西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

長唄新稽古本

2011-10-14 | 長唄を作った人たち (c) y.saionji
長唄新稽古本


吉住小十郎は、
苦心の末完成させた譜面を早稲田倶楽部で使ってみた。

数字と同じ音を出せばいいのだから、
何度でも完璧に同じ節を唄うことが出来る。

長唄というものは、極論をいえばその都度節も違うし、
はまり(リズムようの意)も違う。

ところが、この譜面があれば、誰が唄っても同じ節に仕上がる。
これは便利で合理的だ、ということですこぶる好評。

曲数も次第に増え、成果も上々。
こんないいものなら、ちゃんと印刷して研精会方面に売り出そう、
ということになり、早稲田倶楽部が出資して商品化。

吉住小十郎編「長唄新稽古本」(俗には研譜)が誕生した。
その記念すべき第一冊目が「松の緑」(1916・大正5年)。

小十郎が稽古に行き始めてほんの1年目位のことなのだから、
なんとも仕事が速い。


 〓 〓 〓
tea break・海中百景
photo by 和尚