今年も春の空を埋め尽くした
桜の花を、連日、
有難く鑑賞させて頂きました.
しかし、咲き誇った花は暫くして
花吹雪となって散り始め、
今では花に代わって
新緑に包まれようとしています。
土曜日、セリ摘みに出かけた際、
摘んだセリを洗う小川の上には、
小さな公園の3本の桜の木。
満開の役目を終えた桜の花達が
花吹雪となって小川に落ち、
花は川面一面(かわもいちめん)を
底が見えないほど覆いつくし、
次々と下流へ流がされいくのを
眺めていると、
美しくもあり、
また、哀しくもあります。
明治の作家、林芙美子さんの短歌
「花の命は短くて
苦しきことのみ 多かりき」
この歌はあまりに有名ですが、
桜の花の命は本当に短いものです、
それは人の命とて同じです。
桜の花吹雪を見ると、
20年前に亡くなった親父のことを
思い出します。
親父の葬儀が終った後、
近くの公園の桜の木の下を
車で通り掛かった時、
桜の花吹雪が見事だったことを、
今でも忘れずにいます。
スージィーは今でも、
桜の季節は勿論のこと、
公園の桜の木の横を通る度に、
親父が旅立った空に
見事な花吹雪が舞ったことを
私に話します。
「花の命は短くて
苦しきことのみ 多かりき」
我が家に、親父の七五三の
写真があります。
信じられないことに、
写真の親父はスーツを着て、
革靴を履いています。
裕福な家に何があったのか
知ることはできませんが、
長男として家を継ぐために、
苦労を余儀なくされた、
親父の短い人生に、花吹雪を重ね、
散りゆく桜を眺めながら、
人生の儚(はかな)さと悲哀を
感じる自分が、今、ここにいます。
親父の命日は、4月8日。
この日はお釈迦様の誕生日に
あたります。
「桜吹雪」