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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

グリムのような物語 トゥルーデおばさん

2010-08-31 21:15:12 | 諸星大二郎
諸星大二郎 平成18年 朝日ソノラマ・眠れぬ夜の奇妙なコミックス
きのうのつづき、私の好きな漫画家・諸星大二郎による、グリムのような物語。帯によれば「ブラックメルヘン」ってことになるけどね。
コンテンツは、
「Gの日記」
「トゥルーデおばさん」
「夏の庭と冬の庭」
「赤ずきん」
「鉄のハインリヒ または蛙の王様」
「いばら姫」
「ブレーメンの楽隊」
「ラプンツェル」
ただでさえ、迷宮のなかを引きずりまわしてくれたり、だまし絵のようなものを見せてくれたりする、諸星大二郎がグリムに題材をとってるんだから、いいねー、これ。

単行本のタイトルにもなってる「トゥルーデおばさん」という話は、私も原作を知らないんだけどね。
少女がトゥルーデおばさんに会いに行く。親は反対するけど、会いに行く。
トゥルーデおばさんがどこに住んでいるかはわかってるけど、トゥルーデおばさんが何者なのか、どうやったら会えるのかは知らない。
トゥルーデおばさんは、家のなかにいるらしいんだけど。
1階には普通に話してくれる「青い男」がいる。
2階には娘が困ったり怖がったりしてもニヤニヤしてるだけの、基本的にとりつく島もない「黒い男」がいる。
3階には話しかけるどころか、見つかるだけでも恐ろしい「赤い男」がいる。
どうやらトゥルーデおばさんは最上階にいるようだが、どうやったら行けるかわからない。
なんだか何かにおっかけられて抜け出せない悪夢のような展開が続くんだけどね。最後は、モヤモヤしたままぢゃなく、なんてこったい、なんぢゃこりゃといい意味で思わされる秀作。

私が好きなのは「赤ずきん」。
誰もが知ってる赤ずきんの話なんだけど。
例によって、森のなかには狼がいる。
それもただの狼ぢゃなくて、人に化ける「人狼」ってやつだな。
こいつを殺すには、銀の弾丸で撃つしかない。
ふつうの人には入っていくことすら恐ろしい森の中でめぐり合う、狩人、おばあさん、若い男、いったいどれが狼なのか、視点によって物語は二転三転する。そして…。
おもしろいと思うなぁ、こういう頭んなかグルグルさせられる話。
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白雪姫

2010-08-30 18:04:04 | 読んだ本
「白雪姫」(グリム童話集I) グリム・植田敏郎訳 昭和42年新潮文庫版
こないだからの児童文学つながりっつーか、民話つながりっつーかで、グリム童話。
これは子どものとき読んだんぢゃないな、持ってるのは昭和57年の24刷、中学生だったか。
んー、何がどうってわけぢゃなかったんだけど、あるとき、子どものとき聞いたことあるようなお話ってのが、どんな内容なのか正確には知らないなって思って、大人用(?)の文庫本で読んでみたんである。
童話って、意外と残酷だったり、本当はホラーぽかったりするんだぜってのが、世間的に話題になるのは、ずっと後年のことなんだけど、我ながらいい問題意識をしてるな、十代のときは、って感じ?
白雪姫の悪役のお妃は、真っ赤に焼けた鉄のスリッパを履かされて、死んで地にたおれるまで踊り続けるよりほかなかった、なーんてショッキングな内容、やっぱりちゃんと読んでみないとわかんないもんだしね。
どうでもいいけど、おとぎ話関係の怖さといったら、やっぱ曽野綾子の短編『長い暗い冬』だね。読み返す気がしないくらい、気持ち悪い 傑作なんだけど。

この文庫のコンテンツは、
「小人のルンペルシュティルツヒェン」
「歌う骨」
「金色の子どもたち」
「鵞鳥番の少女」
「マレーン姫」
「つぐみのひげの王様」
「金の鵞鳥」
「強力ハンス」
「三人の怠け者」
「おいしいおかゆ」
「おやゆび豆助の旅」
「勇ましい豆仕立屋」
「賢いちびの仕立屋」
「藁と炭といんげん豆」
「ラプンツェル」
「一つ目、二つ目、三つ目」
「灰だらけ姫」
「千匹皮」
「鉄のハンス」
「白雪姫」
「金の鳥」
「命の水」
「こわがることをおぼえようと旅に出た男の話」

なかでは、「小人のルンペルシュティルツヒェン」が、イングランド民話の「小おにのトム・チット・トット」と全く同じプロットで、いいですねえ。窮地から救ってやるけど、礼の代わりに、俺の名前を当ててみな、期限までに当てられなかったら、それなりの代償はもらうぜ、って話。
妖精のいる時代は楽しそうですなぁ。
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チャンス

2010-08-28 18:58:29 | 馬が好き
いや、今日からNHKで新しいドラマ『チャンス』ってのが始まるんだけどね。
主役の競走馬の名前が、チャンスってらしいんだ。
で、ドラマはどーでもいーんだけど、いま札幌競馬場で、開催日に馬場内ポニーリンクで馬車引っ張ってる馬が、『チャンス』ってゆーんだな、これが。
先代が皆様おなじみの『ミラクル』っていって、チャンスは去年から馬車やってんだけど。
この『チャンス』って名前は、去年2月に札幌を去るときに、私がつけたんですぅ、ってことが言いたかっただけで。
けっこうアレコレ考えたんだけど、こうしてみると有りがちな名前だなぁ、と思わされてんだな、いま。
ただ、放馬とかしたときに、「チャンス逃がすなー!」とか「チャンスつかめー!」とか言って騒いだら、面白いかなぁってだけで付けたんだけどね。

↑写真は札幌のチャンス。夕ご飯どきに覗きこんだんで、あんまイイ顔撮れなかった。

※8月29日追記 翌朝、おめかし(タテガミ編んだり、尾っぽ編んだり)してるとこの写真を撮り直してみました。
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ロビン・フッドの冒険

2010-08-27 19:04:18 | 好きな本
当然きのうからのつながりで、児童文学で何かと思ったんだけど。
探せば出てくるもので、実家の押入れから発見した。
これが私にとっての読書の原点ぢゃないかなってくらい古い本だ。
紙は茶色いし、ところどころページが抜け落ちそうだし、背表紙がボロボロになっちゃってる

正確な本の名前は、「少年少女世界文学全集 4 イギリス編(1) ロビン・フッドの冒険 アーサー王物語 イギリス民話」で、昭和36年、講談社発行。

ロビンフッドもアーサー王もいいんだけど、なにより「イギリス民話」が面白くて、何回も何回も読んでた。
コンテンツは、イングランド民話が「ジャックとまめの木」「小おにのトム・チット・トット」「親指トムの話」「まぬけな夫婦」「焼きパンときつね」「さかなと金の指輪」「幸運をさがしにいったジャック」「ウィッティントン卿とねこ」。
アイルランド民話が「乳どろぼうのまほう使い」「あくまにたましいを売った令嬢」「すりかえられた赤んぼう」「ふえふきと妖精プーカ」「黒い子ひつじ」「なまけむすめと三人のおばさん」「小鳥と修道士」「神父さまのお夕飯」。
スコットランド民話が「『金の木』と『銀の木』」「よいっぱりの子」「王子と大男のむすめ」。
民話とか童話の、話の進め方にリフレインを使った、独特のリズム感がいいんだよね。
>焼きパンはこんどはおおかみに会いました。
>「どこへいくんだな、焼きパン。」
>「ぼく、おじいさんとおばあさんと男の子とふたりの井戸ほり人足とふたりのみぞほり人足とくまを、おいてきぼりにしてきた。おまえさんだって、おいてきぼりさ。」
>「ほんとうか。よし、ためしてみよう。」
なーんて調子で延々と繰り返される活劇、声に出して読みたくなるくらい心地いいリズム感です、ちっとも退屈しない。
最後、きつねに会うんだけどね、「おまえさんだって、おいてきぼりさ。」に、きつねは「話がよくきこえないんだが、焼きパン、もうすこし、そばへよってくれないかな」って言うんだよね。そこで、焼きパンは走るのをやめて… って話。
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子どもの宇宙

2010-08-26 20:13:04 | 読んだ本
河合隼雄 1987年 岩波新書
きのうのつづき、っていうか同じ書名だ、「子どもの宇宙」。
きのうの「子どもの宇宙」を探してたときに、同じく検索に引っ掛かったんだが、おもしろそうなんで同時に買ってみた。
私にとっては、いままで読んだことのないタイプの本だったけど、とてもよかった。とても
ひとりひとりの子どものなかに広大な宇宙=心がある、その心の成長について語られてるんだけど、児童文学とか実際の心理療法とかの例を挙げての分析が、すごくいい。

いろんな本が紹介されてるけど、著者が
これは、素晴らしいとか名作とか、形容詞をつけられるような本ではなく、ただただ、できるだけ多くの人に読んでほしいと願いたい本なのである
と書いている『あのころはフリードリヒがいた』は、読んだことないので、是非読みたい。

※あげられている本のいくつか
ベバリイ=クリアリー『ラモーナとおかあさん』
E・L・カニグズバーグ『クローディアの秘密』
エーリヒ・ケストナー『ふたりのロッテ』
F・E・H・バーネット『秘密の花園』
キャサリン・ストー『マリアンヌの夢』
フィリパ・ピアス『まぼろしの小さい犬』
C・S・ルイス『ナルニア国ものがたり』
フィリパ・ピアス『トムは真夜中の庭で』
ルイス・キャロル『ふしぎの国のアリス』
ミヒャエル・エンデ『モモ』
石井桃子『ノンちゃん雲に乗る』
ミヒャエル・エンデ『はてしない物語』
今江祥智『ぼんぼん』
小川未明「金の輪」佐藤さとる編『ファンタジー童話傑作選』
佐野洋子『わたしが妹だったとき』
I・ボーゲル『さよなら わたしのおにいちゃん』
イリーナ・コルシュノウ『だれが君を殺したのか』
…こういう本は、その後の読書の広がりがあっていいですね。
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