安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

富山市と金沢市に行ってきました。(その2 金沢市)

2015-12-21 21:37:41 | お出かけ・その他

富山市から金沢市に移動して、午後3時過ぎに金沢駅に降り立ちました。金沢は過去に3回ほど訪れたことがありますが、北陸新幹線開業後は初めてです。駅を出ると大きなアーチがかけられていて、新設されたもののようです。宿泊場所は、香林坊にある金沢東急ホテルで、本来ならバスを使う距離ですが、街を歩いてみたくなって、徒歩で向かいました。

   

金沢ドーム 鼓門。

   

金沢駅東口からまっすぐ歩くと武蔵辻に出会います。ここを右手に折れて香林坊へ向かいました。

   

近江町市場入り口。

   

近江町市場へちょっと寄り道してみました。

ホテルへチェックイン後、休憩をして夕食のために、近江町市場に向かいましたが、途中にジャズバーの「穆然」(ぼくねん)があるので、そこを訪れてみました。その様子は別にアップする予定です。

夕食は、近江町いちば館2階にある「割烹・寿司 ひらい」で、近江町海鮮丼」を。味、ボリュームともにたいへん満足しました。市場内にある食堂で食べるというシチュエーションが、それだけで特別なものに感じます。さらに、イクラの上には金箔がのせてあって、金沢という場所を意識させます。当然、また来たいという気持ちになりました。

   

   

食事のあとは、香林坊にもどり、ジャズ喫茶の「もっきりや」に向かいました。地図を見ながら行ったのですが、よくわからず市役所のあたりをうろうろしましたが、なんとなく到着できました。「もっきりや」については、別にアップします。

   

道沿いのお店のウインドーには、手毬や九谷焼といった伝統工芸品が飾ってあるものがあり、金沢らしさが出ていました。

翌朝の朝食は、ホテル内にある「金茶寮」というレストランで和食にしました。ぶりや煮物を美味しくいただきました。ホテルの朝食はバイキングで洋食を食べるのを常としていますが、この和食はよかった。

   

ホテルからすぐ近くの「長町武家屋敷跡界隈」を散策。土塀が続き、そこに雪から土塀を守るための薦(こも)が掛けられ、いかにも金沢という光景は、風情を感じさせるものでした。水路が整備されていて、その昔は、武家屋敷内に水を引いて庭を造っていて、残っている実物を見ることができました。このあたりは、江戸時代から火事がなくて、城下町のありようが残っていて、情緒があります。

   

    

   

大野庄用水。

   

旧加賀藩士高田家跡

   

高田家の庭

武家屋敷跡から、兼六園に向かいました。途中、四高の跡や郊外に移転した石川県庁の跡地などを左手に眺めながらしばらく歩くと兼六園です。訪れたことはありますが、静かな朝のたたずまいは格別でした。園内を整備、清掃している人がたくさんいて、管理をしっかりやっていることがよくわかりました。

   

真弓坂口から入園しました。

   

霞ヶ池

   

霞ヶ池から見た雪吊り。多分、唐崎松だと思います。

   

雁行橋

   

瓢池(ひさごいけ)

   

瓢池に注いでいる碧滝(みどりたき)

金沢城は、時間がなかったので、中には入らず外から眺めました。

   

国重要文化財の石川門。1788年(天明8年)の建立。

   

日程の都合上、駆け足だったので、茶屋街や21世紀美術館、金沢蓄音機館など行きたかったのですが、行けませんでした。次回は、ゆっくりとぜひまた訪れたい街です。


レッド・ガーランド DIG IT!

