安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ラリー・ヴコヴィッチ STREET SCENE

2010-11-24 00:02:29 | ピアノ

21日(日)のN響アワー(NHK教育TV)では、ネルロ・サンティが指揮したNHK交響楽団の演奏するメンデルスゾーンの「イタリア」交響曲が放映されていました。サンティは1931年生まれのイタリアのベテラン指揮者ですが、チューリッヒ歌劇場を中心に世界各国で活躍しています。彼は多数の歌劇をはじめ、暗譜で指揮をすることで知られており、この交響曲も暗譜でした。しかも、軽やかなリズムを刻んでいて、とても80歳近いとは信じられません。NHK交響楽団はここ数年彼を招聘していますが、できれば実際の演奏会を聴きたいものです。ジャズの方もベテランの作品です。

LARRY VUCKOVICH (ラリー・ヴコヴィッチ)
STREET SCENE (Tetrachord Music 2005年録音)

 Streetscenevuckovich

ラリー・ヴコヴィッチは、ユーゴ出身のピアニストですが、同国出身のダスコ・ゴイコヴィッチ(tp)のライブ盤「As Simple as It Is」でサイドメンを務めていたところから知りました。その後、ヴコヴィッチのリーダー作もボツボツと買いましたが、近年録音された作品の出来が素晴らしいので、驚きかつ喜んでいます。彼は、1936年生まれなので、70歳にならんとした時の録音です。

最近は、ブルースに根ざしたオーソドックスなバップ・ピアノの新作は、あまり目につかなくなったような印象を受けます。そんな中で、ヴコヴィッチは、ラテン・リズムを取り入れたりしながら、伝統的なプレイの良さを発揮しています。メンバーは、ヴコヴィッチ(p)、ラリー・グラナディア(b)、アキラ・タナ(ds)で、曲により、Hector Lug(congas)、Vince Delgadd(bongo)が加わります。

ヴコヴィッチの自作の「Dexter's Mode」、「Blue Bohemia Suite」、「Scandinavian Waltz」、ソニー・クラークの「News for Lulu」、アルフレッド・ニューマンの「Street Scene」、スタンダードというべき「As Time Goes By (Mambo)」(時の過ぎゆくままに)、「I Ain't Got Nobody」、「Come Rain or Come Shine」(降っても晴れても)、「Oh, You Crazy Moon」、「It Could Happen to You」、「Under Paris Skies」(パリの空の下)など全13曲です。

はじめの「Dexter's Mode」から疾走感が感じられますが、全体にラリー・グラナディア(b)のよく歌うソロや上下するランニングベースはききものです。ヴコヴィッチは、歌の伴奏に長けていることもあり、音が軽めできれいですし、音遣いは極端なものがないので、寛いで聴いていられます。小気味良いプレイの「News for Lulu」、意表をついたリズムで早いテンポの「As Time Goes By」、バラードで高音が美しい「I'll Wait and Pray」、スインガーの「I Ain't Got Nobody」と面白く、充実した作品です。

ホームページにラリー・ヴコヴィッチ(Larry Vukovich ピアノ)を掲載しました。時間があればご覧ください。モダンジャズやヴォーカルを聴こう ラリー・ヴコヴィッチ