安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

Autumn (山梨県北杜市)

2015-02-27 19:13:56 | ジャズ喫茶

山梨県北杜市白州にあるジャズ喫茶Autumnに行ってきました。前に訪れたことがあるので2回目です。安曇野市から北杜市までは、高速道を走り、中央道小淵沢インターで降りて、約1時間程度で着きます。今回は、サントリーの白州工場の見学をした後、午後のお茶に寄ってみました。

   

店内は、ヴォーカルが流れていました。前回は気がつかなかったのですが、カウンター内の後方の棚の上にもスピーカーがあって、そこからカウンター席に向かって音が出ています。前は、お店の真ん中に置いたスピーカーがあることしか気がつかなかったのですが、普通のセッティングでもありました。どうやらJBLの小型のものです。

   

   

アンドレ・プレヴィンの「King Size」がかかって、部屋の真ん中に置いてあるスピーカーから音が出始めました。音量は、大きくありませんが、聴くには過不足ありません。このレコードの中では、「I'll Remember April」がよかった。

   

書棚に目をやると、五木寛之のエッセイ集「雨の日の珈琲屋で」が目にとまったので、興味のあるところを、音楽を聴きながら読みました。1977年頃に書いたものが中心ですが、自作の映画化に関する時代考証や学生時代に入った東京の喫茶店のことなどが細部にこだわって書いてあって、ちょっと面白いエッセイでした。

   

   

こちらのお店では、コーヒー・カップなど食器が凝っています。多分、地元の陶芸家の作品だろうと思いますが、詳しいことは聞きませんでした。部屋は、天井が高くて開放感がありますが、窓が西なので、午後だと太陽光がちょっとまぶしい。本を読んだり、音楽を聴いたりと、気楽に寛げる居心地の良さがあります。

   

   

しばらくの間、僕一人だけだったのですが、中高年の男性がたて続けに二人入ってきて、カウンターに座りました。少しお店が賑やかになったのですが、それでも静かな時間が流れているように感じる午後のひと時でした。

【Autumn】

住所:山梨県北杜市白州町白須101
電話:0551-35-2884
定休日:木曜日

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フィル・マーコウィッツ SNO' PEAS 

2015-02-25 21:52:12 | ピアノ・トリオ

話題の時代劇「るろうに剣心 京都大火編」のDVDを借りてきました。時代設定が明治初めであるところが新鮮であるとともに、立ち回りのアクションが激しく派手なところも従来のものとは大いに異なっていました。物語は、明治政府転覆を狙う反政府派崩れと人切り抜刀斎と言われた剣士との対決です。主演の佐藤健と武井咲が初々しくてよかった。瑞々しいアルバム。

PHIL MARKOWITZ (フィル・マーコウィッツ)
SNO' PEAS (KEN MUSIC 1980年録音)

   

フィル・マーコウィッツは、チェット・ベイカーの伴奏をしたピアニストとして知られていますが、その他に話題に上るのは、このアルバムのタイトル曲でもある「Sno' Peas」が、ビル・エヴァンス(p)に気に入られて、アルバム「Affinity」で取り上げられたことです。「Sno' Peas」は、物悲しい中に鮮烈なイメージがあって、近年の名曲の一つに数えられるのではないでしょうか。

メンバーは、フィル・マーコウィッツ(p)、エディ・ゴメス(b)、アル・フォスター(ds)。ベースが、ビル・エヴァンスと長く演奏したエディ・ゴメスというのも話題になると思います。僕は、彼の神経質そうなソロ・フレーズと音色を好んでいませんが、このアルバムではそのあたりがちょっと抑えられています。エヴァンスとやっていないせいかもしれません。ゴメスは、「Yesterdays」でフューチャーされます。

