電脳筆写『 心超臨界 』

強みは物理的な能力がもたらすものではない
それは不屈の信念がもたらすものである
( マハトマ・ガンディー )

不都合な真実 《 シルバー移民は、もはや優雅な生活どころではない――北畑隆生 》

2024-05-12 | 08-経済・企業・リーダーシップ
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「YEN漂流――縮む日本」
 [1] 沈む国と通貨の物語
 [2] 元経済圏の足音
 [3] 気がつけば途上国
 [4] 老若男女 夢持てず
 [5] 北畑次官の誤算
 [6] 新・通貨ウオーズ
 [7] 10ミリ秒 対 2秒
 [8] 「CO2本位」時代
 [9] 介入大国のDNA
 [10] 円が消えた日
 [11] 仕送り鎖国の罪
 [12] 燕は再び飛んだ
 [13] 天使よ振り向け
 [14] 円高恐怖 超えて
 [15] 磁力ある国へ


「退官後は天下りなんかせず、スペインに移住する」。そう公言し続けてきた高級官僚がいる。経済産業省の事務次官、北畑隆生(57)。プラザ合意後に円高が進んだ1986年。日本人が退職後に物価の安いスペインなどで優雅な老後を過ごすよう勧めた「シルバーコロンビア計画」を発案した張本人だ。


[5] 北畑次官の誤算――「老後は海外」夢かすむ
(「YEN漂流」縮む日本 08.01.08日経新聞(朝刊))

ユーロ高で打撃

「退官後は天下りなんかせず、スペインに移住する」。そう公言し続けてきた高級官僚がいる。経済産業省の事務次官、北畑隆生(57).

プラザ合意後に円高が進んだ1986年。日本人が退職後に物価の安いスペインなどで優雅な老後を過ごすよう勧めた「シルバーコロンビア計画」を発案した張本人だ。

入省同期で最後まで本省に残った北畑も早ければ今夏に退官する見通しだが、今、気持ちが揺れている。「ユーロ高に物価高も加わって、スペインの住宅購入費も生活費も日本の二倍。住宅ローンも残っているのに優雅な生活どころではない。どうしたものか」

発案当時に移住を約束した夫人は、今もスペイン関連の雑誌やテレビを眺め、心待ちにしている。財務省次官の津田広喜(59)ら入省同期の官僚は「本当にスペインに行くんだろうな」と。“監視する会”を立ち上げた。北畑も「計画は変えない」と一応言い続けるが「ずっと住み続ける余裕があるかどうか」と不安げだ。

サービス産業室長当時の北畑がつくった当初計画にはこうある。「2千万円の退職金と月額20万円の年金があれば夫婦で退職後の人生を海外でのんびり暮らせる」。スペインの一戸建て住宅(2百平方メートル)は7百万-千百万円、生活費が1カ月に10万-15万円ですむと試算した。

直前のスペイン大使館勤務で、ドイツなどの年金生活者が「退職者村」で悠々自適の老後生活を送っているのを見て着想した。「円高で食事でも何でも安く見えた」と北畑は振り返る。

「日本は老人まで輸出するのか」「海外うば捨て山だ」。計画は大きな論争を呼んだ末、88年に「海外滞在型余暇計画」としてまとまる。同年には旅行会社、航空会社、商社が協議会を設置。長期滞在型の旅行プランやスペイン保養地での住宅分譲が始まり、移住者も増え始めた。

それから約二十年。日本人の移住者は減少の一途だ。最も人気の高かったスペイン南部の保養地、コスタ・デル・ソル。当時、日本人は百を超すマンションを買ったが、残る移住者はまばらだ。「日本人の経済力は下がる一方。出ていく人はいても新しい住人は増えない」。現地に住む日本人団体「コスタ・アミーゴス」の伊藤千恵(38)は言う。

伊藤がスペインに渡った97年当時、コーヒー1杯が百ペセタ、当時の為替相場で約80円。昼の定食も5百ペセタ(約4百円)で生活は楽だった。ところが2002年にユーロ流通が始まり一変した。スペインの物価はじりじりと上昇、ユーロも強くなった。昨年末、8年間のスペイン生活に終止符を打って帰国した伊藤和男(68)は「外食すれば軽く40ユーロ(6千4百円)。ゴルフ代も上がる一方。年金の範囲内で暮らす計画はユーロ高で崩れた」と話す。

コスタ・アミーゴスの調査では、今も現地に残る夫婦の1カ月の生活費は千7百60ユーロ(28万円強)。シルバーコロンビア計画で想定した額の倍以上だ。「優雅な生活」からはほど遠くなってきた。


生活苦で豪脱出

シルバー移民は通貨の高い国を避け、生活費の安い国を求めてさまよう。

「レタス1玉5百円じゃとても暮らせない」。旅行作家の立道和子(64)は昨年10月、04年から海外生活拠点としていたオーストラリアを離れ、タイに移った。豪ドルが急上昇し、生活水準を維持できなくなったことが大きい。

だがタイでも経済成長に伴いバーツ高が続く。タイで老後を過ごす年金ビザ取得には月6万5千バーツ以上の年金収入が必要。今の相場で23万円強、これ以上バーツが高くなると、日本の平均的な厚生年金受給世帯では取得が難しくなる。

「シルバーコロンビアの肝は、日本の国力を背景とする円高。通貨が安くては、絵に描いたもちだ」と北畑は言う。強い日本に裏打ちされた「海外での豊かな老後」という夢はかなたに消え去ろうとしている。  =敬称略

(「YEN漂流」取材班)
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