[※ 「こんな人たち」 報道特集(2017年7月8日)↑] (2023年05月21日[日])
まともな取材も無くデマやヘイトをまき散らしたDHCテレビ「ニュース女子」《番組が差別を扇動した》、《ベースにあるのは沖縄差別》だった。(琉球新報社説)《問題の根本には、韓国・朝鮮人や琉球・沖縄人への差別意識や、基地反対運動に対する憎悪、排外主義も存在するとみられる。機動隊が高江で市民に「土人」と発言したことなど沖縄ヘイトの文脈で問題を捉えなければならない》。
『●「亡命」させられた辛淑玉さんは「一時帰国するにも勇気がいる…」とは、
一体ニッポンはどんな国なのか?』
「ブログ【海鳴りの島から 沖縄・ヤンバルより…目取真俊/
辛淑玉さんの裁判を応援する。】(…)では、《…辛さんへの攻撃をはじめ、
ネトウヨ・ファシスト勢力の沖縄や在日、アイヌ、その他への差別と
暴力を許さないために、力を尽くしたい。憎悪を向けられている者が
泣き寝入りし、逃げていたら、いつか実体的に抹殺される》」
『●この《レイシスト・歴史修正主義体質》な小池百合子東京「ト」知事に
「2,912,628票」「3,661,371票」も投じてしまった都民の皆さん』
《そのひとつが「日本女性の会 そよ風」というヘイト団体だった。
「そよ風」はヘイト団体・在特会の関連団体で、「慰安婦」問題や
関東大震災朝鮮人虐殺の否定などを主張しており、2013年には大阪・
鶴橋で「いつまでも調子にのっとったら、南京大虐殺ではなく
『鶴橋大虐殺』を実行しますよ!」などとジェノサイドを先導した
ヘイトデモに協力。北海道支部長の女性は桜井誠・元在特会会長の
「日本第一党」の副党首まで務めている》
《「平和運動を愚弄(ぐろう)する悪質なフェイクニュースだった」。
辛さんは会見で、制作会社DHCテレビジョンの番組をこう断じた。
訴訟の発端となった番組は、2017年1月に放送された。
「反対運動を扇動している黒幕」「テロリスト」。インターネットの
SNSなどで事実に基づかない中傷被害を受け続けたこれまでを
振り返り「むごいものだった」と怒りをにじませた》
『●《安倍晋三元首相の応援演説でも「日当」5千円》《慣例化》…デマ
やヘイトをまき散らす悍ましい人たちこそ、汚いことをやっている』
『●三つの忸怩たる思い…ジャーナリストとしての思い、あぁ、アベ様の
NHKをまたしても批判せざるを得ない思い、情けなきBPOへの思い』
「《沖縄の基地反対運動を中傷し…辛淑玉が黒幕として
カネを出しているかのような印象操作》、沖縄デマ…
アベ様らこそ、一体何をやっているのやら。デマやヘイトを
まき散らす悍ましい人たちこそ、汚いことをやっている」
『●《表現の自由は、民主主義の根幹でもある。しかし出自を理由に人を深く
傷つける差別表現は、人権を侵害する行為であり決して認められない》』
《判決は、原告側が求めていた差別の認定について一審判決より
踏み込み「在日朝鮮人である原告の出自に着目した誹謗(ひぼう)
中傷を招きかねない構成になっている」と番組の構成に言及した。
番組が差別を扇動したと指摘しており、判決の意味は重い。番組は
反対運動をする市民をテロリストに例え、辛共同代表を名指し
して「黒幕」などと報じた。辛共同代表は判決後の記者会見で、
差別認定が前進したことを評価しつつも「ベースにあるのは
沖縄差別だ」と述べ、悪質なヘイトを規制する法律の必要性を訴えた》
目取真俊さんのブログ【海鳴りの島から 沖縄・ヤンバルより…目取真俊/辛淑玉さんの勝訴確定に思う】(https://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/bc56cf82b30e929840020d5c908e289b)。《沖縄に対するデマと憎悪をまき散らした「ニュース女子」に関し、制作したDHCテレビジョンを訴えていた辛淑玉さんの勝訴が確定した。ここにいたるまで辛さんに対し、どれだけの脅迫、嫌がらせ、圧力があったことか。それに耐えるのにどれだけの労苦と決意があったか、を考えると胸が詰まる。勝訴は辛さんはもとより沖縄にとっても大きな意義がある。「本土防衛」のために沖縄が犠牲になるのはやむを得ない。日本人の多数にそのような意識をつくり出すため、沖縄人は犠牲になっても仕方がない人たち、というイメージを植え付ける。「沖縄ヘイト」がはたしている役割がそれだ。「沖縄ヘイト」がまき散らすデマと差別意識は、沖縄を戦場にする布石となる。決して許してはならない》。
散々WPでデマやヘイトをまき散らせるだけまき散らし、閉鎖。判決をどう実現するつもりか? 有耶無耶にしてお終いにするつもり。MXテレビも知らん顔? この不始末、どう責任を取るつもりか。
琉球新報の【<社説>「ニュース女子」名誉毀損 ヘイトのない社会実現を】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1703104.html)によつと、《嫌がらせを受けながら、5年以上にわたる法廷闘争を闘い抜いた辛淑玉(シンスゴ)氏が勝訴した意義は大きい。沖縄の基地反対運動を取り上げたテレビ番組「ニュース女子」で名誉を傷つけられたとして、ヘイトスピーチ反対団体共同代表の辛氏が、番組を制作した旧DHCテレビジョン(現・虎ノ門テレビ)などに損害賠償を求めた訴訟で、最高裁は同社の上告を退けた。辛氏への550万円の支払いとウェブサイトへの謝罪文掲載を命じた一、二審判決が確定した》。
【DHCTVとマスコミの責任 辛淑玉 × 北丸雄二【マイノリティ・リポート】】
(https://www.youtube.com/watch?v=ko65-Qrq04I)
《デモクラシータイムス》
《ニュース ピックアップ
・闘うオーストリア レイシストデモを圧倒
・ウクライナ 戦場のカミングアウト
・選挙演説中に「この彼が私のパートナーです」
・反差別は「日本の国柄に合わない」西田昌司
・入管法廃案に向け動き出す世論
・元外国籍で「ゴルフクラブ入会拒否」一審 合法判決
・マツダ社従業員 障がい者差別動画投稿
・新宿区 差別アート全開 スロープ閉鎖
・デマ放送FOX 1000億円支払い》
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【https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1703104.html】
<社説>「ニュース女子」名誉毀損 ヘイトのない社会実現を
2023年5月1日 05:00
嫌がらせを受けながら、5年以上にわたる法廷闘争を闘い抜いた辛淑玉(シンスゴ)氏が勝訴した意義は大きい。
沖縄の基地反対運動を取り上げたテレビ番組「ニュース女子」で名誉を傷つけられたとして、ヘイトスピーチ反対団体共同代表の辛氏が、番組を制作した旧DHCテレビジョン(現・虎ノ門テレビ)などに損害賠償を求めた訴訟で、最高裁は同社の上告を退けた。辛氏への550万円の支払いとウェブサイトへの謝罪文掲載を命じた一、二審判決が確定した。
辛氏の訴えをおおむね認めた判決は画期的である。ただ辛氏が「誰かが何かをしてくれる国ではない。討ち死にした人も多くいる。闘い続けるのが私の次の課題」と述べたように、全て解決したわけではない。ヘイトスピーチはいまだ後を絶たない。そもそもヘイトを許してはならない。そんな社会を実現したい。判決を機にヘイト抑止の機運を一層高める必要がある。
「ニュース女子」は、東村高江のヘリパッド建設に反対する住民運動を取り上げ、辛氏を「過激な犯罪行為を繰り返す基地反対運動の黒幕」と名指しし、高江住民らを「テロリスト」扱いした。
辛氏の申し立てを受けた放送倫理・番組向上機構(BPO)は重大な倫理違反や辛氏への人権侵害を認定。その後、辛氏は訴訟を起こした。東京地裁は番組内容について「根拠として薄弱」「裏付け取材をしていない」などと指摘し、名誉毀損(きそん)を認めた。事実に基づかないデマによって辛氏は深く傷つけられたのだ。
控訴審の判決はさらに踏み込んだ。人種差別の認定を求めた辛氏の訴えに対し「在日朝鮮人である一審原告の出自に着目した、誹謗(ひぼう)、中傷を招きかねない構成」と指摘した。
この控訴審判決に対し、当時のDHCテレビジョン代表は同社ホームページで掲載を続ける番組の削除が命じられなかった点を挙げ「プチ勝訴」と主張。賠償命令の金額に不満を示し「不当判決」と断じ、上告した。反省の態度はなく、問題の根深さをのぞかせた。
問題の根本には、韓国・朝鮮人や琉球・沖縄人への差別意識や、基地反対運動に対する憎悪、排外主義も存在するとみられる。機動隊が高江で市民に「土人」と発言したことなど沖縄ヘイトの文脈で問題を捉えなければならない。
こうしたヘイトを防ぐためには法整備やメディアの自浄作用が必要だろう。しかし、それらを待っていられないほどヘイトははびこり、深刻だ。
県内ではヘイトスピーチ防止を図る「県差別のない社会づくり条例」が先月1日に施行されたばかりだ。条例は、公共の場やネット上でのヘイトを許さないという県民の明確な意思である。その理念の具現化が急がれる。辛氏は最高裁判決後に「長くて、長くて、長かった」と語った。沖縄のためでもあった多大な苦労を無駄にしてはいけない。
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[※ 「こんな人たち」 報道特集(2017年7月8日)↑] (2022年07月10日[日])
【<金口木舌>リプレイスメント・セオリー】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1526872.html)。
《中国語やハングルで表記された沖縄本島中北部の観光地案内板をインターネットに上げてこんな書き込みがあったという。「沖縄が中国、韓国に占領されつつある」。ノンフィクションライターの安田浩一さんが伝えている ▼現地に赴き外国語表記の案内板からやや手前に引いて撮影すると、そこには日本語表記の案内板があった。あたかも外国語の案内板しかないようにフォーカスし「占領」とするデマだった》。
『●「アベ様広報」…安田浩一さん「現地の人に話を聞く、
裏取りするという取材の基本ができていない…デマ」』
「沖縄タイムスの記事【津田大介さん・安田浩一さん、「ニュース女子」
問題でMXテレビ出演辞退】…《津田大介さんと安田浩一さんが
18日までに同局が放送する別のニュース番組への出演を辞退した。
「取材がずさんで事実でない」「報道に値しない」と2日の番組を
批判している》」
『●「差別意識に基づく、官憲による歴史的暴言」…
ガルトゥング氏「非常に深刻な状況となる兆候…」と警鐘』
「やはり「歴史的暴言」でした。アベ様定義の「積極的平和主義」の
産物な「歴史的暴言」。「本土」による差別意識が顕在化し、
表面化した「歴史的暴言」。安田浩一さん《社会的少数者や弱者を
たたき、引きずり降ろすのを楽しむ空気が日本社会の一部に
流れている》。歪んでる」
『●安田浩一さん「沖縄の新聞は本当に『偏向』」?
…沖縄への「思い込みによる差別で、それを許す日本社会」』
『●《国民の2割強しか支持を得ていない政治勢力が国会の3分の2を
支配できているところに問題がある》…#投票倍増委員会 会員として…』
『●青木理さん✕安田浩一さん対談 ―――《「この国」には、いったい
いつから、どういう理由で「憎悪と嘲笑」に満ち溢れてしまったのか》?』
アベ様の取り巻き連中の醜悪さときたら…(青木理さん、安田浩一さん)『この国を覆う憎悪と嘲笑の濁流の正体』。ヘイトも含めて、その源流は《空疎な小皇帝》石原慎太郎元東京「ト」知事。さらに、メディアあるいはジャーナリズムについて、…青木理さんと安田浩一さん。《「この国」には、いったいいつから、どういう理由で「憎悪と嘲笑」に満ち溢れてしまったのか》?
東京新聞の記事【DHCテレビ「ニュース女子」の名誉毀損を認定 高裁も一審判決支持「番組に真実性は認められない」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/181448)《判決は、辛さんが組織的に参加者を動員して過激な反対運動をあおっているという番組の内容に、真実性は認められないと判断。現在もDHCのサイトで番組が閲覧できる状態で「韓国人はなぜ反対運動に参加する?」などとテロップで表示されているとして、「在日朝鮮人である原告の出自に着目した誹謗中傷を招きかねない」と言及した》。
沖縄タイムスの【社説[「ニュース女子」名誉毀損] ヘイト止める仕組みを】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/970199)によると、《大勢が視聴した番組のうそが再び認定された。制作したDHCテレビジョンは判決を重く受け止めるべきだ。テレビ番組「ニュース女子」で名誉を傷つけられたとして市民団体「のりこえねっと」の辛淑玉(シンスゴ)共同代表が損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で東京高裁は、一審判決を支持し、DHCテレビに550万円の支払いと、謝罪広告の掲載を命じた。問題となったのは2017年1月に放送された2回。同社が制作し、東京MXテレビなどで放送された》。
さらに、琉球新報の【<社説>ニュース女子二審判決 差別扇動は許されない】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1529440.html)によると、《判決は、原告側が求めていた差別の認定について一審判決より踏み込み「在日朝鮮人である原告の出自に着目した誹謗(ひぼう)中傷を招きかねない構成になっている」と番組の構成に言及した。番組が差別を扇動したと指摘しており、判決の意味は重い。番組は反対運動をする市民をテロリストに例え、辛共同代表を名指しして「黒幕」などと報じた。辛共同代表は判決後の記者会見で、差別認定が前進したことを評価しつつも「ベースにあるのは沖縄差別だ」と述べ、悪質なヘイトを規制する法律の必要性を訴えた》。
最後に、沖縄タイムスの記事【「ヘイトスピーチは魂の殺人。暴力だからこそ認められない」作家の安田浩一さん、社会の崩壊を懸念】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/970606)によると、《ノンフィクションライターの安田浩一さん=写真=を講師に招いた学習会では、取材してきた差別と偏見の現場について説明しながら「誰かが差別に苦しんでいる。人や地域、社会が壊れていくのをこれ以上、見たくない」と語気を強めた》。
『●「日本の恥と呼ぶべき存在」』
《鶴橋で行われた街宣で、女子中学生が「鶴橋大虐殺」の演説をしたことは
ネットで話題になっていましたし、韓国でも報じられていたようです》
『●ヘイトスピーチ、自らの言論の自由を狭めている』
『●『朝日』の「誤報」よりも、誰が国際社会の印象を落としているでしょうか?』
『●小池百合子「ト」知事、追悼文は? 《…ようやくこう答えたのだった。
「それは毎年送っておりません」…この回答はあまりに卑怯だろう》』
《その急先鋒になってきたのが「そよ風」というヘイト団体だった。
「そよ風」はヘイト団体・在特会の関連団体で、慰安婦問題や
関東大震災朝鮮人虐殺の否定などを主張しており、2013年には
大阪・鶴橋で「いつまでも調子にのっとったら、南京大虐殺では
なく『鶴橋大虐殺』を実行しますよ!」などとジェノサイドを
先導したヘイトデモに協力。北海道支部長の女性は桜井誠・
前在特会会長の「日本第一党」の副党首まで務めている》
『●自民党亜種トファ・キトの「反作用として期待される
リベラルの結集」…それが最後の望み・希・希望』
『●「植民地気分」な日米共犯・両政府から
「犠牲だけを強いられる沖縄」…両国に「真の文明」はあるのか?』
《大阪の鶴橋で女子中学生がこんなことをがなった。
「…もう、殺してあげたい! いつまでも調子にのっとったら
南京大虐殺じゃなくて鶴橋大虐殺を実行しますよ!」》
『●《明らかに、小池都知事の「追悼文拒否」は歴史修正主義の虐殺否定論と
ヘイトに勢いを与えた》…《空疎な小皇帝》石原慎太郎元「ト」知事越え』
『●この《レイシスト・歴史修正主義体質》な小池百合子東京「ト」知事に
「2,912,628票」「3,661,371票」も投じてしまった都民の皆さん』
《そのひとつが「日本女性の会 そよ風」というヘイト団体だった。
「そよ風」はヘイト団体・在特会の関連団体で、「慰安婦」問題や
関東大震災朝鮮人虐殺の否定などを主張しており、2013年には大阪・
鶴橋で「いつまでも調子にのっとったら、南京大虐殺ではなく
『鶴橋大虐殺』を実行しますよ!」などとジェノサイドを先導した
ヘイトデモに協力。北海道支部長の女性は桜井誠・元在特会会長の
「日本第一党」の副党首まで務めている》
琉球新報のコラム【<金口木舌>ヘイトクライムを生まないために】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1529019.html)によると、《▼ヘイトクライムは米国だけの問題ではない。昨年8月には朝鮮半島出身者が暮らす京都府宇治市のウトロ地区で放火があった。被告は「韓国が嫌いだった」と供述している。2016年には障がい者が殺傷される事件も起きた ▼人種や国籍、性別、障がいという属性を理由にマイノリティーが暴力の標的にされ命を奪われる。こんな理不尽なことがあろうか ▼ネット上の悪意に満ちた言葉、日常生活で聞こえる誹謗中傷。偏見。ヘイトクライムにつながりかねない「芽」はあふれている。異なる文化や歴史を知り、互いを認め尊重しあう。ヘイトクライムを生まない社会は一人一人の日常の一歩から始まる。》
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【https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1526872.html】
<金口木舌>リプレイスメント・セオリー
2022年6月2日 05:00
金口木舌 リプレイスメント・セオリー
中国語やハングルで表記された沖縄本島中北部の観光地案内板をインターネットに上げてこんな書き込みがあったという。「沖縄が中国、韓国に占領されつつある」。ノンフィクションライターの安田浩一さんが伝えている
▼現地に赴き外国語表記の案内板からやや手前に引いて撮影すると、そこには日本語表記の案内板があった。あたかも外国語の案内板しかないようにフォーカスし「占領」とするデマだった
▼こうした事象はリプレイスメント・セオリー(置き換え理論)といわれる。古くはグレイト・リプレイスメントと呼ばれた。白人至上主義に基づき、白人以外の人種に国土が乗っ取られると危機感をあおる陰謀論という
▼那覇市若狭に建つ龍柱をめぐっては「中国の属国か」とする主張もあった。県内でも顕在化する排斥の動きに改善策はないものか
▼作家の落合恵子さんが、微力ではあっても「一人一人がつながる」大切さを提唱していた。確かに身内や友人、知人が差別されてはいたたまれない。社会が分断されては未来は描けないだろう。
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【https://www.tokyo-np.co.jp/article/181448】
DHCテレビ「ニュース女子」の名誉毀損を認定 高裁も一審判決支持「番組に真実性は認められない」
2022年6月3日 22時08分
(控訴審の判決後、記者会見をする辛淑玉さんら
=3日、東京都内で)
沖縄の米軍基地反対運動を取り上げたテレビ番組「ニュース女子」で名誉を傷つけられたとして、人権団体「のりこえねっと」の共同代表辛淑玉(シンスゴ)さんが、番組を制作したDHCテレビジョンなどを訴えた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(渡部勇次裁判長)は3日、名誉毀損を認めてDHCに550万円の損害賠償などを命じた一審・東京地裁判決を支持した。
判決は、辛さんが組織的に参加者を動員して過激な反対運動をあおっているという番組の内容に、真実性は認められないと判断。現在もDHCのサイトで番組が閲覧できる状態で「韓国人はなぜ反対運動に参加する?」などとテロップで表示されているとして、「在日朝鮮人である原告の出自に着目した誹謗中傷を招きかねない」と言及した。
番組の司会者だった本紙元論説副主幹の長谷川幸洋氏の責任については「番組の制作や編集に一切関与がなかった」とし、一審と同様に認めなかった。長谷川氏が辛さんに損害賠償を求めた反訴も同様に退けた。
番組は東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)で2017年1月に放送された。昨年9月の一審判決は、DHCに賠償と自社サイトへの謝罪文掲載を命じた。
判決後の会見で辛さんは「名誉毀損が認められてうれしいが、沖縄に対して申し訳ない気持ちもある。平和運動や沖縄を、在日である私を使ってたたくという、二重、三重に汚い番組だった」と振り返った。金竜介弁護士は、判決が出自に絡む誹謗中傷に言及した点に「人種差別をきちんと認めたことは評価できる」と話した。(小嶋麻友美)
【関連記事】DHC吉田会長、ネット上で「コリアン系」ヘイト声明 荒唐無稽な主張次々
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【https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/970199】
社説[「ニュース女子」名誉毀損] ヘイト止める仕組みを
2022年6月5日 10:10
大勢が視聴した番組のうそが再び認定された。制作したDHCテレビジョンは判決を重く受け止めるべきだ。
テレビ番組「ニュース女子」で名誉を傷つけられたとして市民団体「のりこえねっと」の辛淑玉(シンスゴ)共同代表が損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で東京高裁は、一審判決を支持し、DHCテレビに550万円の支払いと、謝罪広告の掲載を命じた。
