子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会のIさんからのお知らせです。教科書にまつわる汚職事件など絶対にあってはならないはずです。
大阪府藤井寺市での教科書汚職事件について
藤井寺市長及び市教委に対する要望書を提出しました。
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藤井寺市市長 岡田 一樹様
藤井寺市教育委員会教育長 濱崎 徹様 2023年 2月 6日
緊急の要望と質問
子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会
ざざまる会
昨年11月3日の報道「大阪府警が、藤井寺市の元中学校長・西留を教科書選定収賄疑いで書類送検、『大日本図書』の社員2人を贈賄容疑で書類送検」によって私たちもこの事件を知り、教科書採択と公教育にかかわる重大な事象ととらえ、質問・抗議を行ってきました。報道によれば、当時教科書選定委員であった西留元校長が、大日本図書に調査員の名前や調査員作成資料を漏洩させ、その見返りに現金を受け取ったりゴルフ・会食接待を受けたりしていました。2022年11月2日、大阪府警は西留元校長を加重収賄の容疑で書類送検し、年明けの1月25日には大阪地裁が西留元校長を有罪とする判決を出しました。前代未聞の教科書採択汚職と言わざるをえません。
この事態を受けて、12月20日、藤井寺市議会は全会一致で「市教科書採択に係わる第三者委員会」の設置を決定し、今年度内に報告書をまとめるとしています。委員会は非公開とされ、会議録を公表するとしていますが、実際には簡単なメモしか公表されず、審議の内容は市民に知らされないままです。
他方で、藤井寺市教委は、1月10日に「臨時教育委員会」を開催し、「中学校の数学と保健の教科書採択のやり直し」を決めました。1 月中に選定委員会(6 名)を開き、2 月末までには市教委が新しい教科書を採択するという内容です。市議会の設置した第三者委員会の報告書を待たず、教科書汚職事件の全貌解明にはほど遠い中での決定ではありますが、採用期間中での採択やり直しは、全国で初めてのことであり、画期的なことです。
そんな中、1月25日には、大日本図書株式会社特別調査委員会が「調査報告書」を公表しました。その中では、2011 年以来(「報告書」では 2016 年以降が調査対象)、大日本図書営業局統括局長と西留元校長との極めて深い癒着関係(頻繁に行われたゴルフや会食の接待、その見返りとして採択関連資料・調査員名の提供など)が赤裸々に書かれており、予想を遙かに超えるひどい実態でした。
しかし、教科書汚職事件の深刻な広がりはそれにとどまりませんでした。2名の教育委員や調査員の教員が、西留元校長を介して大日本図書から飲食接待を受けていたことが明らかとなりました。
以下「調査報告書」が指摘する2名の教育委員の汚職を挙げます。―――――――――――
< 2019 年小学校採択に際して>
・7 月 11 日、採択期間中に大日本図書と教育委員Dが面会
・大日本図書が、理科と生活の内容解説資料などを別の 1 名の教育委員Eの自宅に郵送し電話で説明。
< 2020 年中学校採択について>
・西留元校長は 7 月 7 日の選定委員会終了後、2 名の教育委員に「選定委員会の結果通りに採択されるように」「連絡した」。
・西留元校長は、教育委員Eに電話し、7 月 15 日に教科書採択に向けた教育委員勉強会を開催することを聞き、それまでに大日本図書と教育委員Dとの会食を設定。また、西留元校長が仲介し教育委員Eと大日本図書の面会(教育委員の自宅で)を実現させた。
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この 2 名の教育委員は、大日本図書によるヒアリングを、「公判」への影響を理由に拒否してきました。しかもこの 2 名の教育委員は、現在も教育委員にとどまっています(Dは 2008 年 6 月から現在、Eは 2014 年から現在)。市教委は、教科書採択のやり直しを決めましたが、この 2 名の教育委員の責任が不問にされたままです。この 2 名の教育委員が参加する中で、採択のやり直しが行われるなどあってはならず、今後の「採択のやり直し」のための会議は、この2名を除いた形でおこなうべきです。