曲目は、マーコウィッツの自作が、「Sno' Peas」、「Sweet Sisters」、Circular Motion」、「Tristesse」、「Hope」、「Toko Blues」の6曲。ウェイン・ショーター作「Infant Eyes」、そしてスタンダードの「Yesterdays」で全8曲。「Toko Blues」のTokoは、日野元彦のことで、彼のために書かれた曲です。

マーコウィッツ(p)は、両手をふるに使い、ドライブの効いた新鮮な響きの演奏をしています。自作が多いですが、メロディが美しい曲が多く、聴いていて飽きません。ベースにエディ・ゴメスを起用したのもよくて、「Infant Eyes」や「Yesterdays」では、ピアノとベースの絡み合いやソロも素晴らしい。標題曲の「Sno' Peas」や、ブルースの「Toko Blues」も、ビートにのったマーコウィッツの変奏の切れがよく、アル・フォスター(ds)の小技も冴え、スリルがあります。 

【るろうに剣心】

      

ロケは全国各地で行われたようです。長野県上田市の矢田沢川周辺でも、この映画のロケが行われました。

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サントリー白州蒸留所(山梨県北杜市)

2015-02-24 20:11:08 | お出かけ・その他

相変わらず飲会が多いのですが、最近のマイ・ブームは、ウイスキーを炭酸で割ったハイボールです。白州で作ったハイボールが美味しかったので、先日、サントリーの白州蒸留所の見学にいってみました。安曇野市から1時間くらいで北杜市白州に着くので、ドライブにもちょうどいい距離でした。

   

駐車場には、たくさんの車が停まっていて、人気があるようでした。ガイドツァーの集合場所はウイスキー博物館でしたが、この回だけで20人以上が参加していました。

   

見学順にそって、ガイドさんの説明が行われ、また、液晶モニターの映像により槽の内部の様子を見ることができます。まず、最初の工程では、原料の水と大麦を仕込み槽に入れて撹拌していきます。そうすると、でんぷんが糖に分解されるので、それをろ過して澄んだ麦汁にしていきます。

   

ろ過した麦汁を木桶発酵槽に入れて、酵母を加えて発酵させます。3日間ここで発酵させるそうですが、この工程を経てできるのが「もろみ」と呼ぶ、発酵液です。

   

次は蒸留の工程です。蒸留釜で、もろみを2回蒸留して、アルコール度の高い「ニューポット」(無色透明なモルトウイスキー)にしていきます。大きさや形状の異なる蒸留釜があって、使い分けて、多彩な味わいの原酒を生み出しているそうです。

   

ここで、バスに1分ほど乗って場所を移動します。樽熟成の工程です。建物内は、アルコールのにおいがして、それだけでいくらか酔ったような気分になります。子供さんがどうかと思ったのですが、全員なんともなく、楽しそうに見て回っていました。

   

この後、ブレンドの工程があって、完成になります。再度、バスに乗り、お待ちかねの試飲会場へ。広くてびっくりしました。僕は、車を運転するので、この場所で採水をしている、サントリー天然水を飲んでいました。

   

   

ナッツとチョコレートのおつまみ付きの試飲を楽しんだ後は、ファクトリーショップを紹介されます。購入は任意ですが、皆さんいろいろと買っていました。僕も、ついつい気分で、ウイスキー白州とグラスのセットを購入しました。 

   

    

ウイスキーは、ビールの工程とはじめの方は、同じだそうですが、蒸留し、長く熟成させることによって、糖質0とプリン体がほぼ0になるそうです。尿酸値が高い僕にとっては、これはありがたく、ビールが好きなのですが、ウイスキーを大いに取り入れることにします。この点がよくわかったのが、今回の工場見学の最大の成果でした。

帰りに、駐車場から八ヶ岳方面を撮ってみました。敷地内にはバード・サンクチュアリもあって、自然が豊かですが、この景観も素晴らしく、立地の良さは特筆ものです。このあと、旧甲州街道の台ヶ原宿に向かいました。

   

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スコット・ハミルトン "SCOTT HAMILTON IS A GOOD WIND WHO IS BLOWING US NO ILL"