問題となったのは2017年1月に放送された2回。同社が制作し、東京MXテレビなどで放送された。
高裁判決では、番組が東村高江の米軍ヘリパッド建設での抗議行動を取り上げ「過激」「襲撃」「警察でも手に負えない」「テロリスト」といった表現を用いたことに対して、実際の抗議活動に比べて「異質のものというべきである」とした。
事実に基づかない報道であり、放送を通じて多くの沖縄県民を深く傷つけた。
また判決では、市民団体が地元の沖縄以外から参加者を組織的に雇って動員したとする番組の主張に対しても「煽動(せんどう)しているとは認められない」とした。
司会者と出演者とのやりとりや、さまざまなテロップなどを使うことで、辛氏が抗議活動を煽動する危険な人物であると印象付けたとも指摘した。
判決を受けDHCテレビ側は「不当判決だ」とした。現在もネットで閲覧できる番組の削除は求められなかったとして「プチ勝訴」とするが詭弁(きべん)だ。番組構成全般に瑕疵(かし)が認められたことを率直に受け止めるべきだ。
■ ■
判決は、くしくもヘイトスピーチ解消法施行から満6年の日に言い渡された。番組は「在日朝鮮人である辛氏の出自に着目した誹謗(ひぼう)中傷を招きかねない」と指摘し、ヘイトスピーチを誘導する危険性があったと認めた。
解消法は、外国にルーツを持つ人々などへの差別を許さない社会を目指して2016年に施行された。国や都道府県の責務を定める一方、規制や罰則などの定めがない理念法にとどまっている。
しかし今回のケースを見れば、より踏み込んだ対応が必要だ。東京MXテレビは同番組の放送を打ち切ったが、ネット上ではいまだに配信されている。
判決後に辛氏は「たたいてもいい存在と見なした沖縄を、在日である私を使ってたたく、二重三重に汚い番組だった」と振り返った。
ヘイトを放置しない仕組み作りが求められる。
■ ■
表現の自由は、民主主義の根幹でもある。
しかし出自を理由に人を深く傷つける差別表現は、人権を侵害する行為であり決して認められない。
個人に対する差別表現であれば、訴訟で刑事や民事上の責任を追及する道もある。一方で特定の地域や国、民族をターゲットにした差別表現についての責任追及は難しい。
沖縄差別が沖縄出身者にも向けられるように、不特定多数への差別表現は個人の人権を侵害する危険性もある。ヘイト根絶は社会の使命だ。
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【https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1529440.html】
<社説>ニュース女子二審判決 差別扇動は許されない
2022年6月7日 05:00
東村高江周辺の米軍ヘリコプター発着場建設への抗議行動を中傷したテレビ番組「ニュース女子」の人権侵害が改めて認定された。名誉を傷つけられたとしてヘイトスピーチ反対団体「のりこえねっと」の辛淑玉(シンスゴ)共同代表が制作会社DHCテレビジョンなどに損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は制作会社側に再び損害賠償550万円と同社ウェブサイトへの謝罪文の掲載を命じた。
判決は、原告側が求めていた差別の認定について一審判決より踏み込み「在日朝鮮人である原告の出自に着目した誹謗(ひぼう)中傷を招きかねない構成になっている」と番組の構成に言及した。番組が差別を扇動したと指摘しており、判決の意味は重い。
番組は反対運動をする市民をテロリストに例え、辛共同代表を名指しして「黒幕」などと報じた。辛共同代表は判決後の記者会見で、差別認定が前進したことを評価しつつも「ベースにあるのは沖縄差別だ」と述べ、悪質なヘイトを規制する法律の必要性を訴えた。
辛共同代表はそれまでの活動でもネットでの誹謗中傷を受けてきたが、地上波で公然と行われたことが深刻な人権侵害につながった。国会内で国会議員も参加して「辛淑玉氏等在日朝鮮人による反日反米工作を糾弾する国民集会」が開かれたり、自宅前に何時間も不審者がいたりするなどした。危険を感じてドイツに生活拠点を移した時期もあったなどと、法廷で訴えた。
番組の司会だったジャーナリスト長谷川幸洋氏にも「共同不法行為責任」を負うとして損害賠償を請求した。長谷川氏側は辛共同代表の記者会見での発言で名誉を毀損(きそん)されたと反訴した。双方とも一審で棄却され控訴していたが、再び棄却された。
ジャーナリストを名乗る立場で司会をした長谷川氏は、差別や誹謗中傷をあおった責任を問われた。だが、判決は「番組収録時点で各出演者がどのような発言をするかを具体的に把握しておらず、どのようなテロップが付されるかも知り得ない」「名誉毀損の結果を招来することを認識し得たということは困難」として認めなかった。
問題の番組は、その後の「検証番組」も含め、今もDHCテレビジョンのホームページに掲載されている。判決は削除を命じなかった。基地反対運動と辛共同代表に対する誹謗中傷は今も続いている。DHCテレビジョンは全く反省しておらず、差別をあおりながら、誹謗中傷で沖縄の基地反対運動をおとしめ続けている。
裁判に先立って、番組は放送倫理・番組向上機構(BPO)によって人権侵害を認定されている。それにもかかわらず、差別と誹謗中傷が放置されている。法整備を待つだけでなく、ジャーナリズムとメディア界が自浄作用を発揮すべきだ。
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【https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/970606】
「ヘイトスピーチは魂の殺人。暴力だからこそ認められない」作家の安田浩一さん、社会の崩壊を懸念
2022年6月6日 07:47
(「ヘイトスピーチは魂の殺人」と訴える安田浩一さん
=5日、那覇市久茂地のブックカフェ&ホール「ゆかるひ」)
ノンフィクションライターの安田浩一さん=写真=を講師に招いた学習会では、取材してきた差別と偏見の現場について説明しながら「誰かが差別に苦しんでいる。人や地域、社会が壊れていくのをこれ以上、見たくない」と語気を強めた。
安田さんは「在日特権を許さない市民の会(在特会)」に迫った著著「ネットと愛国」で講談社ノンフィクション賞を受賞。2016年のヘイトスピーチ解消法の施行以前から問題を指摘し、学習会でも被害者の声なども紹介した。
昨年3月、名古屋出入国在留管理局の施設に収容中だったスリランカ人女性が死亡した事件についても触れ、「背景にある外国人への憎悪は、以前から日本社会にあった」と指摘した。
また、基地問題に関連して「沖縄は外国に乗っ取られる」などとの言説があることや、過去に機動隊の「土人」発言を擁護する声があったことを挙げ、差別を正当化する理論として危惧。「ヘイトスピーチは魂の殺人。暴力だからこそ認められない」と訴えた。
(社会部・平良孝陽)
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[※ 筑紫哲也 NEWS23とメディアの未来 望月衣塑子が尋ね 金平茂紀が語る (週刊金曜日、2021年12月03日1356号)↑]] (2022年01月21日[金])
日刊ゲンダイのコラム【斎藤貴男 二極化・格差社会の真相/「河瀬直美が見つめた東京五輪」BPOは今度こそNHKの捏造テロップを徹底的に調べてほしい】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/300088)。
《稚拙に過ぎてわかりやすく、視聴者らの指摘を受けたNHKが男性への取材をやり直し、過ちを認めたからまだしもだった。頬かむりされ続けていた日には、“そうか、五輪に反対したやつらは、カネで買収されているのか(何者に? 根拠はないが、たぶん中国に!)”というレッテルだけが残されていたかもしれない。いつからNHKは、ネトウヨ放送局になったのか。いや、“アベちゃんねる”に成り下がって久しい現実は、多くの視聴者の常識だ。あるいは、これぞ我が国における、正しい“公共放送”のあり方だとでも胸を張るつもりだろうか》。
《NHK「五輪反対デモ参加者」証言》デマ、何年にもわたっていつまでもネット上を漂うのだろうなあ…忘れたころにまたぞろウンザリさせられそうだ。目に見えるよう。
でも現実は、デマやヘイトをまき散らす悍ましい人たちこそ、《カネで買収》するような汚いことをやっている。
『●東京MXテレビ「沖縄デマ」番組について、
想像を超えた制作会社の対応のあまりの酷さ』
『●東京MXテレビ「沖縄デマ」宣伝…「目的がデマの拡散による
沖縄の反基地運動への不信あおりにあった」』
『●東京新聞【首相街頭演説動員に5千円…安倍晋三元首相の応援演説でも
「日当」5千円 衆院選・茨城】…《慣例化》してたのかぁ、納得ぅ』
『●《安倍晋三元首相の応援演説でも「日当」5千円》《慣例化》…
デマやヘイトをまき散らす悍ましい人たちこそ、汚いことをやっている』
歴史修正主義者たちは、概してレイシストである確率が高い。
『●小池百合子「ト」知事、追悼文は? 《…ようやくこう答えたのだった。
「それは毎年送っておりません」…この回答はあまりに卑怯だろう》』
『●この《レイシスト・歴史修正主義体質》な小池百合子東京「ト」知事に
「2,912,628票」「3,661,371票」も投じてしまった都民の皆さん』
《沖縄の基地反対運動を中傷し…辛淑玉が黒幕としてカネを出しているかのような印象操作》、沖縄デマ…アベ様らこそ、一体何をやっているのやら。デマやヘイトをまき散らす悍ましい人たちこそ、汚いことをやっている。
さて、斎藤貴男さんの三つの忸怩たる思い…(1)ジャーナリストとしての忸怩たる思い、(2)あぁ、アベ様のNHKをまたしても批判せざるを得ない忸怩たる思い、(3)《拳を振り上げたまま退場…というぶざまを晒した苦い記憶》な情けなきBPOへの忸怩たる思い。
《失われ尽くしつつあるマスコミの矜持と信用》…堕ちていく一方なのでは?
ついでと言っては何だが、立岩陽一郎さん《政局を取材するわけではないのと、加えて社会部記者の最大の狙いは政界の汚職や不正だ》。
日刊ゲンダイのコラム【立岩陽一郎 ファクトチェック・ニッポン!/社会部記者の最大の狙いは政界の汚職や不正だが…「1票の格差」の議論に違和感】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/300101)によると、《社会部の記者は政治部とは異なり、個別の議員に張りつく取材はしない。政局を取材するわけではないのと、加えて社会部記者の最大の狙いは政界の汚職や不正だ。必然的に、与野党問わずに政治家から敬遠されるところがある。…2021年暮れは国会議員の文書交通費の問題で極めて限定的にだが、国会への関心が高まった。もちろん、それも大事だ。しかし国会の制度全体を常に市民が考える議論こそが必要だ。ちなみに、この国会の制度改革には憲法改正は必要ない》。
『●暴言連発「あなたに答える必要はありません」「ここは
質問に答える場所ではない」「その発言だったら、指しません」』
『●『i -新聞記者ドキュメント-』…《「i」…一人ががんばれば
みんなもがんばる――映画はそのことを教えてくれる》(木下昌明さん)』
『●阿部岳さん《菅氏の会見でも食い下がる記者…。問い続けることが、
あらがうこと。…対話という血管が詰まれば、民主主義が死ぬ》』
『●《東京新聞の記者が質問をしようと挙手しても菅氏が
指名しない》…なぜに《官邸報道室長が司会役を務めている》のか?』
『●あぁ、やっぱりねぇ…、イジメを見て見ぬふり。内閣記者会
政治部記者達が作り出す〝居ないことにされてしまった記者〟』
マガジン9のコラム【言葉の海へ 第194回:小さな記事から見えるもの(鈴木耕)】(https://maga9.jp/220119-3/)によると、《極小記事② NHKの字幕捏造…新聞はいまだに「不適切な字幕」などという言葉を使っている。これを「不適切」などという表現はまさに「不適切」だ。明らかに「言ってもいない言葉」を字幕で流したのだから、「捏造」と言うしかないではないか。NHKは番組の中で「反五輪デモ」を貶めるためにテロップを捏造した。「国策であるオリンピック」に反対する連中に対しては何をやってもいいとでも思っていたのだろう。つまり、NHKは「国策」には絶対的に従うということだ。まさに政府広報である。そんな放送局に、なぜオレたちがカネを払わなければならないのか、腹が立つ! それはともかく、やっとBPOが動いた。まだ、「NHKに報告を求めた」という段階らしいが、その報告がいい加減なものだったら、BPOとしても正式に動かざるを得なくなるだろう。徹底的に審査してほしい問題である》。
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【https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/300088】
斎藤貴男 ジャーナリスト
1958年生まれ。早大卒。イギリス・バーミンガム大学で修士号(国際学MA)取得。日本工業新聞、プレジデント、週刊文春の記者などを経てフリーに。「戦争経済大国」(河出書房新社)、「日本が壊れていく」(ちくま新書)、「『明治礼賛』の正体」(岩波ブックレット)など著書多数。
二極化・格差社会の真相
「河瀬直美が見つめた東京五輪」BPOは今度こそNHKの捏造テロップを徹底的に調べてほしい
公開日:2022/01/19 06:00 更新日:2022/01/19 06:00
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(映画監督の河瀨直美氏とNHK(C)日刊ゲンダイ)
マスコミ批判の原稿は書きたくない。自分自身が禄を食む世界の問題を責めるほど、仲間たちに疎まれ、干されるばかり。読者にも、おまえもその片割れだろと笑われているように思う。実際、天に唾した気持ちに苛まれることも少なくないから。
だが沈黙は、その問題に加担する態度に通じかねない。第一、言うべきことを言わないのでは、ジャーナリストを自称している意味がない。
またしてもNHKの不祥事だ。昨年末のBS1スペシャル「河瀬直美が見つめた東京五輪」で、五輪反対デモに参加したという匿名男性が、「お金をもらって動員されている」と打ち明けたとするテロップを流したが、今月9日、「字幕の一部に不確かな内容があった」として陳謝した。13日には前田晃伸会長も謝った。
そのはず、男性がデモに参加した事実は確認されておらず、いつ、誰からいくら受け取ったのかを裏付ける取材さえ試みられた形跡がないのだ。つまり、でっち上げだと難じられても、反論できる余地がなかった。そんなイカサマテロップを、しかも放送前の試写を見た幹部たちが、なぜか見逃していたという。
稚拙に過ぎてわかりやすく、視聴者らの指摘を受けたNHKが男性への取材をやり直し、過ちを認めたからまだしもだった。頬かむりされ続けていた日には、“そうか、五輪に反対したやつらは、カネで買収されているのか(何者に? 根拠はないが、たぶん中国に!)”というレッテルだけが残されていたかもしれない。
いつからNHKは、ネトウヨ放送局になったのか。いや、“アベちゃんねる”に成り下がって久しい現実は、多くの視聴者の常識だ。あるいは、これぞ我が国における、正しい“公共放送”のあり方だとでも胸を張るつもりだろうか。
さすがにBPO(放送倫理・番組向上機構)の放送倫理検証委員会が、審議の対象とするか否かの討議を開始した。同委員会の委員だった私は、2019年1月にやはりNHKがやらかした、米軍の辺野古新基地建設をめぐる虚偽報道について、審議しないのなら辞任したいと申し出た経緯がある。結論は先送りされて時が過ぎ、3月末に任期満了。拳を振り上げたまま退場、審議入りもなし、というぶざまを晒した苦い記憶が今も生々しい。
BPOにはどうか今回、きちんと審議し、厳しい意見書を公表してもらいたい。失われ尽くしつつあるマスコミの矜持と信用を、わずかなりと取り戻すためにも。
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【サケ漁をするアイヌ民族の畠山敏さん… (東京新聞2019年9月2日)↑】 (2021年05月03日[月])
(その2/2へ)
集英社新書プラスのロング対談【対談 戦後75年 沖縄戦を生き抜いた人たちの思いをどう伝えるか?/香山リカ×三上智恵対談 前編】(https://shinsho-plus.shueisha.co.jp/interview/kayama_mikami/10110)と、
【対談 沖縄戦をはじめ歴史検証で、証言者を失うことの意味/香山リカ×三上智恵対談 後編】(https://shinsho-plus.shueisha.co.jp/interview/kayama_mikami/10122)。
《護郷隊の生き残りたちの証言を丹念に拾ったドキュメンタリー映画「沖縄スパイ戦史」を撮った三上智恵監督は、映画に収まりきらなかった膨大な証言と、取材を継続する中で浮かび上がった事実を『証言 沖縄スパイ戦史』にまとめた》。
《三上智恵監督は、映画に収まりきらなかった膨大な証言集を『証言 沖縄スパイ戦史』にまとめた。750ページの大著は今年2月の発売直後から注目を集め、重版を重ね、このほど4刷が出来(しゅったい)した。その三上氏と、平和運動や反差別運動にも携わる精神科医・香山リカ氏が、沖縄、戦争と平和、差別、ジェンダー、コロナ禍について、縦横無尽に語りあった対談の後編》。
『●《「慰霊の日」を迎えた。…鉄血勤皇隊やひめゆり学徒隊の悲劇が
伝わる一方、護郷隊の過酷な運命は長年ほとんど知られていなかった》』
『●《戦争体験の継承はどうして必要》? 大矢英代さん《二度と同じ手段で
国家に殺されないように、生活を奪われないように、知恵をつけること》』
琉球新報のコラム【<金口木舌>差別を乗り越える】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1288773.html)によると、《▼成績優秀だった清水さんは教師になった。近年は市民団体「コタンの会」共同代表としてアイヌ民族の権利回復運動に取り組む。ただ幼少時からの被差別体験のせいで、自身の出自を公表するまで長い年月を要した ▼日本テレビの情報番組「スッキリ」でアイヌ民族に焦点を当てたドキュメンタリー番組を紹介…視聴者から批判があり、同社は「アイヌの方たちを傷つける不適切な表現があった」と謝罪した ▼アイヌ民族は政府の同化政策で固有の歴史や文化、言語などを否定されてきた。差別を恐れ、出自を隠して生きるアイヌ民族は今も多い。しかし国内での理解はまだ深まっていないようだ ▼番組で紹介された動画はアイヌ民族の萱野りえさんが米国の先住民族と交流する物語だ。言語や文化を取り戻す活動をする先住民女性は「私のすることは全て先人の夢である」と語る ▼出自と向き合うことに迷いを抱える萱野さんにこの言葉が勇気を与えた。差別を乗り越え固有の歴史、文化を守るすべを模索する状況は沖縄にも通じている》。
東京新聞の記事【アイヌ不適切表現で日テレ謝罪 社長「責任重く受け止める」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/93046?rct=culture)によると、《日本テレビの情報番組がアイヌ民族に不適切な表現を使った問題で、小杉善信社長は22日の定例会見で「公共性と多様性、基本的人権を尊重することが求められているマスメディアにおいて、こうしたことがあったことの責任を大変重く受け止めている」と謝罪した。小杉社長は「アイヌ民族の皆さまが差別を受けてきたことへの理解が制作担当者に足りておらず、放送した言葉が直接的な差別表現であることの認識が欠如していた」と説明。今後さらに検証し、再発防止策をまとめる予定だとした。12日放送の情報番組「スッキリ」で、出演者が披露した謎かけの中にアイヌ民族を差別する言い回しがあった》。
『●麻生太郎氏…《誰も誤解など生じていない。間違っているのに
誤解と言い張っているだけで謝罪にも訂正にもなっていない》』
「【政界地獄耳/79歳麻生太郎の「責任と自覚」とは】…《麻生は
総務相時代の05年にも「一文化、一文明、一民族、一言語の国は
日本のほかにはない」と発言している。政府は昨年5月に
アイヌ民族を「先住民族」と明記したアイヌ施策推進法を施行している。
…誰も誤解など生じていない。間違っているのに誤解と言い張っている
だけで謝罪にも訂正にもなっていない。それでいて12日には成人式の
来賓あいさつで「皆さんがた、もし今後、万引でパクられたら名前が
出る。少年院じゃ済まねえぞ。…」》」
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【https://shinsho-plus.shueisha.co.jp/interview/kayama_mikami/10110】
対談
戦後75年 沖縄戦を生き抜いた人たちの思いをどう伝えるか?
香山リカ×三上智恵対談 前編
2020.8.14
太平洋戦争末期、日本軍第32軍牛島満司令官が自決し1945年6月23日に終わった表の戦争の裏で、沖縄北部では、少年兵部隊〝護郷隊〟が山にこもってゲリラ戦を継続していた。彼らを率いたのは陸軍中野学校出身の青年将校たちだ。少年たちは故郷の山で、敵の武器を拾って戦い、死んでいった。
そんな護郷隊の生き残りたちの証言を丹念に拾ったドキュメンタリー映画「沖縄スパイ戦史」を撮った三上智恵監督は、映画に収まりきらなかった膨大な証言と、取材を継続する中で浮かび上がった事実を『証言 沖縄スパイ戦史』にまとめた。
750ページの大著は今年2月の発売直後から注目を集め、増刷を重ねている。
その三上氏と、平和運動や反差別運動にも携わる精神科医・香山リカ氏が、沖縄、戦争と平和、差別、ジェンダー、新型コロナ禍について、縦横無尽に語りあった。
構成・文=稲垣收 撮影=三好妙心
コロナ禍の下で続く沖縄差別や分断は
戦争中から行われていた
三上 香山先生の沖縄地元紙の連載はいつも読んでいます。よく沖縄に来られますよね?