と同時に教育委員会として、このような2名の教育委員をやり直しのための会議に参加させてしまったことの責任をまぬがれることはできません。なぜそのようなことになったのかも含め、すみやかに真相調査を進め、疑惑が明らかになったら、ただちに罷免すべきと考えます。
要望内容と質問内容については、大変お忙しいとは思いますが、2月17日(金)までに回答をお願いいたします。
要望内容
■藤井寺市教育委員会に対して
(1)1月6日の臨時教育委員会議では、「2月末までに採択やり直し」を決定しました。しかし、その場には汚職が疑われる2名の教育委員が参加していました。採択やり直しは、少なくともこの2名の教育委員が全く関与しない形で進めなければ公正性は保障されません。今後は2名の教育委員を除いて、速やかに採択のやり直しを進めてください。
(2)教科書汚職事件について徹底した全貌解明と市民への丁寧な説明を求めます。特に、大日本図書の「調査報告書」では、2名の教育委員と調査員も会社からの飲食接待等を受けていたことが明らかとなりました。どのような接待を受け、どのような情報を流していたのか、その実態について徹底した調査を行い、責任ある見解を出してください。
(3)1月6日の臨時教育委員会の会議録では、発言した教育委員の名前が記載されていません。これでは、不正が疑われる教育委員の発言・会議への関わり方が、傍聴者以外の市民には明確になりません。1月6日の議事録を、発言者名を明記して再度作成し直して公表してください。今後は、発言者が明記された議事録を作成してください。
また今後、選定委員会の議事録を作成するとしていますが、その際も発言者名を明記してください。
教育委員も選定委員も市民の負託を受けて選ばれ、会議への出席には公費が支払われています。発言は公表されることを前提に責任をもっておこなうべきと考えます。
■藤井寺市長に対して
(1)「第三者委員会」でこの2名の教育委員の問題を調査解明するよう要請してください。
(2)「第三者委員会」において教育委員の汚職が明らかとなれば、速やかに議会での罷免手続きをとってください。
質問内容
■ 大日本図書の「調査報告書」で指摘された以下の点について藤井寺市教育委員会として「見解」を明らかにしてください。
(1)報道によれば、「調査報告書」で指摘を受けた教育委員と調査員は「接待を受けた」と申し出ていません。2名の教育委員と調査員への聞き取り調査などはおこなったのかどうか。2名の教育委員と調査員に関する指摘は事実であるかどうか明らかにしてください。現時点で把握している事実関係を全て明らかにしてください。
(2)「調査報告書」で指摘を受けた教育委員と調査員は、どのような情報(教科書採択に関わる)を大日本図書側に流したのか、その内容の全てを明らかにしてください。
(3)「調査報告書」P18には、教育長の教科書採択方針に関する発言について西留元校長と教育部長が会食したことが指摘されています。教科書採択の公正性の観点から不適切であると考えるかどうか、明らかにしてください。
(4)「調査報告書」P23では、西留元校長がG氏を理科の調査員に選任するように教育委員会に助言し、了承されたと指摘しています。このような調査員の選び方について教科書採択の公正性の観点から不適切であると考えるかどうか、明らかにしてください。
(5)「調査報告書」P28では、2020 年 7 月 7 日、西留元校長(当時選定委員)が選定委員会のまさに審議中に、大日本図書社員に自分が大日本図書を評価する発言をしたことや、他の選定委員の第日本図書の評価、検討結果などを伝え、食事の接待を求めていたことが指摘されています。これは教科書採択の公正性の観点から不適切であると考えるかどうか、明らかにしてください。
(6)「調査報告書」では、「関係者」として市教委側の人物として、西留元校長、2名の教育委員、3名の調査員を対象としています。教科書採択を巡って大日本図書と教育委員会、校長、教員等の採択関係者との接触はこの6名だけなのかどうか、明らかにしてください。
以上