電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
駄菓子屋放浪記 4
駄菓子屋放浪記 4
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わが親の世代で漫画を読んだり、漫画本の購入に理解のある母親を身近で知らない。小学生時代に週刊少年漫画雑誌を読んでいた同級生は、お兄さんかお父さんが漫画好きの友だちだけだった。週刊少年漫画は、子どもの小遣いで買える値段ではなかったし、わが母はまったく漫画を読まない人だった。
当時、サンデーもマガジンも30円だったが、近所の駄菓子屋には十円玉を握りしめた子どもでも買える少年漫画雑誌があった。新聞紙を貼って作った袋にサンデーやマガジンを入れて束ねたものを駄菓子屋のばあちゃんが持ち、お金を払った子どもが
「どうか読んだことのないのが入ってますように」
と祈りを込めて選び、ぐいと下に引いてくじ引きするのだ。袋の中には数か月前の古い漫画週刊誌が入っていた。
毎回読み切りのギャグ漫画は当然として、ストーリーのある連載漫画でも途中から
平気で読めたのは、それほど娯楽に飢えていたからというのはもちろん、漫画家や編集者がどこから読んでも読者獲得できるように工夫していたのと、子どもの想像力が豊かであったことの賜物だろう。そして駄菓子屋とは
「どうか読んだことのないのが入ってますように」
と祈ってひいても既に読んだものをひいてしまう不運、そういうハズレにめげない忍耐力をつけるための、過酷な練習場でもあった。人生のほとんどは「スカ」と書かれたハズレでできているからだ。
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コメント ( 4 ) | Trackback ( )
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印象に残っているのは、ナガラミやツブ貝、甘柿を売っていたことでしょうか。
安かったのでよく買ってました。
電電公社の紙パンチを売っていたり、怪しい油も売っていましたね。塗ると雑誌をコピーできるんです。
カネボウのガムを売っている店が清水市内に多分、1軒しかなくて、「ハリスの風」のシールが欲しくて遠くまで買いに行ったもんです。
中学の同級生の家ですね。
高校1年生の彼女のカレーを作る手際の良さには
びっくりしたものです。