香山 よく、というほどではないんですが……沖縄とは、いろいろご縁があって……最初に沖縄に行くことになったきっかけは、後で詳しく話しますが、実はこの8月22日に、沖縄出身の総合診療医の徳田安春さんとの対談本『医療現場からみた新型コロナウイルス』(新日本出版社)が出るんです。
徳田先生はNHKの「総合診療医 ドクターG」とかにも出て、若手の教育を一生懸命やっている人で。沖縄出身ですが、ずっと本州、東京でも活躍していたんですけど、2017年に沖縄に戻って。
その徳田先生が去年ぐらいから平和の問題に関しての発言を始めていて、今年3月には『医師が沈黙を破るとき』(カイ書林)という本も出されてます。
私は徳田先生が書かれた医学の教科書をずっと読んで医者として勉強させていただいて尊敬していたんですね。その先生が急に平和問題のこともすごく発言されるようになって、去年たまたま先生の講演会が東京であったので、私も行って初めてお会いしたんです。
今年コロナ禍が始まってから徳田先生はすごく一生懸命、PCR検査を保健所を介さなくても医者の判断でできるようにさせてください、という署名活動を始めたりして。
三上 医師の判断で検査できないのは、おかしいですよね。
香山 すごくおかしいです。それで、8万ぐらい署名が集まって、厚労省もちょっと動いたりした。そのことでも私、「ああ、徳田先生すごいことやっている」と思って、すぐに連絡して、YouTubeで対談を何回かして、それを対談集にまとめてもらうことになったんです。
だから徳田先生のいる沖縄は、PCR検査をけっこう早い時期から、保健所を通さなくても、医師会がやるということになっていたので、しばらくずっと感染者数が抑えられていたじゃないですか。
三上 はい、5月、6月は新規感染者はゼロでした。
香山 68日間も感染者ゼロだったのです。でもここに来て、人口10万人当たりの感染者数が日本一という状況になっています。一つは米軍基地のクラスター、もう一つは観光の再開によって増えたのは明らかです。でも、そこには沖縄戦の時代からずっと通底しているものがあると思うんです。沖縄に対する構造的な差別の仕組み、いつも沖縄が犠牲になるという。
で、一旦こういう事態になると、菅官房長官は「前から療養施設を確保すべきであると言っていたのに」と苦言を呈したり、本土の人たちも「沖縄は観光で食べていくしかないし、米軍がいなくなったら経済的にも困るんだから仕方ないでしょ」みたいな言い方する人もいる。いつか見た風景です。いつも同じことの繰り返しだと思うんです。
三上 そうですよね。米軍人やその家族がなぜか検疫も受けずに日本に入れるのか、その特別扱いに日本政府は何も言えない。米軍基地の中のどれだけの人が感染しているかということも、当初は、「軍の秘密だから明らかにできない」って言いましたよね。「いくら何でもそれはないでしょう」って玉城デニー知事が一生懸命訴えて、ようやく、感染者数は出してくれるようにはなったんです。本当の数字かどうか確かめようがないですが。
でも、やっぱり「米軍基地の中にどれだけ感染者がいて起動力が弱っているかということを中国に知られたらよくない」という理由で、「軍の中のことは機密である」というふうに、常に軍隊のいる地域というのは、軍の都合を優先し人権が制限されていく。とんでもないことだと思います。北谷ちゃたんの、私たちが普通に行く、観光客も来るホテルが、実は米海兵隊に借り上げられていて……。
香山 軽症者の療養施設になっていたというね。
三上 そうそうそう。もしかしたら感染しているかもしれないという移入者を2週間隔離するのは基地の中の施設を使うのが当たり前だと私たちは思っていたのに、それが基地の外の普通のホテルだったり。
香山 ゲートも、その後も普通に開いたままで、中で日本の従業員の方も働いていて。そういうことに対して「おかしい」と言ったりすると、沖縄の中からも「いや、私たちにも米軍は大切な存在です」と体制寄りの人が発言したりする。あるいは「観光も必要ですから来てください」と言う旅行関係の方もいる。
こういう、ある種の分断の構造、沖縄の中でもそういう意見の違いが出てきて、今度は内部でその人たちが対立しなきゃいけないという構造に、またなってしまいますよね。基地をめぐる構造と同じです。
民心掌握、相互監視……
陸軍中野学校で徹底的に学んで沖縄入りした将校たち
香山 この『証言 沖縄スパイ戦史』を読むと、沖縄の中でこんなふうに「スパイだ」と名指しされて処刑される人が出てきたり、まだ十代の少年たちが見よう見まねでゲリラ戦をさせられたりしますね。規律を守らせるために上官が暴力を振るうんじゃなくて、子供同士でビンタをさせられたり、リンチみたいなことが起きたり。もう本当に、地元の人たち同士が対立したりするような構造に持っていくという。今現在、沖縄で起こっている分断の構図も、沖縄戦の頃からそうなんだな、というのが一番印象的でした。
(第一護郷隊隊長 村上治夫)
三上 この本の巻末に「教令一覧」として、沖縄戦までに日本軍が作成したゲリラ戦のマニュアルを列挙しましたが、最後の『国内遊撃戦の参考』というのが、護郷隊という少年兵部隊を率いた中野学校出身の青年将校、村上治夫隊長・岩波壽隊長たちが中野学校で教わった時の教科書です。それには、ちゃんと書いてあるんです。
住民の協力なくして秘密戦はできない。普通の住民たちが絶対に協力して軍の側についてくれて、一心同体になって裏切らず秘密も保持して、でもお互いに監視させて、最後は武器を持って戦わせるというところまで、住民を全部使っていかないことには勝てないんだ、と。こういう教科書を頭に入れて彼らは沖縄に来ているわけですね。
だから護郷隊を組織したのも、たまたま兵隊適齢期の17歳以上がもういないから15~16歳の少年たちを使ったということはあるんですが、少年たちを使うことで、彼らのお父さんお母さんは護郷隊には何があっても協力しないといけなくなるわけです。食料提供もそうですけど、米軍が「食べ物ありますよ。殺しませんよ。下りてきてください」と投降を呼びかけても、自分の息子が山の中で今戦っているのに、これを裏切って米軍に投降できないですよね。
だから、日本軍はどうやら形勢不利だし、米軍につかないともう殺されちゃうかもしれないと思って、ばらばらと山を下りる住民たちもいるけど、自分の息子が護郷隊にいたら、最後まで「日本軍を裏切るのか? アメリカにつくなんてあり得ない」という立場になります。そうやって民心を掌握するすべというのを何重にも勉強した上で、中野学校の人たちは沖縄に入ってきていたんです。
自衛隊は専守防衛ですから、敵が侵略してきて自国が戦場になるシミュレーションをしています。地域の住民を使ってゲリラ戦をやるという想定は現在の私たちとも無縁じゃない。でも先の大戦で「実は国内でゲリラ戦があったんだ」ということ自体が知られていないから想像することすらできない、もうそれ以前の問題なんですよね。だから、まずその事実を知ってもらいたいなと思ってドキュメンタリー映画「沖縄スパイ戦史」を撮り、映画に収まりきらない証言や追加取材の話も入れて、『証言 沖縄スパイ戦史』を書いたわけです。
岐阜や北海道でも少年兵によるゲリラ戦を準備していた
(第二護郷隊隊長 岩波壽)
香山 この本を読むと、沖縄以外の地域でも、少年兵を使ったゲリラ戦の計画があったことがよく分かりますね。岐阜県の方の証言が出てきます。でも、本当にここまでの規模で実行されたのは沖縄だけ。そこでも沖縄というのがある種、捨て石みたいにされたんだな、というのもよく分かりました。
たとえば学徒出陣とかで若い人が兵隊に行ったという話は私たちも聞いていましたが、それは、自分が生活したり学校に行ったりしている地域を離れて、どこか遠く、たとえば南方に出征するというイメージだった。でも沖縄戦の場合は地元じゃないですか。自分が暮らしていたところのすぐそばで、こういうゲリラ戦をやらなきゃいけなくて。家にご飯食べに走って帰る、みたいな話も出てきたりして。
そんな生活と一体化したところで、それまでの生活と全く断絶されて兵士になっていくというのも、最初はイメージできなかったんです。兵隊になるって、もう全然違う場所で違う生活をすることなんだ、というふうに思っていたので。でも、そうやって生活の延長としての戦争、というものがあったわけですね。
しかも、それがある種の作戦だったわけですね。「自分らの子供たちが地元で戦っているんだから協力しよう」みたいにさせる、という。
三上 ええ。この本に出てくる岐阜県の野原正孝さんに、一昨日、もう一度会いに行ったんですよ。陸軍中野学校の宇治分校の卒業生で、今年98歳なんですが。野原さんも、それまで中野学校の宇治分校のことは、「死ぬまでしゃべらない」ということで卒業しているから、長年誰にも話さなかったし、世間の人も誰も知らなかったんです。でも去年、地元の岐阜新聞の記者・大賀由貴子さんに話したのをきっかけに、そういう話をするようになって。大賀さんが映画「沖縄スパイ戦史」を見て、私に連絡をくれて、野原さんを紹介してくれたんです。
(「国土決戦教令」)
取材してから、野原さんはハガキを下さって、「三上さんと出会って、わしの人生面白くなってきた」みたいなことを書いてくれていたんです。でも、この本を出来上がってお送りしたら、またハガキが来て、「こうやってちゃんといろんな知識のある人によって歴史的に位置づけられたものを見る時に、一抹の寂しさを感じます」と書いてあって。
香山 どうしてですか。
三上 結局、すごい武勇伝でもあるし、理解されないところを理解してもらったのはうれしかったけど、自分は岐阜でこの山と川を使って戦うんだということをやっていて、少年兵を使ってその練習もしていて、それをやらないで済んでよかった、誰も傷つけないでよかった、と。でも、この話がどんなふうに位置づけられるのかなと思った時に、たぶんこれを全体で読んだら「国内で地域の少年を使って戦おうと思っていた」ということって、善か悪かでいえば悪い印象しかないですよね。中野学校がやったことというのは、そういうことだったんだ、と。そういうふうに位置づけられていくことが寂しいというか。
戦争末期に日本の軍隊は何を守ったのか。それは兵隊個々の思いはさておき、「国体」というものになっていって、軍隊が住民を守ることもできなくなって、最後は「住民は兵器だった、消耗品だった」とまで、野原さんははっきり言っている。「武器・弾薬はもうなくて、消耗していいのは十代の若者の命だけだった」と。今の常識では、あり得ない言葉ですよね。そういう流れで見ていくと、やっぱり野原さんは、証言して良かったのかどうか、信じて命がけでやったことを肯定されないとしたら辛くなってきますよね。だから、一抹の寂しさがある、と。
香山 なるほど。私的な記憶だったのがこうして歴史の中に位置づけされると、また違って見えてくるかもしれませんね。
三上 その時の忠誠心や、日本のためと思ってやった、ということに嘘はない。それだけは言える、というようなことがそのハガキに書かれていたから、私は野原さんを傷つけてしまったんだろうなと、すごく気になっていて……。それでまた会いに行ったんですよ。そしたら、お土産も買っていてくれて、手縫いのマスクをたくさん作って待っていてくださって。それで、すごく楽しい時間を過ごしてはきたんですけど。
香山 そうですか。でも生きているあいだに話せて、ご自分なりに整理がつけられたのはよかったのではないでしょうか。
三上 でも、一昨日お会いしたのは野原さんだけじゃなくて、98歳の野原さんと同い年で、陸軍中野学校のもうあと数人しかいない生き残りの方でした。彼は北海道出身で、護郷隊を率いた村上・岩波両隊長と同じ三乙というクラスで中野学校を出て、北海道に戻って遊撃戦の準備をしていたんですね。つまり北海道でも、敵が侵攻してくれば北海道の人と遊撃戦を戦う、という計画があったんです。岐阜では、岐阜出身の野原さんがやれ、ということで、地域のつながり、地縁、血縁、それに、知識というものを総動員して戦え、と。
戦後もソ連が北海道に攻めてきたら、北海道を使ってどうやって遊撃戦をやるかという検討を続けているんです。その時の参考に陸軍中野学校が沖縄で護郷隊を使ってどういう戦いをやったかということが、そのまま参考にされているんですよ。今もずっと続いているんです。
香山 まったく知りませんでした。終戦で切断されたわけではなかったのですね。北海道が故郷の私にとっては衝撃的です。
慰霊碑の前で泣きじゃくった晩年の村上隊長
香山 私は精神科医だから、登場人物の気持ちもすごく気になったんですけども、これに出てくる護郷隊を率いた陸軍中野学校から派遣された岩波と村上という人、その人たちがどういう人なのかというのが、読んでいてすごく分かるような、分からないような感じがしました。護郷隊にいた人たちは皆、決して彼ら隊長たちのことを悪く言わないわけじゃないですか。それが単純にエリートで頭がいいというだけじゃなくて「とても思いやってくれた」みたいなことを言う人もいたり。あるいは「戦後もずっと沖縄に通って慰霊をしてくれた」とか。そうやって子供たちの心をつかむというのも、実は中野学校での教育の成果というのもあるんですかね。
三上 それもあると思います。人心掌握のために、地域の人たちの心をどうやってつかむかということも村上さんは自著の中で言及もしています。部下の出身地と親の職業を覚える、と。また訓練中ですが、勉強を教えたりもしています。ただでさえ軍国教育で忠誠心を叩き込まれている少年たちが、そういうふうに接してもらったら、「この人と生死を共にしよう」と思いますよね。
でも、本当に真心というか、「誠」という言葉を中野学校出身の人たちはとても大切にしているんですけど、誠の気持ちで子供たちに接していたとも思います。彼ら自身の心の中でも、嘘とかごまかしとか、「こうやっとけば、あいつらついてくるぜ」というような気持ちはなく本当に誠からやっていたかもしれない。でも結果的に少年たちの気持ちをしっかりつかんで遊撃戦をやれたのですから、元上官からすれば素晴らしい作戦遂行能力だったと評価されるでしょうね。
香山 自分が暴力を振るうんじゃなくて、子供同士で殴り合わせて暴力的な管理をしたと、いうのもそうですよね。じゃあ、戦後慰霊のために毎年通っていたのは、本当に本人たちの個人的な思いなんですかね。
三上 それはそうだと思います。村上さんのほうが数は多く、1年も休まずに来ていて、岩波さんは2年に1回くらいのペースで。でも、晩年はあんまり岩波さんはいらっしゃらなかったんです。岩波さんは自著に「全ては悲しい出来事で振り返りたくない」と書いています。
でも村上さんは、もう通って通って、通うことで、自分の中にある、やまない声というものを静めたかったのかな、と私は思ったりします。晩年は車椅子で最後の何年間かはいらっしゃっていたけど、一番最後に、顔をくしゃくしゃに崩して泣きじゃくったのを見て、みんなが呆然としたということがあったんですけど……。やっぱり、どうやっても自分の中で収めることのできない思いというのがあったんだろうなと。
香山 逆に言うと、戦争中は、ある種の洗脳に近い教育が彼らに対してもあったということですかね。
三上 これは私も逆に香山さんにお聞きしたいんです。村上さんは、本当に「ラストサムライ」みたいな感じで、正義感も強くて、部下に対する思いも熱く、男としての生き方も非の打ちどころがない。私がもし当時出会っていたら惚れていたんじゃないかというぐらい、性格もスパッとした仁義の人だったと思うんです。
戦時中も部下の少年たちに、そういうふうにして接してきて、戦後も、罪を償うために彼は十分やったよねと、部下たちは認めていたと思うし。ただ、遺族感情はそれとは別です。
久高良夫さんという戦死した少年兵のお母さんが唯一、村上さんに食って掛かった人でした。「何でおまえが生きているんだ」とつかみかかったという話を、映画の中で弟さんがしています。そういうふうに、もちろん少年兵の遺族には恨まれもしたけど、ほとんどの人からは、あれだけ誠意を尽くした人はいない、と思われるところまでは頑張った。
それでも、あれだけの少年たちの命を犠牲にして自分は生き延びてしまった、ということを、自分の中で自分を許すことができなかったのかな、と思うんです。わんわん泣くというのは、どういう気持ちだったんだろうな、と。
香山 この本の中にも、瑞慶山良光(ずけやま よしみつ)さんという、戦後にPTSD(心的外傷後ストレス障害)で苦しんだという元少年兵の方が出てきますが、沖縄戦のPTSDの問題って、一部の精神科医によってしか研究もされていなくて……。
三上 そうですね。私も、心療内科医の蟻塚亮二先生が沖縄で本格的に取り組み始めた時に一緒に取材させてもらいましたが、戦争のPTSDに関しては、広島、長崎のほうが全然進んでいて、沖縄戦に関しては、全く手をつけ始めた頃だったですね。
香山 私も蟻塚先生とある研究会で御一緒させていただいているんですけど、蟻塚先生が、老人ホームとかでいろいろ聞き取りをしていてハッと気づかされたというのが、認知症になって最近のことは覚えていないけど、むしろ昔のことがよみがえってきてしまって、今起きたかのように感じることがある、と。たとえば死体を踏んで歩いたという感触がよみがえってきて、すごい恐怖に襲われる方もいる、という話を聞いて、そうかと思って。
それまでは理性で抑え込んだり、仕事で忙しかったりして覆い隠していたものが、認知症になると、根源にあった不安とか恐ろしい体験、恐怖心というのがむしろよみがえっちゃうことがあるんだ、と。さっきの村上さんが号泣したというのも、そういうことかもしれないですね。
三上 まさにそうだと思うんですよ。それまで自分の生き方とか常識とか蓄積した信頼関係とかが抑えになっていて「もう罪も許されたかもしれない」という後から上書きしていったものが、消えてしまって。
香山 そうそう。蟻塚先生は、年を取ればもうつらいことも忘れられるのかと思ったら、逆だと言うんですね。これはすごく残酷なことだな、と思いました。
三上 そうなんですよね。だから、この映画のキャッチコピーに、「もう、忘れていいよ。わたしがここで、覚えてるから」とつけたんです。
私が辺野古や高江の基地反対の現場にずっと行っていると、沖縄戦を体験したおじい、おばあが一番頑張っているんです。時間があるというだけじゃなくて、戦争体験があって、自分だけが生き延びてしまったことを肯定できない、という思いを抱えているお年寄りがすごく多くて。「自分は生き延びたのに、基地が残ってしまってまた戦争が起こるかもしれないことに対して、何にもしないわけにはいかない」って基地反対のデモに出ているわけです。
香山 そうですね。まさにご自分の心的外傷と戦っている姿にも見えます。
三上 これだけ時間が経っても戦争で受けた心の傷を癒すどころか「基地を残したまま死ぬことはできない」という思いがつのっていく。だんだん思考がまだらになって行くのなら悲しすぎる記憶は忘れていってほしいのに、逆にそこがどんどん鮮明になっていってしまう、というのが本当につらいので……。「その苦い記憶は私たちが引き継ぎますから」っていうことは、口はばったくて、私も何年も言えませんでした。でも、少しでも引き受けて「私たちが覚えているから、もう忘れて」と。「このまま、こんな重いものを持ってあの世へ行けない」と言わないで、もう忘れていいよ、私たちが覚えているから、という気持ちで、大矢英代(おおや はなよ)(映画「沖縄スパイ戦史」の共同監督)とこの言葉を作ったんです。
香山 なるほどね……今もまだ解決していない、沖縄戦を生き抜いた人たちのそういう思いがあるにもかかわらず、沖縄っていまだに差別を受け続けているわけですよね。
沖縄やアイヌ民族に対する新たな差別が始まっている
香山 私が沖縄にちょっと関わるようになったのが、2016年に琉球新報の新垣毅(あらかき つよし)さんが東京支社に赴任して来た際、家を借りようと思ったら断られたという事件もきっかけの一つでした。「琉球新報には貸さない」と大家が言った、と。
その頃私は、在日の朝鮮・韓国の人たちへの差別の反対活動に関わっていて。あと私は北海道出身なのでアイヌ差別にも反対していました。とくに人種差別、民族差別はナチスをはじめとして大虐殺にもつながります。絶対にあってはならないことと思うのです。
アイヌの方は彼らが置かれてきた状況から所得も低かったり大学進学率も低かったり、結婚する際もいまだに差別されたりということがあるんですが、それに加えて新しい差別も起きています。2019年5月にアイヌを日本の先住民族と認めるアイヌ新法が施行され、今年は「ウポポイ(民族共生象徴空間)」という施設も北海道にオープンしました。でも逆に「それでいい思いをしているだろう」ということを言う人たちがいて。アイヌ新法施行に当たって政府がパブリックコメントを募集したら、寄せられた6305件の大半がアイヌ民族の存在を否定するなどの差別的な表現で占められており、約98%が公表の対象外となっていたことを北海道新聞が報じていました。
三上 そんな高い割合でですか。
香山 「アイヌ民族など存在しない」とか「アイヌ民族は先住民族ではない」「アイヌ民族への差別はなかった」といったまったく根拠のない差別的コメントが大半だったのだそうです。
私はそういう差別反対運動にずっと関わっていたんですが、新垣さんの記事を読んで「えっ、沖縄に対してもそういう差別があるのか」と気づきました。その頃ちょうど作家の百田尚樹さんが自民党の勉強会で「沖縄タイムスと琉球新報は潰れたほうがいい」みたいな発言をしていた影響もあるんでしょう。不動産会社の話では、大家さんが右派的な人なので、と言われたと。
三上 私もその時のこと、強烈だから覚えています。でもあの件は民族や人種差別というニュアンスではなく「左翼がかった新聞社には協力したくない」という感じだったのでは。
香山 そうそう。でも新垣さんがいろいろ調べたら、昔も「琉球民族には貸せない」というような差別を受けた人がたくさんいた、と。
――1950年生まれの翁長雄志元沖縄県知事も、法政大学に通っていた頃、「琉球人には部屋は貸せません」という差別を受けた、と語っていますね。そうした差別は東京や大阪でも多かったようです。
香山 そういう昔からの差別に加えて、また新しい差別が起こっている。アイヌと同じですね。「琉球民族」とか、「彼らに自己決定権を」とか言う人は「左翼だ」「反日だ」と言われて。
2013年に翁長さんら沖縄の全自治体の首長さんたちが銀座でオスプレイ反対デモをしたら、「反日!」という罵声をすごく浴びて衝撃を受けたと、生前、繰り返しおっしゃっていましたよね。
ただでさえ沖縄は日本で唯一地上戦を経験し、戦後は長年アメリカに支配され、復帰後も差別されてきた歴史を引きずって、いろんな不利益を被っているのに、また今、新しく声を上げるだけで「反日だ」とか「売国奴だ」と言われる。差別の位相が変わったと思います。あまりにもひどい話です。
誰が当事者なのか?
