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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

日本の大転換

2011-08-31 17:43:57 | 読んだ本
中沢新一 2011年8月 集英社新書
こないだ出先で書店に寄ったら、四方田犬彦の新書と一緒に、ついつい買っちゃった、中沢新一の最新の新書。
なにが「大転換」かっていうと、大地震と津波と、それによって起きた原子力発電所の事故を契機に、日本の文明が転換してかなきゃいけないってこと。
地震や津波にやられてしまった土地でも、水が引いたらやがていつかは(って地球の歴史規模でみた長い時間がかかるかもしれないけど、いつかは)また木が生えたり生き物が住めるようになるのに比べて、原子力発電っていうのは、地球上のふつうの自然のエネルギーの循環とかそういう領域を超えちゃってるんで、事故が起きると高濃度の放射線がでて、生き物が住めなくなるような類の技術であると。
だから「地球科学と生態学と経済学と産業工学と社会学と哲学とをひとつに結合した、新しい知の形態でも」ないと、問題は解決しないってことで、そういう知として「エネルゴロジーEnergology=エネルギーの存在論」ってものを提唱して、本書のなかでは繰り返し出てくる。
人類の文明におけるエネルギー革命の歴史として、1火の利用、2農業と牧畜、3炉の発達から金属をつくる、4火薬の発明、5石炭を利用した蒸気機関、6電気と石油、7原子力とコンピューター、ってのが来て、それぞれのテクノロジーに対応して、家とか都市とか国家とか産業革命とか資本主義とか社会・経済の発展もついてくる。
んで、原子力をコントロールしようと思ったんだが、そいつは土台ムリな話だってことが、事故によってわかっちゃったんだから、第8次エネルギー革命へ向かおうよってことなんだが。
書いてあることはアカデミックっつかー、原子力ってのは一神教的で、次の第8次革命は仏教的ぢゃなきゃならない、みたいな独自の表現による思想が入ってるんで、難しいんだけど、むかし、それこそ私が中沢新一とかを読み始めたころっていうか、そのちょっと後かな、いわゆるニューアカデミズムってのは、いろいろもてはやされたけど、地震とか事件とか景気後退とか、世の中で起きたいろんなことに対して、なんら解決をもたらさなかったじゃん、みたいな批判がされてたんで、こうやって現代思想が現実に対して何らかの解決策を提示しようって姿勢はいいんぢゃないかなって思いながら読んだ。
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東方見聞録

2011-08-29 13:44:12 | 岡崎京子
岡崎京子 2008年 小学館
こないだからのつながりで、岡崎京子。
東方見聞録ってタイトルは旅行記っぽいけど、ある日突如おしかけてきた女の子のほうがハワイ出身なんで、そんな大げさなタイトルになってるんだと思う。
副題は「市中恋愛観察学講座」で、東京都内を中心とした街なかを高校生カップルが探訪するっつー話。
帯に「20年前の幻の長編傑作を初単行本化!」ってあるように、初出は1987年のヤングサンデー。
(単行本になってなかったってことは、ヲカザキ本人が納得してなかった可能性があるから、傑作って言っちゃっていいのかは気になるけどね。)
いろいろ読み返してみて、最後にこれ読んでみると、私の個人的な趣味としては、やっぱこの時代の岡崎京子作品がいちばん好きかな、と今は思っている。「ジオラマボーイ・パノラマガール」とか、「くちびるから散弾銃」とか。


さてさて、それはそうと、私の持ってる岡崎作品を、気の向いたときに並べてきたけど、本書で一応おわりである。
どの単行本にどの短編が入ってたっけ、どんなキャラが出てくるどんな話だっけ、っていうのを、自分で検索する用にweb上にメモっとくっていうのが、このブログ始めたときのひとつの目標だったんで、ほぼそれは達成ってことになる。
だから、これでしばらくヤメちゃってもいいかな、と思わないこともない。
ただ、情報によると、こんどまた「森」って、単行本未収録作品が刊行されるらしいんだよね。(8月の予定だったのが延びたらしい。)

それに、次は諸星大二郎作品のリスト化もしなきゃ、って別の目標もあるんで、もうしばらく続けなきゃいけないかなーとも思う。
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ゴダールと女たち

2011-08-25 17:56:48 | 四方田犬彦
四方田犬彦 2011年8月 講談社現代新書
きのうのつづき。もういっちょ、四方田犬彦。
だいたい、先週末も仕事で出かけるのに、飛行機や電車のなかもヒマだし、夜も遅くまで出歩かなくて(←疑われるけど、これはホントだ)退屈だろうからって、単行本一冊(きのうの「旅の王様」)と文庫二冊をカバンに入れてったんだが、行った先でフラッと入った本屋で、「お、なにこれ、面白そう」なんて新書二冊買っちゃったりするんだから、荷物は重くなる一方である。
私の荷物は私が自分で持つんだからいいとして、さて、この出たばっかりの本。
私は四方田犬彦の書くものが好きなんだけど、映画ってのはどうにも理解できないので(基本的に私が観るのは、2時間退屈しないで、スッとして後には何も残らないエンターテイメントものに限る)、肝心のっていうか本職のっていうかの、映画に関する著述はほとんど読んでない。
なので、この新刊も通り過ぎようかと思ったんだけど、手にとってパラッと1枚めくったとこに、「岡崎京子と一九九〇年代の思い出に」って献辞が目に入ったから、もうそれだけで買った。
あとがきにあたる「結びに」っていうとこの最後のほうに、「わたしはこの小さな書物を、わたしの友人であった一人の漫画家に献げたいと思う。わたしたちは今から二〇年ほど前、ゴダールをめぐってとりとめもないお喋りばかりしていた。」って書いてある。
本書のなかに、二か所ほど(同じもののひとつは帯にもだけど)岡崎京子がチラッと現れる。ジーン・セバーグの似顔絵と、アンナ・カリーナの似顔絵である。うん、それだけで、たまらないな。
ヲカザキは、ゴダールが好きだったんだ? 私ははっきりとは知らなかった。「万事快調」ってタイトルのマンガがあるけど、それってゴダールの映画のタイトルだったんだ、ってのも初めて知ったくらいだし。
で、肝心のなかみのほうは、著者がゴダールについて何か軽いもの(ってのは芸術論を語る大著作を目指すんぢゃなくてって意味なんだろうな)を書いてみたくて、ゴダールの足跡を、もっぱら彼のミューズであった女性たちの物語を通して描き出そうと試みたエッセイってことだそうで。
その女性たちとは、登場する順に、ジーン・セバーグ、アンナ・カリーナ、アンヌ・ヴィアゼムスキー、ジェーン・フォンダ、アンヌ=マリ・ミエヴィル。
でも、ゴダールの映画、全然観てないから、やっぱ話通じないんだ、私。背伸びしたかった学生のころに、観たのは、たしか「勝手にしやがれ」をレンタルビデオで、それから「右側に気をつけろ」は公開当時(1987年)どっかの映画館を探し出して観た。そのくらい。もうひとつくらい何かビデオで観たかもしれないけど、おぼえちゃいない。
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旅の王様

2011-08-24 19:01:44 | 四方田犬彦
四方田犬彦 1999年 マガジンハウス
うーん、ちっとも旅行に行く気になんない私なんで、旅について書かれた本を久しぶりに読み返してみた。
かと言って、すぐ出かけようって誘う本ぢゃないんだけど。曰く、
この書物は旅行のことといっても、どこか誰も足を踏みいれたことのない極地に行ったとか、密林で信じがたい冒険をしてきたとか、そんなことではなく、むしろ誰もが旅という行為をめぐって体験している取るに足らないことを、あえて取り上げてみようという意図から書き始められた。というわけで、災難の対処法とか、向こうでの言葉の不自由とか、待合室での退屈とか、そんなことばかり書いてきた。
っていう本なんで。
ちなみに、著者の最大の災難ってのは、ソ連解体の前年にグルジアの首都トビリシの駅で、カバンを盗まれてしまい、パスポートも現金も航空券も無くして、それでもモスクワ経由で何とか成田まで帰ってきたという経験。
貧乏旅行や、寝台車や船旅の愉しさ、旅行につきもののお土産や絵葉書や現地の食べ物についての考察とか、読んでて飽きない。(けど、あいかわらず私はべつに旅に出たくはなんない。まあ、それは私の問題なんだが。)
絵葉書の項では、
絵葉書を前にしてはどんなことを書いても、とうてい絵葉書を出すという行為に到達できないという感じがある。理由は簡単で、そもそもこのメディアは、相手に特定の用件や情報を伝えるものではないからだ。(略)絵葉書のメッセージとはただひとつ、わたしはこんなに遠いところに来てしまいましたが、それでもあなたのことを思っていますよということに尽きるからである。
だなんて、うまいことが書いてある。こういうの読むと、私は「おお、そうだ」とか感動しちゃうんだけど、なんか今は世界のどこでもそれなりのとこ行けば、日本にいるひととリアルタイムで連絡とれちゃいそうな気がするんで、絵葉書って文化が絶滅しちゃわないか心配である。
まあ、少なくとも、この秋どっか海外行くにしても、ケータイだけは持っていくまいって、私は決めてんだけどね。
イタリアの郵便事情がわるいってことは、こないだ読み返した村上春樹の「遠い太鼓」にも書かれてたんだけど、この本にも日本から普通に航空便を出しても二、三週間はザラ、半年かかることもあるって書いてある。
それで、アルプスの麓のコモという土地に日本から郵便を送るのに、「コモ、イタリア」って書かないで、「コモ、スイス」って書いたら、隣国のスイスの郵便配達が国境を越えてイタリアのコモまで来てくれたおかげで四日で着いた、なんて話がある。
そういうホントかウソかわかんないエピソードは面白い。パスポートの裏の職業欄に「学習院」って書いておいて、その文字をチラリと見せれば、成田の税関の職員は最敬礼しちゃって荷物のなかは絶対に開けないから何でも持ちこめる、とか。(1980年代初頭の逸話らしい。)
でも、マジメなこともいっぱい書いてあります。私が好きな一節は、たとえば以下のようなもの。
書物の頁の間に挟まれた一枚のチケットの半券や、かつて足を運んだ土地で知りあった人から思いがけずも到来する絵葉書。そういった、ほんのささいな機掛けから、かつて成しえた旅行の思い出が次々と紡ぎ出されてゆくとき、人は真の旅行というものが空間のなかの移動である以上に、時間のなかの移動であったことに気付くはずである。
…んー、このあと私がどこへ出かけるかはわかんないけど、とにかく、写真でさんざ見た場所をめがけて出かけてって、「あ、写真そっくり」とか、事前の情報に後から現実の体験を追っかけてするような旅行はしたくないなぁ。(たいがいはそんなんだから、なかなか出かける気にならないんだけど。)
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白老で乗馬

2011-08-23 13:22:22 | 馬が好き
きのう、先週にひきつづき、古巣札幌のツテで、道内で乗馬に行った
「後輩が乗馬クラブ始めたから」とか、首都圏ぢゃちょっと聞けないフレーズが、当たり前のように軽いノリで出てきて、連れて行かれたのは、白老の「ホースガーデンしらおい」ってとこ。
札幌から高速とばしてく 冷静に考えると、結構遠い。美浦から東京より遠いんぢゃないだろうか。北海道にいると、なんかそういう距離の感覚狂う
ややあって、10時半ころ到着。雲で樽前山は見えないけど、暑からず寒からずでちょうどいい。

なんでも、ことし四月にオープンしたばかりらしい
馬は、みんな元競走馬のサラブレッドで、7,8頭かな。(←広いとこ行くと、途端に物を数えたりしなくなる私。)みんな放牧されてる。気持ち良さそうだ。
適当に3人分つかまえてもらって、さあ、乗るか

私に当たったのは、クリールユーゲントって芦毛の馬。前に新潟で誘導馬やってたんだって。
それならだいじょぶでしょって、おもむろに乗って、適当に動かしてみる。
一応、最初、脚と拳で、どう?どのくらい?こんなもんでいい?って、ゴー・ストップだけ確かめたら、あとは、こんなイイ場所まで来て、馬も人も余計なプレッシャーなんかは要らない
(…本日のひそかな目標=人が汗をかかない だってこのあと飛行機乗って帰るんだもん。)

ああ、楽しい! 緑のうえを、馬といっしょに適当に走る。
ヘルメットも保護ベストもなくて、めんどくさいからチャップスもなしで。
初めてきた場所で、知らない馬に乗って。それでも駈歩だして、思ったように走ったりできる。そもそも、だいたい、これが、私の目指してた乗馬のレベルっつー感じ。
こーゆーとこで自由に乗れると、乗馬やっててよかった!って思った。

適当に昼までの一時間足らず乗って、おわり。馬にホースで水かけて洗ってあげる。(私は、馬の前で持ってるだけで、働いてないけど。)

馬の体が乾いたら、また放しちゃう。(きっとすぐ寝っ転がっちゃうんだろう。)


さて、この「ホースガーデンしらおい」、重賞勝ち馬のエルウェーウィンとかケイティタイガーとかを繋養してて、そのへんの馬については“フォスターペアレント”って、功労馬の老後を面倒みるための里親制度みたいのやってます。
それよりも、私がいたく感激したのは、フォスターペアレントだけぢゃなくて、ここで少年団をつくってるってこと。
詳しく話はきかなかったんだけど、地域の子どもを集めて、乗馬とか馬の手入れとか教える組織を立ち上げたそうです。
私は、乗馬の世界に詳しいわけぢゃないけど、個人的に、いちばんえらいと思うのは、青少年に乗馬とか馬の良さを教えて広めていくひとだと思ってる。馬乗りのウマイヘタの問題ぢゃない。そういう活動できるひとが一番大事

※以下はニュース記事へのリンク
「白老の牧場が1日オープン、引退馬と触れ合いを」(2011年3月25日 室蘭民報)
http://www.muromin.mnw.jp/murominn-web/back/2011/03/25/20110325m_08.html

「ホースガーデンしらおいオープン」(2011年4月4日 苫小牧民報)
http://www.tomamin.co.jp/2011s/s11040402.html

「ホースガーデンしらおいの乗馬少年団が発足 未来のジョッキー育成目指す」(2011年7月27日 苫小牧民報)
http://www.tomamin.co.jp/2011s/s11072703.html

☆おまけ
ポニーの嵐くん。
ヤンチャなんではないかと勝手に想像してたんだけど、近寄ってみると、どうしてどうして、かなりカワイイ



乗ってもいい、って言われたんだけど、自分の体重を考えて自重した(よそさまの馬には基本的に無茶しない。)
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