many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

2001夜物語

2021-02-28 19:41:14 | マンガ

星野之宣 1985年~86年 双葉社・アクションコミックス 全3巻
ガキのころに読んだ『巨人たちの伝説』と『ブルーシティー』を持ってることで、長年満足してしまっていた、私にとっての星野之宣なんだが。
こないだ『妖女伝説』なんか読んだことから、どーしてもこれ読んでみたくなって、つい先日そろいで古本屋で手に入れた。(全部初版だ、妙にうれしい。)
「SPACE FANTASIA」って書いてあるとおり、SFもの、「2001年宇宙の旅」へのオマージュっぽいとこある宇宙航海もの。
各巻の表紙カバー見返しんところにある宣伝文句を順にあげてけば、
>夢は天空へ飛び、心踊る壮大なドラマが幕を開ける! 無辺の宇宙に煌めく星々への遥かな旅が始まった。時を超えた人間と宇宙の物語を、流麗な筆致で描き切ったSF漫画の傑作
>遂に夢のエネルギーを得た人類の遥かな宇宙への旅が始まった! 流麗な筆致がいよいよ冴え亘る鬼才渾身のスペース・ロマン
>地球を遥かに離れた異星で人は生まれ愛をはぐくむ――未踏の星々に織りなす珠玉のドラマを華麗に描き切ったSF漫画の傑作
という調子になる、宣伝文句にいつわりはない。
最初は、宇宙を探検する系のオムニバス短編集なのかと思ってたんだけど、第1巻の最後「悪魔の星」ぐらいからグッと雰囲気が変わってくる。
悪魔の星ってのは、天王星、海王星、冥王星よりずっと外に見つかった、「魔王星ルシファー」と名付けられた第10惑星。
この星がとてつもない質量を持ってるってことは計算でもわかってたんだけど、近づいて観測してみると、反物質の星だということが発見される。
…反物質ってなんだっけ、宇宙戦艦ヤマトのテレサ? (どこまでもマンガでしか物理知識とかない私)
んで、科学の力のありがたいことに、反物質エネルギーを利用した爆縮炉なんてものをつくりだすことに成功して、ハイパースペースを通ってジャンプする宇宙船という新たな航法を人類は獲得する、宇宙ものSFバンザイ。
それから、大進出時代の始まりってことで、いろんな星系へいろんな人たち出かけていくんだが、なかなか知的生命体とは出会わない。
そのうち400年くらいが経過すると、大航海に飽きてきたのか、人間は宇宙探検から撤退しようかということになるんだが。
最後までいくと、ツーっと全巻貫いて流れていたものに思いをめぐらすことになる。傑作。
Vol.1
第1夜 大いなる祖先
第2夜 地球光
第3夜 豊饒の海
第4夜 大渦巻III
第5夜 宇宙の孤児
第6夜 宇宙への門
第7夜 遥かなる旅人
第8夜 悪魔の星
Vol.2
第9夜 天の光はすべて星
第10夜 明日を越える旅
第11夜 石化世界
第12夜 見知らぬ者たちの船
第13夜 共生惑星
第14夜 最終進化
第15夜 楕円軌道
Vol.3
第16夜 鳥の歌いまは絶え
第17夜 植民地(コロニー)
第18夜 愛に時間を
第19夜 緑の星のオデッセイ
最終夜 遥かなる地球の歌

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

6月16日の花火

2021-02-27 18:35:02 | 丸谷才一

丸谷才一 一九八六年 岩波書店
丸谷才一は『男ごころ』所収の「屋上には恋猫もゐます」(1988年)という随筆で、『和田誠百貨店B館』という本をとりあげて、レコードジャケットとかポスターなどの絵をみながら、装釘については他のひとの本の絵も楽しみつつも、
>(略)しかし何と言つてもおれの本の出来がいいな、と喜んだ。(略)みんなが舌を巻いた『6月16日の花火』が、特殊な印刷法なため、原画しか収めてないのは残念だけれど、これはまあ仕方ない。(同書p.256)
なんて言ってるんだが、これがその本。
おととしの9月ころに古本手に入れたんだが、最近やっと読んだ。
タイトルなんのことか全然わかんなかったんだけど、
>題の六月十六日は言ふまでもなく、『ユリシーズ』のあつかつてゐる一日。毎年この日の夜はにぎやかに酒を飲むことにしてゐる。(p.244)
と、あとがきにあるように、読書家にとっては言うまでもないことなんだろうが、私は『ユリシーズ』読んでないのでしかたない。
>ジェイムズ・ジョイスは十代の終りごろ岩波文庫本で読んで以来、わたしが最も親しんだ小説家である。私の考へてゐる文学の中心部には、どうやら彼の作品があるらしい。(p.244)
と丸谷さんにとっては偉大な作家なんだが、どうも私は興味がわいてこないもんだからなさけない。
というわけで本書は、評論集なんだが、ぜんぶジョイスについて書いたもの。
うーん、投げ出さずに読みとおせるかなーと心配してたら、なんと「若いダイダロスの悩み」と「西の国の伊達男たち」は『梨のつぶて』、「通夜へゆく道」は『コロンブスの卵』に所収されてるもので、すでに読んだものだったんで、実質半分しか読まなかったことになる本書は。
「神話とスキャンダル」によれば、1880年ごろのアイルランドの政治的中心人物のスキャンダルが、『ユリシーズ』に反映されているんだというのだが、『ユリシーズ』知らない身としてはなんのことだかよくわからない。
「夜の町」によれば、スイスのゼクセロイテンという、冬を埋葬する豊饒儀式、春の祭を1917年に初めてジョイスは見て多大の感興を覚えたというのだが、これまた『ユリシーズ』読んでない不勉強者にはピンとくるものない。
>彼は『ユリシーズ』を書きながら、自分はいつたい何を作つてゐるのか、これはホメロス以来の文学史のどの流派に属してゐるのかと不思議で不思議でたまらなくて、そのうち偶然スイスの年の春の祭に出会ふことによつて、(略)この長篇小説全体が古典古代末期以来のカーニヴァル文学の末裔なのだといふことをとつぜん発見したのであらう。さう考へればいろいろなことがよくわかる。だしぬけに納得がゆく。(p.87)
と丸谷さんは言うんだが、いやあ、だしぬけに納得がいく感慨を共有できないのは残念だ。
コンテンツは以下のとおり。