2015-12-20 09:46:16 | ピアノ

松本市に所用があって行ったので、久しぶりに中心市街地をウロウロしました。散歩のついでに、老舗の珈琲店である「まるも」に入りました。本来は旅館の併設ですが、珈琲店としても有名です。椅子やテーブルは、松本民芸家具のものを使っていて趣のある店内です。CDをかけていて、スピーカーから流れてくるラフマニノフのピアノ協奏曲第2番に耳を傾けながら、ゆっくりと珈琲を味わってきました。ジャズの方もクラシック気味のアルバムを聴いてみました。

RED GARLAND (レッド・ガーランド)
DIG IT! (Prestige 1957年、58年録音)

   

プレスティッジレーベルにおける、レッド・ガーランド(p)がリーダーとなったセッションは、いくつかのアルバムに分けて発売されました。日付やメンバーがごちゃごちゃしているところがありますが、演奏のほうは、コルトレーンが参加するなど水準が高く、「All Mornin' Long」、「High Pressure」、「Soul Junction」、そして「Dig It!」と、どれを買ってもハズレはありませんでした。

メンバーは、レッド・ガーランド(p)、ジョン・コルトレーン(ts)、ドナルド・バード(tp)、ジョーイ・ジョイナー(b)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds)。3つのセッションから4曲の録音を集めており、曲によりメンバーの組み合わせもかわります。コルトレーンが急速に力量を上げていく時期に当たりますが、基本的にハードバップなので、ガーランドとの相性も非常によいです。

曲は、チャーリー・パーカー作「Billie's Bounce」、アーヴィング・シーザーなど作「Crazy Rhythm」、ジミー・ヒース作「C.T.A」、レッド・ガーランド作「Lazy Mae」の4曲。「Crazy Rhythm」はガーランド、チェンバース、テイラーの3者によるピアノトリオ演奏です。「「C.T.A」は、3月22日録音のアート・テイラー(ds)のセッションから収録されたもの。4曲が一つのアルバムに収まったわけですが、並び順がよいです。

最初の「Billie's Bounce」から、コルトレーン(ts)、バード(tp)、ガーランド(p)と勢いのいいプレイが聴けます。特に、ガーランド(p)はよく乗っていてリズミカルで切れ味があり、ちょっとケニー・ドリューみたいなフレーズも飛び出します。また、コルトレーンの堂々としたソロも素晴らしい。「Lazy Mae」はその名前のとおり、ゆったりとしたブルージーな曲想で、ガーランドの両手をフルに使ったプレイが楽しめます。何気ないアルバムですが、聴いていてリラックスできます。

【まるも】

住所:長野県松本市中央3-3-10
電話:0263-32-0115
ホームページ:まるも

   

本来は旅館で、喫茶店も旅館の一部です。

   

喫茶店の入り口は女鳥羽川沿いです。

   

内部。

   

珈琲。シンプルで、まじりけのない昔ながらの味です。


富山市と金沢市に行ってきました。(その1 富山市)

2015-12-18 21:23:20 | お出かけ・その他

先日、石川県金沢市に一泊したのですが、北陸新幹線富山駅で途中下車して富山市も散策してきました。富山市は、路面電車が走っているので、それに乗ることと、富山湾で獲れるエビを食べることを楽しみにして駅に降り立ちました。まずは富山港を見ようと、富山駅西口からポートラム(富山ライトレール)で岩瀬に向かいました。

   

   

岩瀬運河ですが、ボートがたくさんつないでありました。

   

岩瀬運河。左に見える建物は、岩瀬カナル会館(飲食店や土産物店が入った観光施設)です。

   

富山港展望台

   

展望台から湾の中ですが、穏やかでした。

   

北前船廻船問屋の森家。明治11年(1878年)頃に建てられ、当時のたたずまいを残しています。国重要文化財。

   

森家の内部。

   

保存されている東岩瀬駅。現在は休憩所として用いられています。ここから、ライトレールに乗り富山駅に戻りました。

   

富山駅に隣接した「きときと市場 とやマルシェ」内にある「白えび亭」で昼食にしました。

   

白えび天丼(白えびのお刺身付き)を注文しました。白えびのてんぷらがたくさんのっていて、食べごたえがあります。

   

