テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

ことばのチカラ!

2013-05-20 21:59:46 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ほんとォにィ、ゆきィ~ッ!」
「がるる!ぐっるるる!」(←訳:虎です!降ってます!)

 こんにちは、ネーさです。
 案じておりました通り、2013ジロ・デ・イタリア第15ステージは、
 雪が降る中でのゴールとなりました……

「さむいィ~!」
「ぐるる~!」(←訳:凍える~!)

 観ている私たちも寒いっ!と叫びたくなる壮絶バトルでしたが、
 総合優勝の栄誉はいったい誰の手に?
 いえ、その前に!
 今日もしゃっきり読書タイム!
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  



              ―― 幻坂 (まぼろしざか) ――



 著者は有栖川有栖さん、2013年4月に発行されました。
 わあ! この御本もステキな表紙ですねえ!
 装画を担当なさったのは、影山徹(かげやま・とおる)さんです♪

「ゆうやけがァ、うつくしィ~♪」
「がるーぐるるるがるる~!」(←訳:カバー絵全体が美しい~!)

 逢魔刻という言葉を想わせる色合いに包まれたこの御本は、
 有栖川さんのファンさんなら、
 新作ね!どんなミステリかしらっ!
 と盛り上がっちゃうところでしょうが――

「うむうむッ! じけんでスねッ!」
「ぐっるがるがる!」(←訳:きっと難事件だ!)

 いえ、それがね。
 ミステリではないんです、有栖川さんのこの新作は。
 『あとがき』には、こう記されていますよ。

   《 大阪を舞台にした怪談 》

「かッかいだだッ??」
「がるる~っ!」(←訳:怖い話~っ!)

 怖い。
 けれども、どうにも魅了され、続きを聞きたくなるお話。
 有栖川さんの《怪談》はそんな、
 ひとのこころの深部へ
 ぐいぐい迫ってくる《こわいおはなし》です。

 でもぉ怖いお話って、ねぇ~…と躊躇する活字マニアさんは、
 御本の最初に収録されている
 『清水坂(きよみずざか)』を御一読あれ!

 私ネーさ、圧倒されました!

 
「あッとうゥ~??」
「ぐるぐる??」(←訳:どうして??)

 ここで語られている大阪弁、いえ、土地の言葉の、
 なんという麗しさ! 
 活き活きと豊かで、きらめいていること!

 大阪を含む関西の言葉の素晴らしさを描いた小林信彦さんの『唐獅子株式会社』、
 名古屋言葉を世に知らしめた清水義範さんの『蕎麦ときしめん』『金鯱の夢』、
 そして何処とも判らぬ仙境を描く泉鏡花さんの『高野聖』『夜叉ヶ池』、
 といった名作と同じく、
 “ことば”のちからが
 この作品から放射されています。

 大阪の“ことば”に、これほどの美が潜んでいたとは!

「うむゥ? こわくゥないィのかなッ?」
「がるがるる?」(←訳:怪談なのに?)

 『清水坂』に始まり『夕陽庵』に幕を閉じる9編の怪談は、
 もちろん、怖い!
 でもまた、怖さ以上の何かも織り込まれているんです。
 精錬し、磨ぎあげた日本刀の戦慄するような美にも似た、
 熱く静謐な美――

 日本語を母国語とする活字マニアさん、
 そして国籍問わず現在日本語を勉強中の方々に、
 ぜひ読んでいただきたい一冊が、この御本です!

「かんさいのォ、おかたもォ!」
「ぐるるるがる!」(←訳:関東人さんも!)

 さあ、皆で、大阪の逢魔境へ!





 
 
 

 
 
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