安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ドリス・デイ GREATEST HITS

2008-04-30 21:49:04 | ヴォーカル(A~D)

ゴールデン・ウィークなので、映画(DVD)をまとめて借りてきました。最新作の中からエディット・ピアフの生涯を描いた「愛の讃歌」やアルフレッド・ヒッチコック監督の作品などです。グレイス・ケリーが出演した「泥棒成金」、ハラハラ・ドキドキの「汚名」、ドリス・デイ出演の「知りすぎていた男」などを楽しんでいます。その流れで、今夜は「ケ・セラ・セラ」の入ったおなじみのアルバムを取り出しました。

DORIS DAY (ドリス・デイ)
GREATEST HITS (Columbia 1949年~1964年録音)

 Greatest_hits

「ケ・セラ・セラ」(Whatever Will Be, Will Be)は、映画「知りすぎていた男」(1956年)の主題歌として、ジェイ・リヴィングストンとレイ・エヴァンスが書いた曲で同年度のアカデミー主題歌賞に輝いた曲です。ドリス・デイは、元歌手で医師の妻役を演じ、男の子の母親として、誘拐されたわが子を探して大きな声でこの唄を歌います。初めの方では、親子でこの歌を歌っているので、子供がお母さんがいるのがわかる仕掛けで、効果的に使われていました。

歌詞の大意は、「少女のころお母さんにあたしは大きくなったらきれいになれるかしら、お金持ちになれるかしらと尋ねたら、(ケ・セラ・セラ)なるようになるのよ、未来はわからないと答えがありました。今度はわたしは子供にそう答えています」というものです。このアルバムでは、ドリス・デイの歌声が優雅に聞こえます。ワルツです。

これはヒット曲を網羅したアルバムといってよく、「Everybody Loves a Lover」、「It's Magic」、「A Guy is A Guy」、「Secret Love」、「Teacher's Pet」、「When I Fall in Love」、「Lullaby of Broadway」など12曲(手元にある日本盤のCDは14曲)です。どれもいいですが、僕は「It's Magic」、「Secret Love」、「When I Fall in Love」など初期のころのひたむきに歌っている感じの歌唱が特に印象深いです。

ケ・セラ・セラのニュアンスを変じて、「なるようにしかならない」と解釈して、僕は高校生の頃から口ずさんできました。勉強や仕事を多分にさぼる口実にも使っていたのですが。でも、ちょっと沈んでいる時に、この唄とドリス・デイを思い浮かべると、気分が変わるような気がします。いい映画にいい曲です。


ミルト・ジャクソン SOUL FUSION

2008-04-26 19:40:07 | ヴァイブ、オルガン他

長野市内で今日北京オリンピックの聖火リレーが行われました。中国人の学生集団の姿がたいへん多く見られ、またチベットの旗を抱えた人もそこここにおりました。小競り合いもみられたようで、オリンピックの聖火リレーはもっと平和なうちにやってもらいたいものです。頭上を飛ぶヘリコプターの数が半端ではなくて、昨日、今日とうるさい音が響きわたり、ようやく静かになったところです。そこで、魂の融合という題名のアルバムをとりだしました。

MILT JACKSON (ミルト・ジャクソン)
SOUL FUSION (PABLO 1977年録音)

 Soul_fusion_milt_jackson

ミルト・ジャクソン(ヴァイブ)とモンティ・アレキサンダー(ピアノ)の組み合わせが絶妙で、ハッピー・ピアノのモンティに、ブルースが基本のミルトだと、スイング感が溢れ、しかもグルービーな乗り乗りの演奏がきけます。それはシェリーズ・マンホールのライブ録音(Impulse)でも実証済みです。

また、曲目も新しいものが入っていて楽しめます。スティーヴィー・ワンダー作曲の「Isn't She Lovely」、アントニオ・カルロス・ジョビンの「Once I Loved」をいれて、加えてレイ・ブラウンの「Parking Lot Blues」、ミルトの「Soul Fusion」、「Yano」とセッションにふさわし曲が選曲されています。

メンバーは、ミルトとモンティの二人のほかに、ジョン・クレイトン(ベース)、ジェフ・ハミルトン(ドラムス)というたいへんリラックスしたスイングをするメンバーが選ばれています。聴きものはもちろんミルト・ジャクソンの奔放なアドリブプレイですが、歯切れのいいモンティのピアノやクレイトンも健闘しています。特に「Isn't She Lovely」、「Parking Lot Blues」が熱いプレイです。

バラード「Compassion」やボサノヴァものでは落ち着いたプレイをしていますが、全編楽しさが横溢したアルバムです。4人が一体となっているという意味で「Soul Fusion」なのでしょう。オリンピックも各国一体となって平和のうちに取り行ってほしいものです。

 


ナンシー・シナトラ IN LONDON

2008-04-19 19:19:03 | ヴォーカル(L~R)

ここ長野でもようやく桜が満開になりました。雨が降ったので、散った花もありますが、この週末が見ごろです。きのうは雨模様の天気の中を傘をさして帰ってきたので、「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」という在原業平の和歌を思い起こしました。桜から連想される曲はあまりありませんが、「桜の木」が曲名に入った歌が収録されたアルバムです。

NANCY SINATRA (ナンシー・シナトラ)
NANCY IN LONDON (reprise 1966年録音)

 Nancy_in_london

日本でもガール・ポップの代表作「レモンのキッス」や「にくい貴方」などのヒットを放ったナンシー・シナトラのヴォーカル盤です。スタンダードも収録されていますが、「I Can't Grow Peaches on a Cherry Tree」という曲が入っていて、Cherry Tree(桜の木)が出てきます。「Cherry Blossom」とか「Cherry」という曲もありますが、このアルバムにしてみました。

