風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

変わる日本語

2017-09-19 | 文化


私は学生時代方言を学んだ。
言語地理学という分野で柳田國男の手法を使い
方言調査などもフィールドワークとしてやってきた。
いまだに方言には、文法や語彙史のジャンルとして興味がある。

先日の朝日新聞に、私が出た大学の研究室が載っていた。
もちろん35年前とは先生が違うけれど
今も脈々と同分野の研究が続けられていることが嬉しい。
しかし、内容を読んでみると
SNSなどにおけることばの変遷が研究テーマだったり。
なるほどこれは新しい方言なのかもしれない。
面白いなぁ。

ことばとは人と人とをつなぐコミュニケーション手段。
時と場合に応じて使い方が変わってくる。
これは日本語に限ったことではなくて
他言語でも表現などが変わってくると思われる。
(「Have a seat」と「Sit down」のように)
SNSを介して他とコミュニケーションを取る場合も然り。
通常の書き言葉や口語とはまた違う表現になるのも
もしかしたら必然なのかもしれない。

方言は往々にしてその土地の民族性をあらわすこともある。
方言地図などを狭いエリアで作ると
人々の交流の歴史などもわかってくる。
語彙の変遷や、音便化などを見ていくと、
ことば(文化)が伝わった経路などもわかってくる。
極端に語彙が少なくなりつつある標準語と違い、
微妙なニュアンスなどは方言でしか伝わらないことも多い。
(それもほとんど使われなくなった古語だったりする)
ことばを豊かにすることは文化を豊かにすることにつながる。
右か左か、YesかNoか、良いか悪いか、味方か敵かなど
デジタル化した人間関係は、
もしかしたら日本語の弱体化からきているのではないか?

いずれ「ことばは世につれ」
日本の長い歴史の中で、日本語はどんどん変わってきている。
JKことばや2ちゃんねるなどのことばの使い方も
もしかしたら変遷の一つなのかもしれないし
そういう意味では嘆くつもりも、否定するつもりもない。
(実際「うまいっ!!」と思ってしまう表現もある)
しかし、ことばの豊かさだけは無くしてはいけないと思うのだ。
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