神話とスキャンダル
夜の町
II
若いダイダロスの悩み
通夜へゆく道
西の国の伊達男たち
III
『ジアコモ・ジョイス』のための素描

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

奇術師の密室

2021-02-21 18:43:50 | 読んだ本

リチャード・マシスン/本間有訳 2006年 扶桑社ミステリー文庫
リチャード・マシスンを読みたくって、去年の10月だったか、たまたま古本街で見つけた文庫。
ほんとは短編集がほしくて探してるんだが、なかなか手に入れることができない。
長編かー、長編ミステリーってめんどくさいなーっ、て思ってしまう近ごろ、『月長石』とか読んで喜んでいたころの俺はどこへいった?
本書は、原題「Now You See It…」1994年の作品、マシスンって(「トワイライト・ゾーン」とか60年代に関わってたらしいから)もっと昔の人だと思いこんでたが、意外と最近のものもあるんぢゃない、って思った。
物語のほうは、長編っていうわりには、登場人物が少なくて、しかも舞台がひとつの部屋だけ、という意外なもの。
52歳のマジシャンの男マックスと、その二番目の妻で興行の助手もつとめる41歳の美女カサンドラと、カサンドラの弟35歳のブライアンがおんなじ屋敷に住んでいる。
そこへマックスのマネージャーで、カサンドラとも通じているハリーがやってくる。
マックスは近ごろでは身体が不調なのかマジックのキレが落ちつつあるようで、カサンドラはそんなマックスを見限って自分が主役になろうかと企んでいる。
マックスは自分を落ち目扱いするハリーのことも、妻カサンドラのことも気に入らない、っていうか憎しみ増すばかりって感じ、カサンドラのほうはマックスを亡き者にしちゃってもかまわないぐらいに考えてる。
そういう人物たちが一堂に会してるんで、なんのきっかけで暴力が爆発するかわからない状態。
そこにもう一人いるのが物語の語り部、マックスの父親で偉大な奇術師だったエミール・デラコート、当時73歳。ただし、
>みなさんは植物人間の書いた話など、これまで一度も読んだことがないかと思う。
という驚きの書き出しで始まるとおり、この語り手は、1966年に脳出血で引っくり返り、いまは車椅子の乗った植物人間という設定だ。
なので他の登場人物は、このひとが同じ部屋にいても、何も見ていないし聞こえてもいないという態で振る舞うんだが、当人はちゃんと事態を見つめている、驚いてもリアクションできないけど。
物語の舞台の部屋は、元はといえばこの父親の屋敷で、その奇術の下準備をする書斎であるマジックルームという特殊な場所。
いろいろ仕掛けがあるので、ふつうの単純な密室ものとちがって、奇想天外なトリックもあり。
そこんとこがちょっと、おもしろがって読めばいいのかもしれないけど、ずるいだろって思っちゃうと感心できなくなる、だって隠し扉とかイリュージョンショーの大道具・小道具使われたら、何でもありぢゃない。
だから、むしろこういう話って、それこそ「トワイライト・ゾーン」みたいなドラマとして映像にしてくれたほうが純粋に楽しめるんぢゃないかって感想をもってしまった。
ここで語られる、1980年7月17日の午後に起きたとされる出来事は、本文によれば「奇妙奇天烈」であって、
>これからはじまるのは、欲と冷血、恐怖と略奪、サディズムと殺人――(p.22)
ってことなんだが、まあ目まぐるしくて退屈はしない。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

