many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

アイ・アム・レジェンド

2021-03-28 18:36:27 | 読んだ本

リチャード・マシスン/尾之上浩司訳 二〇〇七年 ハヤカワ文庫版
なんでもいいからリチャード・マシスン読みたい病がつづいていて、先月に買った中古の文庫。
新訳・改題版というのはどういうことかというと、原題「I am Legend」は1954年の作品で、日本では1970年代から『地球最後の男』として刊行されてたらしい、まちがって高い古本買っちゃったりしないように注意しないと。
そもそもは1958年に『吸血鬼』って題で邦訳出てたらしいが、さすがにそんな古い本は見つけたりはしないだろう。
物語の舞台は、「第一部 一九七六年一月」「第二部 一九七六年三月」「第三部 一九七八年六月」という章立てになってるとおり、1954年から見たら近未来ってとこか。
どうも新たな、そしてたぶん最後の、世界大戦があった後らしい、どうもね、冷戦時代というのは、やがて今までのよりひどい戦争が起きるんだろうって未来観があるんだ、どうしても。
で、主人公のロバート・ネヴィルっていう36歳の男は、ただひとり生き残っている人間というショッキングな設定。
だけど、人類は戦争で滅んぢゃったわけではなく、襲ったのは謎の疫病で、でもその原因には細菌兵器の使用が噛んでんぢゃないのって示唆はあるが。
ところで、おっかないのは、主人公のほかに、まわりにも人間の形をしたものはたくさんいる、ってとこ。
それが何かっていうと、吸血鬼。SFで吸血鬼って出すかい、って、ちと思ってしまうが。
で、こいつらが夜になると、家のまわりで「出てこい」とか騒いで襲撃してくる、籠城生活も楽ぢゃない。
そう、設定がほんとトラディショナルな吸血鬼なんで、太陽の光には弱いから昼間は動かないし、なんせニンニクとか十字架とか嫌いときてる、いいのか、そんな古めかしいことで。
ところが主人公は、中世の伝説にとらわれちゃだめだ、科学的に理由を探ろう、なんて思い立って、誰もいない図書館から本持ってきて勉強したり、顕微鏡使えるようになって病原体を見つけようとしたりする。
でも、理由がわかるより先に、とりあえず自己防衛のために、昼間は寝ている吸血鬼を見つけては、胸に木の杭を打ち込んで殺してまわったりしてんだけど。
勝ち目ない戦いだ、ひどい気分で酔いつぶれるまで酒を飲むって気持ちはよくわかる。
途中で、家の近くに犬がいるのを見つけて、なんとか手なずけようとするってエピソードがあるんだけど、そういうのはなんとなくいい、長編には短編だと許されないかもしれないゆるさがあって。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

西遊妖猿伝 西域篇 火焔山の章2だ!

2021-03-27 18:22:16 | 諸星大二郎

諸星大二郎 2021年2月 講談社モーニングKC
うかつだった、「火焔山の章」の第2巻が出てるのを知って、買いに走ったのは今週のこと。
2月には出てたんだという、いくらバタバタしてたにしろ、西遊妖猿伝の発売日をチェックしてなかったなんて、ボーっと生きてるにも程があると言われてもしかたない。
このマンガのつづきを読むことを一番の楽しみに生きている、とか言ってるわりにゃあ遅れをとるとは情けない。
なに、次巻は2021年秋に刊行予定、よし、それだけをたのしみに今年の夏を越そう。
さて、物語のほうは、火焔山近くの高昌国というとこで玄奘一行は歓迎されつつも足止めをくってるんだが。
前にとおった伊吾国から、ゾロアスター教寺院の見習いの子ども二人がやってきて、またなんだかんだと悟空にからんでくる。
こんなところでいちいち拘わりあってたら、いつまで経っても天竺になんか行き着きゃしないぞって心配になる。
早いとこ斉天大聖の力でもって、牛魔王でもなんでも倒しちゃってくれよ。(待てよ、西遊記だと、牛魔王とは兄弟分になるのかな。)
それにしても、寧戎窟寺という岩窟寺院で壁画の仏像が抜け出てくるっていうシーンがあるんだけど、モロホシらしい妖しさいっぱいで一発で気に入った。
第五回 高寧城に二童 師を訪ね 岩窟寺に行者 奇を見る
第六回 寧戎城に土民 水を争い 水流洞に群童 難を逃る
第七回 悟空 旧敵を索めて市を探り 八戒 妬心を抱いて跡を追う
第八回 悟空 児を捜して寧城に入り 牛王 威を顕して陋巷を震わす