香山 2016年にその新垣さんの事件があって、在日コリアンへの差別に反対していた私の仲間も「これ、沖縄も同じなんじゃないか」ということに気づいて。ちょうどその後に、高江ヘリパッド建設反対のデモを鎮圧しに、7月に機動隊が千人来るというできごとがあったんです。それで私の友人の添田充啓そえだ あつひろ君も高江に行ったんです。そして彼らが「高江ではひどいことが起きている。東京で差別反対をやっている人は皆来るべきだ」と言うんで、私も行くようになったんですけど。
そうしたらそこで添田君たち東京からデモに行った人も、沖縄平和運動センター議長の山城博治(やましろ ひろじ)さんと一緒に逮捕されて、山城さんは5ヵ月勾留されたけど、添田君は199日勾留されて……。彼は裁判では執行猶予だったんですけど、長期勾留でもう本当に心身がボロボロになりました。それがもとで血圧が安定しないなどいくつも病気を抱えることになり、結局2年前に亡くなったんですよ。最期まで沖縄についても勉強を続けていて、本当にかわいそうでした。
三上 そうですよね。何とも言えなかったですね。
でも、その高江ヘリパッド建設反対が盛り上がっていたころ、「香山リカが来る!」という情報がネトウヨを中心に大袈裟に取り沙汰されましたよね。「香山さんが辺野古や高江とかに関わることは許せない」という人たちがいることに、私はすごくびっくりしたんです。多くの有名人も駆け付けていた中で、あれって何だったんでしょうね。
――よそ者や門外漢は口を出すな、ということだったんでしょうかね?
香山 でも私は、それに関しては、彼らにちょっと感謝しているところがあって……。どこまで当事者じゃない人間がかかわっていいか、ということを深く考えさせてもらいました。
それまで私も、精神科医としては社会的な弱者の方たちの問題にもいろいろ関わってきました。精神疾患になる人たちは、精神疾患になるというだけでも社会的に弱い立場になるわけですから。
でも「差別に反対するのは、当事者以外の人が余計なこと言っちゃいけないんじゃないか」という思いが自分の中にずっとあったんです。たとえばアイヌのことも「アイヌの人は言っていいけど、私は搾取してきた和人の側だから私が口を出したら、おまえ何言ってんだよ、と言われるんじゃないか」と思ったり。
でも世界的に「スタンドアップ・フォー・サムバディ」、つまり「自分以外の誰かのために声を出してもいいんだ」という考え方が2000年代に広まってきて。「当事者をむしろ前に出しちゃいけない、当事者以外の人がやるべきなんじゃないか」と。イラク戦争とか、東日本大震災後の原発の問題でも特にそうですね。福島の人が声を出すのは当たり前だけど、「別に福島の人じゃなくたって声を出していい」という流れが出来てきて。それで、在日差別に反対して声を上げることを在日じゃない人がしてもいい、というようになってきました。
ただ沖縄のことは、「ウチナンチュでもない私が……」とか「東京から物見遊山みたいな感じで押しかけたりしちゃいけないんじゃないか」という思いもあったんです。だけど先に東京から行った添田君たちは「何言っているの? これは日本の問題なんだから誰だって当事者だし、別に沖縄の人じゃなくたって声上げていいんだよ」と言ってくれて、「ああ、そうなんだ」と思って私も行ったんです。当事者ではないのでおそるおそるでしたし、批判もあって当然と思います。
三上 その「当事者性」ってすごく大事な問題ですね。たとえば辺野古の海の埋め立てについて、誰が当事者なのか? 辺野古の集落の人が、その海の埋め立てについて第一発言権があるのか? これだけ地球規模でサンゴ礁がなくなっていく中で、このサンゴ礁も奪われたら、もう海洋環境を取り戻すことができないかもしれない。これに関しては、海洋環境を憂う人はどこの誰でも発言権はあると思います。たとえばそこに住んでいない学者でも、サンゴのことを研究している人が「辺野古の地先を埋めるなんて、地域の人が100%いいと言ったって駄目です」と言う権利もあるし。「価値が分かる人が当事者だ」と私は思っているんです。
だから、「そのことの重大性が分かって、そのために居ても立っても居られない気持ちになる人が当事者であって、解決能力を唯一持っている」と私は思っていて。そこに住んでいても、血統がどうであっても、関心がない、気づかない人はたくさんいるし、闘いたくない人もいる。
辺野古に戦前からずっと住んでいて、日本軍が来るわ、米軍が来るわ、基地が造られるわ、みんなモメてるわで、そこにいる人たちは、ニュースも見たくないし、外から来てワーワー反対運動をやっている人を見ても、気分が悪いとしか思わない。そのことを自分の人生から外したいと願って生きている人に、「でも、当事者でしょう。頑張って考えて」と言うこともまた、私は暴力だと思うんです。だから、考えない自由も、逃げる自由も、「そこにいるんだから頑張りなさい」と言われない自由もあると思います。
香山 そうですね。だけど、そういう発言しない人や見たくない人が利用されちゃうこともありますね。たとえば高江のある東村でパイナップル農家をやっていて「ヘリパッド反対の人たちが来てうるさくてしょうがない」とかというような思いの人もいるわけですよね。すると「ほら、村の人も迷惑だと言っています」とかいうのを声高に言う人もいる。
三上 そうそう。辺野古の人たちのところに行っては「反対運動の人って嫌でしょう」と聞いて回っているメディアもあります。
香山 そういう意味では、誰も本当に中立とか無関係ではいられないんですよね。「私は政治的なものを見たくないから、そういうのとは一切離れていよう」というのは、今の社会では、残念だけどあり得ない。
三上 あり得ない。政治的じゃない事柄って世の中にないですよね。「自分は中立」という絶対安全な丘にいて、いつもそこから物を眺めたいという気持ちは分かるけど、絶対的な中立の地点なんて人間に測ることができるはずないし、偏らず思考することも無理ですよね。
「芸能人は政治発言するな」という欺瞞
香山 残念なことに、「ニュース女子」という番組の問題(*)もありましたけど、基地に反対する人たちを「反日勢力」だとか「売国奴」だとか「外国の支援を受けている」みたいに言う人たちの声が、今すごく大きくなっちゃっている。
――「芸能人は政治発言するな」などという言説は多いですね。モデルのローラさんがSNSで辺野古の埋め立てに反対発言を出したら、テレビでも「勉強が足りない」「黙ってろ」と言われたり。
香山 そうですよね。
三上 5月に小泉今日子さんが「私、更に勉強してみました。読んで、見て、考えた。その上で今日も呟かずにはいられない。#検察庁法改正に抗議します」とツイートしたら、「政治的な発言をするな」って叩かれましたよね。「キョンキョンがそんなこと言う必要はないんだ」「アイドルの延長線上のフワッとした存在でいるべきだ」なんて、50代の女性に向かって、全くナンセンスなことを言う人たちが大勢いました。
でもキョンキョンがこの話題を呟いた時に叩きに行く人って、香山先生が高江に来た時に「おまえが行くな」みたいなことを言った人と、何かグループが似ていると思いました。それまで自分が辺野古について発言するチャンスもなかったし、人権派として行動するような素養もなくて、でも何となく反対運動やっている人ってやな感じ、と思っている置いてけぼりさんが、同じく門外漢だと思っていたある人が辺野古や高江について発言したりすると、「何でおまえがやるんだ」って叩くことで、何もしていない自分を肯定して溜飲を下げるという。まともな発言をする人をみんなでコキ下ろしたって、決して自分が上がることはないのに、SNSがそういう場を提供している面があります。
香山 でも逆に、芸能人が政権を支持するような発言をしても「政治的だからやめろ」とは言われないわけじゃないですか。「安倍さんも頑張ってますよね」とか「今の政府はやることやってますよ」とか「みんな、足を引っ張るのはやめましょう」とか「応援しましょうよ」とか言えば、むしろ覚えがめでたい。
三上 そうですね。だから、自分は主流派に乗りたい、多少媚びてでも何も考えないで勝ち組に乗っていたいという人たちにも、後ろめたさがあるんじゃないですかね。
香山 そうですね。本当に勢力が拮抗していれば、何も発言しないのは中立かもしれないけど、今こんなに権力のほうが肥大化している時に何も発言しないのは、実は知らない間に権力側に加担しているわけです。「いや~、私、政治は分かりません」とか言っていると、知らない間に権力側を後押しすることになる。
三上 そうですよ、完全に。A政党とB政党というのが拮抗していたら、どっちに偏るとか、二項対立みたいな構図が一時的に描けると思うんですけど、今って自公という勝ち馬と、そこに乗り切れない人たちと伝統的な野党がいろんな形で離合集散しているけど、全然バランスも取れてない。でも、「勝ち馬に乗ることでしか自分の安泰の道はない」という思考の人からしたら、「政府に反対する人たちを皆で叩いて、勝ち馬を絶対のものにしておいたほうがいい」という集団心理が働くのかも。だから「沖縄問題にコミットする人は、何となく自分たちの立場を危うくするんじゃないか」と感じるんじゃないですかね。
香山 うんうん。そういう人は、言い訳のように、「私も沖縄は大好きなんですよ」とか「移住したいぐらいです」「一年に何回も行くんですよ」と私的体験を話すんですよね。それからおもむろに「でも基地反対とかは、ちょっと……」と言う。つまりその人にとって沖縄というのは、ただの癒やしの島として利用するだけで、行って自分がリラックスさせてもらえばいい、としか思ってない。「沖縄大好きなんだけど」とか言いながら「でも、基地はそちらにお願いしたい」なんて都合よすぎますよ。
沖縄の人でも何人か、デマゴーグみたいな人がいるじゃないですか。でも、その人たちがすごく声が大きかったり、そういう右派的な発言をする女性が産経新聞とかのお正月特集で安倍総理と一緒に晴れ着を着て写っていたことがありましたよね。
三上 でも彼らが沖縄の一般の人たちにどれだけ影響力があるかというと、あまり存在も知られていないのではないでしょうか。一部のメディアが「沖縄の人たちにもこういう人がいるんだ」とか、「実は基地反対より、こういう意見が多いんだ」と騒いで彼らに力を与えているだけで。
香山 そうなんですね。少しホッとしたような気もしますが、でも安心はできないですね。
(後編に続く。後編は8月18日アップ予定)
*「ニュース女子」問題:東京の地上波放送局TOKYO MXの情報番組「ニュース女子」2017年1月2日放送回で、「沖縄の基地に対する反対運動には日当が払われていた」などとする報道があり、「事実関係が間違っている」「沖縄に対する偏見を煽っている」など多数の視聴者意見が放送倫理・番組向上機構(BPO)に寄せられ、BPOは審議・調査の結果、MXが番組内容を適正にチェックせず、中核となった事実についても裏付けがないとして「重大な放送倫理違反があった」と発表。その後、同番組のMXでの放送は打ち切られた。同番組は、化粧品大手ディーエイチシーのグループ会社「DHCテレビジョン」が取材・制作し、MXは完成版の納品を受けて放送していた。
プロフィール
香山リカ(かやま りか)
1960年、北海道出身。東京医科大学卒業。精神科医。立教大学現代心理学部教授。著書に『「独裁」入門』(集英社新書)、『オジサンはなぜカン違いするのか』(廣済堂新書)、『ヘイト・悪趣味・サブカルチャー 根本敬論』(太田出版)、『皇室女子 〝鏡〟としてのロイヤル・ファミリー』(秀和システム)、『劣化する日本人 自分のことしか考えられない人たち』(ベスト新書)、『しがみつかない生き方 「ふつうの幸せ」を手に入れる10のルール』(幻冬舎新書)など著書多数。8月22日に徳田安春氏との共著『医療現場からみた新型コロナウイルス』(新日本出版社)発売。
三上智恵(みかみ ちえ)
ジャーナリスト、映画監督。毎日放送、琉球朝日放送でキャスターを務める傍らドキュメンタリーを制作。初監督映画「標的の村」(2013年)でキネマ旬報ベスト・テン文化映画部門1位他19の賞を受賞。フリーに転身後、映画「沖縄スパイ戦史」(大矢英代との共同監督作品、2018年)は、文化庁映画賞他8つの賞を受賞した。著書に『証言 沖縄スパイ戦史』(集英社新書)など。9月25日、本編114分に加え73分に及ぶ特典映像も収録した映画「沖縄スパイ戦史」DVD(紀伊國屋書店)が発売に。
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(その2/2へ)
[※『権力と新聞の大問題』(望月衣塑子×マーティン・ファクラー著)…《政権をチェックしようという意識が…》↑] (2021年02月11日[木])
東京新聞の2021年01月15日の記事【フジと産経、世論調査を再開 昨年6月に不正発覚】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/80075)によると、《フジテレビと産経新聞社は15日、電話による合同世論調査を、今月下旬に再開すると発表した。昨年6月、実際には電話していない架空の回答を入力するなど不正が発覚し、調査を中止していた。再発防止策として、両社の担当者が調査に立ち会うほか、業務を委託する調査会社に詳細な通話記録を提出させ、調査を再委託させないことを決めた。調査は以前とは別の会社に委託するという。フジテレビと産経新聞社は、不正データに基づく2019年5月~20年5月の調査14回分の放送と記事を取り消した。不正は、調査の委託を受けた会社が再委託した業者の現場責任者が主導していた》。
《フジテレビと産経新聞社は15日、電話による合同世論調査を、今月下旬に再開すると発表》!? 驚きです。《実際には電話していない架空の回答を入力するなど不正が発覚し、調査を中止》していました。《架空データが含まれた世論調査結果を1年以上にわたり放送》…。
また、それに関連して、同紙の2021年02月10日の記事【フジ産経世論調査不正は重大違反 BPO、“慣れ”の中で業務】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/85173?rct=culture)によると、《フジテレビと産経新聞社の合同世論調査データ不正問題で、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は10日、フジテレビが業務を委託先の調査会社に任せ切りにし、架空データが含まれた世論調査結果を1年以上にわたり放送したことは「重大な放送倫理違反があった」とする意見を発表した。検証委は不正の背景として、フジテレビが委託先の調査実態を把握せず、担当局員を1人しか配置しなかったことなどチェック体制の薄さのほか「“慣れ”の中で業務が続けられていた」と指摘した。フジテレビは「重く、真摯に受け止め、今後の世論調査の報道に生かしてまいります」とコメントした》そうです。
『●《産経新聞はFNN…安倍政権に都合よく“数字上の世論”すらも捻じ
曲げて報じた…“安倍謀略機関”》…それ以上のインチキ、ペテン』
《フジテレビは「重く、真摯に受け止め、今後の世論調査の報道に生かしてまいります」とコメントした》そうですが、ホントかね?
《産経新聞はFNN…安倍政権に都合よく“数字上の世論”すらも捻じ曲げて報じた…“安倍謀略機関”》…それ以上のインチキ、ペテン。
予想以上の酷い手口…恣意的・誘導的な質問の仕方、あるいは、統計上の恣意的な処理かなにかの話かと思いきや、ここまで酷いことが行われていたとは…。当時、大変に驚きました。その〝張本人〟は元・最低の官房長官カースーオジサンだった訳ですが、アベ様の〝唯一上手くいってい〟た《メディアコントロール》の下、フジ産経がアベ様のために《インチキ》《ペテン》《不正》までやっていた訳で、アベ様の広報機関・公報機関であることがまたしても明らかになった事件です。決して報道機関などとは呼べない代物。《こうしたケースは他にも枚挙にいとまがない。ようするにFNN産経の世論調査はもともと「客観的な調査」にほどとおい、世論誘導のための恣意的なシロモノであり、ペテンや詐欺的手法も平気で駆使してきたの》でした。
『●アベ様の広報機関誌『産経』が「新聞がないと、
政権の批判もできない」……だそうです、御笑い』
《それだけではない。9月の安保法案可決直後、産経新聞はFNN
(フジニュースネットワーク)との合同世論調査をもとに、
〈安保法制整備は7割が「必要」〉(産経ニュース)などと報じたが、
これがほとんど“捏造”と言ってもいいようなシロモノだった。
詳しくは産経調査を分析した本サイトの過去記事をご覧いただきたいが、
産経は質問文を前回調査からコッソリ変更するなどして、安倍政権に
都合よく“数字上の世論”すらも捻じ曲げて報じたのである。
というよりも“安倍謀略機関”と言うべきだが、これはなにも、
本サイトだけが評していることではない》
『●《産経新聞が「日本は人権守る側に立て」と論陣》!?
例えば、辺野古破壊では、沖縄の人々の人権は?』
《産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の世論調査の中に
あった。「日本の言論の自由は守られている」という問いで「思う」
と回答した人が52・0%、「思わない」と回答した人が38・9%に上った》
『●中曽根康弘元首相や「産経のドン」故・鹿内信隆氏らは、
あの時、何をしていたのか? …《検閲国家》へと一歩一歩』
「《FNNと産経新聞…世論調査でも、「ホワイト国除外」を「支持する」が
67.6%に登り、「支持しない」は19.4%にすぎなった》…壊れた国ニッポン」
《FNN産経の世論調査のペテン》は、当時の、そして、今の《政権も共犯関係にあるといっていいだろう》と思います。
この合同世論調査の中止がされる前、妙に高いアベ様の内閣支持率は、少なくとも、FNNと産経新聞社の結果については、《インチキ》《ペテン》《不正》によって嵩上げされていた可能性がありました。
『●《幸せな未来を想像できている人なんて、この国にはいない》
…でっ、アベ様独裁の内閣支持率4割程度?』
『●鈴木耕さん《目を覚まそうね、みんな》《さすがに、安倍終焉劇の幕は
上がったのだ……。》…であってほしいが、内閣支持率4割の絶望』
『●内閣支持率は《国会を閉じれば…自然と回復》…「逃げるは恥だし
役立たず」なアベ様は《今は逃げるが勝ちと判断した》のか?』
ついでに、産経公報紙の阿比留瑠比広報員について、りょうさんのつぶやき。
= -- = -- = -- = = -- = -- = -- = = -- = -- = -- =
【https://twitter.com/Ryohhei039724Rs/status/1358344656661090304】
りょう(脱原発に一票チーム京都二区) #相互フォロー募集中@Ryohhei039724Rs
産経もこんな人間しかいないのか? これでは経営状態が思わしくなくって当然でしょうね。見苦しい限りです!
「森元首相の発言内容うんぬんより、正義面してそれをいじめの材料にしている連中が気持ち悪い」(産経新聞社政治部編集委員の阿比留瑠比氏)
午後6:19 2021年2月7日
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ブログ主の応答。
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【https://twitter.com/ActSludge/status/1358346352522973186】
■阿比留瑠比自民党広報員の『だから安倍晋三政権は強い』(産経新聞出版)なんてのが思い出されます…(https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/c1777c7973a737c55a9d935e31ca085c)。《NHK岩田明子記者や山口敬之・元TBS記者と並んで“安倍首相の太鼓持ち番記者三羽烏”と呼ばれてきた阿比留瑠比》!(https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/96e66ec161fe92df3e6f2b3126e03280)
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【青木理さん『情報隠蔽国家』…「客観的な事実すら隠蔽し…ねじ曲げて恥じない為政者たちの姿」を報じも… ↑】
1年以上前の記事を二つ。東京新聞の伊東浩一記者による記事【27年前の「横浜事件」映画が続々再上映 「共謀罪」審議の中「歴史の教訓に」】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017051590135422.html)と、
桐山桂一さんのコラム【【私説・論説室から】松川事件を記憶遺産に】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2017061902000139.html)。
『今日の東京新聞』(http://a-tabikarasu.hatenadiary.com/)から、再びすいません、コピペ・マゴビキさせて頂きました。【言わねばならないこと/「戦える国」に変質 斎藤貴男さん】(http://a-tabikarasu.hatenadiary.com/entry/2018/06/15/125008)。
《戦時下の治安維持法による言論弾圧を題材に、27年前に富山県朝日町などで撮影された映画「横浜事件を生きて」が今、各地で上映されている。生き証人として事件を語り続けた元雑誌編集者、木村亨さん(1998年に82歳で死去)を追ったドキュメンタリー。戦争に批判的な言論人らを取り締まるため警察が拷問で事件をつくり上げていく過程が当事者の証言で生々しく再現され、反響を呼んでいる》。
《奪われた自由 戦前想像して…思想信条の自由が奪われた戦前を思い起こしてほしい。無理にでも想像する力を働かせないと、歴史は必ず繰り返される》。
アノ無茶苦茶から、もう1年。
「平成の治安維持法」が、与党自公・癒党お維のオカゲで衆院、そして、参院を突破して1年。森達也さんの《4年間でこの国がどう変わるのか、とてもとても楽しみだ》が思い出される…《ならばこの4年で憲法を変えることが充分に可能に…つまり法案はさくさくとすべて通る》…その通りの酷き状況。
『●「平成の治安維持法」=「テロ対策には
全く役に立たない共謀罪を、誰が何のために作ろうとしている」?』
『●「官憲が内心に踏み込んで処罰して、
人権を著しく侵害した戦前、戦中の治安維持法」が亡霊のように…』
『●「戦前の治安維持法」の亡霊…「共産党幹部の
夫のために家事をしただけで処罰の対象に」という悍ましさ』
『●ソレは既に彼らの手中…「大量監視の始まり。
日本にこれまで存在していなかった監視文化が日常のものに」』
『●「国連とは別の個人の資格」な訳のない
国連特別報告者のアピールを無視?…沖縄でのプレ「治安維持法」』
『●『キネマ旬報』…「戦前・戦中の言論弾圧につながる
治安維持法が成立した大正末期と…現在が似ている」』
『●Leaderでなく、狂気なDictator…
しかも、壊憲に向け、使う話法はドアホウワホウ』
『●森達也さん、「僕はもうあきらめた」
「これから4年間でこの国がどう変わるのか、とてもとても楽しみだ」』
『●「本当の権力の恣意的運用というルビコン川を渡った」自公お維
…「平成の治安維持法」参議院突破』
主犯「A」の好き嫌いで、「こんな人たち」と指差される社会…それでいいの?
東京新聞の記事【「共謀罪」成立1年 「監視社会強化招く」】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201806/CK2018061602000139.html)によると、《自由人権協会代表理事の芹沢斉(ひとし)・青山学院大名誉教授は、一年前に与党が参院法務委員会で採決を省略する異例の手続きで議論を打ち切り、参院本会議で採決を強行したことを振り返り「こんな暴挙をしたのは、近代刑法の原則に違反する悪法だからだ」と指摘。「『犯罪』をかぎつけ、立証するには通信の秘密やプライバシーを侵害する捜査手法が伴う。人権からも大いに問題がある」とも述べ、「皆さんと一緒に廃止に向かっていきたい」と呼び掛けた。…弁護士有志らでつくる「共謀罪対策弁護団」の海渡雄一弁護士は、市民のプライバシー情報が集まるIT企業の警察への情報提供について複数の市民団体でアンケートをとったところ、国内大手八社から回答がなかったことを報告し、情報収集に対する監督機関の必要性を指摘。「市民が自由に発言できるよう改憲をくい止め、共謀罪法、秘密保護法を廃止することが戦争への道を止める」と訴えた》。
『●「平成の治安維持法」…「いつの間にか「こんな人たち」に
くくられる危険性が、この法には色濃く潜む」』
「沖縄タイムスの磯野直記者のコラム【[大弦小弦]具体的な犯罪行為が
なくても…】…《合意という「心の中」を処罰できる「共謀罪」法が11日、
施行された…軍国主義が拡大し、同法は一般人の権力批判と
少数意見も徹底的に弾圧した。何かが劇的に変化したわけではない。
昨日より今日と、なし崩し的に社会の空気を変え、言論の自由を
消滅させた》。…よっぽど後ろめたいのだろう、こんな短期間で
「平成の治安維持法」を施行。じわじわとボディーブロ-のように…
今は何も感じなくても。気づいた時には茹でガエル。いま踏んばらねば」
《毛利正道弁護士…治安維持法の制定時にも、政府や警察は『乱用はしない』と再三説明していた。実際には拡大解釈され、戦争に反対した人たちが摘発された。歴史的教訓としなければならない》。
《戦後最大の冤罪…一審で死刑判決を受けた男性(93)は十年近く拘置所に入れられ男盛りの時代を奪われた。本紙に「『共謀罪』に反対だ。実行行為すらいらず、何にでも適用できる。権力の横暴に歯止めがかからなくなる」と答えていた。冤罪。人間の愚かしさも記憶として後世に伝えねばならない》。
平成の治安維持法と監視・密告社会。冤罪・謀略と国鉄三大謀略「事件が、一九四九年の七月から八月にかけて立て続けに起きた」…。
『●『日本の公安警察』読了(1/2)』
「GHQの策略・謀略。《一九四九年は、いわゆる公安事件が続発した
年だった。下山事件(七月五日)、三鷹事件(七月一五日)、松川事件
(八月一七日)…。いずれをとっても謀略の色が濃く、…
「キャノン機関」が実行に関わったと指摘されるなど、今も多くが
謎に包まれている事件ばかりだ》」
『●国鉄三大謀略「事件が、
一九四九年の七月から八月にかけて立て続けに起きた」』
斎藤貴男さん曰く、《奪われた自由 戦前想像して》と。さらに、《権力が市民を監視し、民主主義の絶対条件である「思想信条の自由」を奪う内容に危機を感じ、廃止を訴え続けてきた。その自由を安倍政権に奪われてしまったことに、改めて怒りと屈辱を感じている…思想信条の自由が奪われた戦前を思い起こしてほしい。無理にでも想像する力を働かせないと、歴史は必ず繰り返される》とも。
是非、斎藤さんの警鐘に耳を傾けてほしい。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017051590135422.html】
27年前の「横浜事件」映画が続々再上映 「共謀罪」審議の中「歴史の教訓に」
2017年5月15日 13時54分
戦時下の治安維持法による言論弾圧を題材に、27年前に富山県朝日町などで撮影された映画「横浜事件を生きて」が今、各地で上映されている。生き証人として事件を語り続けた元雑誌編集者、木村亨さん(1998年に82歳で死去)を追ったドキュメンタリー。戦争に批判的な言論人らを取り締まるため警察が拷問で事件をつくり上げていく過程が当事者の証言で生々しく再現され、反響を呼んでいる。 (伊東浩一)
三月下旬、長野県岡谷市で開かれた上映会。スクリーンの中で、生前の木村さんが問い掛ける。「『おまえたち、ここで殺していいんだぞ。天皇陛下の命令だ』と(警察官が)堂々と言う。まさに殺されそうだった。こんなむちゃくちゃな時代を想像できますか」
雑誌「中央公論」の編集者だった木村さんは四二年、朝日町出身の国際政治学者、細川嘉六らと新潟県境の親不知(おやしらず)海岸を観光し、同町の旅館「紋左(もんざ)」に宿泊。だが、警察はこの集まりを共産党再建を準備する目的だったと決め付けた。治安維持法違反容疑で木村さんら編集者、研究者ら六十人以上を芋づる式に逮捕し、拷問で四人が獄死。木村さんは丸太の上で正座させられ、さらに警察官が膝の上に乗るといった拷問を受け、うその自白をした。
映画製作では、朝日町で木村さんらを接待した芸者、横浜拘置所の看守らにも取材。証拠がない中、事件がつくり上げられた実態を浮き彫りにする。「情けないことに、あの侵略戦争に屈し、拷問に屈したが、もうこれ以上は許せない」。木村さんが再審請求で冤罪(えんざい)を勝ち取ることを誓い、涙ぐむ場面で映画は終わる。
上映会を企画した毛利正道弁護士は「大きな衝撃を受けた。今、政府は共謀罪(組織犯罪処罰法改正案)の成立を目指しているが、治安維持法の制定時にも、政府や警察は『乱用はしない』と再三説明していた。実際には拡大解釈され、戦争に反対した人たちが摘発された。歴史的教訓としなければならない」と語る。
<横浜事件> 1942年、細川嘉六(1888~1962)が雑誌「改造」の掲載論文を「共産党の宣伝」と批判され、警視庁に治安維持法違反容疑で逮捕された。その後、神奈川県警特別高等課(特高)が押収した紋左の写真をもとに、細川らが共産党再建準備会を開いたとして、同容疑などで言論、出版関係者ら60人以上を投獄。拷問で4人獄死、30人余りが起訴される戦時下最大の言論弾圧事件となった。2010年2月、元被告5人の刑事補償を巡る横浜地裁決定は「共産党再建準備会の事実を認定する証拠はない」とし、「実質無罪」と認められた。
(東京新聞)
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2017061902000139.html】
【私説・論説室から】
松川事件を記憶遺産に
2017年6月19日
戦後最大の冤罪(えんざい)は松川事件であろう。一九四九年に福島県内で起きた列車転覆事故である。線路継ぎ目のボルトが緩められレール一本も外され、転覆するように仕組まれていた。機関士ら三人が死亡した。
警察は当時の国鉄の大量人員整理に反対していた労働組合員による犯行だと決め付けていた。芋づる式に組合員らが逮捕された。
一審では被告二十人が全員有罪、うち死刑が五人、五人が無期懲役だった。二審も有罪だったが、最高裁が二審を破棄。差し戻し審で全員が無罪となり、これが確定した。
冤罪であったことが明白となったが、その背景には弁護団の活躍ばかりでなく、作家の広津和郎が「中央公論」で無罪論を書くなど、作家らの支援運動があったことがある。
福島大学には松川事件の資料がある。八八年に開設した松川資料室には十万点にのぼる関係資料を収集・公開している。同大ではこれをユネスコの「世界記憶遺産」への登録を目指している。既に国内委員会に対して登録申請の手続きを済ませた。
一審で死刑判決を受けた男性(93)は十年近く拘置所に入れられ男盛りの時代を奪われた。本紙に「『共謀罪』に反対だ。実行行為すらいらず、何にでも適用できる。権力の横暴に歯止めがかからなくなる」と答えていた。
冤罪。人間の愚かしさも記憶として後世に伝えねばならない。 (桐山桂一)
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【http://a-tabikarasu.hatenadiary.com/entry/2018/06/15/125008】
今日の東京新聞
購読している東京新聞の記事を紹介します。読者の応援ブログです。
2018-06-15
言わねばならないこと110 斎藤貴男さん
言わねばならないこと/「戦える国」に変質 斎藤貴男さん/2面
奪われた自由 戦前想像して
「共課罪」法(改正組織犯罪処罰法)の成立から1年。権力が市民を監視し、民主主義の絶対条件である「思想信条の自由」を奪う内容に危機を感じ、廃止を訴え続けてきた。その自由を安倍政権に奪われてしまったことに、改めて怒りと屈辱を感じている。
共謀罪は、テロの未然防止の名目で一般市民がテロリストか否かを見分けるところから捜査を始める。性悪説に立ち、市民を見張るべき対象に位置づけている。本来、見張るべき対象は権力側ではないのか。
この1年間に財務省の文書改ざんや自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)などの問題が次々と明らかになった。権力こそ暴走したら恐ろしい。「権力は判断を誤らない」という考えはもはや信用できない。
こういう話をすると「被害者意識ばかり膨らませている」と批判を受ける。確かに共謀罪の疑いで逮捕された人はまだいない。でもそれは、単に権力が逮捕しなかったということにすぎない。恣意(しい)的な判断で逮捕できるという現状は変わらず、むしろ社会は監視の度合いを強める方向に向かっている。
共謀罪法が成立した前年には通信傍受法が改正され、警察が会話を盗聴できる対象犯罪が広がった。今月から他人の罪を密告すれば自分の罪を軽くできる司法取引制度も始まっている。
全ての動きは連動している。この国の「自由度」は極端に狭まっている。
気掛かりなのは、社会が現状に無関心であるように感じられること。戦争がない状態が当たり前の時代に育った人が大半を占めているから仕方ないかもしれない。だが、思想信条の自由が奪われた戦前を思い起こしてほしい。無理にでも想像する力を働かせないと、歴史は必ず繰り返される。
さいとう・たかお/フリージャーナリスト 1958年、東京生まれ。早稲田大卒。日本工業新聞、週刊文春などの記者を経てフリーに。2013年から放送倫理・番組向上機構(BPO)放送倫理検証委員会委員。主な著書に「戦争経済大国」など。
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[※ 東京「ト」迷惑防止条例壊悪案 (『サンデーモーニング』2018年3月25日)↑]
東京新聞の社説【放送法改正論 テレビへの政治介入だ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018040302000163.html)と、
同紙の村上一樹記者による記事【放送法4条 「政治的公平」撤廃焦点】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201804/CK2018040402000137.html)。
《政治的公平などを定めた四条を撤廃するという。政権に親和的な番組が増えるという狙いが透けて見える気がする…四条の規律を撤廃することは、自由の拡大ではなく、自由縮小につながる恐れがある…国民の信頼が薄れることは放送の自由の縮小である》。
簡単に言えば、こんな番組だらけにするつもり。
『●「アベ様広報」…安田浩一さん「現地の人に話を聞く、
裏取りするという取材の基本ができていない…デマ」』
「沖縄タイムスの記事【津田大介さん・安田浩一さん、「ニュース女子」
問題でMXテレビ出演辞退】…《津田大介さんと安田浩一さんが
18日までに同局が放送する別のニュース番組への出演を辞退した。
「取材がずさんで事実でない」「報道に値しない」と2日の番組を批判している》」
『●東京MXテレビ「沖縄デマ」宣伝…
「目的がデマの拡散による沖縄の反基地運動への不信あおりにあった」』
「【海鳴りの島から 沖縄・ヤンバルより… 目取真俊/東京MXテレビ
「ニュース女子」の虚偽報道に対する抗議の記者会見。】…
《殴られた女性はカヌーメンバーでもあるので、二日後に怪我の様子を見た。
顔に青黒いあざができて痛ましかった。番組の視聴者の大半は
そういうことを知らないだろう。「反対派の暴力」などとよく番組で扱えたものだ。
こういうメンバーをそろえること自体、番組の目的がデマの拡散による
沖縄の反基地運動への不信あおりにあったことを示している》」
『●確信犯…「ジャーナリストが極右的言動で
活躍しはじめたことのほうが、より事態の深刻さを物語っている」』
政治介入を排除し、放送や報道の自由を守るための放送法、その第「四条の規律を撤廃することは、自由の拡大ではなく、自由縮小」…報道へのアベ様の不当な政治介入など、許されるはずがない。
《政府の規制改革推進会議》…って、一体どこが「規制改革」なのか? コンナ番組を野放しにするつもり? そのための規制破壊である。アベ様らやその支持者の皆さんは、彼らの大好きなアメリカのテレビで起こってきたことを再現したいのだろうか? もしこの「規制改革」がニッポンのテレビで行われれば、アメリカの比ではない惨事が起こることは目に見えている。
《政府の規制改革推進会議は四日のワーキンググループ(WG)で、放送制度改革について有識者らによる議論を続ける。注目されるのは、放送局に政治的公平などを義務付けた放送法四条の存廃。政府の方針案は撤廃を打ち出しているが、放送界や専門家は、偏向報道の増加や、党派色の強い局の登場を懸念する声が強い…主導しているのは安倍晋三首相だ。首相は今年二月に開かれた政府の未来投資会議で「通信と放送の垣根がなくなる中で、放送事業のあり方の大胆な見直しも必要だ」と明言。この直後の規制改革推進会議WGから、放送を巡る規制改革の議論がスタートした。今回の方針案も、政権に批判的な報道への不満や、持論を展開しやすいネット番組への期待があるとの見方が強い》。
眩暈がしそう。なんのための放送法か理解していない惨状。与党自公議員や癒党議員が、立憲主義を理解していないのと相似形。
それにしても「規制改革推進会議」とか、「未来投資会議」とか…、アベ様の意向を直接・間接に忖度し、「悪夢」を実現すつための組織を乱立?
マガジン9に必見の記事があります。
【立憲政治の道しるべ/第130回:何が目的? 放送法の改正(南部義典)】(http://maga9.jp/180404-2/)によると、《野田総務大臣は、3月20日の記者会見で放送法4条の削除に関する認識を問われて…と素っ気ない答えを返すだけでした。言葉のニュアンスとしては、不快感が若干混じっていて、苦虫を嚙み潰しているような印象を受けます。一体、どういうことでしょうか。総務省が進めるつもりのない政策を、首相官邸が横やりを入れて、あえて進めようとする背景には、よからぬ意図が隠されているのではないかと疑わざるを得ません》。
この記事の中に、第4条についてありの説明があります:
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【http://maga9.jp/180404-2/】
…削除されるといわれている、放送法4条とは、次のような規定です(3条も合わせてご覧ください)。
放送法
第3条(放送番組編集の自由)
放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。
第4条(国内放送等の放送番組の編集等)
1 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにする
こと。
2 (略)
放送法4条1項は、1号から4号まで、番組を編成する上でのルールを定めています。「番組編成準則」ともいわれます。…
…高市答弁は当時、放送事業者の一つの番組だけに焦点を当てて政治的公平性(放送法4条1項2号)を欠いたと判断する可能性を示唆し、さらに「停波」という単語を躊躇なく出したことから、報道機関の萎縮をもたらすと批判が拡がりました。…話を元に戻しますが、政府はつい2年前、放送法4条の解釈(とくに1項2号の「政治的公平」)を補充したばかりなのに、なぜ今になって、本条の「削除」を持ち出す展開になっているのか、まったく整合性がないと指摘しなければなりません。
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散々高市早苗元総務相により、放送法の「ト」な解釈を振り回し、放送法の名の下に散々、テレビや報道を恐喝しておきながら、今さら、アベ様らは第4条を削除したいそうだ。目的がアザト過ぎていて、恐ろし過ぎる。ファシストらによる壊憲や国民投票への布石でもある。
『●「公平にしないと国民投票は成り立たないもの」…
「公平・公正」、自公お維キトに最もほど遠い言葉』
『●「2大ファシスト」「独裁者」のための憲法違反の「ト」な
「デモ封じ条例」=東京都迷惑防止条例壊悪案』
『●ニッポンは民主主義国家? 《明白な事実や数字を権力者が
都合のいいように変え、信じ込ませようと》…』
《ジョージ・オーウェル 『1984年』だ。これは1949年に出版された
近未来小説で、高度な全体主義が張り巡らされたディストピア
(反ユートピア)がテーマとなっている》
《ジョージ・オーウェルの『一九八四年』…「“もう一つの事実”を示したのだ」
▼明白な事実や数字を権力者が都合のいいように変え、
信じ込ませようとする。それこそオーウェルが描いた世界ではないか》
最後に、日刊ゲンダイのコラム【斎藤貴男 二極化・格差社会の真相/放送法4条撤廃問題 テレビが“総安倍チャンネル化”の懸念】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/225898)には、《放送界もなめられたものである。政府が「政治的公平」や「事実の報道」などを求めた放送法第4条の撤廃を検討している問題のことだ。最近の報道で概要がわかってきた。内部文書「放送事業の大胆な見直しに向けた改革方針」が明記している由。規制の少ない通信と放送…》。
斎藤貴男さんに言わせれば《総安倍チャンネル化》だそうだ。世も末だ。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018040302000163.html】
【社説】
放送法改正論 テレビへの政治介入だ
2018年4月3日
政府が考える放送法改正論の本質は、テレビへの政治介入ではないだろうか。政治的公平などを定めた四条を撤廃するという。政権に親和的な番組が増えるという狙いが透けて見える気がする。
放送法ができた時代を振り返ってみたい。制定されたのは一九五〇年。戦争中にラジオが政府の宣伝に利用された反省に立って、放送の自律を保障しつつ、公共の福祉に適合するよう求める法律だ。
重要なポイントは「放送の自由」と「放送の公共性」であろう。確かに問題の四条は(1)公序良俗を害しない(2)政治的に公平である(3)報道は事実をまげない(4)意見が対立する問題は多角的に論点を明らかにする-ことを放送局に求めている。
これらの条文は、放送を規制するためと理解するよりも、放送の自由を守るためのものであると考えるべきである。なぜなら、どの規定を破っても、放送は信頼を失い、放送の自由は自壊してしまうからである。放送法は自らの自由を守るための法律なのだ。
だから、四条の規律を撤廃することは、自由の拡大ではなく、自由縮小につながる恐れがある。わかりやすく言えば、四条がなくなれば、間違ったニュースが放送されても構わない、公序良俗に反しても構わない、政治的に中立でなくても構わない-そんな報道が増加することが十分考えられるのだ。国民の信頼が薄れることは放送の自由の縮小である。
うそのニュース、いわゆるフェイクニュースがテレビであふれても構わないと政府は考えているのだろうか。裏付け取材をせずに沖縄の反基地運動を侮蔑的に放送した東京MXテレビの「ニュース女子」が、第三者機関の放送倫理・番組向上機構(BPO)から、放送倫理違反や人権侵害を問われた。つまりはこのような番組が野放しになりうるのだ。
事実と異なる言説を流す番組-まさか政府がそれを欲しまい。だが政府に都合のよい番組を流してほしいという下心はあろう。もともと安倍晋三内閣は「政治的中立性」を振りかざし放送局に圧力をかけてきた。今度はその言葉を取り払うという。政権に都合がいい見通しがあるからに違いない。
でも、忘れていないか。放送法の第一条の目的は「健全な民主主義の発達」である。真実のニュースを国民が知らないと、正しい意見を持てず、真の民主主義も発達しないのだ。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201804/CK2018040402000137.html】
放送法4条 「政治的公平」撤廃焦点
2018年4月4日 朝刊
政府の規制改革推進会議は四日のワーキンググループ(WG)で、放送制度改革について有識者らによる議論を続ける。注目されるのは、放送局に政治的公平などを義務付けた放送法四条の存廃。政府の方針案は撤廃を打ち出しているが、放送界や専門家は、偏向報道の増加や、党派色の強い局の登場を懸念する声が強い。
方針案は四条撤廃に加え民間放送とインターネット通信で異なる規制・制度の一本化、番組などのソフト部門と放送設備などのハード部門の分離徹底が柱。
主導しているのは安倍晋三首相だ。首相は今年二月に開かれた政府の未来投資会議で「通信と放送の垣根がなくなる中で、放送事業のあり方の大胆な見直しも必要だ」と明言。この直後の規制改革推進会議WGから、放送を巡る規制改革の議論がスタートした。
今回の方針案も、政権に批判的な報道への不満や、持論を展開しやすいネット番組への期待があるとの見方が強い。首相は二〇一四年十二月の衆院選前、TBS番組に出演し、政権に厳しい声が相次ぐ街頭インタビュー映像に「(一般の)声が反映されていない」と反発したことがある。
一五年四月には自民党が、官邸批判をしたテレビ朝日関係者らを党会合に呼び、「政権からの圧力」と批判を受けた。このとき根拠にしたのが「報道は事実をまげない」などとした放送法四条。これを含めて、四条は、政治家が放送業界に圧力をかける際に乱用されることがあった。
しかし、放送法に詳しい上智大の音好宏(おとよしひろ)教授(メディア論)は「四条を撤廃して自由にすることで多様な言論を担保できるかと言えば、『悪貨が良貨を駆逐する』危険性がある」と警鐘を鳴らす。テレビ放送などに政治的な公正・中立を求める「フェアネス・ドクトリン(公平原則)」が一九八七年に廃止された米国に関して「右派のニュースが非常に増え(社会の)分断が進んだ」とも分析する。
野田聖子総務相は三月二十二日の衆院総務委員会で、四条が撤廃された場合「公序良俗を害する番組や事実に基づかない報道が増加する可能性がある」と懸念。自民党の岸田文雄政調会長も「慎重に取り組むべきだ」とブレーキをかける。
民放在京キー局五社の経営トップは、それぞれ反対を表明。民放出身の杉尾秀哉参院議員(民進)は「四条は放送局にとって政治や公権力の介入を許す口実にもなりうるが、介入から放送の自立性を守る盾にもなる」と指摘している。 (村上一樹)
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[※ 自公選挙公約「子育て…」小躍りするアベ様…日刊ゲンダイ(2017年12月19日)↑]
【社説[第二小へ誹謗中傷]心ない行為 看過できぬ】の記事(http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/185400)。
《同小や宜野湾市教育委員会に対し誹謗中傷の電話が相次いでいる。「やらせだろう」「基地のそばに造ったのはあんたたち」などといった内容である。落下事故が児童や学校に与えたショックは計り知れず、「怖い」と訴えて欠席する児童が出る中、児童や職員の心をさらに深く傷つける暴言を許すことはできない。電話の内容は事実と違うものである…思い出すのは2015年、自民党の若手国会議員らが招いた有名作家の発言である。普天間飛行場は「もともと田んぼの中にあり、周りには何もなかった」などと語った。普天間飛行場の建設場所は戦前、役場や国民学校があり、生活の中心地だった。住民が収容所に入れられている間に米軍が土地を占領して建設したというのが事実だ》
『●普天間米軍のCH53E大型輸送ヘリの窓落下…
「子どもを園庭で遊ばせたい」「当然の日常がほしいだけ」』
『●(コラム【金口木舌】)「沖縄版「今年の漢字」」は『落』…
「いずれの「落」も県民の命に関わる」、抜本策は「撤兵」』
《日米共犯》「在日米軍特権」…無責任で当事者意識・自覚無き差別者・ヘイト者…「本土」のオトナ達の態度・人間性・思考の何というお粗末さ。
『●百田尚樹氏、沖縄の地で「デマを並べ、
沖縄への米軍基地集中を正当化」…態度・人間性・思考のお粗末さ』
『●「第二の加害者」として「悪質なデマ」
「事実関係を無視した沖縄攻撃」「蔑視・差別」、沖縄イジメに加担』
《安田が本書の取材を始めたきっかけは、昨年6月に自民党の
「文化芸術懇話会」で作家の百田尚樹が発した
「沖縄の2紙はつぶさなあかん」発言だった。本書は、百田と
出席議員の発言内容を詳細に書き起こし、反証するところから
始まる。たとえば、百田のこの発言だ。
「もともと普天間基地は田んぼの中にあった。周りに何もない。
基地の周りが商売になるということで、みんな住みだし、
いまや街の真ん中に基地がある。騒音がうるさいのはわかるが、
そこを選んで住んだのは誰やと言いたくなる」
安田は、地元の古老の証言や郷土史誌の記述から、
この百田発言が全くの事実無根であることを示す。》
《安田はこうして記者たちを訪ね、資料を掘り起こしながら、さまざまな
「嫌沖」の俗説・風説を覆す証言や記録を拾っていく。
「沖縄経済は基地依存」という神話。
「米兵よりも沖縄人のレイプ犯罪率の方が高い」という中傷。
「沖縄の新聞は基地のことばかり書いている」という
全国メディアからの揶揄。
「沖縄の新聞が反基地・政府批判を扇動している」という誤解……。》
琉球新報のコラム【<金口木舌>「自作自演」は誰か】(https://ryukyushimpo.jp/column/entry-634705.html)によると、《自国民より米軍を信じているのか。米軍ヘリの部品が見つかった緑ヶ丘保育園に「自作自演だろう」などと誹謗(ひぼう)中傷する電話やメールが相次いでいることが、東京でも話題になっている…▼満員電車で足を踏まれ「痛いからどけて」と言ったら「その表現では心に響かない」と注意されたような気分になる。負担の大半を沖縄に押し付けている責任への自覚がない ▼「差別」などの沖縄の叫びになぜ「引く」のか、自身の問題として考えてほしい。表現の変更を促すのは、当事者意識を欠く証拠。叫びが届かないのは、一義的には本土側の問題だ》。
また、【[大弦小弦]休み時間を知らせるチャイム。体育館から響く元気な声。お昼の校内放送で…】(http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/185399)でも、《▼地上で子どもたちを見守り続ける地域の目。頭上の「凶器」からどう守ればいいのか。呉屋さんと伊佐さんは言う。「日本政府がしっかりしないと。米軍のいいなりでしょ」 ▼子どもたちの日常にある「異常」を放置しているのはだれなのか。子どもたちが運動場で遊べない原因をつくっているのはだれなのか。子どもたちを見守る目は、米軍の口約束とそれを容認している日本政府を鋭く見つめる》。
《日米共犯》「在日米軍特権」…《子どもたちの日常にある「異常」を放置しているのはだれなのか。子どもたちが運動場で遊べない原因をつくっているのはだれなのか。…米軍の口約束とそれを容認している日本政府》…情けない。「愛国者」の皆さんはなぜダンマリなのか?
琉球新報の【<社説>米軍ヘリ飛行再開 「普天間」閉鎖しかない】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-634045.html)によると、《問題は深刻である。「人的ミス」を起こさない安全管理策が機能していないのではないか。繰り返される事故を見れば再発防止は無理だ。危険を除去するためには普天間飛行場の閉鎖しかない…対米追従の政府の説明はもはや信頼できない》。
《普天間飛行場の閉鎖しかない》、大賛成。それしかない。森を殺し、海を殺す《辺野古が唯一の解決策》などという《日部共犯》に騙されることなく、「普天間」を閉鎖し、番犬様には本国へお引き取りを願いたい。
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【http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/185400】
社説[第二小へ誹謗中傷]心ない行為 看過できぬ
2017年12月20日 06:45 ネットのうわさ・デマ 米軍部品落下
米軍普天間飛行場所属のCH53E大型輸送ヘリが普天間第二小学校の運動場に窓を落下させた事故で、同小や宜野湾市教育委員会に対し誹謗(ひぼう)中傷の電話が相次いでいる。
「やらせだろう」「基地のそばに造ったのはあんたたち」などといった内容である。
落下事故が児童や学校に与えたショックは計り知れず、「怖い」と訴えて欠席する児童が出る中、児童や職員の心をさらに深く傷つける暴言を許すことはできない。
電話の内容は事実と違うものである。
窓が回転しながら運動場に落ちていく様子を複数のテレビ局のカメラが捉えている。にもかかわらず、このような電話をかけてくるのは悪意に満ちた行為というほかない。
第二小は普天間小の過密化を解消するため1970年、一部校舎が現在地に完成。敷地が文部省(当時)基準に合わず騒音も悪化したため移転を計画した。米軍が敷地を同飛行場として提供する条件を付けたことや、移転先の学校用地費が2倍以上に急騰、国の補助も認められず断念せざるを得なかった経緯がある。
思い出すのは2015年、自民党の若手国会議員らが招いた有名作家の発言である。普天間飛行場は「もともと田んぼの中にあり、周りには何もなかった」などと語った。
普天間飛行場の建設場所は戦前、役場や国民学校があり、生活の中心地だった。住民が収容所に入れられている間に米軍が土地を占領して建設したというのが事実だ。
誹謗中傷はCH53Eヘリの部品が屋根に落下したとみられる緑ヶ丘保育園にも向けられており、深刻な事態だ。
■ ■
事実かどうかは二の次。弱い立場の者を「敵」に仕立てて暴言を吐く。基地に反対する沖縄の人たちを一方的にたたき、留飲を下げる。
基地問題でヘイトスピーチ(憎悪表現)まがいの言説があからさまに表面化したのは13年1月。全市町村長らがオスプレイ配備の撤回などを求め、東京・銀座でデモ行進した。沿道から浴びせられたのは「売国奴」「中国のスパイ」などの罵声だった。
高江のヘリパッド建設で抗議する人が「日当をもらっている」などと、根拠のない番組を放送した東京MXテレビが放送倫理・番組向上機構(BPO)から「重大な倫理違反」を指摘されたばかりだ。
基地を巡る言論空間のゆがみと同時に、沖縄への蔑視や偏見を受け入れる素地に愕然(がくぜん)とする。
■ ■
米軍は事故を起こした同型のCH53Eヘリの飛行を再開した。「学校の上空の飛行を最大限可能な限り避ける」とするが、実効性を担保するものは何もない。喜屋武悦子校長は「子どもの命を預かる校長として『飛ばない』という回答をいただきたい」と当然の要求をしたが、日米とも応えることはなかった。
児童の安心・安全が何より最優先されなければならない。このためには普天間飛行場の運用停止こそが先決だ。
いわれなき誹謗中傷は精神的負担が大きいに違いないが、職員らはひるまず事実を示し毅然(きぜん)と対応してほしい。
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琉球新報のコラム【<金口木舌>沈黙が訴える力】(http://ryukyushimpo.jp/column/entry-437487.html)。
東京新聞について非常な「危機」を感じさせる…アサヒコムの記事【東京新聞「深く反省」 副主幹司会「ニュース女子」問題】(http://www.asahi.com/articles/ASK222GSQK22UTIL002.html?iref=comtop_8_01)と、
東京新聞の【「ニュース女子」問題 深く反省 沖縄報道 本紙の姿勢は変わらず】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201702/CK2017020202000241.html)。
《ヘイトスピーチは単なる「憎悪表現」ではない。人を深く傷つける攻撃であり暴力だ。その罪深さは計り知れない。今や排外主義は世界的に広がり、社会の病となっている。絶対に放置してはならない》。
《沖縄の基地反対運動を伝えた際に人種差別的な発言があったなど批判の声が上がっている東京メトロポリタンテレビジョン(MXテレビ)の番組に、東京新聞(中日新聞東京本社)論説副主幹の長谷川幸洋氏が出演していたことについて、東京新聞は2日付朝刊1面に「深く反省」とする記事を掲載した》。
《本紙の長谷川幸洋論説副主幹が司会の東京MXテレビ「ニュース女子」一月二日放送分で、その内容が本紙のこれまでの報道姿勢および社説の主張と異なることはまず明言しておかなくてはなりません》。
『●斎藤貴男さん「人権を否定することに喜びを感じている変質者集団」
…「人権の砦」のはずが最「低」裁…』
斎藤貴男さん「人権を否定することに喜びを感じている変質者集団」…「本土」政治家や「本土」マスコミの歪みは「本土」社会の歪みを示す。子どもの貧困問題、障がい者大量殺人事件…デンデン王国「社会の病」。
『●「容疑者の“弱者を排除すべし”という主張は
現在の日本社会において決して特殊なものではない」』
『●アベ様参院選公約「子育て…」: 「3歳児、おなかすいて盗んだ」
…アベ様のニッポン、病んでいないか?』
『●差別主義者を東京「ト」知事にできる、
そんなニッポンの社会そのものが歪んでいる』
『●2016年報道の自由度ランキング72位:
「メディアは二流ならば社会も二流」、アベ政治も…粗悪』
《森達也監督…政治が一流だけど、メディアは三流なんて国はありません。
メディアは二流ならば社会も二流なんです。相互作用ですから。
「国境なき記者団」が発表する「報道の自由度ランキング」でも、
上位に位置するノルウェーやデンマーク、スウェーデンは、僕から見れば
確かに政治も一流だし、社会も成熟していると感じます。
2010年に自由度11位だった日本のメディアが、2016年には72位にまで
下落しました。ならばメディアだけではなくて政治も国民も、同じように下落した
ということです。今のこの国のレベルは途上国以下》
『●政治家の浅ましさ、政治の貧困:
「あたかも完璧な貧困者でないと許さないかのような社会」は病んでいる』
沖縄差別・沖縄イジメの番組に加担した長谷川幸洋氏、何の疑問も感じなかったのだろうか? 東京新聞の大変な「危機」にならなければいいのですけれど…。
リテラに【東京新聞は謝罪も本人は…『ニュース女子』司会・長谷川幸洋の正体! 安倍政権との癒着関係、なぜ論説副主幹に】(http://lite-ra.com/2017/02/post-2891.html)という気になる記事が。《確信犯…ジャーナリストが極右的言動で活躍しはじめたことのほうが、より事態の深刻さを物語っている》…デンデン王国のジャーナリズムの大変な「危機」かもしれない。
《東京新聞のスタンスと今回の長谷川氏の行動の乖離を考えると、こうした対応は当然ともいえる。東京新聞といえば、萎縮しきったメディア状況のなかで、果敢に政権批判を行い、原発や安保法制、TPP、そして沖縄の基地問題についても“市民目線”の報道姿勢を続ける数少ない新聞社。2016年にプレジデント社が調査した外国人記者による「日本のマスコミ信頼度ランキング」では2位に大差をつけてトップの評価を得たメディアでもある。ところが、その新聞社の論説副主幹という肩書きをもつ長谷川氏がDHCという極右番組で司会を務め、沖縄ヘイトデマを拡散するフェイクニュースのお先棒を担いでいたのだ。しかも、長谷川氏はたんに司会を務めていただけでなく、問題の1月2日の放送中には、軍事ジャーナリストの井上和彦氏のデタラメな沖縄取材やその解説に、うなずいたり、嬉しそうに同意し、また、沖縄地元紙を揶揄するような発言も行っていた…「長谷川氏は謝罪を拒否しているようです。おそらく、制作したDHCシアターと同じで『正当な報道』だと考えているんじゃないでしょうか。それで、東京新聞も長谷川氏抜きで、謝罪記事を出さざるをえなかったんでしょう」(前出・東京新聞関係者) つまり長谷川氏の沖縄ヘイトは確信犯ということなのだろう…実はあの戦争の前も、最初は軍の強制でなく、新聞社や評論家たちが商売のために積極的に軍国主義的的主張を口にし始め、狂気の下地をつくっていったという史実がある。そういう意味では、ネトウヨや日本会議の跋扈などよりも、長谷川氏のようなジャーナリストが極右的言動で活躍しはじめたことのほうが、より事態の深刻さを物語っているということなのかもしれない》。
『●沖縄平和運動センターの山城博治さん…
イジメ・見せしめな「反対運動つぶし」「国策捜査」「狙い撃ち」』
『●「国際人権法」違反: 山城博治さん長期「拉致」という
「独裁的な国家が反対派を黙らせる常とう手段」』
『●「アベ様広報」…安田浩一さん「現地の人に話を聞く、
裏取りするという取材の基本ができていない…デマ」』
『●東京MXテレビ「沖縄デマ」宣伝…
「目的がデマの拡散による沖縄の反基地運動への不信あおりにあった」』
『●山城博治さん長期「拉致」…「通常なら身柄拘束の
の必要がない事案。恣意的、差別的な対応だ」』
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【http://ryukyushimpo.jp/column/entry-437487.html】
<金口木舌>沈黙が訴える力
2017年2月2日 06:00
米軍北部訓練場のヘリパッド建設に抗議する女子学生と若い機動隊員が、じっと見詰め合う。歌手・七尾旅人さんの「兵士Aくんの歌」が流れる。「1人目の彼はどんな人だろう」
▼三上智恵監督のドキュメンタリー映画最新作「標的の島 風(かじ)かたか」の最後の場面だ。「高江の機動隊員は戦場に行きなさいと命令されたら、真っ先に行かされるような存在だ」。三上監督は機動隊員も国策の犠牲者という視点を織り込みたかったと言う
▼若い男女は何を思っていたのだろうか。このシーンの訴える力は沈黙にある。見る側の想像をかき立て、心を大きく揺さぶる
▼東京MXテレビが放送した番組内容は今まで受けてきた差別とどう受け止めが違うか-。反差別活動団体「のりこえねっと」共同代表の辛淑玉(シンスゴ)さん=在日3世=は記者会見でそう質問され、約40秒沈黙した
▼胸の内の苦しみが痛いほど伝わってきた。番組は、ヘリパッド建設に反対する市民をテロリストに例え、辛さんを「黒幕」と報じた。これまでもネットなどで中傷を受けてきた辛さんは「公共の電波を使った放送だけに許せない」と声を震わせた
▼ヘイトスピーチは単なる「憎悪表現」ではない。人を深く傷つける攻撃であり暴力だ。その罪深さは計り知れない。今や排外主義は世界的に広がり、社会の病となっている。絶対に放置してはならない。
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【http://www.asahi.com/articles/ASK222GSQK22UTIL002.html?iref=comtop_8_01】
東京新聞「深く反省」 副主幹司会「ニュース女子」問題
2017年2月2日11時09分
(東京メトロポリタンテレビジョン(MXテレビ)が放送した
番組「ニュース女子」について、東京新聞としての見解を
伝える2月2日付の同紙朝刊)
沖縄の基地反対運動を伝えた際に人種差別的な発言があったなど批判の声が上がっている東京メトロポリタンテレビジョン(MXテレビ)の番組に、東京新聞(中日新聞東京本社)論説副主幹の長谷川幸洋氏が出演していたことについて、東京新聞は2日付朝刊1面に「深く反省」とする記事を掲載した。中日新聞も同日付社会面で同内容の記事を載せた。
記事は深田実論説主幹名で、番組の内容について「本紙のこれまでの報道姿勢および社説の主張と異なることはまず明言しておかなくてはなりません」「事実に基づかない論評が含まれており到底同意できるものでもありません」と説明。「他メディアで起きたことではあっても責任と反省を深く感じています。とりわけ副主幹が出演していたことについては重く受け止め、対処します」「読者の方々には心配をおかけし、おわびします」としている。同紙には250件を超える批判や、見解を求める声が寄せられたという。
問題になっているのは、1月2日放送の「ニュース女子」。反対運動を「テロリストみたい」などと表現し、長谷川氏は司会を務めていた。東京新聞はこれまで、番組の問題点を何度も報じてきたが、長谷川氏については触れていなかった。番組内で「反対派の黒幕」などと名指しされた人権団体の共同代表・辛淑玉(シンスゴ)さんは先月27日、放送倫理・番組向上機構(BPO)放送人権委員会に人権侵害の申し立てをしている。
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201702/CK2017020202000241.html】
「ニュース女子」問題 深く反省 沖縄報道 本紙の姿勢は変わらず
2017年2月2日 朝刊
本紙の長谷川幸洋論説副主幹が司会の東京MXテレビ「ニュース女子」一月二日放送分で、その内容が本紙のこれまでの報道姿勢および社説の主張と異なることはまず明言しておかなくてはなりません。
加えて、事実に基づかない論評が含まれており到底同意できるものでもありません。
残念なのは、そのことが偏見を助長して沖縄の人々の心情、立場をより深く傷つけ、また基地問題が歪(ゆが)めて伝えられ皆で真摯(しんし)に議論する機会が失われかねないということでもあります。
他メディアで起きたことではあっても責任と反省を深く感じています。とりわけ副主幹が出演していたことについては重く受け止め、対処します。
多くの叱咤(しった)の手紙を受け取りました。
「一月三日の論説特集で主幹は『権力に厳しく人に優しく』と言っていたのにそれはどうした」という意見がありました。
それはもちろん変わっていません。
読者の方々には心配をおかけし、おわびします。
本紙の沖縄問題に対する姿勢に変わりはありません。 (論説主幹・深田実)
◆「ニュース女子」問題とは
東京MXテレビは1月2日放送の番組「ニュース女子」で冒頭約20分間、沖縄県東村(ひがしそん)高江の米軍ヘリコプター離着陸帯建設への反対運動を取り上げた。本紙の長谷川幸洋論説副主幹が司会を務めた。
「現地報告」とするVTRを流し、反対派を「テロリストみたい」「雇われている」などと表現。反ヘイトスピーチ団体「のりこえねっと」と辛淑玉(シンスゴ)共同代表(58)を名指しし「反対派は日当をもらってる!?」「反対運動を扇動する黒幕の正体は?」などのテロップを流した。辛さんは取材を受けておらず、報告した軍事ジャーナリストは高江の建設現場に行っていなかった。
MXは「議論の一環として放送した」とし、番組を制作したDHCシアターは「言論活動を一方的に『デマ』『ヘイト』と断定することは言論弾圧」としている。辛さんは名誉を侵害されたとして、1月27日、放送倫理・番組向上機構(BPO)放送人権委員会に申し立てた。
のりこえねっとは沖縄の現場から発信してもらう「市民特派員」を募集、カンパで捻出した資金を元手に、本土から沖縄までの交通費として5万円を支給。昨年9月から12月までに16人を派遣した。
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アサヒコムの田玉恵美記者による記事【「沖縄ヘイト」批判、MX幹部「チェック甘かった」】(http://www.asahi.com/articles/ASK1V5T0ZK1VUTIL04J.html?iref=comtop_8_01)。
《「DHCシアター」…サイト上で浜田麻記子社長と番組チーフプロデューサー名義の見解を公表…「犯罪や不法行為を行っている集団を内包し、容認している基地反対派の言い分を聞く必要はないと考えます」》。
《犯罪や不法行為を行っている集団》ってすごい言い草、しかも、取材もせずに「内包」って、正気ですか? 東京MXテレビ「沖縄デマ」番組事件について、想像を超えた番組制作会社の対応、そのあまりの酷さに驚く。《メディアの言論活動を封殺》《ある種の言論弾圧》って、よく言えたものだ。アベ様「広報」もココまで来た。
『●「戦争のためにカメラを回しません。
戦争のためにペンを持ちません。戦争のために輪転機を回しません」』
《彼女は3日、高江の抗議行動の現場でスピーチを行なった。
沖縄マスコミ労協の副議長としてとはいえ、テレビ記者として
異例のことだ。心ある人は既存メディアにも、大矢さんをはじめ、
ちゃんといる。しかし、それが組織に絡め取られると重要な場面を
オンエアできなかったりする。メディアもそうして分断されているのだ。
金平さんのもどかしさは十分に伝わった。
まさに、そのもどかしさを少しでも埋めようと、この集会では
高江への「市民特派員」を送ることが、のりこえねっと共同代表の
辛淑玉さんから提案された。往復の飛行機代を支給する代わりに、
高江で何が起きているかをSNSやツイキャスで発信し、さらに
1000字程度の報告を課す「市民特派員」を募集しようというものだ。
警察と自衛隊の暴力が罷り通る高江において、
その現状を見る「目」は、その暴力を少しでも和らげることになる
のではないだろうか。実際に動ける人は現地へ、行けないが
お金に余裕のある人はカンパへ。物心両面での皆さんの支援を、
心からお願いしたい》
『●沖縄平和運動センターの山城博治さん…
イジメ・見せしめな「反対運動つぶし」「国策捜査」「狙い撃ち」』
「沖縄タイムスの【社説[「沖縄ヘイト」番組]真偽不明 悪意むき出し】
(http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/79474)によると、《東京MXテレビが
2日に放送した報道バラエティー番組「ニュース女子」で、
高江ヘリパッド建設問題を取り上げた。反対する人たちの声は
1人も流されないまま「カメラを向けると襲撃に来る」「テロリストみたい」
などと表現。「反対派の中には韓国人はいるわ、中国人はいるわ」
と人種差別につながる発言があった》」
「琉球新報の【<社説>ヘイト番組放送 沖縄への偏見拡大恐れる】
(http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-426400.html)には、《沖縄に対する
許し難い誹謗(ひぼう)中傷だ。公共の電波を使った沖縄に対する
ヘイトスピーチ(憎悪表現)と断ずるしかない。なぜこのような番組を
制作し、放送したのか明確に説明すべきだ。東京のローカル局・
東京メトロポリタンテレビジョン(東京MX)が、米軍北部訓練場の
ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設に反対する市民をテロリストに
例えるような内容の番組を放送した》」
『●「国際人権法」違反: 山城博治さん長期「拉致」という
「独裁的な国家が反対派を黙らせる常とう手段」』
「またしても、「恥」を世界に発信・拡散。世界の心ある人々から、
蔑みの目で見られるわけです。
それにしても、「本土」マスコミの静かなことよ。それどころか、
東京MXテレビ「ニュース女子」問題なんてのも起こる始末」
『●「アベ様広報」…安田浩一さん「現地の人に話を聞く、
裏取りするという取材の基本ができていない…デマ」』
《津田大介さんと安田浩一さんが18日までに同局が放送する
別のニュース番組への出演を辞退した。
「取材がずさんで事実でない」「報道に値しない」と2日の番組を
批判している》
==================================================================================
【http://www.asahi.com/articles/ASK1V5T0ZK1VUTIL04J.html?iref=comtop_8_01】
「沖縄ヘイト」批判、MX幹部「チェック甘かった」
田玉恵美2017年1月27日23時14分
(1月2日放送の「ニュース女子」から)
沖縄の米軍基地反対運動を取り上げた東京メトロポリタンテレビジョン(MXテレビ)の番組が、波紋を広げている。人種差別的な発言や歪曲(わいきょく)があったとする批判に対し、制作会社が問題はないとの見解を公表。一方で、番組の内容を問題視して放送を取りやめた地方局もある。MXテレビ幹部は、チェックが不十分だったと認めた。
問題になっている番組「ニュース女子」を制作したのは化粧品大手ディーエイチシーの子会社「DHCシアター」。同社は20日、サイト上で浜田麻記子社長と番組チーフプロデューサー名義の見解を公表した。
基地に反対する人たちへの取材をしていないと批判されていることについては「犯罪や不法行為を行っている集団を内包し、容認している基地反対派の言い分を聞く必要はないと考えます」などと説明している。
また、番組内の「韓国人がなぜ反対運動に参加するのか」という発言が人種差別に基づく「ヘイト発言」だと指摘されていることには「外国人の政治活動の自由は全てが保障されているわけではなく例外があります。その上で問題提起していることは、人種差別、ヘイトスピーチに該当するとは考えておりません」。さらには「一方的に『デマ』『ヘイト』と断定することは、メディアの言論活動を封殺する、ある種の言論弾圧であると考えます」と反発した。
番組内で「反対派の黒幕」「親北派」として名前を挙げられた人権団体「のりこえねっと」共同代表の辛淑玉(シンスゴ)さんは27日、会見を開き、同日付で放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会に人権侵害の申し立てをしたことを明らかにした。BPOでは、放送人権委とは別の放送倫理検証委員会も、MXテレビに対し報告を求めている。
辛さんは「大変むごい番組。…
………。
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沖縄タイムスの記事【津田大介さん・安田浩一さん、「ニュース女子」問題でMXテレビ出演辞退】(http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/80431)。
《津田大介さんと安田浩一さんが18日までに同局が放送する別のニュース番組への出演を辞退した。「取材がずさんで事実でない」「報道に値しない」と2日の番組を批判している》。
『●沖縄平和運動センターの山城博治さん…
イジメ・見せしめな「反対運動つぶし」「国策捜査」「狙い撃ち」』
「沖縄タイムスの【社説[「沖縄ヘイト」番組]真偽不明 悪意むき出し】
(http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/79474)によると、《東京MXテレビが
2日に放送した報道バラエティー番組「ニュース女子」で、
高江ヘリパッド建設問題を取り上げた。反対する人たちの声は
1人も流されないまま「カメラを向けると襲撃に来る」「テロリストみたい」
などと表現。「反対派の中には韓国人はいるわ、中国人はいるわ」
と人種差別につながる発言があった》」
「琉球新報の【<社説>ヘイト番組放送 沖縄への偏見拡大恐れる】
(http://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-426400.html)には、《沖縄に対する
許し難い誹謗(ひぼう)中傷だ。公共の電波を使った沖縄に対する
ヘイトスピーチ(憎悪表現)と断ずるしかない。なぜこのような番組を
制作し、放送したのか明確に説明すべきだ。東京のローカル局・
東京メトロポリタンテレビジョン(東京MX)が、米軍北部訓練場の
ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設に反対する市民をテロリストに例える
ような内容の番組を放送した》」
『●「国際人権法」違反: 山城博治さん長期「拉致」という
「独裁的な国家が反対派を黙らせる常とう手段」』
「またしても、「恥」を世界に発信・拡散。世界の心ある人々から、
蔑みの目で見られるわけです。
それにしても、「本土」マスコミの静かなことよ。それどころか、
東京MXテレビ「ニュース女子」問題なんてのも起こる始末」
《高江ヘリパッド建設問題…反対する人たちの声は1人も流されないまま…》(沖縄タイムス)、全く酷いもの。東京MXテレビによるアベ様「広報」について、安田浩一さんは《現地の人に話を聞く、裏取りするという取材の基本ができていない。抗議行動をおとしめるデマで、報道に値しない》としています。そんなアベ様「広報」を受け入れ、違和感を持たない「本土」社会も歪んでいる。
『憲法と社会問題を考えるオピニオンウェブマガジン。/マガジン9』(http://www.magazine9.jp/)のコラム【雨宮処凛がゆく! 第401回/声を上げる人を嘲笑する人々〜「ニュース女子」の暴力〜の巻】(http://www.magazine9.jp/article/amamiya/31862/)によると、《ただただ言葉を失った。1月2日に放送されたTOKYO MX「ニュース女子」という番組を見ての感想だ。ご存知の通り、この番組では沖縄・高江のヘリパッド建設に反対している人々に対して、悪意剥き出しの言説を垂れ流し続けた…そんな「ニュース女子」問題、事実をねじ曲げることが問題なのはもちろんだが、それよりも私が恐怖に感じたのが、沖縄の基地問題に声を上げる人々に対して、「こいつらには何をしてもいい」と思っている人々が少なくない数いる、という事実である。そうでなければ、あんな番組、絶対に成立しない…辛淑玉氏は、放送倫理・番組向上機構(BPO)に人権侵害を申し立てるという。この申し立てにどのような対応がなされるのか、注視していきたいと思っている》。
『●「差別意識に基づく、官憲による歴史的暴言」…
ガルトゥング氏「非常に深刻な状況となる兆候…」と警鐘』
「やはり「歴史的暴言」でした。アベ様定義の「積極的平和主義」の
産物な「歴史的暴言」。「本土」による差別意識が顕在化し、
表面化した「歴史的暴言」。安田浩一さん《社会的少数者や弱者を
たたき、引きずり降ろすのを楽しむ空気が日本社会の一部に
流れている》。歪んでる」
『●高江破壊と歴史的暴言: 「みんなが嫌がる“仕事”を押し付け、
無用な衝突を招いている張本人は誰か」?』
「「民意圧殺」=高江破壊での「歴史的暴言」とその周辺の酷い反応。
それを「歴史的暴言」と感じないヘイトな人々。ニッポンの
社会そのものが相当に歪んでいる…《今の日本の病んだ空気》。
《みんなが嫌がる“仕事”を押し付け、無用な衝突を招いている張本人は
誰か》?、を理解できないようだ」
『●差別の掛算…「権力者が決めたことなのだから
建設計画に従うべき」×「沖縄は黙って受け入れるべきだ」』
『●アベ様参院選公約「子育て…」: 「3歳児、おなかすいて盗んだ」
…アベ様のニッポン、病んでいないか?』
『●差別主義者を東京「ト」知事にできる、
そんなニッポンの社会そのものが歪んでいる』
『●2016年報道の自由度ランキング72位:
「メディアは二流ならば社会も二流」、アベ政治も…粗悪』
『●「植民地意識丸出し」(安慶田光男副知事)な番犬様に
尻尾をフル「言葉の偽装に長け」た政権(琉球新報)』
『●「10・23通達」と教育破壊:
「石原都政では、教育行政も歪められた。…愛国心教育を強制」』
『●沖縄イジメ: アベ様…「大学時代の恩師は
二つのムチ(無知、無恥)を挙げ「彼は歴史を知らない」」』
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【http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/80431】
津田大介さん・安田浩一さん、「ニュース女子」問題でMXテレビ出演辞退
2017年1月19日 12:05 ニュース女子 安田浩一 津田大介 問題発言 ヘイトスピーチ 沖縄ヘイト
東京の地上波テレビ局、東京MXテレビの番組「ニュース女子」が沖縄県東村高江周辺の米軍ヘリパッド建設の抗議行動に関し事実と異なる報道(2日放送)をした問題で、ジャーナリストの津田大介さんと安田浩一さんが18日までに同局が放送する別のニュース番組への出演を辞退した。「取材がずさんで事実でない」「報道に値しない」と2日の番組を批判している。
2人が出演を辞退したのは、同社が毎週月-金曜に放送する「モーニングCROSS」。津田さんは1月と2月に出演予定だったが辞退。17日付で自身のツイッターに「『ニュース女子』について何らかの検証や総括がない限りは出演しないつもり」と投稿した。安田さんは1月に予定していた出演を取りやめた。
本紙の取材に対し津田さんは「2014年11月の知事選以降、沖縄で取材して感じる基地問題の現状とは明らかに異なる内容だ。取材もずさんで、事実ではない」とコメントした。
東京MX側は16日の番組後に「さまざまなメディアの沖縄基地問題をめぐる議論の一環として放送した」と見解を公表。これに対し津田さんは、番組を検証する姿勢が見られず対応がひどいと指摘。「ネットの書き込みと同レベルの内容を放送すれば、視聴者へ与える悪影響は大きい。地上波テレビ局としての責任を感じてほしい」と求めた。
安田さんは「現地の人に話を聞く、裏取りするという取材の基本ができていない。抗議行動をおとしめるデマで、報道に値しない」と批判した。
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『LITERA 本と雑誌の知を再発見』(http://lite-ra.com/)の記事【菅官房長官がNEWS23、岸井の勉強会にこっそり…古賀茂明らが証言する安倍政権の圧力、狡猾なやり口】(http://lite-ra.com/2016/01/post-1886.html)。
《政権を監視し、報道の使命をきちんと果たそうとしたニュース番組のキャスターやコメンテーターたちが次々と降板……誰の目にも明らかな異常事態……機能不全状態》。
スガ殿による「粛々」としたジャーナリズム破壊。古舘伊知郎さん、岸井成格さん、国谷裕子さん、青木理さんらを守ろうともしないテレビ局はアベ様の宣伝機関に成り下がる。
『●岸井成格氏を支持する: 「TBSは今日、
再び、死んだに等しいと思います」なんてことが起こらぬために』
『●「TBSは今日、再び、死んだに等しいと思います」
なんて方向に進んでいないか? 報道は見て見ぬふり?』
『●「そんな曲が交じっていないか。耳をそばだてる」…
聞こえるのは、アベ様らの勇ましき進軍ラッパのみ』
『●最後っ屁に期待する: 古舘伊知郎さん、
この際ですから全部ぶちまけてから降板を! 矜持を示して!』
『●「NHKの看板番組「クローズアップ現代」の
国谷裕子キャスターもとうとう降板」』
『●古舘伊知郎・岸井成格・国谷裕子・青木理さん…
アベ様に「厳しい立場だった人」達は偶然の一致なのか?』
「「報道がそれで抑圧される、そんな例があったら私は辞める」と明言」するアベ様を蹴落とせないジャーナリズム、矜持が無さすぎる。そして、何度も言うが、《そうして政権が報道を右にずらしていった先にめざすもの……それは改憲に肯定的な世論の生成であり、戦争状態を容認する戦前のような体制づくりだ》に加担する、自公政治家・おおさか維新議員に投票し続ける者たちの罪深さだ。『眠り猫』という無関心という罪だ。
『●アベ様は「報道がそれで抑圧される、
そんな例があったら私は辞める」と明言・・・ETV番組改編問題は?』
『●有言不実行: アベ様は「報道がそれで抑圧される、
そんな例があったら私は辞める」と明言』
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【http://lite-ra.com/2016/01/post-1886.html】
菅官房長官がNEWS23岸井の勉強会にこっそり…古賀茂明らが証言する安倍政権の圧力、狡猾なやり口
【この記事のキーワード】圧力, 水井多賀子, 菅義偉 2016.01.16
(菅義偉ホームページより)
政権を監視し、報道の使命をきちんと果たそうとしたニュース番組のキャスターやコメンテーターたちが次々と降板に追い込まれるという誰の目にも明らかな異常事態が起きた2015年。テレビ各局は萎縮と自主規制の空気に支配され、今では、安倍首相が国会でどんなトンデモ答弁をしても、ほとんど取り上げないという、機能不全状態に陥ってしまった。
こうした状況をつくりだしたのはもちろん、安倍政権の圧力だが、その実行犯といえば、やはり、“安倍政権のゲッベルス”菅義偉官房長官をおいていないだろう。
本サイトでは、菅官房長官によるテレビ、新聞、さらには週刊誌への具体的な介入について再三、報じてきたが、ついにあの人が菅氏の“やり口”について語った。
あの人とは、昨年のメディア圧力事件の象徴的人物であり、菅官房長官の圧力により『報道ステーション』(テレビ朝日)を降板に追い込まれた元経産官僚・古賀茂明氏だ。
古賀氏が菅官房長官について語ったのは、「週刊金曜日」(金曜日)2015年12月25日・1月1日合併号に掲載された鼎談でのこと。この鼎談には、古賀氏のほかに評論家の佐高信氏、上智大学教授の中野晃一氏が参加。最初に話題に挙がったのは「放送法遵守を求める視聴者の会」による『NEWS23』(TBS)のアンカー・岸井成格氏に対する意見広告についてだったが、まず、これに対し古賀氏は「いやー、ここまでやるかなという感じです」と驚嘆し、このように述べている。
「賛同人の名前を見れば、安倍政権の応援団がしてることです。
安倍政権が本気でこのまま突き進めば放送については完全に
国家統制の時代に入りますね」
そして、古賀氏のこの発言につづいて、佐高氏は菅官房長官について言及。佐高氏は、現在のBPO(放送倫理・番組向上機構)は元々、菅氏が総務大臣時代に「総務省の下に第三者委員会みたいな組織」を作ろうと画策したものの、当時の日本民間放送連盟会長で日本テレビ会長の氏家齊一郎氏らから反対にあい、現在の独立したかたちになったと設立経緯を説明。このことをいまも菅官房長官は「総務省の下につくるべきだった」と悔やんでいるらしく、そうした点を踏まえて佐高氏は安倍政権の報道圧力について「政権全体の動きと同時に菅個人の問題、ある種の陰湿さが背景にあると思うんです」と述べている。
この佐高氏の言葉を受け、古賀氏も“直接の被害者”としてこう語っている。
「もちろん菅さん個人の思いが強烈にあると思います。
菅さん中心に官邸が、とにかくマスコミを抑えることを、
ある意味、政策よりも最優先課題として、ずっと対応してきている
印象ですね」
政策よりメディアへの圧力に尽力。──それが官房長官の仕事か、とツッコみたくなるが、さらに驚きなのが、佐高氏が学生時代からの付き合いである岸井氏本人から聞いたという、菅官房長官の知られざる“裏活動”だ。
「岸井が私的にやってる勉強会に、突如菅がやって来たことが
あるそうです。出席するメンバーの誰かから聞いたんでしょう。
一方で、菅は「忙しくて翁長(雄志)さんにも会えない」
と言っている頃ですよ」
なんと菅官房長官は私的勉強会にまで探りを入れ、岸井氏に直接会いに行っていた、と言うのだ。しかも、岸井氏は菅官房長官から、このようなアプローチも受けていたらしい。
「勉強会の最初から最後までいて「いいお話を聞かせて
いただきました」と言って帰っていったそうです。そして、
菅から「あらためてお話を伺いたい」と連絡がきたと岸井が
言うから、私が「岸井、応じろ。そのとき友だち一人連れていくと言え」と」
どうやら佐高氏は菅官房長官との対面にまではもちこめなかった様子であるが、一体、菅官房長官が岸井氏に近づこうとした理由はなんだったのか。その手の内を、今度は古賀氏が語っている。
「菅さんの攻勢はすごいですよ。昼も夜も時間さえあれば、
とにかくテレビに出るようなキャスター、コメンテーター、
有識者の人たちとご飯を食べるそうです。これは菅さんに
極めて近い人の話を間接的に聞いたんですけど」
メディア関係者と会食とは、まさしくやり口は安倍首相と一緒だ。それにしても、定例会見を見る限り、菅官房長官は無愛想極まりないが、会食中はどのような態度なのか。これもまた古賀氏が詳細に明かしている。
「もちろんあからさまに圧力をかけるんじゃないですよ。
「いやー、先生のお話は面白いな」とおだてながら、
「今度役所の方でも勉強させたいんで、ぜひお話しを
してください」と持ち上げるんだけど、それをやられた方は
ほぼ全員寝返ったそうです。民主党のブレーンとか、
政治評論家とかいっぱいいるじゃないですか」
いつもは無表情なのに、一転、愛想笑いを浮かべゴマをする菅官房長官……。想像するだに夢に出てきそうなおっかなさだが、この菅式メディア骨抜き作戦によって寝返らなかった人こそ岸井氏だったのだ。古賀氏は「だから、官邸では「岸井っていうのは筋金入りだ」と怖れているそうですよ」と言う。
無論、岸井氏はジャーナリストとして当然の態度を取っただけだ。しかし情けないことに、このような岸井氏の毅然とした姿勢も、テレビ局や新聞社では政権の御用記者と化している政治部経由でクレームが入り、跳ね上がり扱いされることだろう。本来ならば権力側からの圧力には強い意志ではねつけるべきところを、「取材できなくなると困る」「怒らせたら呼び出されるかも」と恐れ、いまでは不都合な話題にはふれることさえしない。このような及び腰で、国民の知る権利を守り、権力を監視するというジャーナリズムの役目を果たすことなどできるはずがない。
また、恐ろしさを感じずにはいられないのは、中野氏による今後の“予測”だ。本サイトではいち早く、岸井氏の後任として朝日新聞特別編集員で保守派寄りの政治部記者である星浩氏が打診を受けているとスクープしたが、中野氏は星氏後任人事が現実化したときの『NEWS23』をこのように分析する。
「やり方として非常に巧妙なのは、岸井さんから星さんに変わったとき、いろんなことを追ってない人から見れば、すーっと静かに右にずれていくのがわからないようになっています。同じ番組を見ていたら、『朝日新聞』の新しい人が来て、当たり障りのない範囲でちょっと批判っぽい感じのことを言っていって。実際はどんどん右にずれている」
どんどん右にずれていくのに、多くの視聴者がそのことに気付かない。──同じことは、古舘伊知郎の後任に自局の富川悠太アナウンサーを立てた『報ステ』や、国谷裕子キャスターを降板させ22時に枠移動する『クローズアップ現代』(NHK)でもきっと起こるだろう。
そうして政権が報道を右にずらしていった先にめざすもの……それは改憲に肯定的な世論の生成であり、戦争状態を容認する戦前のような体制づくりだ。
安倍政権の邪悪ぶりには言葉もないが、しかし、これは安倍首相や菅官房長官だけの問題ではない。メディア関係者はかれらの暴走を許している自分たちもまた同罪であるという認識を強くもってほしい。
(水井多賀子)
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nikkan-gendaiの記事【「NEWS23」岸井氏を名指し攻撃…異様な“意見広告”の真の狙い】(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/170376)。
《今月14日付の産経新聞と15日付の読売新聞に掲載された全面意見広告が大きな話題になっている。「私達は、違法な報道を見逃しません」とデカデカ見出しの意見広告は、TBSの報道番組「NEWS23」のメーンキャスター・岸井成格氏を名指しで批判、問題視する中身だったからだ…呼びかけ人には作曲家のすぎやまこういち氏、上智大名誉教授の渡部昇一氏ら“安倍応援団”の面々》。
面子もスッゴイし、異常な“安倍応援団”、それにも増して酷い報道(アベ様広報)機関……岸井成格さん、負けるな! 「TBSは今日、再び、死んだに等しいと思います」なんてことが起きてはならない。
岸井成格さんが、暗示した「西山事件が示している通り、必ず一人歩きする。拡大解釈される。その時の権力によって必ず乱用される」、そういう世界になってしまった。佐高信さんが言う「首相のウソを暴いた西山太吉さん。それが今後できなくなる」を地で行く話し。
『●”テレ朝は今日、死んだに等しいと思います”』
『●西山太吉さん密約事件が示すもの: 「一人歩きし、
拡大解釈され、時の権力によって必ず乱用される」』
「「首相のウソを暴いた西山太吉さん。それが今後できなくなる」
(佐高信さん、10月13日『サンデーモーニング』)。また、
「西山事件が示している通り、必ず一人歩きする。拡大解釈される。
その時の権力によって必ず乱用される」(岸井成格さん、同番組)」
「表現の自由はとても大事…、でも、単なるデマの拡散に加担すること」を良しとせず、「河村たかし市長「南京虐殺事件」発言に関する広告を拒否」した中日新聞とは違い、読売や産経は、「メディアの作法、矜持」を失っただけでなく、ニセ右翼やアベ様らに媚びまで売っている。広告料収入さえ入れば、アベ様に媚を売るためには何でも「広告」してくれるらしい、読売と産経は。
『●「赤とんぼの会」護憲広告掲載拒否』
『●河村たかし市長「南京虐殺事件」発言に関する広告を拒否』
『●失われる「メディアの作法、矜持」…
「権力を監視する機能が失われ」、しかも、アベ様の「思う壺」』
『●『超・反知性主義入門』の小田嶋隆さんインタビュー、
「そういう政権を選んだ国民にも危険な兆候」』
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【http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/170376】
「NEWS23」岸井氏を名指し攻撃…異様な“意見広告”の真の狙い
2015年11月26日
(岸井成格氏と問題の意見広告)
今月14日付の産経新聞と15日付の読売新聞に掲載された全面意見広告が大きな話題になっている。「私達は、違法な報道を見逃しません」とデカデカ見出しの意見広告は、TBSの報道番組「NEWS23」のメーンキャスター・岸井成格氏を名指しで批判、問題視する中身だったからだ。
全国紙の紙面を買い取って広告を出したのは「放送法遵守を求める視聴者の会」。呼びかけ人には作曲家のすぎやまこういち氏、上智大名誉教授の渡部昇一氏ら“安倍応援団”の面々が並んでいた。
彼らが問題にしているのは岸井氏が安保法案成立直前の9月16日放送で「メディアとして(安保法案の)廃案に向けて声をずっと上げ続けるべきだ」と発言したこと。コメンテーターならともかく、番組メーンキャスターである岸井氏がこう言うのは「政治的に公平であることなどを定める放送法に反する」と主張しているのである。
岸井氏といえば、毎日新聞の特別編集委員。読売も産経も、よくもまあ、ライバル紙の個人攻撃広告を載せたものだが、驚くのは早い。自民党の礒崎陽輔前内閣補佐官は早速、「極めて冷静で妥当な意見です」とツイート。与党との二人三脚ぶりをうかがわせた。安倍政権との“連携プレー”のにおいがプンプンだ。
「安倍政権や、そのお仲間は全局を“安倍サマのテレビ”に
したいのでしょう。安保法案は国民の8割が、なぜ成立を
急ぐのかと反対していた。岸井氏の発言は国民の声の代弁です。
それなのに、政府に逆らうものはみなダメだと言わんばかり。
それもひとりに対して、全面広告を使って、集団で吠えて弾圧
しようとしているのは極めて異常なことです。こんな広告を
出されて、何も言わなければ、テレビが死んでしまいますよ」
(評論家・佐高信氏)
安倍応援団の偏向キャスターは山ほどいるのに、まったくフザケた話である。このタイミングで、こんな意見広告が出てきたのは恐らく、放送倫理・番組向上機構(BPO)の存在があるのだろう。今月6日、BPOの番組検証委員会は自民党がNHKやテレ朝に事情聴取を行ったことを問題視、異例の政権批判を展開した。そうしたら、安倍首相が国会答弁で「(介入は)至極当然だ。まったく問題ない」と切れまくった。自民党内には「BPOを潰せ」という意見がある。TBSは擁護派である。そうしたさなかでの意見広告は、TBSへの“牽制”にも見える。TBSは当然、大反論しなけりゃおかしいのだが、本紙の取材にこう言った。
「番組にはさまざまな意見がさまざまな形で寄せられており、
意見広告もその中のひとつと考えております」(広報部)
まるで“他人事”なのである。
TBS局内には「岸井更迭論」もあると聞いた。後任にはライバル紙の編集委員の名も浮上している。
一方、「視聴者の会」の事務局長で文芸評論家の小川榮太郎氏はこう言った。
「出稿のお金は基本的に有志の方の寄付です。
(掲載紙が産経、読売になったのは)保守系という縁故関係
からです。今後、発表紙が広がる可能性はあります。
(また、放送法に反するようなことがあれば)何かしらの
アクションはすると思います」
安倍首相たちの言論圧力に屈すれば、テレビが“死ぬ日”は遠くない。
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asahi.comの特集【冤罪で死刑制度は揺らいでいるか』(http://webronza.asahi.com/national/2014072800004.html?iref=comtop_fbox_d2_02)。
「絶えない冤罪で死刑制度は揺らいでいるのか」?・・・・・・死刑制度存置派が驚異の8割を占める我国では、死刑制度は全く揺るがず!? 善良な市民には関係ないとでも?? 裁判員制度で「死刑のスイッチ」を押すハードルが確実に下げられているのでは? ワタシャ、そんなもの押すのは嫌だね。
『●袴田冤罪事件を機に死刑制度の再考ができない我国』
『●試料が無い!! DNA鑑定も杜撰なら、
証拠保全も杜撰 ~冤罪死刑の飯塚事件~』
「法」に則り「粛々」と死刑執行を行っていった谷垣禎一法相は、内閣改造で幹事長へと交代した。さて、松島みどり新法相は?
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【http://webronza.asahi.com/national/2014072800004.html?iref=comtop_fbox_d2_02】
冤罪で死刑制度は揺らいでいるか
(現役のボクシング世界チャンピオンとファイティングポーズを
見せる元プロボクサーの袴田巌さん
=2014年5月19日、東京都文京区)
2014年7月30日
1966年に静岡県の一家4人が殺害された「袴田事件」で死刑が確定した袴田巌さんに3月、静岡地裁が再審開始を認める決定を下し、袴田さんは釈放された。80年代に死刑囚の再審開始が、48年の免田事件、50年の財田川事件、54年の島田事件、55年の松山事件と相次ぎ、社会的に注目を集めた。自白を強要した警察・検察は反省を強く迫られ、物証を重視する捜査を徹底したはずだったが、97年の東電OL殺人事件では無期懲役が確定したネパール人男性がDNA鑑定で無罪になった。郵便不正事件では物証が改ざんされ、遠隔操作ウイルス事件ではIPアドレスのみを証拠にして4人が誤認逮捕された。絶えない冤罪で死刑制度は揺らいでいるのか。
『死刑囚1割無実なら執行一旦停止は7割――治安の世論調査(2014/07/30)』(河合幹雄)【http://astand.asahi.com/magazine/wrnational/2014072300002.html?iref=webronza】
2009年末の内閣府調査によると、死刑を「やむをえない」と容認する者が85.6%と過去最高になったとの報道が2010年2月にマスコミ各紙から流された。これに対しては、質問調査の仕方、報道の仕方の両方に問題があって、さすがに反論も取り上げられた。おそらく日本人は、死刑制度について単純に尋ねれば「どちらかといえば」賛成も含めた賛成が7割台で、明確に賛成する者は4割台と、こちらは過半数を切っている。内閣府の調査でも、「将来も死刑を廃止しない」は6割かつかつであった。
これだけでは状況の判断が正確にできない。2012年の「治安に関する特別世論調査」において、「最近の治安は悪くなったと思う」と、間違って認識しているものが84.3%もいることを重視して、正しい情報が与えられるほどに、死刑の賛成者は減少するという仮説のもと、文科省科学研究費を獲得し6人で共同調査しているところである。「刑罰と犯罪防止――厳罰化と死刑の効果を信じる人々はどうすれば意見を変えるのか」が正式な課題名である。
犯罪者と刑罰について知識と経験が増すほどに、死刑と厳罰化を否定するようになることは経験則的には知られており、既に佐藤舞などの先行研究もある。しかし、犯罪状況、刑罰の抑止効果の測定、犯罪者の境遇などの知識を与えても、死刑制度賛成者の比率は、確かに減少するが半分は切らない。諸外国でも、ほとんどの国で死刑廃止になっているのだが、どの国でも世論調査すれば、存置論がやや優勢である。
討議型の調査も検討する中で、仮説として浮上したのは、人々が死刑制度について考えるとき、極端な凶悪犯の処遇をどうするかということのみを考えており、冤罪の可能性についてはあまり考えていないのではということである。
そこで、今春の全国意識調査で、「仮に、現在の日本の死刑囚の10%(13人)が無実だとわかった場合の死刑執行の存続」について尋ねたところ、7割が「いったんやめる」と回答・・・・・・・・・
『パソコン遠隔操作事件で考えた冤罪と可視化(2014/06/24)』(小俣一平)【http://astand.asahi.com/magazine/wrnational/2014062300002.html?iref=webronza】
パソコン遠隔操作事件で、威力業務妨害などの罪に問われた片山祐輔被告(32)の第11回公判が6月20日、東京地方裁判所(大野勝則裁判長)で行われ、片山被告になりすまされ、遠隔操作をしたとして誤認逮捕された三重県津市の29歳の男性が証人として出廷した。
この中で、被害者の男性は逮捕された際、「認めたほうが早く家に帰れると考えたが、家族の説得で否認を貫いた」と証言した。例え無実の罪で拘束されていても、「罪を認めてしまうかもしれない」人間の弱さをリアルに証言していて、これまでにも多くの罪なき人々が同様にやってもいないにも関わらず、逮捕、起訴されたであろうことを想像させた。
この事件は、インターネットを駆使した21世紀型の特異な犯罪の一つである。「なりすまし」という行為が、パソコン1台あれば簡単にできてしまうことが驚愕をもって受け取られると同時に、「今日は人の身、明日は我が身」であり、「対岸の火事」と眺めていられない戦慄を多くの人たちに与えたことは難くない。だからこそ、片山被告が主張する「私も被害者」はどことなく説得力があったし、冤罪事件で実績のある弁護士もベテランのジャーナリストも彼の言葉に耳を傾けた。その顛末を振り返ってみた。
5月20日、片山被告が、「自分が真犯人だと自供した」と伝えられた直後、編集者から感想を訊ねられた。
「驚きもせず、呆れもせず、笑いもせずっていうところですかね」というのが、口をついた第一声だった。
「驚きもせず」と思ったのは、これまでの新聞・テレビの報道、毎週届く雑誌の特集記事などを読んできて、江ノ島、雲取山と奇妙に一致する偶然や片山被告が勾留されている間は「真犯人」の動きがピタリと止まり、保釈されると動きが出てくる状況に、「被告の抗弁には無理がある」と、人より幾分長く事件記者として過ごしてきた体験から強く感じていた。
それ以上に、4人もの無関係な男性を誤認逮捕し、警察庁長官が謝罪までした、その後の逮捕が同様に誤認であれば、長官はもちろん関係幹部は軒並み辞表モノで、組織第一の警察が絶対的な自信無くして、「5人目の逮捕」という危険な賭けに出るはずもなく、またそんな逮捕を検察が容認するはずもないという発想があった。
もう一つは、東京地検特捜部の検事が投入されことを知り、かつて日本共産党国際部長宅盗聴事件の告発を受けた特捜部が、神奈川県警による組織ぐるみの犯行だと突き止めた実績を思い出したことによる。特捜検事投入は、「乾坤一擲」の勝負だと見定めるのも、かつての “検察担当記者”的発想に他ならないのではあるが。
「呆れもせず」は、表現に気をつければ、「パソコン偏愛者」もひとつ道を踏み外せば、「魔法の箱」を悪用するのだろうという認識が織り込み済みだったからだ。
「笑いもせず」は、片山被告を弁護し続けたジャーナリストたちの存在である。弁護士は、弁護活動の途中で、依頼人が真実を語っていないと思っても、依頼人の不利になる弁護活動をすることは禁じられている。職業上ある種の運命共同体として、擬似当事者となるケースもあるので、それほど驚くべきことではない。
一方、片山被告の”冤罪“を主張してきたジャーナリストたち、あるいはその論調に相乗りしたメディアはどうか。彼らは、結果として、・・・・・・・・・
『少年死刑確定:誰が反省不十分なのか(2012/02/23)』(河合幹雄) 【http://astand.asahi.com/magazine/wrnational/2012022200004.html?iref=webronza】
光市事件少年の死刑が確定した。残念なことに最高裁は是正する勇気がなく、マスコミの反省は不十分である。少年事件や刑事裁判のイロハを勉強していれば、この事件が死刑でないことは常識の部類と考える。この私の意見を聞いて驚いた方が多いのではないかと推察する。それもそのはず、報道された事件と、実際に記録などにあたってみた事件とは、まるで別事件。BPO(放送倫理・番組向上機構)の放送倫理検証委員会は、2008年4月15日決定第04号「光市母子殺害事件の差戻控訴審に関する放送についての意見」において報道内容と経緯を詳細に検討したうえで言葉を極めて報道機関を批判した(HPからダウンロードできる)。遺族と加害者の背景を丁寧に記述した門田隆将の『なぜ君は絶望と闘えたのか』も参照して欲しい。いずれにせよ報道ベースで事件を知っているつもりであれこれ考えるのはやめたほうがよい。長々と事件をなぞるわけにもいかないので二点だけポイントを挙げておく。
少年にとって最も重要な体験は、自殺した母親の死体の脇に自分がひとりぼっちで取り残されたことであったろう。殺してしまった母親の脇にとりのこされた赤ん坊によって、同じような状況を、再現してしまった。少年にとって、その赤ん坊は「自分」だったはずである。裁判の事実認定で、発覚を防ぐために赤ん坊を殺したというのは、死刑という結論に無理にもっていくための後付けの理屈のように思える。少年は、何をしているのか自分でわからない状態だったであろう。
第二点。少年の手紙などが公開されているが、非行少年を扱った経験者の共通認識は、次のようなものである。強がる少年は、・・・・・・・・・
『死刑制度を残しつつ執行しないのが理想だ(2011/12/29)』(河合幹雄)【http://astand.asahi.com/magazine/wrnational/2011122800005.html?iref=webronza】
●死刑制度について論じる前に情報の共有を
2011年は死刑執行がゼロとなるようである。国民の合意形成が不十分ななかでの執行停止は正しい判断であろう。なにしろ、日本人が治安の良さを誇っていた1970年代に比較して、現在の殺人事件の死者数は約半分に減少している。それなのに死刑判決が何倍にも増えているのは、国民が治安が悪化したと勘違いさせられているからであろう。議論を開始するに当たって、犯罪状況と死刑執行自体についての正確な情報提供が必要であると考える。
以下、年内執行ゼロの意味から、死刑について一言したい。年内に死刑執行がなく、年末押し迫って執行されることがこれまであった。本年もそう予測していたが、そもそも、これはなぜだろう。年ごとの統計にゼロと出さないというより、昨年は死刑がゼロだったというニュースを出させないためであろう。
だとすれば、これはいわゆる見せしめのための刑罰であろうか。殺人事件を網羅的に検討すれば、殺人犯たちが死刑を恐れて犯罪を思いとどまるなどということは、およそ期待できないことは間違いない。凶悪犯罪の防止という最も大切なはずの目的に役立たないのに、なぜ死刑執行があるのであろうか。
意識調査を検討してみると、犯罪抑止効果がないことは日本国民も理解しているようである。それにもかかわらず、死刑制度は存置しておきたいという結果が出ている。そもそも、日本においては、凶悪事件に遭う心配はしなくてよい。テレビ新聞の報道に惑わされないで考えて見ればわかる。
私は、犯罪状況について講演で話すとき、聴衆にこう聞いてみることがある。
「皆さんの知り合いのなかで、最近何人殺されましたか? 増えていますか?」
会場には笑いがもれる。日本人の多くは、一生のうちに知人が殺人事件で亡くなる話を聞くことはない。凶悪事件も死刑も現実的な事柄ではないのだ。命が大切なら事故や病気に気をつければよいのだ。
では現実の話でなければ何なのか。儀式のような象徴的なものと考えざるを得ない。人々が、死刑に参加したり、執行のされ方を詳しく知ろうとしてこなかったことからみると、刑罰を加えることよりも、それで安心したい欲求が勝っているように思われる。客観的な安全のためには様々な殺人事件について知りたいところだが、実際には、極めて少数で特異な事件について大量の報道がなされる。これは、人々がわかったつもりになりたい欲望に、報道機関が正直に答えているのであろう。
社会学は、刑罰は秩序感を守るためにあると考えてきた。つまり、人々にとって、死刑は、悪事を働けば厳しい刑罰が待っているという象徴なのだ。日本では、これに安心感の回復と付け加えてよいと思う。換言すれば、死刑が廃止されると、なにか怖いのだ。
以上のような状況を前提に、それにマッチングした制度を考えれば、・・・・・・・・・
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