2015-02-22 08:57:22 | テナー・サックス

旧甲州街道の山梨県北杜市白州の台ヶ原宿の一画に位置する、ジャズ喫茶「Autumn」に行ったので、宿場の面影を留めている建物を見てきました。寛永3年(1750年)創業の酒造会社、七賢(山梨銘醸株式会社)の本社は長い歴史を感じさせますし、信玄餅など製造販売の金精軒の旅籠を改装した店舗も風情があります。金精軒で、生信玄餅を買ってお土産にしました。デビュー当時、旧いスタイルで話題を呼んだミュージシャン。

SCOTT HAMILTON (スコット・ハミルトン)
"SCOTT HAMILTON IS A GOOD WIND WHO IS BLOWING US NO ILL" (CONCORD 1977年録音)

   

日本盤CDでは、「ファースト」と題されているスコット・ハミルトンのコンコード・レーベルにおける第1作で、おなじみの作品です。1970年代後半に、スイングスタイルでデビューしたので驚かれましたが、フュージョンの時代に歓迎されたのも事実です。当時、松本市にズート・シムズの日本公演の追っかけをやっていた先輩がいたのですが、ハミルトンも気に入って、彼のレコードは全て購入していたのを覚えています。

メンバーは、スコット・ハミルトン(ts)、ビル・ベリー(tp)、ナット・ピアース(p)、モンティ・バドウィック(b)、ジェイク・ハナ(ds)。ハミルトンは録音時、まだ22歳でした。ビル・ベリーは、60年代のデューク・エリントン楽団や、71年に自ら組織した「The L.A. Big Band」などビッグ・バンドでの活躍が目立つベテラン・プレイヤーです。

曲は、スタンダードが主です。「That's All」、「Indiana」、「Exactly Like You」、「Ill Wind」、「Broadway」、「Blue Room」、「Sometimes I'm Happy」、そして、コールマン・ホーキンス作「Stuffy」の全8曲。ハミルトンは、ホーキンス~ベン・ウェブスター系という感じが強いのですが、「Broadway」、「Sometimes I'm Happy」というレスター・ヤングの得意曲を選んでいて、フレーズにもレスターやズート・シムズの影響が多少表れているように思います。

スコット・ハミルトン(ts)による楽しいスイングセッションですが、バラードなど堂々として風格もあります。彼がワン・ホーンでプレイした、バラードの「That's All」は、ベン・ウェブスターの影響を感じさせるものですが、情緒が溢れていますし、「Indiana」や「Stuffy」は、ぐいぐいときて豪快。「Sometimes I'm Happy」では、ベリー(tp)、ピアース(p)、バドウィック(b)のソロも入り、全員による軽快な快演が聴けます。

【台ヶ原宿】

所在地:山梨県北杜市白州町台ヶ原
問合せ先: 北杜市役所観光課  0551-42-1351

   

金精軒前あたりから北を撮ったもの。道幅は、多分当時のまま家屋が連なっています。

   

七賢の商標を用いている、山梨銘醸株式会社。

   

菓子店の金精軒。

      

お土産に購入した5個入り生信玄餅。

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マイク・モラスキー著 戦後日本のジャズ文化

2015-02-20 21:13:22 | 読書

マイク・モラスキー著「戦後日本のジャズ文化」(青土社)を読みました。関心をもったところや感想を記します。なお、著者については、次のホームページをごらんください。マイク・モラスキー公式ホームページ

            

日本のジャズに関する歴史について書いた本はありますが、対象を広げ、文化に関してジャズが及ぼした影響について本格的に論考したものは、これが初めてではないでしょうか。著者は、『しいていえばジャズからみた日本の戦後文化史の試論である』として、日本の映画や文学作品のなかでジャズがどのように取り上げられ、どのような「意味」を付与されたのかという関心事から、筆を進めています。

各章は次のとおりです。

第1章 自由・平等・スウィング?―終戦前後の日米ジャズ再考
第2章 大衆文化としてのジャズ―戦後映画に響くもの
第3章 占領文学としてのジャズ小説―五木寛之の初期作品を中心に
第4章 挑発するジャズ・観念としてのジャズ―1960~70年代ジャズ文化論(1)
第5章 ジャズ喫茶解剖学―儀式とフェティッシュの特異空間
第6章 破壊から創造への模索― 1960~70年代ジャズ文化論(2)
第7章 過去の音楽へ―近年のメディアとジャズ文化

(戦後映画)

著者は、 ジャズを扱っている日本映画について、『映画の種類にしても使われている音楽にしても、すばらしくバラエティーに富んでいることにきづかずにいられない。』と記しています。戦後映画では、黒沢明監督の「酔いどれ天使」(三船敏郎主演)と井上梅次監督の「嵐を呼ぶ男」(石原裕次郎主演)を取り上げ、ジャズはクラシックに対して低俗なもの、あるいは大衆的なものとしてとらえられていたことを明らかにしています。

(占領文学)

第3章では、五木寛之の初期作品を著者が分析しています。「さらばモスクワ愚連隊」などで、ジャズライブで演奏者同士のやりとりなどの様子が見事に描かれていて、彼の初期作品を読んでみるつもりになっています。

(ジャズ喫茶)

第5章は、ジャズ喫茶好きの僕にとっては、慈しむべき章です。しかし、ジャズ喫茶を、「暗い空間で大音量のスピーカーに対峙し頭を垂れてジャズを聴く場所だという」、ステレオタイプ化をしているのには、いささか違和感を覚えました。もう少し多様性があって、許容範囲も広かったように記憶しています。もっとも、僕がジャズ喫茶に入り浸っていたのは、1970年代半ばからなので、全盛期とは異なっていたかもしれません。お店の方針や形態がどうであれ、様々なジャズを聴くことができたのは、ありがたかった。

ジャズ喫茶の現在について、著者は、『もはや〈文化の拠点〉でも〈フーテンの溜まり場〉でもなくなっている。』と記し、本格的なジャズ喫茶は、全盛期を過ぎたとしており、確かにそのとおりでしょう。一方で、ジャズ喫茶の魅力について、『膨大なコレクションのなかから聴いたことのない、しかもすばらしいレコードを選び出してもらう、という「出会いの喜び」が挙げられよう』と記述していて、これは僕の現在の気持ちと一緒です。

(破壊から創造への模索)

『1950年代末期から1970年代までの時代においては、ジャズは広く、より深く、日本の文化人層に浸透した』とし、影響を受けた小説家や詩人を紹介しています。特に破滅的なイメージをもっていたフリー・ジャズが、同時代の冒険的な作家や詩人や演劇人や映画監督などの想像力を触発してきたと書いています。

その中で、詩人の「白石かずこ」については、紙数を割き、フリー・ジャズを伴奏とした詩の朗読についても詳述しているのに興味を惹かれました。白石かずこと一緒に朗読活動をしていた、諏訪優の詩を僕は好んでいることもあり、もっと白石の詩にも注目してみたい。

(過去の音楽へ)

最終章では、『ジャズが近年の映画や文学作品に出現するとしても、それは主に懐かしい青春時代を振り返る一環としてである』とし、現在日本でジャズは、「全盛期」や「黄金時代」をとっくに過ぎてしまっていると記しています。しかし、著者は、黄金時代はまだ来るかもしれないし、あとがきでは、ジャズ演奏の特色である一回性ということから、熱心にジャズライブへ行くことを薦めていて、日本におけるジャズの未来を捨てていないのが嬉しいところです。

2006年度のサントリー学芸賞受賞作です。学術書なので、本来はじっくり読むべきでしょうが、興味のあるところを読んでも、ジャズが日本文化に与えた影響を概観できる面白い本です。

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