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2021年の桜

2021-03-26 18:43:18 | 横浜散策

いろいろあって、ことしの春は、ちょっといつもとちがう気持ちで迎えているんだが。
私がなにをおもってようが、それでも花は咲くんである。
んなわけで、本日の午後は散歩がてら桜がどのくらい咲いてるか見にいった、なんか例年より満開早いらしいしね。

毎度おなじみの掃部山だ。
ビル見えるより海見えてくれたほうが本当はいいんだろうけど。

公園内もいい感じです。
いつもの私とはルート逆になってるんだけど、そっから当然、野毛山へ行く。

いいよね、野毛山は、ここ基本なんだ、私としては。
開いてたんで、動物園にも入る。
(去年来たときはキンキュージタイで閉まってた。)

たまらんす、いい動物園で。
入場料タダだし。(単なる公園。)
小学1年の遠足はここ、なんつーか、ふるさと的存在ではある。

花よりダンゴ、っていうけど、キリンも桜の花なんかにゃあ興味はないみたい、食べられる葉っぱ命。

私のフェイバリットはむかしもいまも、クマ。
クマはいい、ずっと見ていられる。

寝てるライオンは、ただのネコだよね。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マンガ家のひみつ

2021-03-21 18:03:23 | 読んだ本

とり・みき 一九九七年 徳間書店
サブタイトルは「とり・みき&人気作家9人の本音トーク」で、とり・みきの本だけどマンガぢゃなくて、同業者との対談集。
先月に古本屋のマンガの棚んとこでたまたま見つけたんだけど、帯に登場するマンガ家の名前として江口寿史とか唐沢なをきとかあったんで、迷わず買った。
初出は1994年ころの「月間少年キャプテン」だっていうけど、そのマンガ誌は知らんなあ。
巻頭の「はじめに」が、
>人はどうやってマンガ家になるのだろうか。
>マンガ家になるような人間はどのような少年あるいは少女時代を過ごしてきたのだろうか。
で始まってるように、どうやってデビューしたのかとか、どんなマンガを読んでたかとか、あの作品を描いてたころはどんな日々だったのとか、話はそういうことが中心で、作品論とか批評ってことぢゃない。
ところで、とりさん自身は、青木光恵との対談のなかで、
>どうやったらなれるんですかとか訊かれたり、学校で教えたりしてるところがあるけれども、マンガ家というのは気がついたらなっているものですよ、なる人は。ただ何年も続けていくのがむずかしい(笑)。(p.104)
なんて言っている、みもふたもないというか。
続けてくことがむずかしいことについては、とくにギャグマンガだからってこともあるんだろう、ギャグ描き続けていくことの大変さはこれまでにも他の本で読んだことがある。
おなじギャグマンガである唐沢なをきは、
>(略)ギャグはページ数が少ないじゃないですか。それで、ページ数が少ないということは単行本がなかなか出ないということで、単行本が出ないということは貧乏だということじゃないですか。(p.143)
なんてスゴイ本音を言ってんだが、とりさんも答えて、
>そうなんだよな。今は週刊誌の巻末の2色ページとかだと、確かに目立つかもしれないけど、でもそれですら1回に4ページぐらいだから、1年に1冊しか単行本出ないでしょう。すごい効率悪いよね。ストーリーの人はどんなに水増しして描いても3カ月に1冊は単行本が出るわけだからね。その所得の差たるや。(同)
なんて正直すぎるような嘆きが出てきてしまっている。
そりゃあギャグマンガが無くなってくわけだ。(とりさんによれば、一見ギャグマンガにみえるものも「シチュエーション・コメディ」ばかりということになる。)
とりさんのギャグ魂については、ゆうきまさみとの対談でも垣間見えて、少年誌の編集者からはフォローのセリフを入れろと言われたといい、
>こっちはマンガってどれだけ絵で見せるか、どれだけ文字をそぎ落とせるかって作業だと理解してたから、セリフのないギャグに(ギャグを解説するような)セリフをつけろといわれてずいぶんとまどった覚えがある。(p.31)
なんて胸中を語ってるんで、そこんとこ筋金入りの生粋のギャグマンガなんである。
コンテンツは以下のとおり。
ゆうきまさみ 『パトレイバー』で描いたこと、あるいは描かなかったこと。
しりあがり寿 自分の本当のオリジナリティっていうのは本来自分でもなかなかわからないはずなんです。
永野のりこ 自分の描いたマンガを読んで受け容れてもらえるのってステキですよね。
青木光恵 一心不乱にひたすら女の子ばかり描いていたあのころ。
唐沢なをき 編集者の名前? 全部覚えてる。もうばかばか、あのばか、あのばか。
吉田戦車 もう『伝染るんです。』には戻れない。
江口寿史 やっぱりマンガは少年誌。今度、本当に持ち込みに行こうかと思ってるんです。
永井豪 心の底にねむる「何か」に動かされて描く。
吾妻ひでお 失踪するなら家のローンが終わってから。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