上の写真ではどんぶりの陰に隠れていますが、白えびの刺身です。この刺身は美味で、次回富山に寄る機会があれば、白えびをネタに使った寿司を食べるつもりです。

   

今度は市内に、市電(環状線)で出かけました。これは道を歩いていて撮影したもの。

   

富山城。建物は再建されたものですが、石垣は当時のもので、野面積みによる石垣も見られます。

   

レコード店に寄ってみました。ここは「Second Beat」です。
住所:富山市一番町4-23
電話:076-493-6962 (営業:11~20時。定休日:火曜、水曜)

   

レコードマーケット。長野市からも週末などお客様がくるということですが、長野市から富山市へなら車で行くことが充分可能なので、次回は車で行こうと思います。ただ残念なのは、富山市内には昼間やっているジャズ喫茶がないことです。
所在地:富山県富山市旅篭町2-13
電話:076-422-5808
ホームページ:recordmarkett

   

富山駅の路面電車の発着場の様子。このあと、金沢へ向かいました。た


ディナ・ディローズ ANOTHER WORLD

2015-12-16 21:35:04 | ヴォーカル(A~D)

雑誌の「日経おとなのOFF」2016年1月号の特集は『2016年絶対に見逃せない美術展』というもので、来年の主な美術展が特集されていました。フランス印象派のルノワールに関したものが目立ち、中でも、六本木にある国立新美術館で開催されるオルセーとオランジェリー美術館所蔵ルノワール展は、相当賑わいそうです。僕も出かけられればいいのですが。ヨーロッパに住んでいるピアニスト兼歌手。

DENA DEROSE (ディナ・ディローズ)
ANOTHER WORLD (Sharp Nine 1998年録音)

   

ディナ・ディローズ(1966年ニューヨーク生まれ)は、2006年以来オーストリアのグラーツで教鞭をとり、同地に住んでいて、現在はスイスやイタリアなどヨーロッパでの活動が多いようです。元々は、クラシックを学んだピアニストですが、クラブで歌ったところ好評だったので、弾き語りを始めたものです。Sharp NineやMaxJazzでアルバムを作っていて、2008年に来日公演もありましたが、日本ではあまり知られていないかもしれません。

大型コンボによる伴奏です。ディナ・ディローズ(vo, p)、スティーヴ・ウィルソン(as, ss)、イングリッド・ジャンセン(tp)、スティーヴ・デイヴィス(tb)、Dwayne ブルノ(b)、マーク・テイラー(ds)、Daniel Sadowaick(Per)。大型コンボならではのハーモニーも聴かれるし、それぞれ管楽器奏者のソロも短いながら出ます。また、ピアノトリオで演奏した曲もあって、彼女の歌とピアノのどちらの魅力にも触れることができます。

曲は、「You Don't Know What Love Is」、「In The Wee Small Hours」、「More Than You Know」、「Hi-Fly」、「You've Changed」、「Spring is Here」、「Don't Go」、「Whisper Not」、「Another World」、「Beautiful Friendship」の全10曲。ほとんどスタンダードですが、ランディ・ウェストン作曲の「Hi-Fly」とベニー・ゴルソン作曲の「Whisper Not」は、歌無しのピアノトリオで演じられます。ディローズのピアノはハードバップにスイング系の味が加わった細やかなもので一聴の価値があります。

ディナ・ディローズは、インティメイトな感じのする素晴らしいシンガー兼ピアニスト。ここでは、スタンダードを結構崩して歌っていますが、全体に穏やかで自然です。「You Don't Know What Love Is」、「More Than You Know」、「Spring is Here」は、ディローズのエレガントでクール気味な歌唱に加え、スティーヴ・ネルソンなどのソロも入り、都会の夜の孤独を感じさせるようです。「Beautiful Friendship」は、軽くスイングして楽しげで、ディローズは、多彩な表現をしています。

【ディナ・ディローズ・ホームページ】

denaderose.com

【日経おとなのOFF 2016年1月号】

   


