まちみちふうけい

四角い枠に切り取られた風景は一瞬のもの、そんな一瞬を追い求めてこれからも相棒と走り続ける・・・

No.1021 2人の鷲津政彦

2018-11-13 11:10:04 | 日記
おはようございます。


この前の土曜深夜、BSプレミアムで『ハゲタカ』が2週連続で再放送していました、このドラマは自分(一人称)が今まで見たドラマの中では五指に入ると言ってもいいくらい、これまでもう何度も見ましたが今回も見れるところはリアルタイムで見て見れなかったところは録画をして見ました。



それにしてもなぜこの時期に再放送?もしかしてこれが引き金だったのかな???↓↓↓



テレビ朝日が放送した『ハゲタカ』にNHKがまるで対抗心でも燃やしたのか、それとも本当の『ハゲタカ』はこういう物語だ!とでも言いたかったのか・・・でも自分(一人称)も放送局の思うツボです、この週末には両方を見比べてしまいました。まあ同じものを違う局でやると比較してしまうのは仕方のないところ、結論から言うとNHK版の方が圧倒的に素晴らしかった、当たり前だ、テレ朝版はどうしても二番煎じってな感じでしか見れなかった。ただフォローすればテレ朝版は割と原作をベースにしていたのでNHK版とは別物として、十分楽しませてもらいました、決して見劣りするようなものではありませんでしたよ。




主人公の鷲津政彦、NHKで演じていたのは大森南朋、NHK版『クライマーズハイ』で現場の山に登ってきた記者役が印象に残るくらいでまだこの頃はブレイク前と言う感じの人だった。それほどイケメンではないし地味な感じの俳優さんが、このドラマで鷲津=大森のイメージを世間に見せつけた、

「腐ったこの国を買い叩く・買い叩く・買い叩く」「誇りで飯が食えますか」「お金を稼ぐことがいけない事でしょうか」 

ついこないだ見たばかりだが今聞いても心に響く名セリフがいっぱい、金に翻弄され一時は命の危機まで陥った男の物語はその後大きなスクリーンへと舞台を移して、中国の赤いハゲタカに勝利して一応の結末を迎えた。大森もその後は大河『龍馬伝』では武市半平太役、「私の妻、ミチルは・・・」ってドラマもありました、今はCMで霊長類最強の女の人と夫婦をやってるのをよく見ます、中延さんも一緒に出てましたねえ。



しかし、そんな名作をテレ朝が11年経った今年の夏に再びドラマ化、最初は納得いかなかった、鷲津役が綾野剛と知った時には更に納得いかなかった。なぜ今更『ハゲタカ』、綾野剛が大森南朋が築き上げた鷲津像を崩してしまうんではないかと・・・と思いながら第1話を見たのが4か月前のこと、その感想については後程。




「私は44歳です。人生の折り返し地点はとっくに過ぎています。しかし、残りの人生、自分に言い訳しながら生きていくには長すぎます」

この台詞、染みますねえ~、泣けるんだよなあ~、自分(一人称)が『ハゲタカ』(NHK)の中で一番好きな台詞、ドラマでは鷲津の好敵手となる芝野健夫が発する台詞です、自分(一人称)も会社辞める時にこの台詞言ってやろうかとか思ったけど、「明日から来ません」だったからなあ、カッコ悪いったらありゃしない。芝野は毎回苦境に立たされ苦しそうな表情ばかりなわけですが、その役を演じていた柴田恭兵が病み上がりだったこともあって余計に痛々しい感じがしました。若い頃はサングラスをかけて拳銃をぶっ放していた俳優さんも今は重みを加えて渋い演技が映えるように、って思ったらまた『あぶない刑事』やってましたね、走っているシーンでは見ていて本当に大丈夫か、と思ってしまいました。一方のテレ朝版の芝野役は渡部篤郎、柴田恭兵がズシリと重い演技だったのに対してこちらの方は家族の場面もあったりして幾分リラックスしていて人間味がある感じでした。

「ホライズン」で鷲津の右腕的存在だったアラン、テレ朝版では池内博之が演じていました、この人前にも竹野内豊のドラマで外国人役やってたよな。テレ朝版は割と原作をなぞっていた感じだったからもしかしたら途中で殺されるんでは、と思ったが、最後は鷲津に協力する形で戻って来ました、殺されなくて良かったね。原作では鷲津の恋人であるリンはドラマでは一社員の扱い、演じている人はNHKもテレ朝も同じ人、こう言うのも珍しいですねえ、ある意味この人が両方の鷲津を冷静に見比べていたのかも。この女優さん、以前野田秀樹と中村勘三郎の舞台で鎖につながれて表に出れない娘(と書くと虐待かと思うがめっちゃ喜劇)を演じていました、ただこの娘役がダブルキャストでもう一人、同じ役を演じたのが黒木華、注目されたのは向こうばかりとなってしまったのはちょっとかわいそうでした。同じように両方に出ていたのがテレ朝版で中延さんを演じていた光石研、この人も最近よく出てきますねえ、NHK版では第3話で入札の立会人役として出ていました、長引く入札に焦れてかつ丼を食べていました、青虫は入ってなかったんでしょうか・・・。
そして鷲津の大敵となるのが三葉銀行常務取締役飯島亮介↓↓↓



こちらはNHK版の中尾彬、もう見るからに悪そうな感じです、声が低くズシリと相手をえぐって来る威圧的な物言いが最大の敵ありありと言う感じでした。一方のテレ朝版は小林薫、中尾彬に比べるとスマートで威圧感はなかったもののナチュラルな関西弁でまくし立ててくる辺りは悪者感ありありでなかなか良かった、中尾彬の関西弁がちょっと違和感があったのでこの辺りは勝負イーブンと言ったところでしょうか。

この間NHK版を見て、11年経っても改めて名作だと再認識させてもらいました、とにかく第1話、その始まりからもう心が揺さぶられるんだよなあ。特に音楽がいい、メインテーマがカッコよく過ぎる、怪しい雰囲気の時にはだんだんとズシリと低く響いて来るBGM、ピアノの単音から始まるBGMでは栗山千明がポロリと涙を流しているシーンが浮かんできます。その音楽を担当していたのが佐藤直紀氏、『龍馬伝』『グッドラック』『カーネーション』など、心にズシリと響く音楽を提供してくれる人です。第1話の老舗旅館の買収に始まり、第4話では大手電機メーカーの買収を目指すが鷲津は強引なやり口を繰り広げたためにホライズンを解雇、買収に敗れその後、鷲津に恨みを持つ西野治に撃たれて生死をさ迷う、それでも復活して更に買収を目指す、そこにはある目的があったから・・・と言うあらすじ。副題には『ROAD TO REBIRTH』とあるがそれは企業だけでなく、鷲津や芝野にもあったテーマのように感じる。しかし再生できなかった人もいた、第1話の宇崎竜童、第4話の菅原文太はまだ無名に近い若手俳優に凄みのある演技で対峙してくる、2人とも亡くなってしまうがこのドラマの結末に大きな影響を残すことになる。第4話の株主総会のシーン、芝野の「3年の時間をください」に涙を流す社員の姿が映し出される、自分(一人称)もその中の人たちの一人だなと思いながら見ていた、もちろん泣いた。多分以前勤めていた会社・・・はっきり言ってろくでもない所だったが物を言うこともできないし事を起こすこともできない、それでも上を期待して働くしかなかったんだよなあ。お金のないことに悲劇を感じることはなかった、給料を頂けるだけでありがたいと思える時代だったし手放したくない場所だった、のに辞めた、会社はもう自分(一人称)が身を置ける場所ではないと思ったから、正直傾いていたのは知っていたし現に潰れてしまった、自分(一人称)の一大決心は間違ってなかったと思ったが、まだこのドラマがやっていた頃はそんなことなど思うこともなく、会社のために働き期待には応えようと思っていた。あの社員の涙はそんな気持ちでいた自分(一人称)にはズシリと来ましたね~、この間久しぶりにそのシーンを見てやっぱり泣いてしまった、まだ人々は自分の身を置く場を信じていた時代だったんだなあ・・・


さて、それから11年経ってリメイクされたテレ朝版『ハゲタカ』、最初はNHKが作り上げた世界を潰してほしくないと思って見ないとも思っていたが、まあ第1話は見てみようと思った、でその感想は・・・普通やな、心にズシリと来ると言うシーンはなく、ほぼ普通に面白いと見れるドラマだった。綾野剛は大森南朋を意識しないように演じようとしている感じだったがまあそれは無理だろうな、NHKと比較されるのは絶対だから、どちらがいいどちらが悪いと言う答えは自分の中でははっきりしている。だから割り切ってテレ朝版を見たがまあ普通に面白かった、NHK版と違って原作に沿って松平貴子をヒロインとして登場させたのは良かったと思う。最後の2話は原作にはない作者オリジナルの筋をドラマにしたとのことだったが、NHK版の時代とは違って2018年の今だからできる作品になっていたと思う。綾野剛、悪くなかったよ、ただ

「は~げ~た~か~冥利に尽きますから」

は何か、何かなあ、大森版鷲津政彦もたまには熱くなる男だったし携帯もぶん投げていたがこんなクサい台詞を言う奴ではなかった、まあここは綾野版鷲津政彦を見せてくれたと言ったところでしょうか。放送中はあえてその感想をここで書くことは控えていたのですが、NHK版が再放送されたこともあって今回は長々とその感想を書かせてもらいました。またしばらくはNHK版のメインテーマが頭の中を渦巻く日が続きそうです、ああ~、映画の話もしたかったんやけど時間も時間なので今回もそろそろ、次回も気楽にお越しくださいませ。        まちみち



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