなもの。
こないだ読んだ『マンガ大戦争』に、私の好きだった「アクション」の発展について、ちょっとふれられているんだけど、そのなかで、
>大友は大胆な構図を用いてマンガ表現の幅を広げた。(略)
>大友が以降のマンガ表現に与えた影響は計りしれない。
って大友克洋の登場を特筆してる。
大きな目と太い眉という少年マンガの表現を採らずに、日本人本来の実際のモンゴロイド系の顔の表現をしたってことが評価してたりする。
で、そこで「ユリイカ臨時増刊総特集大友克洋」(青土社1988年)があげられてて、矢作俊彦が、大友のマンガがどんどん白くなったことについて書いてる内容が引かれてたりするんだけど。
この研究本(?)は1988年なんで、「AKIRA」がⅣ巻まで出たくらいのとこの時代のもの。
まあ、もちろん大友マンガは好きなんだけど、執筆陣がまた私の好きな作家とか入ってんで、思わず買っちゃったんだろう。
手塚治虫 カミソリ感覚
諸星大二郎 眩暈
佐藤史生 四角モノの悦楽
久住昌之 小学生のような体型の大友さんの事
いしかわじゅん ニューウェイブの果て
内田美奈子 創作・大友劇団
飯田耕一郎 一本の線を描いたとする
四方田犬彦 墨地の絵 Boogie Woogie Waltzについて
稲川方人 1/24のアクション
鎌田東二 「流れ」と「力」の果てに 幼童神アキラの誕生
大塚英志 ゆがまバやがて世なおし~ 都市フォークロアの宗教世界
永瀬唯 コンクリート・エデン 『童夢』における非在の構図
黒川紀章 廃墟こそ未来都市
小林恭二 『AKIRA』と未来
市田良彦 リアリティー・ゾーン
梅沢葉子 ニューヨークの『AKIRA』 翻訳にあたって
川本三郎・伊藤俊治 対話『AKIRA』‐未来都市のアルシーヴ サイバー・スペース・カタストロフ
矢作俊彦 空白の雄弁
亀和田武 清潔な内蔵とカタストロフィ
加藤幹郎 大友克洋あるいはものごとの具体的な表情について
米沢嘉博 マンガからのエクソダス 大友克洋についての覚書15項
北中正和 喪失のメロディー
伊豆一彦 童夢外伝
浜口稔 ホラーSFの精神薬理学 スティーヴン・キングと大友克洋
中沢新一・石井聡互 対話スーパーネイチャーと向き合うスピード
米沢嘉博・村上知彦・高取英・小谷哲・上野俊哉・北野浩之 大友克洋全作品徹底解題
大友克洋作品リストもついてます。
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鉄腕マンガ論

2011-01-30 20:29:50 | 読んだ本
奥田鉄人 1995年 マガジンハウス・マグカルチャー8
マンガ論のつづき。わりと古いやつ。副題は「サブ・カルチャーの怪人たち」。
1963年生まれのマンガ好きな著者が、自分の出会った衝撃的なマンガ体験に沿って綴った作家論。ちなみに著者の名前の鉄人は「ロボット」って読むそうな。
とりあげられているマンガ家っつーかコンテンツは以下のとおり。
序章 手塚治虫という文化
第一章 石ノ森章太郎・東北の天才少年
第二章 永井豪・暴力とエロスの荒野
第三章 赤塚不二夫・消失する“意味”と浮き上がる不条理
第四章 梅図かずお・生理を直撃する恐怖
第五章 外伝・劇画物語~宮谷一彦
第六章 神話を紡ぐ男・諸星大二郎
終章 大友克洋という技法
やっぱ私がこの本読もうと思ったのは、手にとってこの目次みたときに、諸星大二郎と大友克洋の名前があったからってことになる。
諸星大二郎の章の冒頭にある
>諸星大二郎はSFマンガ史に燦然と輝く孤高の星であり、その特異な表現能力は日本のSF界における一つの奇跡です。
って讃え方、私は同類なんで、こういう語りかたする人の書くもの先を読みたくならざるをえません。
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マンガの深読み、大人読み

2011-01-28 21:50:32 | 読んだ本
夏目房之介 2006年 光文社・知恵の森文庫版
きのうのつづき。
雑誌発表されたエッセイとかを集めたマンガ論だけど、これイイですよ。
これのあとがきによれば昨日とりあげた「夏目房之介の漫画学」(1985)は、“「学」という言葉が100パーセント冗談でありえた時期”だったそうで、そのころに比べれば、日本のマンガ研究もかなり真剣になってきたってことは、私でもうすうすわかる。
この本は、歴史だけぢゃなくて、作家論、作品論、文化論という感じで、マンガってどういうものだ?ってことを解説してくれている。
まさに深読み。
「あしたのジョー」に関する、作者ちばてつやとの対談では、ラストシーンで丈が左向いて(真っ白に燃え尽きて)座ってることについて、
>日本のマンガは右から左に読んで話が進みますから、時間は右→左に向かう。だから敵は左にいる。左はマンガの中で「未来」なんですね。丈は負けて、生きてるのか死んでるのかわかんないけど、顔を未来に向けているんです。
と読み説いて、ちば氏に「そこまで計算してたわけじゃないけど」とまで言わせてます
コンテンツは以下のとおり。

1部 マンガ読みの快楽
 手塚治虫は生きている
 鳥山明『DRAGON BALL』試論 「強さ」とはなにか?
 ねこぢるのうつろな目
 僕はチャーリーと同世代
 浦沢直樹は若い頃から「大人」
 『クレヨンしんちゃん』は正統派だ マンガにおけるませガキ論
 いしいひさいちの極意
 永井豪 大ゴマ使いの形而上学
 マンガの未来都市 その希望と絶望
 マンガと科学?
 黄表紙をマンガから見る

2部『あしたのジョー』&『巨人の星』徹底分析
『巨人の星』論 
『巨人の星』関係者に聞く!
 川崎のぼるさん(マンガ家)
 高森篤子さん(原作者・梶原一騎夫人)
 宮原照夫さん(連載当時「週刊少年マガジン」副編集長)
 根岸勲さん/山田啓志郎さん/阿久津勝さん(担当編集者)
 かざま鋭二さん(マンガ家/川崎のぼる元アシスタント)
『あしたのジョー』論
『あしたのジョー』関係者に聞く!
 ちばてつやさん(マンガ家)
 宮原照夫さん(連載当時「週刊少年マガジン」副編集長)
 古屋信吾さん/栗原良幸さん(担当編集者)

3部 海の向こうから読むマンガ
 日本マンガは世界を制したか
 東アジアのコミック事情と可能性 貸本マンガのルーツを求めて
 日本マンガという文化
 長い自註 まとめとしての「日本マンガ文化論」自評

…なかでは、4コママンガという表現形式を革命的に変えたいしいひさいちの技巧を解説したのと、「デビルマン」の1ページあたりのコマ数を計量的に他と比較して分析してるのが、私のお気に入りです。
戦いのインフレーションを飽きさせずに読ませる「DRAGON BALL」の構造を解き明かしてるのもいいです。
ただ面白いマンガのガイドブックでもないかと思って手に取ると、大きく嬉しい方向に期待を裏切ってくれる書だと思います。
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夏目房之介の漫画学

2011-01-27 21:20:13 | 読んだ本
夏目房之介 1992年ちくま文庫版
漫画論のつづき。
これは、昭和60年に最初の版が出たらしく古い本なのだが、私はせいぜい3年前くらいに古本屋で手に入れた。
副題が「マンガでマンガを読む」とあるんだけど、著者はなつかしのマンガとかをとりあげるときに、自分で模写してるんで、この本全体に画が多くなってる。
模写といっても、ペンを使ってそれぞれの作者の線をまねるんで、かなり高度なもの。
読んできたマンガの歴史を振り返ることもしてるけど、なんつっても「マンガを線とコマからとらえるというモチーフ」(あとがきから)で書かれてるんで、マンガに描かれた女性の線をめぐる評論が出色です。
構成は、以下のとおり。
1.なつかしのマンガたち
2.マンガの過熱時代
3.マンガ女体論
4.コマについての二~三の事柄
5.マンガ家の実像と感性


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マンガ大戦争 1945-1980

2011-01-26 22:23:41 | 読んだ本
幸森軍也 2010年 講談社
なーんか、最近、本(半分はマンガだけど)がたまってて、ここへ書いて整理しなきゃいけないものが、いっぱいあるんだけど。(すべてが新刊とは限らない。)
さて、これは、つい今さっき読み終えたばかりのもの。
去年の11月に出版されて、たしか『マンガの教養』と同時に買っといたんだが、しばらく放っておかれていて、きのうから手にとったら、面白くて勢いで読んぢゃった。(サッカーなんてロクに見ないで、夜中過ぎるまで本読んでんだから、時代に取り残されるわな、そりゃ。)
戦後から1980年くらいまでの日本のマンガの発展について、マンガ雑誌の出版の歴史に焦点をあてて振り返ったもの。
最初に、戦後のマンガの現れ方について、月刊誌でのマンガの取り扱いようとか、貸本という形態についても解説。
次に、1959年に少年向け週刊雑誌として、小学館が「サンデー」、講談社が「マガジン」を出したときの話。両社が張り合って、先に出そうとしたり、有力マンガ家を獲り合おうとしたりって、バトルの模様がわかる。
週刊連載ってマンガ家にはキツイから、原作を別のひとに作らせて作画に専念させるとか、かたやマンガは社会のおとなたちから悪書呼ばわりされるから、本文には読み物を入れてマンガは付録にしたとか、いろいろ出版文化の勉強になるねえ、これ。
さらに、後発の「キング」「ジャンプ」「チャンピオン」がどうやって参戦してきたか、それは何を生みだしたか。
そのあと、60年代後半から70年代に、「マガジン」は主に劇画を中心に撃って出るんだが、その戦略の模様とか、さらにアニメとかとのメディアミックスの発展とかの歴史も詳しい。
最後の章では、青年誌の発展について。手塚治虫以降のストーリーマンガによって育った子どもたちが成長した世代を狙って、おとなが読むマンガをつくるべく各社が努力した。かつて「思いつきの漫画ぢゃなくてストーリーのある劇画」と主張した勢力があったように、「子ども向けのマンガぢゃなくて成人向けのコミック」って新しいジャンルの確立を目指して、作者を探したり戦略を練ったりした歴史、これまた勉強になります。「ビッグコミック」の「ビッグ」ってビッグネームのマンガ家集めるって意図だし、週刊ぢゃなくて隔週なのは執筆陣に質の高さを保ってもらうために必要なローテーションだったのね。
ということで、タイトルのとおり、マンガの発展には出版社間の激しい争いがあったってことが語られてますが(集英社は小学館の娯楽部門の子会社だったのね)、各雑誌の創刊年次とか、そのときの掲載作品のリストとか、データいっぱいで、日本のマンガ出版文化の歴史がよくわかります。
最後には、オイルショック時とかを契機に、雑誌の赤字を単行本収入で補うっていう経営スタイルが、いまも変わってないから、今後のマンガ雑誌出版ってだいじょうぶかいな、って心配もしてますけど。
コンテンツは以下のとおり。
第1章 月刊誌・赤本マンガ・貸本マンガ(1945年~1959年)
第2章 「サンデー」と「マガジン」(1959年~1965年)
第3章 「キング」「ジャンプ」「チャンピオン」(1963年~1975年)
第4章 劇画の「マガジン」、ラブコメの「サンデー」(1965年~1980年)
第5章 成年誌と青年誌(1956年~1980年)
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