後藤雅洋著「厳選500 ジャズ喫茶の名盤」

2015-12-14 21:56:33 | 読書

四谷のジャズ喫茶「いーぐる」店主の後藤雅洋さんの書いたディスク・ガイドが12月6日付で出版されたので、早速読んでみましたが、すこぶる面白く、一気に読了しました。著者は「まえがき」で、『この「続編」では、思い切ってそのバランスをジャズ濃度の高い「ジャズ喫茶定盤」方向に振った選曲にしてみました。ですから、「ジャズ中毒指数」の高いファンにとっては、むしろこの『ジャズ喫茶の定盤』を面白がっていただけるのではないでしょうか。』と書いていて、ジャズ喫茶でジャズを聴いていた僕にとっては共感できるところの多い本です。

   

本書は18章からなり、そのあとに、後藤雅洋さんと中平穂積さんの対談が収録されています。章立ての一部を記載しますが、タイトルに添えられた一文がうまく内容を表しています。

第1章 これがジャズだ! −「ジャズ喫茶名盤」の基本セレクションー
第2章 新・これがジャズだ! −躍動感、疾走感あふれる、より刺激的なジャズー
第4章 グルーヴィー・ジャズ −黒人独特のブルージーなノリを聴くー
第5章 リラックス・ジャズ −「真剣に肩の力を抜く」というジャズの醍醐味
第6章 ジャズに浸ろう −フレーズを玩味し、その世界に没入する楽しみー
第7章 新・ジャズに浸ろう −ミュージシャンが内包する「時代の空気」を楽しむ
第16章 新・ジャズ・ヴォーカル −都会的で洗練された現代ヴォーカルの魅力ー
第18章 ジャズの歴史的名盤 −歴史の積み重ねの中で醸成された音の厚みを聴くー

各章には、そのカテゴリーの解説があって、理解しやすくなっています。例えば、第1章では、ハードバップのアルバムが選ばれていますが、それだけでなく、『このグループにはそれ以上の特徴もあって、まずもってアルバムの性格がハッキリしていて演奏のメリハリが明確なこと。そして聴いていると無根拠にやる気がでてくるようなタイプが好ましい』と記していて、なるほどと思わせてくれます。ソニー・クラークの「クール・ストラッティン」から始まり、A・ブレイキー、S・ロリンズ、C・アダレイ、F・ハバード、H・モブレイ、S・クラークらの作品が紹介されています。

第2章では、1960年代以降の新しめのところを集めています。トップにくるのは、ジョン・コルトレーンの「ライブ・アット・バードランド」です。ヴィレッジ・ヴァンガードの方は出てこないかなと不思議な気持ちだったのですが、それは第3章「巨匠たちのジャズ」の方にエリック・ドルフィーのことに言及しつつ出てきました。第2章では、H・ハンコックやM・デイヴィス、E・ドルフィー、A・ヒルらのアルバムが登場します。

僕が驚きかつ嬉しかったのは、この第2章にドラマーのアルヴィン・クイーンのアルバムが2枚紹介されていることでした。「ア・デイ・イン・ホランド」(Nilva)と「ジャミン・アップタウン」(Nilva)の2枚です。「ア・デイ・イン・ホランドの方には、ダスコ・ゴイコヴィッチ(tp)が参加していたので購入したのですが、アルヴィン・クイーンのドラミングやシーズ・スリンガーのピアノにも感動したアルバムです。こういった自分の持っているアルバムが出てくると、いっそうこの本に親しみがわきます。

      

後藤さんと中平さんの対談の中に、中平さんが経営していた「DIG」にもお客さんのリクエストを記録したノートがあるといって、その写真が出てきます。さすがに、名高いジャズ喫茶だけあって、聴かせる努力をしていたのだと感激しました。この「厳選500 ジャズ喫茶の名盤」は、「いーぐる」50年の歴史を下敷きにしているだけに、内容が豊かで含蓄があります。