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news commentary

予定通りの強行

2015-07-15 22:32:06 | Weblog

2015年7月15日は、朝9時から衆議院のインターネットTV審議中継を見ていた。だが、いつもと比べて、中継が切れてしまうことが多かった。いったん切れると、再接続しようとしても、つながりにくくなった。やがて、アクセス集中により、視聴困難になっているとメッセージが画面に出るようになった。

7月15日は自民党・公明党が安保法制関連法案の強行採決をし、野党が阻止しようとする日なのだが、NHKは何を思ったか国会中継をしなかった。それで衆院インターネットTVにアクセスが集中した。朝刊のテレビ番組表を見ると、NHKTV1の9時台は「あさイチ」というおしゃべりショー番組、10時台が趣味のテニスの話題、11時台が昼前のお気楽ワイドショー番組。国会中継よりこちらの定番番組の方がお気に入りの方々がいらっしゃるだろうが、この時期、与野党がくんずほずれつの論戦を繰り広げる国会中継を見たかった方も、また多かったことだろう。

朝日新聞の同日付夕刊によると、「各会派が一致して委員会の開催に合意することなどを適宜、総合的に判断している」「各時間帯のニュースなどで詳しくお伝えすることにしている」などと、NHKは朝日新聞の取材に中継しなかった理由を回答した。それでいてNHKは定時のニュースのなかで、今国会の最も重要な法案の採決、と言っていた。衆議院のインターネット中継にはアクセスが集中し、一時見られない状態になったことについて、衆議院広報課は「審議中継が見られなくなることはそうそうあることではない」という。

一方に、論理的な憲法解釈を重んじる立場があり、他方に、米国との親密性を重んじる立場がある。憲法が最高法規であるという立場と、俗にいわれている、憲法の上に日米安保と日米合同委員会があるとする立場である。これは折り合いの付くような話しではなく、最後は力ずくの決着しかない。

今は昔。1946年の衆議院本会議で、 野坂参三が、「日本の帝国主義が満洲事変以後起したあの戦争、他国征服、侵略の戦争である、是は正しくない、同時に侵略された国が自由を護るための戦争は、我々は正しい戦事と云つて差支へないと思う」と意見を述べたのに対し、吉田茂は「近年の戦争は多くは国家防衛権の名に於て行われた。故に正当防衛権を認むることが偶々戦争を誘発する所以であると思う」と答えた。

その後吉田は、朝鮮戦争の始まりで、米国から再軍備を押し付けられた。憲法の上に、米国があったのは昔からである。そうした戦後レジームを今日まで引きずっている。


委員会での採決のさい、民主党・共産党が強行採決に抗議したが、TVのカメラに向かって「アベ政治を許さない」「自民党感じ悪いよね」「強行採決反対!!」といったカードを掲げて抗議するお行儀のよさだった。

昔は乱闘国会が相場で、もっとにぎやかだった。1954年の警察法改正案をめぐっては、野党は本会議での採決阻止のため、議場入口を封鎖し議長席を占拠。警察が出動し、乱闘で50人が負傷した。1956年には新教育委員会法案をめぐり、警察官500人が参議院に出動した。1960年の日米安保条約改定では、衆議院議長の要請で警察官500人が動員された。警察官は野党議員を排除して、本会議で新安保条約を強行採決した。

さて、あす7月16日午後1時からの本会議はどうなるのかな?

(2015.7.15 花崎泰雄)


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