「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

病床で軍歌を歌う元インドネシア義勇軍兵士

2016-09-21 05:43:59 | 2012・1・1
元インドネシア国軍参謀長で駐日大使もされたバンバン.スゲン氏の実弟、バンバン.プルノモ氏(89)から近況を伝えるメールが届いた。同時に「敬老の日」に病床にあるプルノモ氏を見舞った、インドネシア滞在中の知人のS氏からも写真入りのメールを頂いた。

プルノモ氏は日本軍政時代、中部ジャワのテマングンの義勇軍兵士だったが戦後の和蘭との独立戦争(1945年―49年)では、国軍の小隊長として活躍、テマングンでは実兄、バンバン.スゲン将軍と二人英雄として尊敬されている。最近まで、プルノモ氏は、日本時代の経験を生かして自宅で日本語塾「寺子屋」を開いていた。

S氏のメールによると、プルノモ氏は最近は老衰から寝たきりの病床にあるが、その介護と世話は近所のワルン(小さな店)の女主人が中心になって、昼夜24時間、交代で、独り身のプルノモ氏の面倒をみている。目も不自由になられているが元気で、S氏が見舞に行くと大変喜ばれる。たまたま、S氏が見舞った日には、女子中学生も来ており、独立戦争時の話を語り、日本時代の歌「愛国の花」や「予科練の歌」「海行かば」などを披露した。

インドネシアでは、普通、戦争(perang)といえば和蘭との独立戦争のことを指す。この戦争で80万人のインドネシア人が犠牲になっている。犠牲者は英雄(pahlawan)とされ、各地の英雄墓地に祀られている。それだけに、独立戦争に参加した兵士は、社会で尊敬されている。戦後、「英雄」がいなくなった日本では考えられない。