ナンシー・シナトラの第3作目にあたるこのアルバムは、ヒット曲「Summer Wine」や「Fridey's Child」というL・ヘイゼルウッド作品を含みます。その他にはスタンダードといっていい「The End」、「The More I See You」が収録され、「Wishin' and Hopin'」、「This Little Bird」、「Step Aside」、「Hutchinson Jail」などが収録されています。

ロンドンレコーディングですが、内容はロンドンには関係なさそうです。しいていえばジャケットでしょうか。編曲は、ビリー・ストレンジで、ナンシーの甘い声にふさわしい弦、コーラスも使った優しいバックをつけています。ささやくようなナンシーの声で唄われており、ヴォーカルものとしても聴けます。「The End」がことのほか印象に残り、「Friday's Child」はシャウト気味の歌声がちょっとブルージーです。

ナンシー・シナトラは、日本ではオールディーズの歌手とされることが多いですが、このアルバムの「The End」や「いそしぎ」(「How Does That Grab You?」に収録)などスタンダードも録音しています。ガール・ポップス、ロックのイメージがありますが、大人向けの曲もなかなかのものです。えて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし世の中に 絶えて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし世の中にな絶えて桜の なかりせば 春の心は のどけからましの中に 絶えて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし


マリオン・ブラウン MARION BROWN QUARTET

2008-04-14 22:26:14 | アルト・サックス

玄米を炊いて食べていた我が家の奥さんが、固いし、味にも飽きたというので、昨年の秋の収穫時に玄米でとっておいた30キロの米を精米して白米にしてきました。きのうの日曜日の午前中に精米所にいったのですが、先客が2人もいました。長野では、まだまだ自分で収穫した米を食べている人が多いようです。いかにも手作りというESPレーベルのジャケットです。

MARION BROWN (マリオン ブラウン)
MARION BROWN QUARTET (ESP 1966年録音)

 Marion_brown_esp

マリオン・ブラウンは名前が通ったアルトサックス奏者ですが、私がよく聴くのはこのアルバムです。フリー・ジャズの範疇に彼は入れられますが、こんなに大らかでメロディアスな作品がどうしてそういわれるのか不思議でなりません。オーネット・コールマンの場合もそうなんですが、フリーと称されてリスナーの数を減らしているかもしれません。

LPのA面全体を占める「Capricorn Moon」が聴きものです。メンバーは、ブラウン(as)、アラン・ショーター(tp)、ロニー・ボイキンス(b)、レジー・ジョンソン(b)、ラシッド・アリ(ds)です。ベースに導かれて始まる主旋律がおおらかで、美しいです。トランペットのソロなど途中でフリーなプレイも登場しますが、ちょうどいい味付けです。

他には「27 cooper square」、「Exhibition」という2曲が収録されています。この2曲でもブラウンの吹奏は、騒々しいことはなくて、ハードバップ好きのファンが聴いてもそんなに違和感がないと思います。3曲全曲がマリオン・ブラウンの作曲です。フリー・ジャズの代表的レーベルといわれたESPディスクの中でも、このアルバムは聴きやすく、しかもいい気分になれる最右翼のものだと思います。

彼の音は、丸みを帯びていて鋭いフリーキートーンはほとんどありません。僕が聴き続けるほどんど唯一のESPディスクです。先入観を捨ててみるのも、たまには必要だと感じ入ったアルバムです。


キャロル・カー IMPORTED CARR AMERICAN GAS!

2008-04-08 21:28:52 | ヴォーカル(A~D)

ガソリンの値段が4月に入って安くなっています。ガソリン税がかからないためですが、ガソリン・スタンドの在庫分には課税済みのものもあったりして、売れば売るだけ損をするなどという混乱も生じているようです。税率を元へ戻すのかどうかが注目されるところです。前回に続き車ジャケットですが、車種はトライアンフ(英国の自動車メーカー)で、ボンネットに腰かけている女性歌手も英国生まれです。

CAROLE CARR (キャロル・カー)
IMPORTED CARR AMERICAN GAS! (WARNER BROS. 1959年頃録音)

 Importedcarramericangas

アルバム名は、Carrにかけて、輸入車、アメリカのガソリンでいっぱいとでも解すればいいのでしょうか。キャロル・カーは1928年のロンドン生まれ、14歳の時からダンス・バンドで歌い、イギリスのテレビに登場し、しかも最も早くカラー・テレビにも出た歌手のようです。また、女優として映画、テレビに出演をしています。彼女の本名は、Carole Anne Carlessで、歌手のドロシー・ケアレスはお姉さんのようです。(このへんの記述は検証する必要があります。)

「The Pure Cashmere Voice of British Vocalist」とジャケット裏面に記載がありますが、まさにそのとおりで肌触りのよい声です。カーが着ているのもカシミヤのセーターかもしれません。発音は折り目正しく格調の高さも感じられます。アメリカでのデビュー・アルバムですが、英国の一流楽団(Jack Payne、Geraldo)で歌ってきているだけに余裕のある歌いぶりです。

編曲は、ウォーレン・ベイカーとピート・キングです。曲目ですが、「They Can't Take That Away from Me」、「To Love and Be Loved」、「You Bring Out the Lover in Me」、「He's My Guy」、「I'll Build a Stairway to Paradise」、「Smoky Morning」、「I am Loved」など12曲です。

中では「He's My Guy」、「To Love and Be Loved」といったテンポの遅めのものがより好ましい出来ですが、ラテンタッチの「I am Loved」も声が伸びて奇麗です最初に収録された「He's My Guy」のファースト・テイクを録音したあとに、伴奏のオーケストラ団員全員が、立ち上がって拍手(Standing Applause)をして称賛したとライナー・ノートにあります。なかなかよいアルバムです。