政党支持の分析

2021-02-20 18:33:38 | 読んだ本

三宅一郎 昭和60年 創文社
ちょうど一年ほど前に、ひさしぶりに学生んときの仲間のあつまりに出たのを機会に、そのころ勉強してたものをいくつか押入れの段ボール箱からひっぱりだしてきたんだが。
これもそのひとつ、長く放っておいたせいで、函なんて変色しちゃってましたけど。
なかみはキレイなもんです、キレイすぎて、読んでないんぢゃないかページ開いてないんぢゃないかと思うくらい。
実際、読んだ記憶がないんだよね、なにに使ったかわからないし、課題を課せられたおぼえもない。
さらに、たいがいの本は発掘したついでに読み返すことにしてんだけど、さすがに今回これは読んでないし、だって難しそうなんだもん。
>本書の目的は、戦後日本の政党支持の特性とそれを支える社会的、心理的要因を全国調査データに基づいて分析し、有権者の意識の中の政党の状況を明らかにするにある.(p.5)
って「序」にあるとおり、なかみはそういう本です、タイトルそのまんま。
で、まちがいないのは、当時、日本政治の統計による分析するんだったらこれ読まなきゃ始まらない、って存在だったことは確か。
それにしても、本書のなかでよくとりあげられる調査データは、ミシガン大学日本研究所による1967年衆議院選挙調査(ミシガン調査)と、日米5名の政治学者による1976年衆議院選挙調査(JABISS調査)ってことなんだけど、アメリカの手を借りなければそういう調査分析できてなかったのかねってのが、日本政治学の遅れというか悲しいとこなのでは。
研究者が自由に分析できるデータがほとんど公開されていなかったという嘆きもあるけど、いまはなんでも公開されてると、去年のあつまりのときに聞いた、どこにあるのか見てみたことはないけど。
自分でデータ集めなくてよくて、ガチャガチャ計算だけしてればいいんだったら、ちょっとやってみたい気もしないでもない。(追い込まれなければやらないくせに…)
コンテンツは以下のとおり。
第1章 政党支持と社会構造・国際環境の変動
第2章 政党支持の類型とその特性
第3章 政党支持の変動と支持の幅
第4章 政党支持の社会化過程
第5章 政党支持と職業利益
第6章 「保守-革新」イデオロギーと態度空間
第7章 政策争点・政党の政策イメージ・政党選択
第8章 政党支持強度の消長

…それにしても、どうしてこういう本て、高いんだろうね。
函にある当時の定価は7,500円だよ。(消費税導入前w)
学生にとったら、それだけのカネあったらキャンパス近くでラーメン何杯食えるんだって話だ、当時の「小ダブル」は370円だったから20杯か。
(学問をそういうところと比較するな!?)

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

RCサクセション GOLDEN☆BEST ユニバーサル・エディション

2021-02-14 18:38:30 | 忌野清志郎

RCサクセション 2004年 ユニバーサル
いつの間にでてたんだ、こんなベスト盤、って感じがするんだけど、ちゃんと持ってたりする。
入ってるリーフレットによると「ソニー・ミュージック/東芝EMI/フォーライフミュージック/ユニバーサルミュージック共同企画」ってことなんだが、いろんなアーティストどれでも一枚1,980円って、なんかクラシックとかでありがちな企画だ。
それにしても、一グループなのに、ベスト盤企画のなかで東芝EMI版とユニバーサル版と、二つ出ているところが、さすがはわれらがRCだ。
で、なんでこれ持ってるかっていうと、「ベイビー!逃げるんだ。」を聴きたくなったとき引っ張りだすわけで。
この曲はイントロんとこがけっこう好きなのと、あと
生意気な奴だったのに なんだか素直になったな
レスポールが重たすぎたんだろ
ってとこがいい感じだと思ってる。
サビの「ベイベー、逃げるんだ」は、初めてテレビコマーシャルで見たときはとても驚いた。
キヨシローの動きも、なんのCMやってんだと思うけど、なんつっても「三菱ってぇのが、つくったんだぜ」のセリフはすごい、そんな言い方するかあ? 偉い人が怒らなかったかね。
あと、このアルバムの「SUMMER TOUR」がシングル・ヴァージョンだっていうのも意外とよかったりする。
ほかには「トランジスタ・ラジオ」と「スローバラード」って名曲2曲もシングル・ヴァージョンだったりするんだが、これらはライブのほうがいいに決まってるんで私としてはシングルに特に思い入れはない。
1.ロックン・ロール・ショー
2.SUMMER TOUR
3.Sweet Soul Music
4.わかってもらえるさ
5.よごれた顔でこんにちは
6.ヒッピーに捧ぐ
7.やさしさ
8.ボスしけてるぜ
9.キモちE
10.トランジスタ・ラジオ
11.ベイビー!逃げるんだ。
12.明日なき世界 EVE OF DESTRUCTION
13.サマータイム・ブルース SUMMERTIME BLUES
14.サン・トワ・マ・ミー SAN TOI M'AMIE
15.雨あがりの夜空に
16.スローバラード

どうでもいいが、ひさしぶり聴こうと思ってラジカセ(←死語か?もしかして。3枚CD3枚MD入るやつだが)の電源入れたら、しばらくカタカタ異音がしてた。
待ってたら正常に動き出したけど、たまにしか使わないから機嫌わるくなったのか、不安だなあ。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする