カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

小池さん

2010-04-23 19:39:44 | Weblog
小池さん。と聞いて、ラーメンをいつも啜っているトキワ荘の小池さんがなんとなく思い浮かんできますが、今回のタイトルの小池さんは歌人の小池光氏のこと。今夜は小池さんの作品を読んでいます。


小池光氏の第一歌集『バルサの翼』より。


真昼間をさくらは透きてふかかりききみひめやかに分娩へ閉づ  小池光


おづおづと近づき遠しいまおもふおまへは樹木のにほひに立てり  小池光



おづおづと(私は分娩室のおまへのもとに)近づくが(いまのおまへは私から)遠い(ところにいる気がする)。いまおもふと、(出会った当時のあのときの)おまへは(春の若々しい)樹木のにほひのなかに立っていた。
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私信

2010-04-23 07:28:19 | Weblog
@Monthly_Shincho 最近仕事がばたばたしていまして家に着くとぐったりな毎日です。が、昨日は昼休みに職場の生協の書店で『新潮』五月号を購入。町田さんの詩やピンチョンの特集記事、楽しく拝読させていただいています。殊にピンチョン長編作品の超梗概、あんなに少ない文字数ながら素晴らしいですね。
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ユリイカに

2010-04-22 00:00:16 | Weblog
『ユリイカ』4月号の特集は、現代ピアニスト列伝。巻末、「ユリイカ今月の作品」欄の、若々しく瑞々しい投稿詩を眺めていると、自分が詩の季節をとうに通り過ぎてしまった寂しさを感じずにはおられません。
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昨日の続き

2010-04-21 07:33:11 | Weblog
歌誌『塔』2010年4月号より。三井先生が選歌された若葉集の作品から。


階段に林檎の兎とむすび置くや新型風邪の手が2階から  新井啓子


「林檎の兎とむすび」とありますので、たぶん新型風邪にかかってしまったお子さんなのでしょう。そのお子さんを「新型風邪の手」と表現されているところに惹かれました。「階段に」「手が2階から」は、神様がおこもりされている岩屋の前に村人が食事を運んでいくと神様の腕が岩屋からにゅっと出てきて、というような場面を連想させます。着眼がユニークです。しかし残念ながら、措辞の上では問題も散見されます。例えば、「置くや」は置くや否やの感じを出されたかったのだと拝察しますが、表現としてやや直接的かつ粗すぎかもしれません。ことばのニュアンスがひどく説明的に感じられました。この場合はほかの表現方法を探られた方がよいのかもしれません。また、数字の表記は、縦書きでしたら漢数字に統一された方がよさそうです。



「おうちどこ?」落葉と話した男の子セロテープ探す旅に出るなり  折鶴


ファンタジー童話のような連作の一首目にふさわしい作品と思いました。うたとしてはちょっと弱いですが、上句で提示された世界観の延長にある「セロテープ探す旅」に、読み手としてぐっと惹きつけられるものを感じました。「男の子」はもしかしたらもう「ここ」にはいないのかもしれません。
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二首

2010-04-20 19:38:23 | Weblog
歌誌『塔』2010年4月号より。三井先生が選歌された若葉集から。


階段に林檎の兎とむすび置くや新型風邪の手が2階から  新井啓子


「林檎の兎とむすび」とありますので、たぶん新型風邪にかかってしまったお子さんなのでしょう。そのお子さんを「新型風邪の手」と表現されているところに惹かれました。「階段に」「手が2階から」は、神様がおこもりされている岩屋の前に村人が食事を運んでいくと神様の腕が岩屋からにゅっと出てきて、というような場面を連想させます。着眼がユニークです。



「おうちどこ?」落葉と話した男の子セロテープ探す旅に出るなり  折鶴


連作の一首目にふさわしい作品と思いました。うたとしてはちょっと弱いですが、「セロテープ探す旅」に惹かれます。
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エルヴィン・ニレジハージ

2010-04-18 21:06:02 | Weblog
今日も朝からお寺で勉強させて頂きました。夕方、お寺からの帰り、豊島郵便局で書きなぐった歌稿を投函し、リブロ池袋本店二階にてフリー雑誌『熱風』最新号を入手。今号のテーマは歌舞伎座。おなじ二階フロアをうろうろしていて、風変わりな天才音楽家(作曲家、ピアニスト)エルヴィン・ニレジハージに関する評伝(『失われた天才』春秋社)を発見、すぐさま手にとって数ページ立ち読み。作品を作ることに関する考え方がいまの自分の思いに非常に近い感じがして衝撃を受ける。買わず。

ジュンク堂に移り、五階で弁護士本村健太郎氏の勉強ノウハウ本を立ち読み。当たり前のことだけれど、この勉強法は盲点だったかも。すぐ近くの本棚に、マザーハウスの山口絵理子氏の著書(講談社刊)を見つけ、これもじっくり立ち読み。ショックを受ける。自分は生き方を間違えた、と思う。多分、中学のところで生き方を間違えた(ような気がする)。ジュンク堂五階で急に目が覚める。まだまだ間に合うはずだ。
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歴史の判定如何

2010-04-14 07:32:37 | Weblog
昨日初台のコンサートホールで、沢井さんの箏独奏、佐渡さん指揮の兵庫のオーケストラで、坂本龍一さんの箏協奏曲の世界初演(東京初演?)があったそうで、聴かれた方がたの感想がいくつかのブログに掲載されているのを今朝拝見しました。否定的なことを書かれている人、手放しで絶賛されている人、本当にひとさまざま。過去の作曲家のさまざまな作品の初演事例をいまさら持ち出すまでもなく、あとは流れる時間が冷徹に熱く、それが歴史的な傑作か否かを判定するわけですね。




ひとの眼は一時的な熱狂やらなにやらですぐに曇ってしまいがちですが、時間の眼は常に冷静です。そういう意味で、時間の眼は「神の眼」に近いのかもしれません。
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カタロニア

2010-04-13 06:49:19 | Weblog
小池光氏の歌集『廃駅』より。


カタロニア炎暑沈黙の村々をささへとなしてこの日働く 小池光




最初、一読、カタロニア旅行までの日数を指折り数えつつ、この日もきつい仕事をこなした、と読みました。しかし、初句が「カタロニア」になっているのは、じつに意味深長です。


「カタロニア炎暑沈黙の村々をささへとなして」に着目して、これはいったい何をいわんとしているのだろうと思いを巡らすと、例えばオーウェルの『カタロニア讃歌』のことが浮かんできます。また、カタロニアというと、チェリストのパブロ・カザルスが国連で祖国平和への祈りをこめて弾いた『鳥の歌』(カタロニア民謡)のことが思い出されます。



単純な、旅行を楽しみにしているような歌ではなさそうです。




今朝、あいにく私の手元には『カタロニア讃歌』も『鳥の歌』もないので、堀田善衛氏の『スペイン断章』(上・下)(集英社文庫)を取り出す。
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この日働く

2010-04-12 22:28:49 | Weblog
小池光氏の歌集『廃駅』より。


カタロニア炎暑沈黙の村々をささへとなしてこの日働く 小池光




カタロニア旅行までの日数を指折り数えつつ、この日もきつい仕事をこなした、と読みました。
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メモ

2010-04-12 13:09:15 | Weblog
 メモです。。。

 *****

歌人の石本隆一さん死去
2010年4月2日14時10分

 石本隆一さん(いしもと・りゅういち=歌人)が3月31日午後9時10分、ぼうこうがんのため東京都品川区の病院で死去、79歳。東京都出身。自宅は目黒区碑文谷4の9の11。通夜は4日午後5時、葬儀は5日午前11時から東京都目黒区碑文谷4の21の10の碑文谷会館で。喪主は妻晴代さん。
 1930年生まれ。早稲田大学短歌会出身。歌人前田夕暮(1883~1951)に師事。1972年、結社歌誌「氷原」を創刊主宰。「木馬騎士」など12歌集のほか「石本隆一評論集」がある。

http://www.asahi.com/obituaries/update/0402/TKY201004020228.html

 *****

吹奏楽による「奏楽堂の響き3」

日時 : 2010年5月1日(土)18時00分開演/17時30分開場
会場 : 旧東京音楽学校奏楽堂(上野公園内)
演奏 : リベラ・ウィンド・シンフォニー
指揮 : 福田 滋氏
司会 : 西 耕一氏(音楽評論)
料金 : 3000円(前売り2800円)

問合せ : JCA事務局 jcacon@gmail.com FAX/049-287-7009
     お名前、住所、希望枚数を明記のうえ上記にご連絡ください
主催 : JCA(Japanese Composer Archives)
後援 : スリーシェルズ

 ☆☆☆

吹奏楽による「奏楽堂の響き3」開催!
(文:西 耕一氏)

 2年に1度、日本の作曲家ファンが各地より集う「奏楽堂の響き」が、ついに第3回を迎えます。今回はチラシ記載だけでも17曲演奏の重量級プログラムです。選曲も「戦前・戦中世代のマーチ集」、「3人の会の音楽」、「新世代と新編曲」の3つのテーマで、初演以来の再演になるのが不思議なくらいの名曲から、今後を期待される作曲家の委嘱新作まで、日本の作曲家の意義ある仕事を世に広めようというものです。

 3回目ということで、「3人の会の音楽」から聴き所を紹介しましょう。
 黛敏郎の《交響組曲「東京オリンピック」》は、市川崑監督の代表作でもある同名映画よりの新編曲になります。日本国民だけでなく、世界が熱狂したスポーツの祭典へ作曲された音楽は、黛映画音楽の代表作である《天地創造》(今回はテーマを松木敏晃の新編曲で)と双璧を為す傑作です。勇壮な黛メロディーと響きのダイナミズムを存分に楽しめます!
 組曲の構成と編曲は伊福部昭最後の弟子として知られる堀井友徳です。團伊玖磨は、自身が楽しんで編曲したという《吹奏楽のためのぞうさん》の心温まる音楽、《希望のあしおと》は心臓発作から復活した團の喜びが聴こえるような快活にして壮健たる傑作です。
 昨年は没後20年の演奏も多かった芥川也寸志ですが、《八つ墓村》は松木敏晃による映画のスコアに忠実な編曲。《JALマーチ》は初演以来の演奏ではないでしょうか?幻の作品が音になります。

 「戦前・戦中世代のマーチ集」では、團伊玖磨と芥川也寸志の師でもある下總皖一の幻の行進曲《立山》、團伊玖磨の推薦で作曲したという佐藤勝の《日本万国博ファンファーレ》、そして瀬戸口藤吉に作曲を師事した菅原明朗の最初期の作品である《海の行進曲》、管原門下の深井史郎は山本五十六元帥へ捧げられた葬送行進曲、同じく菅原門下、《六甲おろし》《闘魂こめて》《ドラゴンズの歌》《モスラの歌》の作曲者でもある 古関裕而《モーターボート行進曲》までを演奏いたします。

 「新世代と新編曲」では、芥川作曲賞の受賞者でもあり、「演じる音楽」「笑いの構造」などをテーマに「前衛」作曲家として知られる川島素晴の新作と高校生時代の作品を演奏いたします。
 もう1人への委嘱は、2008年日本吹奏楽コンクール第1位「躍動する魂」を期に、吹奏楽だけでなく様々な分野へ活動を繰り広げる江原大介《クラリネット協奏曲「フレイム」》です。彼は新作について「やりたいことを詰め込んだエネルギーある作品」と語っています。
 そして、佐藤勝の《ゴジラ対メカゴジラ》よりのビッグバンドサウンドは、ジャズからの恩恵を受けた現代作品として今後も歴史に残る逸品となるでしょう。 なんとこれが舞台初演になります!
 映画音楽にもまだまだ名作が埋もれています。最後は恒例となった伊福部昭《SF交響ファンタジー》の第3番の編曲初演です。もちろん編曲は、全曲の指揮も行う福田滋による伊福部音楽への愛情溢れるアレンジです。
 アンコールは伊福部オーケストレーションと変拍子の妙技が発揮される「わんぱく王子の大蛇退治」よりの《アメノウズメの舞》、そして世界中で今も鑑賞される名作《天地創造》をオリジナルスコアから忠実に新編曲したテーマ!

 日本の作品への深い理解で知られるリベラ・ウインド・シンフォニーの真摯な演奏で存分に味わいましょう!
 これを逃せば二度と聴けないかもしれない?!ゴールデンウィークの土曜日は旧奏楽堂へ!!!

《プログラム》

第1部 ≪戦前・戦中世代のマーチ集≫
  ・日本万国博ファンファーレ (1970): 佐藤勝
  ・海の行進曲 (1935): 菅原明朗
  ・行進曲「立山」(1958) : 下總皖一
  ・「英魂を送る」故山本五十六元帥の霊へ捧ぐ(1943) : 深井史郎
  ・モ-ター・ボート行進曲 1971): 古関裕而

第2部 ≪3人の会の音楽≫
  ・皇太子殿下入場ファンファーレ(1970): 團伊玖磨
  ・行進曲「希望のあしおと」(1998): 團伊玖磨
  ・吹奏楽のための「ぞうさん」(1998): 團伊玖磨
  ・JALマーチ(1964) : 芥川也寸志
  ・組曲「八つ墓村」より (1977): 芥川也寸志/松本敏晃 編 ※編曲初演
  ・組曲「東京オリンピック」(新編曲初演)(1964) : 黛敏郎/堀井友徳 編 ※編曲初演

第3部 ≪新しい世代へと新編曲≫
  ・吹奏楽のための協奏曲(2010) : 川島素晴 ※委嘱初演
  ・「フレイム」-吹奏楽とクラリネットのための協奏曲(2010) : 江原大介 ※委嘱初演
    ♪クラリネットソロ : 丹羽綾子
  ・「ゴジラ対メカゴジラ」より(1974) : 佐藤勝 ※舞台初演
  ・SF交響ファンタジー第3番 : 伊福部昭/福田滋 編 ※編曲初演

  ・わんぱく王子の大蛇退治より“アメノウズメの踊り”(1963) : 伊福部昭 ※編曲初演
  ・「天地創造」より(1966): 黛敏郎/松本敏晃 編 ※編曲初演

http://liberawind.hp.infoseek.co.jp/concert/concert.html
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