夫婦で直木賞作家である藤田宣永さんと小池真理子さん。
本書は肺がんで人生のパートナー藤田さんを失った小池さんが
まだ血が滲んでいる傷口のような喪失感を抱えながら、
より鋭敏になった感覚を持ちつつ暮らす中で書いたエッセイ。
喪失という名の傷口は
徐々にかさぶたになって癒えてはいくけれど、
徐々にかさぶたになって癒えてはいくけれど、
かさぶたが取れて治ってもその跡は残って時々疼く。
傷が大きければ大きいほど。
できることは、以前に比べて少し欠けた日常を拾い集める作業。
それが本書だろう。
もうそこにはいない人の気配を感じると
できることは、以前に比べて少し欠けた日常を拾い集める作業。
それが本書だろう。
もうそこにはいない人の気配を感じると
突如、周囲の風景が彩色される。
鳥が啼き、木の枝が揺れ、雲が流れる。
赤と青と緑と黄色と紫と橙色と桃色と・・・色彩が鮮やかになる。
その心情の描写に刮目。
その心情の描写に刮目。
「月夜の森の梟」小池真理子:著 朝日文庫