NYPB

2021-03-20 18:42:05 | CD・DVD・ビデオ

PONTA BOX 2001年 ビクターエンタテインメント
ドラマーの村上“PONTA”秀一さんが亡くなった、という報道が先日あったのに気づいてしまった。
私にとってポンタさんはというと、泉谷しげるとの「LOSER」でドラムたたいてた人ってことになる。
泉谷が、彼は度を越えて自由だった、あまりにひどいんで公開説教したこともある、みたいな話をしてるのも今回目にしたけど。
村上“ポンタ”秀一さん死去 泉谷しげる思い出語る
きっとポンタさんも、泉谷はむちゃくちゃだ、コードまちがえるなよ、歌詞忘れんなよ、とか思っていたにちがいないが。
あと、ポンタさんといえば、「イカ天」。
とくに辛口だとか多弁とかってわけぢゃないけど、かっこよかったのは確か。
あるバンドを酷評するのに、「リズムがクソだよ」みたいなこと言って、正確な意味はわからんが、とにかくダメなことはよくわかる。
あるときはドラムってのは呼吸が大事、みたいな指摘をして、「(ドラムたたくふり)ドン、ドン、(鼻から息を吸い込む表現)『スーっ』、(シンバルを)パーン、とかさ」なんて奥義をさりげなく解説してた、うーむ、そういうものかとうならされた。
さて、なんか一枚アルバム持ってたよな、と探して出してきたのが、これ。
「初の海外スタジオ録音盤、堂々完成!」なんて書いてあるけど、2001年かあ、なんで当時私がこれに興味持ったのか全然おぼえてない。
たぶん何かのレビューを目にして聴かねばと思ったんだろうが、詳細は不明、関西に住んでて、わりと仕事以外の時間に余裕あった日々のような気はするが。
なかみは、インストで、ドラムスとピアノとベース、「スペシャル・ゲスト:アンソニー・ジャクソン(b)、ウィル・リー(b)」ってクレジットされてるけど、その偉大さが私にはわからん。
01.Vamps
02.The 7th Of Wonder
03.N.Y.U.
04.What's Henry
05.A New Found Love
06.Gone,With Just Like Sharaku
07.Indigo Blue
08.Five Steps To Seven
The Sixth Sense Suites
09.Collage 1
10.Collage 2
11.Collage 3
12.Collage 4
13.Collage 5
14.Collage 6
15.Setting Oval Moon

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする